五輪への道開かれたフルコンタクト空手 元世界王者の緑健児氏が新極真会代表に新極真会代表に就任した緑健児氏 格闘技の大同団結を求めてスタートした日本格闘競技連盟に、フルコンタクト空手の新極真会が加盟した。新極真会とは、大山倍達総裁没後の極真空手から分派した会派。分裂前の1991年世界王者の緑健児氏が代表を務める。 昨秋発足した日本格闘競技連盟は、日本レスリング協会の傘下連盟で、すなわち日本オリンピック委員会(JOC)の傘下団体。この加盟により、フルコンタクト空手のオリンピック種目への道がスタートした。 空手は、昨年の国際オリンピック委員会(IOC)総会でゴルフや7人制ラグビーと五輪種目入りを争った。ここでいう空手とは寸止め空手のこと。対立、いがみ合いの歴史のある寸止めとフルコンタクトの両スタイルが、ともに五輪種目入りを目指すことになった。 フルコンタクト空手が五輪種目を目指すと聞いて、違和感を覚える人は少なくないだろう。筆者もその一人。少なくとも「空手バカ一代」時代の極真空手は、「路上のケンカでもオレ達は最強なんだ」と、ルール無用の中での強さもアピール。スポーツという範ちゅうに入ることを拒んでいるような一面があった。 プロ格闘家として人気絶頂だった山本KID徳郁が、プロ活動を休んで五輪に挑んだ時、極真空手OBである劇作家の真樹日佐夫氏は「なぜ?」と疑問を呈した。フルコンタクト空手の関係者は、五輪には興味を持っていないものだと思っていた。 「空手バカ一代」の時代は遠くになった-。絶対に「競技」にはなりえないと思われたUFCが、世間に認められる格闘技を目指してルールを整備したように、かつての「ケンカ空手」も、競技として世界に普及することを求める時代だ。 日本格闘競技連盟の福田富昭会長は「レスリングにフリースタイルとグレコローマンがあるように、空手に寸止めとフルコンタクトがあっていいじゃないか」と言う。その前提としてフルコンタクト空手の大同団結を望んでいる。 松井章圭館長の極真会館をはじめ、芦原会館、正道会館などフルコンタクト空手の多くは極真空手の分派。難しいのは十分に承知しているが、五輪種目を目指して団結してほしい。(格闘技ライター・樋口郁夫) 【共同通信】
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