2010年02月24日

トワイライトスクール運営主体の選定

名古屋市トワイライトスクール(放課後学級)の運営は、これまで市外郭団体の(財)名古屋市教育スポーツ振興事業団が全校一括で随意契約で委託されてきたが、河村市長から、「トワイライトスクールが教員の天下り組織になっている。」という指摘があり、市の外郭団体との随意契約見直しの動きのなかで、トワイライトの運営主体をプロポーザル方式(企画提案型の選定方法)で公募することになった。

2月22日、名古屋市より、トワイライトスクール運営主体の選定結果について、以下の通り報告があった。

■ 運営主体の応募状況
複数の事業者から応募があったトワイライトスクール 125校
1団体のみからの応募であったトワイライトスクール 121校
の計246校

■ 応募団体、応募の校数
株式会社ケイ・アカデミー 4校
財団法人名古屋市教育スポーツ振興事業団 246校
特定非営利活動法人こどもNPO 1校
特定非営利活動法人教育支援協会東海 16校
一般社団法人地域社会活性化推進協議会 114校
特定非営利活動法人介護サービスさくら 1校
特定非営利活動法人子育て支援のNPOまめっこ 1校

■ 選定経過
平成22年1月25日(月)第1回選定委員会
 応募団体プレゼンテーション及びヒアリング審査
平成22年2月13日(土)第2回選定委員会
 審査(運営主体候補の選定)
※ 複数の事業者から応募のあったトワイライトスクールの選定については、地域団体の代表者等で構成する学区部会の意見を反映

■ 選定委員会の委員(7人、うち外部委員4人)
愛知淑徳大学教授
公認会計士
名古屋市立小中学校PTA協議会副会長
名古屋市立小中学校PTA協議会常任理事
名古屋市立小学校長
名古屋市子ども青少年局担当部長
名古屋市教育委員会担当部長

■ 選定結果
246校すべて(財)教育スポーツ振興事業団が選定された。民間事業者はすべて落選。

■ 選定委員会の意見
(財)教育スポーツ振興事業団は、地域と一体となった取り組みが詳細に計画されているほか、安全管理体制や環境への配慮の方策など含め、全般的にきめ細かく、まとまりのある提案がなされており、地域の信頼を得て、保護者にとっても安心のできる安定した取り組みが期待できる。付言すれば、今後のあらたな事業展開やビジョンの提示という観点で、さらに充実した提案が望まれる。

<考察>
放課後の子ども達の活動場所を提供するトワイライトスクール(放課後学級)が、そもそも公募が適切だったのかどうかという議論が必要だ。スポーツセンターや文化小劇場などの施設の管理は、民間でも十分可能だろうし、むしろ、効率的な運営が期待される。

一方、小学校内で実施されるトワイライトスクールは、株式会社の参入などにより、学校内に保護者や子どもの知らないアルバイトなどが入ることになり、保護者の方々にしてみればやや不安があったのだろう。池田小学校の事件以降、多くの小学校の正門が施錠されている中で、株式会社等がハローワーク等で雇用した方を校内に派遣することに、抵抗があった感は否めない。誤解があってはいけないので確認するが、派遣の方がいけないのではなく、知らない人に対する保護者や子どもの不安があるのではないか。

トワイライトスクールは、従来、専門員と呼ばれる教員OBが中心となって、地域の方々や保護者の方々により運営されてきた。これが「特定の団体に運営させてけしからん」という河村市長の発想で公募が行なわれたが、保護者にしてみれば、一番の願いはまぎれもなく「子どもの安全」であることは間違いない。

今回の河村市長の“失敗”は、保護者の「安心感」を軽視した点だ。効率化等で判断した河村市長に対し、地域の保護者を中心とした学区部会125校すべて、河村市長に「NO」を突きつけた形となった。

今後は、河村市長は独善的に事業を進めるのではなく、保護者も交え「安心感」のあり方を再検証していかないと、何回公募しても民間ゼロという結果になりかねない。せっかく応募した民間の方々に申し訳ない。




minami758 at 02:00│Comments(12)TrackBack(0)この記事をクリップ!

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この記事へのコメント

1. Posted by AM   2010年02月24日 11:15
現場でスタッフ(AP)をやっているものです。お邪魔いたします。

専門員は、長く教育現場に携われていた先生方、
ほぼ毎日の「講座」では、地域のお年寄りも児童たちに教え、ふれあい、親しむ…
安心とともに、高齢者と子どもたちのかかわりも、トワイライトスクールの大きな役割、価値であると、私自身は思っています。
今回のこの結果、横井さんの書かれた通りだと思います。
「子どもたちに不幸、残念な結果」との市長の発言報道がありましたが、市長は現場、利用者の声をどれくらい受け止められていたのでしょうか…
2. Posted by 南区PTA(母)   2010年02月24日 22:31
子どもをトワイライトに預けている親として、一番気になるのは「安心」「安全」であるというのは、横井先生のおっしゃる通りです。今のトワイライトに不満がないといえばウソになりますが、けっして子ども達の生命や健康に不安感があるわけでもありません。
河村市長は、あまり教育には関心がなく、ただ、マスコミへの受けをねらって、民間開放をおっしゃったのだと思いますが、私達親からすれば、子どもの安全を軽く見ているようで残念です。
横井先生から河村市長に、親の思いを伝えてください。
3. Posted by 昭和区 母   2010年02月24日 22:53
河村市長は昨年の議会で、子供の引きこもり対策に関し、地域委員会が介入するというような意味で「地域にカミナリ親父がおらないかん」と、現状を「わかってない」発言をしていました。そのとき、「ああ、この人は教育に関心も知識もない」と感じました。陽子線のときもそうでした。
関心のないことも勉強してください。市長なのですから。

ところで横井さん。
議会をよく傍聴する私の友人の父親が、市長の議会のマナーの悪さに我慢ができないとかで、市長みずからが野次を飛ばしたり、議員の発言を妨害したりすることに対して抗議がしたい、ついては議会に「市長の野次をやめさせ、議会の品位を回復しろ」と請願書を出すといっています。
こういうことで請願というものは通るものでしょうか。
「教えていただければ幸いです」と友人が申しております。
よろしくお願いします。
4. Posted by 横井利明   2010年02月25日 00:07
5 請願とは、国民に認められた憲法上(第16条)の権利の一つで、国または地方公共団体の機関に対して意見や希望を述べることを言い、その手続等は請願法によります。また、地方議会に対する請願は、地方自治法及び各議会の会議規則に規定がされており、提出には紹介議員を必要とします。なお、紹介議員が見つからない場合は、陳情として提出することになります。
請願の内容は、住民の代表機関である議会に、請願を通じて住民意思を反映させることが目的となっており、対象となる事項は、名古屋市の事務に関するすべての事項となります。
したがって、「市長の品位の保持を求める請願」は、可能だと考えます。まあ、過去には例がないと思いますが...それにしても、おもしろいことを考えるものですね。感心しました。

トワイライトスクールに関し、ご意見をいただきありがとうございます。多くの賛同のお声は、トワイライトの現場でがんばっている方々への励ましでもあると思います。
5. Posted by 横井利明   2010年02月25日 12:02
5 昭和区母さん、本日議員総会の際、「市長の品位の保持を求める請願」に署名していいか確認したところ、全議員から「おれたちも署名する。」と、全会一致で賛同をいただきました。いつでも署名させていただきますので、請願書をいただければと思います。
なお、請願に細かい書式等はありませんが、請願者の住所、請願者の署名、請願の趣旨が記載されなくてはなりません。もし、ご不明の点があれば、お手伝いしますので、
t-yokoi@nifty.com
まで、お問い合わせください。
6. Posted by 児玉克哉   2010年02月26日 07:11
私もこの件は勉強させていただいていますが、あまりにひどい審査経過があったことは事実のようです。その状況からの歪曲された情報が横井先生のところにも入っているのでしょう。こうした癒着構造がまかりとおるところに名古屋市の大きな問題があります。河村改革は確かに強引な部分もあり、問題はあります。しかし、現在の名古屋市の状況にも大きな問題があり、それはそれでしっかりと改善される必要があります。ただ現状は、これまでのぬるま湯的な中にどっぷりとつかった体質は利権の保持に走る傾向があるようです。本当にどうしたらいいのか。考えさせられます。とりあえず、河村市長のパワーで、ぶっ壊すものはぶっ壊さなければ話が進まないのか、自ら改善するシステムができるのか。私はなんとか、いい形で改善できるシステムづくりが作れればと思い、協力させていただいています。しかし、今回のような不正に近いような審査が行われると。。。。なんとかならないものかと本当に思っています。
7. Posted by 横井利明   2010年02月26日 23:59
5 私は、平成5年以降、本会議で再三にわたり「学校開放」をせまり、名古屋市のトワイライトスクールの原型を自らかかわって作ってきた者として、トワイライトが全く問題をかかえていないとは思っていません。特に、事業が開始された頃、関係者の理解をいただくため、やや強引な集約があったことは否定できません。
しかし、現場では、地域の方々のボランティアにより、本当に献身的に子ども達のための活動がおこなわれています。専門員の給与がやや高いというご指摘はあるかもしれませんが、専門性、経験から見たときに、総合的な判断が必要だと思います。
ただ、教育スポーツ振興事業団の問題と、トワイライトスクールの問題、入札の問題をどんぶり勘定で判断することは適切ではないと思います。ましてや今回の審査の過程で圧倒的な差となったのは、各小学校ごとに開催された保護者の判断であったことも事実であり、民間事業者が「安心・安全」への配慮やアピールがやや足りなかったことも遠因であると思います。
私も現在、検証作業をおこなっており、結果が出次第報告させていただきます。
8. Posted by 児玉克哉   2010年02月27日 09:03
横井先生
有難うございます。ただ、審査員構成、そして審査のやり方にはあまりにひどい状況があったといわれます。その状況でいうなら、むしろ評価点差は非常に小さかったと思われます。こうした方法がこれからも行われるなら、おそらく何度やっても外郭団体が受注するしかない、ということになるのでしょう。この問題は、単に今回のトワイライトスクールの公募の問題という特化された件に限定されるものではありません。名古屋市の外郭団体問題、名古屋市の体質などと絡んだ問題です。極めてずさんな今回の審査方法は、パンドラの箱を開けつつあると思います。この問題は相当に大きく、根の深い問題と絡み、事態は思っているよりも大きくなると思います。
9. Posted by 児玉克哉   2010年02月27日 09:05
 先生はトワイライトスクールの発想とシステムを作られたとのこと。私はトワイライトスクール自体には大いに賛成で、名古屋が誇るべきものと思っています。しかし運営には大きな問題があります。
 国も、外郭団体は天下り先になり、その批判は30年もの間、延々と続けられましたが、未だに、このシステムはしぶとく残っています。おそらく、利権の絡んだシステムは名古屋市でも大きな抵抗のもとに保守を続けるでしょう。でもここにメスを入れない限りは、日本や名古屋の作った巨額の債務は解消されるようには思えません。
 ある意味、今回のトワイライトスクールの審査の方法などに関わる一連の問題は、このことを明確にしてくれたと思います。私も何ができるのか。考えています。かなり憤りも感じています。
10. Posted by 天白の主婦   2010年03月01日 18:05
児玉さんの意見に私も同じことを感じました。今回の外郭団体に年約18億円の契約額とありましたがこの外郭団体事業団の理事長のメンバーはご存知ですか、こんなに貰う事業団がトワイライトをと言うことでネットで調べたところ驚きました。どうしてこの方たちか理事なんだろう?とやはり児玉さんが言われるように利権が絡んでないですかとこの中の理事の方たちは開発許可がでてしまった里山の関係者ですよね。
 正しく税金が使われているのならいいのですが、実際かかわってくださっているお年寄りやほとんどボランティアのようなかたちでてつだっている方のお話も聞いてます。そういった方たちに報酬はされていれば良いのですが!疑問を感じるトワイライトの運営です。また天下り先として使われるのではなく教師を目差す若者を採用したり新たな雇用を生むことで子供たちにもよく、若者たちの為にもなることも考えていただけたらと思います。

11. Posted by 天白の主婦   2010年03月01日 18:18
10で述べた里山の関係者と言う文が誤解されるといけないので訂正します。理事のメンバーの方は開発される方です。この件に関係されている市の関係者の方です。正しくご判断いただける横井さん、どうかできることなら正していただきたくお願いいたします。
12. Posted by 横井利明   2010年03月02日 07:20
5 児玉先生、天白の主婦さん、ご意見ありがとうございます。
さて、トワイライトスクール問題を調査していたところ、はやくも重大な問題が出てきました。場合によっては本会議でとりあげることになります。引き続き、調査を行います。

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