さいたま地裁:殺人被告を公判前に保釈 異例の許可

2010年7月21日 15時0分 更新:7月21日 15時0分

 さいたま地裁で26日から始まる裁判員裁判で審理される殺人事件の被告について、地裁が保釈を許可していたことが分かった。裁判員制度では公判前整理手続きで争点や証拠の絞り込みがされるため、証拠隠滅の恐れが低いとして、従来に比べて保釈が認められる事例が増えているとされるが、殺人罪の被告が公判前に保釈されるのは極めて異例。【伊藤一郎】

 保釈されたのは、埼玉県草加市の無職、丸尾佳子(よしこ)被告(83)。今年2月に難病を抱える長男(当時56歳)の首をタオルで絞めて殺害したとされる。

 5月以降、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)で行われた公判前整理手続きで被告側が起訴内容を認める方針を示したため、裁判の争点は量刑に絞られた。地裁は6月末、弁護側の申請を受けて保釈許可を決定。検察側が不服を申し立てたが、棄却され、被告は7月1日に保釈された。

 最高裁によると、裁判員裁判で審理された殺人事件の被告は5月末までに78人に上るが、1審判決前に保釈されたケースはない。被告の弁護人の村木一郎弁護士は「家族が高齢の被告の面倒を見ると明言したことから、裁判所は保釈が妥当だと考えたのだろう。早期に保釈が認められれば公判の準備もしやすくなり、被告の権利が守られることにもつながる」と地裁の決定を評価した。

 制度施行前の統計はないが、刑事裁判に詳しい元東京高裁部総括判事の原田国男弁護士は「殺人罪に問われた被告が公判前に保釈された事例は聞いたことがない」と指摘。「殺人罪は死刑相当の凶悪犯罪から乳児殺しのような執行猶予相当の事案まで幅が広く、保釈が認められてもおかしくはない。さいたまの事件の場合、裁判所は逃走や証拠隠滅の恐れがないと判断したのだろう」と話した。

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