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PJ: 林田 力

家屋スクワッティング問題での主張の隔たり(上)
2010年07月21日 09:16 JST

【PJニュース 2010年7月21日】元刑事で作家の北芝健氏がサイバースクワッティング被害に遭っている。北芝氏の名前を表すドメインを所有するサイト開設者が北芝氏の知人女性の建物を占有するというサイバーとリアルのスクワッティングが同時進行している(林田力「リアルとサイバーのスクワッティングが同時進行」PJニュース2010年6月17日)。

このスクワッティング問題では、双方の主張が極端に乖離していることが分かった。
第一にサイト開設者の居住経緯である。サイト開設者は最初からB氏と一緒にサイト開設者も居住しており、それを女性も認識していると主張する。その証拠としてサイト開設者は2010年3月に女性から送信された「カレーを作ったので、持って行きます」というメールを提示する。

これに対し、女性はB氏を住まわせたところ、サイト開設者が勝手に住み着いたと主張する。カレーのメールはサイト開設者に脅迫されたものである。この点は後述する。

第二に賃貸借契約の有無である。サイト開設者は口頭の賃貸借契約があると主張する。但し、サイト開設者の主張に沿った場合も典型契約としての賃貸借契約よりも、組合契約との混合契約に近い。この点は後述する。これに対し、女性はサイト開設者の居住自体が勝手になされたもので、当然のことながら賃貸借契約も否定する。

第三に家賃の支払いである。一般に賃借人から賃貸人に対して支払われるような形での家賃の支払いはなされていない。

この点について、サイト開設者はネットショップの売上金を全て女性側の預金口座に入金しており、その中には家賃の名目も含まれていると主張する。ネットショップという共同事業の利益の処理の中で家賃の支払いがなされており、これが賃貸借契約と組合契約の混合契約に近いと考える所以である。

サイト開設者は家賃が含まれていることを示す資料を証拠として提示する。それは2009年2月のネットショップの売り上げが記録されたもので、オークション会社に支払うシステム料、家賃、電気代、水道代、電話代が控除されている。また、サイト開設者の人件費が0円と計上されている。

記者は、この文書に掲載された落札物品を任意に抽出し、インターネット上で公開されているオークションサイトの落札記録と照合したが、実際に2月に落札されたものであった。

これに対し、女性はB氏もサイト開設者も家賃を一円も支払っていないと主張する。サイト開設者が家賃支払いの証拠として提示する資料は、知人女性が自己の古物商営業について金銭の流れを分かりやすくするために作成した整理表である。

これまで「知人女性」としか書かなかったが、実は知人女性は親子である。サイト開設者から名誉棄損や身の危険を感じている知人女性に配慮し、可能な限り曖昧にした結果であるが、女性の主張を紹介する上で必要なために記載する。親が建物所有者で、子が古物商である。

子が古物商の事務所兼倉庫として親の建物を使用している関係であり、子が親に家賃を支払っていた。そのために資料でも家賃を控除していた。サイト開設者は建物を占拠したことで、事務所にあった当該資料を発見した。それを奇貨として、サイト開設者は家賃支払いの証拠とした。そのようなものを証拠として他人に見せる感覚は常軌を逸していると批判する。そしてサイト開設者に家賃支払いの意思があるならば供託すべきと主張する。
第四に対立の契機である。女性はサイト開設者に度々明け渡しを求めた。しかしサイト開設者は自分の主張を言うばかりであったとする。

これに対し、サイト開設者は女性からの家賃値上げ要求が発端と主張する。周辺地域の地価や老朽化した建物の状況から家賃を値上げする根拠はない。建物は雨漏りや漏電があり、自ら職人を雇って修繕したとする。

さらにサイト開設者は、北芝氏や三枝氏が背後で女性を煽ったためにトラブルがこじれたと主張する。高齢者を含む知人女性に取り入り、問題を大きくしている。第三者が賃貸トラブルを解決したいと思うならば、話し合いの立ち合いをする、司法書士・弁護士を紹介するなどの方法がある。ところが三枝氏らのしていることはサイト開設者への嫌がらせであり、追い出し屋と同じであるとする。

共同事業と見た場合に両者の対立を印象付ける出来事に古物商免許の返上がある。女性は3月16日に古物商免許を返上した。サイト開設者が運営しているネットショップには女性の古物商免許番号が掲載されており、名義を悪用される危険があるためである。

サイト開設者の方でも遅くとも4月下旬までには古物商免許番号の表示をサイトから削除した。この点について、サイト開設者は古物市場から仕入れていないために、そもそも古物商免許は不要であったと説明する。【つづく】

■個人ウェブサイト
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』

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