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中田、プロ1号!苦節3年ついに出た

 5回、左越えにプロ初本塁打を放ちガッツポーズで一塁に走り出す中田
 5回、左越えにプロ初本塁打を放ちガッツポーズで一塁に走り出す中田

 「日本ハム12‐6ロッテ」(20日、札幌ド)

 真っ黒に日焼けした怪物の頭が、真っ白になった。手に残る感触。体中に響く歓声。打球の行方は分からなくても、最高の瞬間ということは分かった。自然と左腕が上がる。そして一塁ベースを回ると、ようやく白い歯を見せた。3年目。通算91打席目。日本ハム・中田が待望のプロ初本塁打だ。

 6点差から1点差まで迫られた直後の五回2死。141キロ直球を完ぺきにとらえた。弾丸ライナーは一瞬で左翼席中段まで到達。インパクト十分の130メートル弾。「いや、もうホントうれしいの一言。鳥肌が立った。人生で一番うれしい?もちろん」と興奮は収まらなかった。

 高校通算最多の87本塁打(現在は2位)を放ち、ドラフト1位で入団してからは苦難の連続だった。1軍でのチャンスは少なく、あっても打てない。勝負の3年目。開幕スタメンはつかんだが、打撃不振で21歳の誕生日4日前だった4月18日に2軍落ち。その3日後には左ひざ半月板を損傷。そして手術。「悔しかったし、腹が立った」という、野球人生の中で一番大きな挫折だった。

 そんな時、支えてくれたのは母・香織さんだった。2軍落ち直後も、故障直後も電話やメールで連絡をくれた。手術後の入院中には仕事を休み、退院までずっと身の回りの世話をしてくれた。お立ち台で中田は「第一に、親にありがとうと言いたい」と感謝の気持ちを伝えた。記念ボールも香織さんに送る。

 「長かった」という1号。怪物の新たな伝説は完全にその扉を開いた。

(2010年7月20日)





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