大韓航空機爆破事件の実行犯で、「拉致被害者の横田めぐみさんと北朝鮮で会っていた」と証言しているキム・ヒョンヒ元死刑囚が、20日来日します。キム元死刑囚が海外に出るのは爆破事件以降初めてで、拉致被害者の家族にどのような話が伝えられるのか注目されます。
大韓航空機爆破事件の実行犯で、北朝鮮で一時、拉致被害者の田口八重子さんから日本語を教わっていたキム・ヒョンヒ元死刑囚は去年、日本政府に対して横田めぐみさんとも会っていたことを明らかにしています。キム元死刑囚は「知っている情報をめぐみさんの両親に直接伝えたい」という意向を示しており、日韓両政府が調整を進めた結果、20日に来日することになりました。キム元死刑囚が韓国から海外に出るのは、爆破事件で逮捕されて以降初めてです。キム元死刑囚は、政府のチャーター機で日本を訪れ、23日までの4日間滞在し、横田めぐみさんや田口八重子さんの家族らと面会することになっています。面会でキム元死刑囚は、めぐみさんの当時の状況についてさらに詳しく証言する可能性があるほか、去年、NHKが行ったインタビューで「北朝鮮で八重子さんとめぐみさん以外の日本人拉致被害者のことも聞いていた」と証言していることから、どのような話が伝えられるか注目されます。ただし政府は、警備上の問題があるとして滞在日程を非公開とする方針で、記者会見なども行われない見通しです。キム・ヒョンヒ元死刑囚の入国にあたっては、2つの課題がありました。1つは、北朝鮮の工作員だったキム元死刑囚が、1987年に起きた大韓航空機爆破事件の実行犯として韓国当局に逮捕されたあと、裁判で死刑判決を受けていることです。出入国管理法では、1年以上の懲役もしくは禁固刑が確定した外国人の日本への上陸を認めていないため、入国にあたっては特例措置をとる必要がありました。この点について政府は「キム元死刑囚の来日が、拉致問題の進展につながる可能性がある」として法務大臣の裁量で入国を特別に許可することを決めました。また、キム元死刑囚は爆破事件の際、「蜂谷真由美」という日本人名義の偽造旅券を使っていた疑いが持たれているため、通常であれば入国にあたって日本の警察当局による事情聴取の対象となります。これについて警察当局は、面会を実現させたい政府の意向を優先し、事情聴取は見送る方針です。