水俣病訴訟 国と熊本県控訴へ
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水俣病訴訟 国と熊本県控訴へ

7月20日 12時42分

裁判で水俣病と判断されたのに、行政が患者として認めないのは不当だと女性が訴えた裁判で、大阪地方裁判所が「国の認定基準は医学的な正当性を裏付ける証拠がない」として女性を水俣病と認める判決を言い渡したことについて、国と熊本県は控訴する方針を決めました。

この裁判は、水俣病の被害を訴えて平成16年に最高裁判所で勝訴した大阪・豊中市の女性が、その後も水俣病と認めない行政の判断が覆らなかったため、「裁判所が国の認定基準より幅広く救済したのに、基準を変えないのは不当だ」として、国と熊本県に水俣病の認定などを求めていたものです。今月16日、大阪地方裁判所は「医学的な正当性を裏付ける的確な証拠はない」と指摘して国の認定基準を明確に否定したうえで、女性を患者として認定するよう命じました。これについて国と熊本県は20日会見し、控訴する方針を明らかにしました。環境省の南川秀樹官房長は「平成9年の高等裁判所の判決では認定基準は妥当だとされており、最高裁判決も見直すべきだとは示していない。こうした判決と今回の判決は異なっていて、上級の裁判所の判断を仰ぐ必要がある」と話しています。また、南川官房長は「認定基準は医学的な知見に基づく正当なものと考えている」と述べ、今後の裁判で基準の正当性を説明していく考えを示しました。国と県は今週中にも控訴することにしています。国と熊本県が控訴の方針を決めたことについて、原告弁護団の小野田学弁護士は「司法が水俣病の認定基準を明確に否定し、根本的な転換を迫っているにもかかわらず、十分な検討もなく控訴するのは非常に官僚的な対応だ。不当な控訴であり、今後も国の認定基準を改めるよう求めていく」と話しています。