【宮古・八重山】防衛省が宮古島や石垣島に陸上自衛隊の国境警備部隊、与那国島には陸自の沿岸監視部隊をそれぞれ段階的に配備していく計画を検討していることが明らかになったことに対し、3島の関係者の間に波紋が広がった。関係者からは「近隣の中国や台湾に緊張関係を生み、逆に紛争を引き起こす要因となる」と配備計画に強く反対する声が上がる一方で、「先島の国防体制の構築に向けて必要」と容認する声もあった。
先島圏域への自衛隊配備や下地島空港の軍事利用反対を訴える、みやこ九条の会の星野勉代表世話人は「部隊配備は近隣諸国との緊張関係をもたらし、住民の生活を不安におとしめる。紛争を引き起こすきっかけになっても、平和を構築することには絶対にならない」と強く批判した。
一方、これまで陸自の宮古島への配備を主張してきた宮古島商工会議所の中尾英筰会頭は、個人的見解と前置きした上で「自衛隊による急患輸送ヘリでの人命救助や不発弾処理の迅速化に加え、北朝鮮や中国の動向もある。先島での国防体制構築に向け配備は必要ではないか」と述べた。
下地敏彦宮古島市長は「非公式でもこちらに話はないのでコメントできない」とした。
「平和憲法を守る八重山連絡協議会」の仲山忠亨会長は「歴史的に中国が日本を攻めてきたことはないが、日本はたびたび侵略した。本来ならそれをわびて、友好関係を保持していくのが政府としての外交のあり方ではないか。石垣市民は平和な『日本最南端の自然文化都市』を目指して都市づくりに励んでいるのに、自衛隊が配備されれば逆方向へ向かってしまう」と懸念を示した。
石垣市の中山義隆市長は「先島防衛については、国の専権事項としてしっかりやってほしいが、現時点では賛成でも反対でもない。正式な要請があった時点で考えたい」と述べた。
与那国花蓮県交流発展協会の田里千代基専務理事は、与那国島への陸自配備で中国や台湾の緊張感が高まることに懸念を示し「海の安全を監視するのであれば、海上保安庁の基地を持ってくればよい。民間交流ができれば『脅威』は発生しない。民間の交流における安全保障体制づくりを進めたい」と話した。