窃盗事件をめぐる裁判で、金沢地方検察庁は、有力な証拠としていた防犯カメラの映像が鑑定の結果、起訴した男性とは別人とわかったとして、20日の論告求刑で異例の無罪を求めました。
この事件は、去年8月、石川県白山市のコンビニエンスストアで、他人のキャッシュカードが不正に使われ、ATM=現金自動預払機からあわせて100万円が引き出されたもので、金沢市の62歳の男性が窃盗の罪で起訴されました。男性は「コンビニには行っていない」と裁判で無実を訴え、弁護側の求めで、検察が有力な証拠としていたコンビニの防犯カメラに写った男の映像を鑑定した結果、耳の形などから男性とは別人という結果が出ました。20日、金沢地方裁判所で論告求刑が行われ、検察は「映像の鑑定結果などから無罪が言い渡されるべき」として、異例の無罪を求めました。そのうえで、検察官が「166日間も、こう留したことを申し訳なく思っています」と述べて男性に謝罪しました。これに対し、男性の弁護士は「捜査段階で映像の鑑定をしていれば起訴する必要はなかった」と捜査を批判しました。裁判は、9月1日に無罪の判決が言い渡される見通しです。金沢地検と石川県警察本部は「このようなことが二度と起きないよう基本に忠実な捜査を徹底していきたい」と話しています。