松坂　悔しい７勝目…　完投ペースも２安打目で降板

　【オークランド（米カリフォルニア州）社英夫】７勝目も悔しい降板−。レッドソックスの松坂大輔投手（２９）は１９日（日本時間２０日）、当地のアスレチックス戦に先発し、６イニング２／３を２安打１失点、６奪三振と好投。黒田博樹（ドジャース）と高橋尚成（メッツ）に並ぶ今季日本人最多の７勝目を挙げた。完投の可能性もあっただけに降板時は悔しさをあらわにした松坂は試合後、さらなるレベルアップを誓った。

　まだまだ投げられる−。そんな悔しさを押し隠そうともしなかった。２−１の７回に四球と二塁打を許して２死二、三塁。ベンチを出てきたフランコナ監督の姿を目にすると、松坂はグラブにポーンとボールを投げ入れ、負け投手のようにうなだれた。

　先発の目安とされる１００球にまだ余裕がある８９球。指揮官が両肩に手を置いてねぎらった背番号１８の視線は、ベンチに戻ってもうつろなままだった。「後ろに信頼できる（救援）投手がいるので、１点差だし仕方ないと思うが、あそこを投げさせてもらえるようにしていかなければいけない」。メジャー３年ぶり２度目の完投を逃し、会見でも白い歯は見せなかった。

　投球は申し分ない。合格点以上だ。今季１２試合で計１６失点と苦しんだ初回は、これで２試合連続の無失点。試合開始１時間前だった球場入りを約２時間早めての入念な準備が奏功した。「ここ３試合くらいは早めにグラウンドに来て、軽くキャッチボールとダッシュを行い、余裕を持って試合に臨むようにした」。この日は打者２４人中１９人に初球ストライク。今季途中に悩まされた“四球病”の影もなかった。

　フランコナ監督の評価は「素晴らしかった。キレがいいのは最初から明らかだった」と二重丸。捕手陣の故障で７月に急きょ獲得したキャッシュも「ダイスケの独壇場。普段はあまり使わないチェンジアップも含めて全球種でストライクが取れた」とベタ褒めした。

　ひとまず周囲が納得する形で、後半戦初戦を白星で飾った。「とにかく、こういうピッチングを続けていくしかない」。松坂も分かっている。この投球が普通になれば、次の同じような場面では首脳陣も続投をためらわないはずだ。