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海鮮料理

2009年4月29日

  • 筆者 八田靖史

写真海鮮宮の外観写真刺身コースの一例(海鮮宮)写真テナガダコ入りの鍋料理(海鮮宮)写真海家の内観写真チョゲグイ(海家)写真チョゲチム(海家)

 昨年頃からウォン安の影響もあって、韓国を訪れる人は格段に増えている。ソウルの繁華街を歩いてみると、地図片手の日本人観光客をあちこちで見かける。2004〜05年をピークとする韓流の大きな波に次ぐ、新たな韓国ブームが沸き起こっているようだ。このゴールデンウィークも多くの人が韓国を訪れていることだろう。

 そして、そのブームは日本の韓国料理店にも影響を与えている。韓国旅行に出かけた人は、帰国後に、「韓国で食べたあの料理をまた食べたい」と探し求めるケースが多い。韓流以降、本場さながらの韓国料理店はずいぶん増えており、たいていの韓国料理は日本でも味わうことができる。

 そういった状況を背景に、コリアンタウンとして知られる東京の新大久保で、韓国的な雰囲気に浸れる店を取材してみた。足を運んだのは韓国式海鮮料理の店。韓国といえば肉料理のイメージが強いが、実際には刺身、鍋料理をはじめとした海鮮料理も多く食べられている。そしてその料理の多くは、どっさり、たっぷりが身上。韓国料理の大きな魅力である、ボリューム感をストレートに楽しめるのが海鮮料理のよさだ。

 韓国式の刺身専門店「海鮮宮」は、刺身と海鮮料理の組み合わせで人気を集める店。刺身のコースを注文すると、大皿に盛られた刺身盛り合わせに加え、コドゥンオジョリム(サバの辛煮)、ケジャン(ワタリガニの薬味ダレ漬け)といった海鮮料理がついてくる。コースにもよるが、9品から12品ほど。韓国には「テーブルの足が折れるほど」という比喩表現があり、それほどたくさんの量を提供するのが美徳とされるが、並んだ皿数を見るとその習慣がよくわかる。

 韓国式の貝料理を専門とする「海家」もボリューム自慢の店。大皿に盛られたアワビ、タイラギ、ホタテ、牡蠣などを焼いて食べるチョゲグイ(貝焼き)や、あるいはそれらの貝を蒸し煮にして味わうチョゲチム(貝の蒸し煮)が人気を集める。新鮮な貝をどっさり提供できるのは、経営母体が水産会社であるため。韓国の莞島産アワビを中心に、日本各地の漁場からも活きたまま貝を取り寄せている。通常は日本の市場に卸すものだが、それを利用して飲食店事業も始めたという仕組みだ。

 海鮮を専門とする店以外にもいえる話だが、こういうボリューム系の韓国料理店は大勢で訪れたほうが魅力を満喫できる。種類を豊富に味わえる上、ひとりあたりの費用負担もぐっと安くなる。韓国では少人数よりも大人数での賑やかな食事が好まれるので、韓国料理店でもそれに合わせたメニュー作りをしているからだ。ボリュームたっぷりの海鮮料理を大勢で賑やかにつつき、韓国のエネルギッシュな魅力を体感して欲しい。

●海鮮料理の魅力

 韓国では海鮮食材を扱う場合、まず何よりも活きていることを重要視する。刺身を味わう場合でも、熟成期間を置いて旨味を引き出すことより、活魚のシコシコとした歯触りを喜ぶ傾向にある。活きたままのテナガダコをぶつ切りにし、ゴマ油と粗塩をかけて踊り食いするのも韓国海鮮料理店での定番。活きた魚介類をそのまま体内に取り込むことで、エネルギーをもらい、スタミナがつくとの考え方も影響しているようだ。

●店舗データ地図

店名:海鮮宮
住所:東京都新宿区大久保1−15−15秋山ビル2階
電話:03−5155−2928

店名:海家
住所:東京都新宿区歌舞伎町2−19−7新田中ビル地下1階
03−6457−6959
※貝は下記より個人での取り寄せも可能
http://www.taiyoshouji.com/

プロフィール

八田靖史(はった・やすし)

コリアンフードコラムニスト。1976年生まれ。東京学芸大学アジア研究学科卒業。1999年より1年3カ月間韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。2001年に韓国料理をテーマにしたメールマガジン「コリアうめーや!!」を創刊。同名のホームページ(http://www.koparis.com/~hatta/)も開設し、雑誌、新聞などでも執筆活動も開始する。著書に『八田式「イキのいい韓国語あります。」』『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』(いずれも学研)がある。

日々、食べている韓国料理を日記形式で紹介するブログ「韓食日記」も運営中(http://koriume.blog43.fc2.com/)。 ※執筆者の新著が出ました。「魅力探求!韓国料理」(小学館)。

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