東京・築地市場(中央区)の移転予定地となっている江東区豊洲の土壌汚染問題対策として、東京都が6月まで実施していた汚染除去実験で20日、環境基準の4万3000倍のベンゼンが検出された区画で実験した際の土壌の汚染濃度は、基準の2・7倍に過ぎなかったことが分かった。都は3月の中間報告では実験前の汚染濃度を示さないまま「確実に汚染物質を無害化できると実証された」とアピールしていた。
同様に、ヒ素についても、実験対象の土壌の汚染濃度が元々基準値以下だったケースがあることも判明した。都は実験前のデータの公表を先送りし続けてきた。実験前の汚染濃度が極端に低いことから、実験の有効性が疑問視されかねない。
都は、豊洲の土壌汚染物質を除去できることを証明するため、今年1月から、高濃度の汚染物質が検出された16カ所で実験を開始。ベンゼン、重金属などを微生物処理などで除去するとしていた。3月の中間報告では、洗浄処理と加熱処理で、シアン化合物や重金属、ベンゼンを「環境基準値以下にできた」と公表した。【真野森作】
毎日新聞 2010年7月20日 東京夕刊