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◆なぜ児童ポルノだけ、ブロッキングが必要?
なるほドリ インターネットのブロッキングって、どういうものなの?
記者 インターネット利用者が特定のサイトを閲覧しようとする際に、プロバイダー(接続事業者)が強制的にアクセスを遮断し、画像の閲覧をできないようにする措置です。フィルタリングと違い利用者の同意を条件としません。ネット上に悪質な児童ポルノ画像が流通するのを防ぐための手段として、年度内にも導入される見通しです。
Q 違法サイトはいろいろあるけど、なぜ児童ポルノだけにブロッキングが必要なの?
A 児童への性的虐待・暴行を伴う画像が問題なのです。ひとたび画像がネット上に流通すると、不特定多数の人にコピーされて拡散する恐れがあります。こうなると、画像の回収は極めて困難になります。被害児童は自分の画像が永久に残るという恐怖に苦しみ続けなければなりません。児童ポルノにブロッキングが必要なのは、こうした特別な事情があるからです。
Q 被害が深刻なんだね。画像の削除では対処できないの?
A 削除には一定の時間がかかります。ネット上の違法情報の通報を受け付ける「インターネット・ホットラインセンター」によると、センターが通報を受けてから、サイト管理者や掲示板管理人に削除要請するまでに、少なくとも1週間は必要です。受理した情報の分析や警察との連絡、要請書類の作成などの手続きがあるからです。
Q 削除要請によって、問題の画像はすぐに消えるの?
A 必ずしもそうはいきません。センターは09年、児童ポルノに関して1891件の削除要請を行いました。このうち164件は未削除です。削除された1727件でも、要請から削除まで10日以上かかったケースが488件もありました。サイト管理者や掲示板管理人が要請に応じない場合、削除の要請先はレンタルサーバー管理者や回線提供事業者にシフトします。ただ現行の仕組みでは、これらが海外にある場合は削除要請ができません。それが障害になっている実態もあります。
Q 警察が捜査するケースではどうなの?
A 画像削除が捜査の支障になるため、通常は検挙まで削除されません。検挙までには数カ月かかるのが通例です。ブロッキングの狙いは、削除要請や捜査の実情を踏まえ、一刻も早く被害拡散を食い止めることにあります。(社会部)
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0~ 3日 677件(35.8%)
4~ 9日 562件(29.7%)
10~19日 438件(23.2%)
20日以上 50件( 2.6%)
未削除 164件( 8.7%)
※インターネット・ホットラインセンターの09年調査
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毎日新聞 2010年5月28日 東京朝刊