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【日本の議論】子供のため?教師のため? 全国の小中学校に「35人学級」 (2/5ページ)
放課後には、保護者からの電話もある。
保護者「うちの子がまだ帰ってこないのですが、何かあったんですか」
教師「きょうは授業後に、残って勉強させたんです」
保護者「なんで急に、勝手に残すんですか」
こんな会話は珍しくない。「連絡帳に書いてもらった先生からの返事が短い。誠意が見られない」。こんな苦情にも、じっと耳を傾ける。
子供たちと向き合う時間がとれない
「40人学級では、大変厳しいのが現実といわざるをえない」
東京都江東区立明治小学校の神山安弘校長は、こう話す。
同校は1〜6年まで、すべて40人弱の学級編成。音楽などの科目や算数の少人数授業を担当する教員や校長・副校長以外は、全教員が学級担任をしているが、毎日が精いっぱいだという。
来年度からの新学習指導要領を先取りして、授業量は増えている上、保護者の応対など、ただでさえ教員がやることは多い。それに加え、低学年では、トイレを1人でできないなど、日常生活の基本も面倒を見てやらなければならない子供もいる。学校が都市部にあるため、「不審者がいる」「学校にカメラを向けている男がいる」などの情報があれば、飛んでいく。
「このままでは、子供と向き合う時間がとれなくなるという不安に、常に悩まされている」
神山校長はこう訴える。
60人学級も存在した昭和の高度成長期に比べれば、いまの40人学級は恵まれているという見方もあるが、昔とは教育現場は大きく変わっている。子供一人一人の学習状況に応じた授業が求められ、体罰はもちろん、「廊下に立っていろ」と叱(しか)りつけることもできない。保護者の関心の高さも昔とは比べものにならない。神山校長は「時代が変わっている」と強調する。
40人“詰め込み”に悲鳴 教育界は少人数化の流れに
義務教育標準法では小中学校の1学級の児童・生徒数は原則40人と定められている。これはあくまで原則で、1学級で40人を超える場合は学級を分けるし、都道府県が独自の判断で教員を増やすことも可能なため、すでに少人数で授業を行っている学校も少なくない。しかし、都市部では児童・生徒が多く、40人ぎりぎりまで“詰め込む”ケースが多い。
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