「頭真っ白」中田プロ初アーチ！苦節３年９１打席目…日本ハム

ヒーローインタビューでＢ・Ｂからキスされ照れ笑いの中田

　◆日本ハム１２─６ロッテ（２０日・札幌ドーム）　余韻の残った左手を高々と上げ、握りしめた。中田は足かけ３年、９１打席目での初アーチを、「鳥肌が立って頭が真っ白。うれしすぎて泣くどころじゃないです」と夢のように振り返った。

　１点差に迫られた５回２死無走者。２―２から大嶺の真ん中の１４１キロを弾丸ライナーで左翼席中段へ。「ボールが見えていたので、どの球でも対応できる感覚でした」と集中力が生んだ自画自賛の一発だった。

　高校通算８７本塁打。怪物と呼ばれた男は、１号まで３シーズンかかった。奔放な発言や奇抜な髪形ばかり注目され、本業では足踏みした。そんな時は、いつも母・香織さんが「打席で楽しそうにしていない。私の方が悔しい」などと励ましてくれた。「落ち込んだりイライラした時に声をかけてくれた。一番大きな支えです」。母は広島市内の自宅でテレビ観戦。ようやくホームランボールで恩返しができる。

５回２死、左越えにプロ初本塁打を放った中田

　悩み、苦しみ、心身が成長した。４月に左ひざの半月板を損傷。１軍復帰が遅れるのを承知で、手術を決断した。「けががなければ打撃を一から見直すこともなかったし、考え方も変わってなかった」。大阪桐蔭高時代のＤＶＤを何度も見た。「どっしりしていた」と原点回帰。オリックス・Ｔ―岡田の構えも参考にした。食事制限では、鳥のササミバーガーや卵の白身で作ったオムレツなどを食べ、減量した。清原氏が現役時代に読んだメンタルに関する本を譲り受けた。「結果ばかり求めていたけど、今はやってきたことを出せればいいと思える」。心と体の余分な力みが軽減された。

　中田は「人生最高？　そりゃそうです。ここまで長かった。満足しないように心がけたい」と気を引き締めた。怪物伝説が弾丸ライナーから始まった。

　◆中田　翔（なかた・しょう）１９８９年４月２２日、広島市生まれ。大阪桐蔭高では高校通算８７本塁打。４球団競合の末、０７年高校生ドラフト１巡目で日本ハムに入団。昨季はイースタン新の３０本塁打、打点もリーグトップの９５打点をマーク。１８２センチ、９５キロ。右投右打。年俸１２００万円（推定）。独身。