松ケ根親方
松ケ根部屋が宿舎として借りていたビル=21日午前、大阪市東住吉区
「松ケ根部屋」の看板が掲げられたビル1階=21日午前、大阪市東住吉区
問題が明らかになった後も、土俵下で審判を務める松ケ根親方=21日、愛知県体育館、小泉耕平撮影
大相撲の松ケ根親方(53)=元大関若嶋津=が20年前から、毎年3月に大阪市で開催される春場所の宿舎に、山口組系暴力団と親交が深いとされる60代の不動産会社社長側から借りたビルを使っていることが、警察当局などへの取材でわかった。親方は朝日新聞の取材に、社長を後援者の一人としたうえで、「暴力団関係者とは思っていなかった」と説明している。
登記簿によると、ビルは大阪市東住吉区にある5階建てで、1989年に社長が経営する大阪市内の不動産会社が建設した。02年10月に松ケ根親方が買い取り、07年6月に社長の親族が経営する別の会社が買い戻した。1階に「松ケ根部屋」の看板が掲げられており、近所の住民によると、1階がけいこ場、2〜4階が居室部分などで、その一部を力士らが使っていたという。
松ケ根親方によると、所属していた二子山部屋から独立し部屋を起こした90年から、春場所の宿舎として、このビルを使用しているという。
警察当局によると、社長は97年に神戸市内のホテルで射殺された山口組ナンバー2の若頭だった宅見勝・宅見組組長と親交が深かったとされる。当局は不動産会社について、現在も宅見組のフロント企業とみている。
社長は08年3月、建設会社(横浜市、倒産)から依頼された東京都千代田区のビルテナントの立ち退き交渉で、弁護士資格がないのに入居者と立ち退き交渉をしたとして、弁護士法違反(非弁活動)容疑で警視庁に逮捕された。東京地裁は昨年1月、社長に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。警視庁などの調べでは、社長の経営する不動産会社は、都心の一等地の複数の地上げ資金として、建設会社から約150億円を受け取り、数十億円の利ざやを得ていたという。警察当局はその一部が山口組側に流れていたとみている。
大阪市内の社長の自宅では「社長は在宅しているが、コメントできないと言っている」と、女性がインターホン越しに話した。
松ケ根親方は鹿児島県出身で、幕内優勝2回。精悍(せいかん)な風貌(ふうぼう)から「南海の黒ヒョウ」と呼ばれた。87年に引退し、90年に千葉県船橋市に部屋を起こした。妻は元歌手の高田みづえさん。