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【コラム 私は見た!】

なぜか後を引く琴欧洲の負け方

2010年7月20日

 中日(なかび)とは打って変わったような、全く危なげのない白鵬の相撲ぶりだった。左上手から突きに出る。最終的には寄りきった形だが、この立合いから浴びせられた突きを、鶴竜はどうもこなしきれなかったように思えた。

 攻めの中心はこの突きにあって、これはかわすわけにはいかないし、投げだ、吊りだと考えてみたところで、この攻めこみ方をされた後には、手間を食うばかりで、余計なことをすればするほど、攻める側へ不利を呼び込む形になる。

 だからといって攻めないわけにはいかないし、勝てないのだから、やはり攻撃の急所は立ち合いにあると考えなければならないようだ。といっても、横綱は立ち合いの不味い力士ではないのだから、先手を取るといっても、簡単にはそうさせてくれないだろう。

 他の力士達に結構見るべき戦いを挑んで置きながら、この横綱に対するときは、十二戦で勝星なしと、借りてきた猫のようになってしまうのは、立ち合いが出来ないので、ついつい、いいようにやられてしまうからではあるまいか。

 ところが、鶴竜の相撲を見せられている側からすると、常の相撲とは全く似ていないほど、不細工な戦いの挑み方になってしまっている。

 こんなことを書くのはどうかと考えないでもないが、来場所までに、白鵬攻略の方法を、宿題として考えてみたらどうだろう。

 連敗とまではいわないが琴欧洲には、一敗するとなぜか後を引く悪い癖があるようだ。勝ち続けている時の、あの颯爽さが、いとも簡単に姿を消してしまう。そんな気がするが、なぜなのだろう。これは勝つ時の強さからすると、同じ力士かと考えたくなるほどの頼りなさになってしまう。

 時に考えるのだが、負ける時の琴欧洲には、どうも集中心に欠けるところがあるのではないかと疑わしく思う。栃ノ心と対戦した九日目など、迂闊だったとしかいいようのない体のかわし方を見舞われていた。相手の栃ノ心はまたこうした、際どい体のかわし方が巧みな力士である。こんなことはとうに計算の中に入れておかなければいけない。

 豊真将九戦九勝、人が変わったような相撲ぶりである。 (作家)

 

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