【コラム】李明博・朴槿恵・安商守の3氏に問う(上)
通常ならば、李大統領の発言は記事にする価値すらないものだ。しかしこの時期は、「天安」に乗務していた韓国軍の兵士46人が北朝鮮による攻撃で一気に犠牲になり、救助過程でも10人の死者が出たばかりだった。「天安」が攻撃を受けても、南北関係は永遠に途絶えることはない。いつかは再び交渉を行わなければならない。大統領が対北朝鮮政策に言及したければ、正面からそう言うべきだ。しかし、「北朝鮮が勝てばよかった」などと口にするのは、息子が隣家の男に殴り殺された翌日に、「それでもお隣さんの息子が良い大学に行ければよいのに」と話すようなものだ。
今、この国にはそれを聞いても、「何が間違っているのか」と考える人が少なくない。李大統領はそんな人々が統一地方選で野党・民主党に集中的に投票し、与党ハンナラ党の敗北につながったとみているようだ。そして、李大統領は彼らに迎合しようとして、「北朝鮮が勝てばよかった」と発言したのではないか。「天安」事件に対する市民の関心がなくなったと考えたのではないか。真っ二つに崩壊した船体や亡くなった部下の骨灰がそのまま残り、遺族の悲しみが癒えない状況の中、軍の統帥権者として、部下を殺した加害者のサッカーチームを応援した事実をわざわざ公表したのだから、そうとしか思えない。
兵士らは犬死にしたに等しいと考えている。国連安全保障理事会の議長声明など重要ではない。自国の国民の20-30%が犯人を見て見ぬふりし、学がある人々は、知らん振りすることがまるで偉いかのように振る舞い、社会はわずか数カ月で兵士らの死を忘れつつある。こんな国は、いつか必ず代償を払うことになる。
次に、朴槿恵(パク・クンヘ)元ハンナラ党代表に問う。朴元代表の「天安」事件に対する言及は少ない。朴元代表は「天安」が沈没するや、まずは政府に「真相究明」を求めた。次に「再びこんな悲しみが繰り返し起こってはならない」という趣旨の文章を書き、国際合同調査団の発表が出た際には、「大統領が(責任の所在が)判明した後で、断固対処すると語った。当然そうすべきで、そうなると信じている」と語った。朴元代表が「北韓」という言葉を発したかどうかは、確認できなかった。