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【日本の議論】子供のため?教師のため? 全国の小中学校に「35人学級」 (1/5ページ)
全国の小中学校のすべての学級を35人以下にする少人数学級実現のため、文部科学省が法改正などの準備を進めている。都市部など子供が多い学校でも、1クラスの人数を少なくして、教師のきめ細かい指導を可能にしようという試みだ。しかし、そのためには大幅な教員増や教室増設が不可欠で、財政難の時代に巨額の公費を投じることに批判も強い。「教師が楽をしようといるだけなのでは…」と勘ぐる声も。子供たちの学力低下など学校現場には問題が山積している。少人数学級は教育の再生につながるのか。(菅原慎太郎)
教室を飛び出す子供、保護者からの電話…
東京都内の公立小学校、3年生の教室。授業中に突然、児童が立ち上がり、教室を飛び出した。学級担任の女性教師は慌てた。
「連れ戻しに行くから、みんなちょっと自習していてね」。ほかの児童にこう言うと、自分も慌てて教室を飛び出していく。必死で探すと、図書室の隅のカーテンにくるまっている児童を見つけた。児童のお気に入りの場所らしい。教師はほっと胸をなで下ろし、一緒に教室へ連れ帰る。しかし、安心したのもつかの間、教師の胸には新たな不安がよぎった。
「ほかの子供たちはきちんと自習をしているだろうか…」
女性教師のクラスは児童37人。おとなしい子供もいれば、活発な子供もいる。突然、教室を出て行った子供のように、じっと座っていられない子供もいる。朝8時過ぎに児童が登校を始めてから、夕方3時過ぎに下校するまで、目が離せない。
ほかの学級の担任教師も同じだ。授業中はもちろん、給食時間も児童と一緒。休憩時間には、子供たちの保護者との「連絡帳」に目を通し、保護者の質問や不安の声に答えを書きつづる。暇を見つけて、子供たちと話をする。
「あの子とケンカしたんだよ」「きのう、お父さんに怒られたんだ」。子供一人一人の声に耳を傾け、心理を理解したいが、時間がなかなかとれない。
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