振り込め詐欺被害 東京に集中
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振り込め詐欺被害 東京に集中

7月21日 18時4分

振り込め詐欺のことし半年間の被害の件数は、全国では去年より20%余り減りましたが、東京では逆に37%増えて、被害の額は12億円に上ることがわかりました。現金を直接、受け取りに来て、だまし取る手口が急増していることから、警視庁は、東京を拠点とする犯人グループが現金を取りに行きやすい都内の被害者を集中的に狙っているものとみて対策を強化しています。

振り込め詐欺の先月までのことし半年間の被害は、全国では3235件と去年の同じ時期より21%減っています。一方、東京都内の被害は半年間で754件に上って、全国とは逆に去年より202件、率にして37%増えているうえ、被害の額も12億円に上り、去年より3億円余り増えていることが、警視庁への取材でわかりました。また、人口10万人当たりの被害の発生率でみると、東京は13.6人と全国平均の5.9人の倍以上に上っていて、被害が東京に集中していることがわかります。犯行の手口をみますと、金融機関の窓口やATMで現金を振り込ませる従来からの手口に加えて、犯人が直接、被害者の自宅などに現金やキャッシュカードを受け取りに来る「手渡し型」が急増し、先月は被害の57%を占めています。さらに、警察官や銀行協会の職員になりすまして役割分担しながら電話をかけ、「あなたの口座が犯罪に利用されているので預金が危ない」などとうそを言って、預金を根こそぎだまし取ろうとする新たな手口が増えています。警視庁は、東京を拠点とする犯人グループが、現金を受け取りに行きやすい都内の被害者を狙っているものとみて、高齢者の戸別訪問をしたり、金融機関に協力を呼びかけたりして対策を強化しています。先月、「手渡し型」の詐欺で250万円の被害にあった都内の78歳の女性は、警察官を名のる男から電話があり、「あなたの口座から勝手に現金が引き出されている。キャッシュカードを変えなくてはならないので銀行員の男に渡してほしい」と言われたということです。このあと銀行員を名のる男が自宅を訪れたため、カードを渡して暗証番号も教えてしまい、女性の口座からはこのカードを使って預金のほとんどが引き出されたということです。女性は「被害にあわないよう十分に気をつけていたつもりが、警察官だと言われて信じ込んでしまいました。老後のたくわえを渡してしまい、わずかな年金で生活していくしかありません」と話しています。警視庁犯罪抑止対策本部の千野啓太郎副本部長は「最近は『振り込ませない』振り込め詐欺が増加しているうえ、警察官や銀行協会を名乗るなど新しい手口が広がっている。手口を周知するとともに、手渡しの場合でも預金の引き出しなどに使われることが多い金融機関に客への声掛けを徹底してもらい被害を未然に防いでいきたい」と話しています。