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【格闘技】

真壁 “エリート”中邑返り討ち

2010年7月20日 紙面から

◇新日本プロレス IWGPヘビー級選手権

 ▽19日▽札幌・北翔クロテック月寒ドーム▽観衆5000人

 ヒールの王者が前王者のリターンマッチを退け、長期政権の気配を漂わせ始めた。5月にIWGP王座を獲得した真壁刀義(37)が、ベルト奪還を目指した中邑真輔(30)を起死回生のドラゴンスープレックス・ホールドで葬り、2度目の防衛に成功した。これでライバル中邑との大一番は通算3勝1敗と水をあけた。試合後、8月の最強決定リーグ戦・G1クライマックスで昨年に続く連覇を宣言した。

 誰も予期せぬ真壁のドラゴンスープレックスだった。試合序盤に中邑のひざ攻撃で左脇腹を痛め、さらに追い打ちをかけるコブラツイストで患部を痛めつけられた。涼しいはずの札幌の会場で大きな粒の脂汗を流し、悲鳴を上げ、肩で息をする。タフネスぶりが売り物のキングコングには珍しい展開だ。

 ところが、ここからが雑草魂の真骨頂だった。1発打つごとにスタミナをロスするはずのラリアットを何発も打ち込んだ。フィニッシュは十八番のニードロップではなく、自分のあばらに響くはずのドラゴンスープレックス。不意をつかれ、受け身を取り損ねた中邑を粉砕した。

 「ドラゴンスープレックスやるなんて、無謀だよな。でもおれは、体が痛いからって、何もやめねえんだよ。そうしねえと、地獄からはい上がってこれねえんだよ」。真壁は報道陣に毒づきながら、フィニッシュホールドの真意を語った。

 プロ入りと同時に団体の英才教育を受け、下積みを経験しないままトップ選手になった中邑と、地味なファイトスタイルが認められず、一時は戦力外通告を受けながら、13年目にしてようやくIWGPヘビー級王座を取った真壁。相反する者同士のライバル対決は、これで真壁の3勝1敗になった。「会社のレールに乗ってるやつと違って、おれはレールを造る材料から自分で準備した」。ファンの人気も絶大で、声援の大きさも中邑を圧倒。観客は、リストラされてもはい上がった真壁を、あこがれを抱いて見ている。

 次の目標はG1クライマックス。現役王者のまま2連覇を果たせば、史上初の快挙だ。「他団体(ノア)からも(参加選手が)来るんだろ。強さをとことん見せてやる」。今の勢いなら、ただの大言壮語には聞こえない。 (大西洋和)

 

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