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退職教員、年1.2万人 成果主義・精神的負担など背景

2010年7月20日

 公立の小中高校と特別支援学校で中途退職する教員が全国で毎年1万2千人を超え、この5年間では6万7千人に及ぶことが、全都道府県・指定市の教育委員会への朝日新聞の調査でわかった。こうした数字は文部科学省も把握しておらず、実数が明らかになったのは初めて。

 退職理由など詳しい状況は不明だが、久冨善之・一橋大名誉教授(教育社会学)は「子どもや保護者らとの関係に悩み、事務作業なども増える中で『やめたい』という気持ちに傾く教師が増えているのではないか。成果主義による教員評価の導入なども背景にある」とみている。

 2005〜09年度の状況を調査。愛知、徳島両県と浜松市は「データが残っていない」などとして05、06年度分については回答がなかった。

 調査結果によると、中途退職者の総計は05年度1万2542人、06年度1万3865人、07年度1万4484人、08年度1万3445人、09年度1万2732人。全教員に占める09年度の退職率は1.51%だった。

 地域別では関西や首都圏の退職率が高く、09年度に最も高かったのは堺市(3.14%)。大阪市(2.62%)、京都市(2.78%)、千葉市(2.27%)、東京都(2.12%)なども高い。一番低いのは秋田県の0.53%で、人口が少ない地域は退職率も低い傾向があった。

 他業種のデータが乏しいため比較が難しいが、文科省が06〜08年に外部委託した調査では、公立小中学校の教員で「仕事に意義・やりがいを感じる」と答えた人が9割を占める一方、「勤務時間以外でする仕事が多い」という回答も9割を数え、いずれも一般企業の2倍に及んだ。「気持ちが沈んで憂うつ」という教員は27.5%で一般企業の約3倍に上り、精神面の負担が大きいことがうかがえる。

 調査では、在職中に死亡した教員の人数も質問。05年度612人、06年度594人、07年度642人、08年度602人、09年度650人で、計3100人がこの5年で亡くなっていた。

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