父親から虐待された女児の保護をめぐり、兵庫県三木市立小学校の校長(当時)や市議が、保護にあたった養護教諭のことを父親に漏らしたため嫌がらせを受け休職を余儀なくされたとして、養護教諭の家族が三木市と市議を相手取り、慰謝料など200万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。三木市が15日、発表した。養護教諭は今年5月に自殺した。
訴状によると、養護教諭は2007年6月ごろ、保健室に来た女児が父親の虐待を受けていることを知り、教頭に報告。同7月、県立中央こども家庭センターが女児を一時保護した。
保護の2日後、市議が校長に電話をして保護の経緯を尋ね、養護教諭がかかわっていることを聞き、そばにいた父親に伝えたという。父親は祖母とともに複数回学校に来て、大声を上げながら保健室に入るなどしたため、養護教諭は同11月から精神的苦痛などにより休職を余儀なくされたという。
訴状では、市議が「立場を利用して情報を問い合わせた」などと指摘。元校長に対しては、市議に情報を漏らしたうえ父親が学校に来ても警察に通報するなどの措置を取らなかったと主張。元校長を任用していた市に安全配慮義務があったとした。
藪本吉秀市長は「事件が起きてから安全配慮義務に十分対応してきた。訴状の内容を精査し、対応を考えていきたい」との談話を出した。