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最終更新:2010年7月16日(金) 20時17分

中3自宅放火から1週間、「居場所なかった」

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 兵庫県宝塚市で中学3年生の少女が自宅に放火して、母親が死亡、妹ら2人が重体となった衝撃的な事件から1週間が経ちました。少女を凶行に駆り立てた背景がおぼろげながら明らかになってきました。少女は「居場所がなかった」と話しています。

 「お互いの家に火をつけよう」。中学3年の少女2人が交わした約束が実行されたのは今月9日、午前3時前のことでした。

 警察によりますと、少女らは自宅にあった着火剤を階段に塗り、毛布に火をつけたといいます。逃げ道を失い、母親は死亡。その内縁の夫と妹は大やけどを負いました。

 15歳の少女はブラジル国籍でした。4歳で母親とともに来日し、5年ほど前から同じくブラジル国籍で血のつながらない「父親」らとともに宝塚で暮らしていました。日本語ができない母親と日本での生活が長くなった少女。いつしか、そこには溝が生まれていました。

 「お母さんがあまりにも日本語が話せないんで、『お母さんがブラジルの言葉しか話せなかったから、大変ね』と言ったら、(少女が)『そうなのよ』と言っていた」(知人)

 2年ほど前から少女は、家でのトラブルを学校に伝えていました。

 「妹ばかりを可愛がり、私の言うことを聞いてくれない。父親に叩かれた」(中学3年の少女)

 「お父さんとお母さんと本人との関係がよくなかった。『家に帰りたくない』という状況だった」(中学校校長)

 学校側は母親らと話し合いの場を設けましたが、体罰はブラジル流の「しつけ」だと一蹴されたといいます。さらに学校でも、少女は孤立を深めていました。

 「バリ、いじめられとった。ブラジルがどうとかで・・・」(同級生)
 「(教室を)抜け出すというか、最初からいなくて、職員室にいたりとか、そういうことがよくありました」(同級生)

 ブラジル生まれという生い立ちのせいか、クラスに馴染めず教室から足が遠のくようになったといいます。そうした中、ただ1人打ち解けていたのが、事件で一緒に逮捕された同級生の少女(14)。彼女もまた義理の父親から暴力を振るわれていたと話しています。

 2人は、数週間前から互いの家に放火する計画を立て始めたとみられています。放火前日には犯行をほのめかす発言をしていました。

 「あした、火をつけるとか、そんなん聞いてたりしたんですよ。僕は冗談だと思って・・・」(同級生)

 少女は犯行直後、「自宅に火をつけました」と、自ら通報し、身柄を確保されたときは、泣きじゃくっていたといいます。今は淡々と調べに応じているという少女。火の手を逃れたのは、彼女が可愛がっていた「ミキ」という名の犬だけでした。(16日18:06)

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