2010年7月17日
従来の全員参加から今年度初めて3割を取り出す抽出型に変わった小6、中3対象の全国学力調査をめぐり、文部科学省が今後のあり方を47都道府県の教育委員会にアンケートしたところ、7割にあたる33教委が「もとの全員参加型がよい」と回答していたことが、16日わかった。
調査結果によると、全員調査を望んでいる教委は、北海道、宮城、埼玉、千葉、東京、大阪、兵庫、広島、福岡など。特に西日本で多く、中国、四国、九州・沖縄で全員調査を望まないのは1県だけだった。一方、今春の実施方式と同じく、抽出調査とともに対象外でも希望校に問題を配る「抽出+希望利用型」を望む教委は11、「抽出調査だけでいい」が2、無回答が1だった。
2007年に始まった全国学力調査をめぐっては「地域間の点数競争の場になっている」との批判が上がった。民主党政権になり、「学力傾向の把握なら抽出調査で十分」とやり方を変えた経緯があるが、学力向上を求める保護者の声は依然強い。
今回の調査で全員調査を望んだ大阪府教委は「各自治体が取り組んできた学力向上策の効果を検証するため、今まで通り細かなデータがほしい」。北海道教委も「全国平均より厳しい結果が出たことで、学力向上策を見直すきっかけになった。全国との差が徐々に縮まってきたところだ」と全員調査の意義を強調する。文科省の担当者は「今後の実施方式は、今回の結果を含めた様々な意見を総合的に考慮して決める」としている。