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2010-07-08

Climategate、IPCC-Gate後の世界

22:59 | Climategate、IPCC-Gate後の世界 - nytolaの日記 を含むブックマーク Climategate、IPCC-Gate後の世界 - nytolaの日記 のブックマークコメント

−− 気候変動に関する国際会議 −−

今年の5月、シカゴで『第4回気候変動に関する国際会議(ICCC)』が開かれました[1]。国連IPCC気候変動に関する政府間パネル)と名前こそ似ていますが、ICCCは人為的CO2温暖化説に否定的な研究者(懐疑派)が中心となっている国際会議で、アルファベット一文字違いながら中身は随分と異なります。

ICCCは700名を超える出席者で盛況だったようですが、日本のメディアは取り上げないでしょうから、気候変動の原因と温暖化詐欺のトピックに焦点を絞って紹介します。ICCCの講演はオンラインで録画を見ることができますし[2]、論文として発表されている物も多く、一般向けに分かり易く解説したBlogも幾つかあるようです(ほとんどが英語ですが)。

まず最初に現在の地球の気候変動の状況を確認しておきますと、地球の平均気温は'98年を境に寒冷化傾向を示していることが複数の観測で報告されています(Fig.1)。今年に入ってからはエルニーニョ(南方振動)の影響で気温が上がっているものの一時的な現象であり、今月はエルニーニョが収まる兆しも出ていますし、今後も寒冷化が続く可能性が高いと言われています。

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Fig.1: 世界気温の観測結果(ピンク:Hadey CRUT 青:MSU)とCO2濃度(左図)。観測された気温と、IPCCによる予想(右図)。

Climategate事件[3]で炎上したイーストアングリア大学・気象ユニット(CRU)のPhil Jones所長自身が、

「過去15年間で有意な地球温暖化は起きていない」

と認めていますが[4]、21世紀に入って地球が温暖化していないことはCO2温暖化説を支持する研究者(脅威派)に大きな衝撃を与えており、この事実だけでCO2温暖化説は揺らいでしまいます。脅威派の大御所たちですら、

大気中の水蒸気濃度の減少がCO2による温暖化を相殺している[5]」

となんとも苦しい言い訳を始めたり、

「ガンガンCO2を排出しているはずなのに、CO2濃度はあまり上がっていない[6]」

と、大気中CO2濃度が気候変動の結果であって原因でないこと[7]を暗に認めるような論文も出てきました。

それはともかく国際会議に話を戻すと、ICCCでは現在の寒冷化がいつまで続くか解明することが重要なテーマの一つとなっており、ウェスタンワシントン大学のDon J. Easterbrook教授は、地球では過去500年に亘って25〜30年で温暖化と寒冷化が交互に繰り返されてきたことを説明し、地球の気候変動は“Pacific Decadal Oscillation(PDO)”で説明できるのではないかと発表しました。PDOは“太平洋十年規模振動”と訳されますが、約20年周期で起こる太平洋各地の海面水温や気圧の変動で、そのメカニズムはあまりよく分かっていません。Easterbrook教授によると、地球の温暖化・寒冷化の時期とPDO指数を調べるとFig.2のように大変良く一致しており、PDOが'99年に低温モードに入ったことから20〜30年は寒冷化が続くのではないかとのこと。

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Fig.2: PDO (太平洋十年規模振動)と、過去の温暖化・寒冷化の時期。

海洋の熱容量は大気の1,000倍ですから、太平洋の海面水温の低下(上昇)が地球全体の平均気温を下げる(上げる)という説明は自然だと思います。Easterbrook教授はPDOと太陽活動との間に強い相関があることを指摘した上で、

「太陽活動、PDO、地球の温暖化・寒冷化にはそれぞれ相関がある」

と結論付けていました。

それに対してメキシコ国立大学のVictor Manuel Velasco Herrera博士は、現在、太陽活動は著しく低下しており、2030〜40年頃に太陽活動は最小になるとの予測に基づき、現在の寒冷化が今後60〜80年続くと主張、21世紀が小氷期となる可能性について言及しました。

ロシアの プルコヴォ天文台のHabibullo Abdussamatov所長も、過去7,500年の間に起きた18回の小氷期は日射強度の低下とそのフィードバック(氷面積の増加による反射能の増加、水蒸気濃度の低下による寒冷化)でほぼ説明できると提唱し、現在のサイクルから計算すると地球は2014年頃に小氷期入りするのではないかとの見解。

また、ハリケーンが専門のWilliam M. Gray教授(コロラド州立大学)は、過去140年の温暖期が熱塩循環(深層の海洋循環)の変化と一致していることに注目し、地球の気候変動の主因は熱塩循環であるとの説。海洋が気候変動の主因と考えるのはEasterbrook教授と似ていますが、Gray教授も現在の寒冷化は数十年続くと見ているようでした。

私見ですが、太陽活動が地球の気候変動に一番影響していることは、地球温暖化と時期を同じくして火星など他の惑星温暖化していたことから疑いないと思います[8]。ただそのメカニズムについては様々な議論があり、例えばPDO、熱塩循環、フィードバックの他にもスベンマルク効果(太陽活動低下による宇宙線量の増大、そして宇宙線による雲生成の増加)なども提案されており、仮にEasterbrook教授が主張するようにPDOと地球の気候サイクルとの間に強い相関があったとしても、必ずしもPDOと気候変動との間の因果関係を意味するわけではないことに留意する必要があります。初めから他の可能性を排除してしまっては、CO2温暖化説と同じ間違いを犯してしまいますから。

現在の地球が温暖化していないことには多くの科学者が同意していますが、今後、どうなるかについては意見が分かれています。温暖化より寒冷化の方が人類に与える被害は甚大なので重要な問題ですが、1998年のエルニーニョによる一時的な気温上昇を除くとここ数年の寒冷化は0.4℃/100年と緩やかなものであり、個人的には小氷期を心配する程でもないと考えています。ただ、現在の太陽活動は11年周期のリズムが崩れており、太陽黒点数も著しく減少するなど、マウンダー極小期(1645〜1715年の小氷期)との類似性も指摘されています[9]。

さて温暖化詐欺に話を移すと、アメリカの気象予報士で有名なブロガーAnthony Watts氏は、彼が突き止めた温暖化詐欺の手法を報告。以前の私の日記でも紹介しましたが、市民が協力して調査を行ったところ、アメリカの気温観測ステーションの90%がいつの間にかアスファルトの駐車場やエアコンの排熱口の近くなど暑い場所に置かれており、通常より1〜5℃も高めの気温を叩き出していました。加えてアメリカ海洋大気圏局(NOAA)はデータ均質化やスムージングなどの“補正”を行い、ヒートアイランド現象を誇張することで地球温暖化を演出しているとWatts氏は発表。

続いてアメリカ大気河川改善研究所のCraig Loehle博士は、NOAAの気温データからヒートアイランドの効果を取り除くと『59年周期の温暖化・寒冷化変動』が現れ、Easterbrook教授の指摘したPDOで地球の気候変動を説明できると発表。CO2温暖化説に拘らなければ、地球の気候変動を単純かつ自然に説明できてしまうわけです。

そしてカナダの気象学者のJoseph D'Aleoは、NOAAとアメリカ航空宇宙局NASA)のデータ不正について報告。NOAAは温暖化を示す観測ステーションだけを選別しているようで、NOAAのデータベース(GHCN)に登録されているステーション数は、1980年と比べて2007年には1/3以下にまで不自然に減少しています[10]。ステーション数が減少したのはNOAAによると、

「データ取得に時間がかかるものもある」

だそうですが[11]、20年前のデータが未だに更新されていないのは、あまりに時間がかかり過ぎでしょう。

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Fig.3: GHCNが気温算出に利用している観測ステーション数(黒)と、アメリカの平均気温(ピンク)。1980年以降の急激なステーション数の減少と反比例して、アメリカの平均気温が急上昇している。

Anthony Watts氏も説明していましたが、NOAAは謎の“補正”を施すことで寒冷化しているステーションのデータをあたかも温暖化しているかのように書き直す“マジック”に成功しています。一方NASAは世界の気候変動を算出する際にNOAAのデータを利用していますが、より暖かい場所に設置されたステーションのデータを寒い地域のものとして補ったり、NOAAに負けじと更なる地球温暖化への挑戦を日夜続けています。

世界気温の4つの観測データベースはCRU、GHCN(NOAA)、GISS(NASA)、気象庁ですが、CRUもGISSもNOAAのGHCNのデータを元に構築されており、残る気象庁も2000年以前はGHCNを利用していたため、GHCNのデータが腐っていた以上、結局どれも信用できないことになります。データ捏造に対して脅威派の研究者がよく使う、

「4つの独立した観測結果が全て同じ温暖化傾向を示している」

との反論は脆くも崩れ去るわけですが、現在、信頼できる過去の気温データベースがないことは大変な問題だと思います。世界に与えた影響は莫大で、捏造に関与した科学者の罪は、あまりに重い。

また、バージニア大学を引退したFred Singer翁は、衛星観測の結果と照らし合わせ、NOAAが不自然な観測ステーション選別をせず、かつ怪しげな補正も行わなければ、1979〜'97年で温暖化はほとんど起きていないんじゃないか、ということを言っていました。

懐疑派のトークばかり取り上げましたが、ICCCには脅威派の研究者も招待されており、コロラド州立大学のScott Denning教授もスピーチを行いました[12]。懐疑派の国際会議で、脅威派の研究者が温かい拍手で迎えられ、和やかに議論が進行する。当たり前のことのようですが、もし逆の立場で懐疑派の研究者が脅威派の会合に出かけたら、無視されれば良い方でしょう。科学とは無関係の誹謗中傷を浴びせられることも珍しくないです。

『地球の気候変動は自然現象で、人間の手でコントロールすることは出来ない』

当初は多くの研究者がそう考えていたのにも拘わらず、CO2温暖化説は政治やメディアを利用して多額の予算獲得に成功し、学会をコントロールするに至っています。自然現象ならほとんど予算が付かないですが、“人為的”温暖化なら多くの人々が注目しますから。学会、政界、国連、金融、そして産業界の思惑が複雑に絡み合い、地球温暖化は科学的に間違っていても、もはや間違いだと認められない状況になってしまいました。雑音から隔離し、今回のICCCのようにオープンな科学の場で冷静な議論がもっとなされるべきではないでしょうか。


−− あまりにいい加減だった科学 −−

最近、ペンシルバニア大学法学部のJason S. Johnston教授が国連IPCC報告書を検証した第三者レポートが公開され話題になっています[13]。

IPCCではCO2温暖化説に不都合な研究は否定もしくは無視され、合意が捏造された。ほぼ全ての主張が非科学的、若しくはいい加減に行われていた。』

という内容ですが、Johnston教授はIPCC報告書の数多くの問題点を個別に検証しており、法律の専門家が第三者検証を行った点で意味があると思います。IPCC報告書は“科学的コンセンサス”どころか、WWFグリーンピースなど環境活動団体の広告、登山雑誌の記事、更には学生のレポートまで引用していたりと何でもありでしたが、客観的かつ厳密であるべき科学がこと地球温暖化に関してあまりに杜撰に行われていたことは、一科学者としてショックであり大変残念です。

私も仕事で大型プロジェクトの予算申請書や報告書をよく書いていますが、分厚いレポートの中に僅かなミスが見つかっただけでプロジェクト全体の信用が失われるため、いつも細心の注意を払い、同僚たちに何度も検証してもらっています。IPCC報告書では地球温暖化説の根底を揺るがす致命的な間違いが次々と発覚しているのに、脅威派は、

「3,000ページの文書に多少のミスは当たり前」

と強弁しており、正直、その神経が理解できません。

日本では“IPCC-Gate”についてあまり報道されていないようなので、杜撰な温暖化研究の一例として、NASAの人口衛星を使った南極観測と、温暖化業界の近況について紹介します。

NASA温暖化研究で多額の予算を得ている研究機関の代表格ですが、2007年に、

衛星観測によると、南極温暖化が進行している』

と発表[14]、それを支持する観測結果として昨年、

衛星観測で南極東部で数10億トンの氷が毎年失われていることが分かった』

と報告しています[15]。共にCO2温暖化説を強力に裏付ける観測結果として多くのメディアでも報道されましたが、これらの研究を調べてみると、あまりに短絡的な発表だったことが分かります。

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Fig.4: 2007年NASA発表の南極地表の気温変動(左)。アラバマ大学が解析した南極の気温変動(左)。共に衛星観測。

Fig.4左図がNASAが'07年に発表した南極地表の温暖化を図示したものですが、年間0.05℃程のペースで南極大陸が急速に温暖化している様子が描かれています。この図だけ見ると南極大陸温暖化は疑いないように思えますが、実はNASAが行った人工衛星からの温度観測は精度が低く、NASA自身も認めるように測定誤差が2〜3℃もあることが知られています。右図はアラバマ大学のチームが解析したNASA人工衛星による南極の気温変化、誤差が大きいため何とも言えませんが、温暖化どころか僅かながら寒冷化しているようにも見えます。また南極観測隊による記録では、南極大陸1960年以降に寒冷化していると報告されており[16]、結局のところ、NASAは誤差の大きい人工衛星の観測結果に都合の良い解析を加えて南極大陸温暖化を“演出”したのでしょう。事実、NASAが2004年に発表していたグラフ(Fig.5)では南極大陸は寒冷化しており、莫大な研究費が南極大陸の気温まで変えてしまったのかもしれません。

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Fig.5: 2004年NASA発表の南極の気温変動。衛星観測[17]。

NASAはどのような解析を行ったのか公開し、'04年と'07年で正反対の解析結果を発表した経緯を明らかにするべきですが、いずれにせよ測定精度3℃の温度計で0.05℃の年変化を断定するというのは、まともな科学者の仕事とは言えません。私の同僚は、James Hansen所長のデータ操作疑惑が持ち上がった際に[18]、

「人類を月に送った研究機関が、地表の温度もまともに測れないのか」

と呆れていましたが、もっともな感想。

『消失した南極東部の数10億トンの氷』についても、衛星観測の精度に疑問符が付きます。NASA人工衛星GRACEを使った重力測定で南極の氷量を推定したのですが、微弱な重力変化を衛星から検出するのは技術的に難しく、GRACE観測の精度について研究者の間で疑問が噴出しており、“あくまで補助的な観測手段”と見做されています。マスメディアNASAの発表を鵜呑みにして、

地球温暖化で、南極東部の氷が大量に溶け出している」

とヒステリックに報道していましたが、夏でもマイナス30℃の南極東部で氷が溶けるというのは、物理の常識を覆す大発見かもしれません。

次から次へと疑惑の出てくる温暖化業界ですが、二週間ほど前にも、

『(地球温暖化の主因はCO2であり)太陽活動の影響はほとんどないとの科学的な合意が得られている』

というIPCC報告書の記述に関して、IPCCで太陽活動を専門としていた科学者はJudith Lean博士一人だけであり、即ち“一人の合意”に過ぎなかったという疑惑が出ていました。酷いことにLean博士は太陽活動の影響を小さく見せるためデータ操作した上でグラフを引用しており、太陽観測を行ったDoug Hoyt博士やRichard C. Wilson博士ら宇宙物理屋が激しく抗議する事態に発展し、“Judith-Gate”と呼ばれています[19]。

一方、政界に目を移すと、ワシントンではオバマ政権民主党地球温暖化を既成事実化すべく、“Cap & Trade法案”の導入に血眼を上げています。

「現在のペースでCO2排出を続けると、アメリカ北東部はかなり温暖化する。今世紀末にボストンの夏の気温は14°F(7.8℃)上がりそうで、100°F(37.8℃)を越す暑い日がニューイングランド地方では年間20日、ハートフォードでは30日を超えるだろう。」

と盛んに宣伝されていますが[20]、アメリカ北東部の気温変化を表したFig.6を見る限り、過去100年間で人為排出CO2による有意な温暖化は観測されておらず、今世紀末にボストンの夏の気温が8℃近くも上昇すると言った根拠は全く以って不明です。

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Fig.6: アメリカ北東部の夏の平均気温の推移(青線)、黒い棒グラフは人類のCO2排出量。

NASA南極の話やJudith-Gateやボストンの謎の温暖化氷山の一角に過ぎず、学界でもマスメディアでも『地球温暖化であれば何を言っても許される』という空気が蔓延していたため、気候変動の研究では他分野では考えられないあまりにいい加減な話が権威付けられ、まかり通っていました。IPCC報告書はウソと誇張のオンパレードだったわけで、第4次報告書の統括執筆責任者だったMurari Lal教授は、誇張や捏造が行われたのは、

政治家たちに衝撃を与え、実際に行動を起こさせるためだった」

と弁明していますが[21]、とても科学者の発言とは思えません。プリンストン大学物理屋のWilliam Happer教授によると、

IPCCとは科学の仮面を被ったロビー団体」

だそうで、Happer教授はエネルギー省で合衆国のエネルギー政策を統轄していた頃の感想として、

ブリーフィングにやって来る科学者に質問すると、普通は喜んで答えてくれる。ところが気候変動を研究している科学者は違った、彼らは宗教カルトのようだった。」

と述べていますが[22]、脅威派グループの反論を許さない異様な雰囲気は、私も肌で感じていました。

特に京都会議以降、“地球温暖化”と名の付くプロジェクトに莫大な予算がばら撒かれ、脅威派の圧力でCO2温暖化説に懐疑的な論文や予算申請が悉く却下されるようになった結果、少なからぬ懐疑派の研究者が表舞台から駆逐されました。温暖化を証明するために予算が付いた研究で、温暖化を否定する発表は出来ないですから、世の中は地球温暖化を裏付ける(ように見える)情報で溢れてしまいました。

欧米では昨年11月のClimategate事件を発端にIPCC温暖化のウソが連日のようにニュースで報道されたため、状況は一転しています。日本のマスメディアも、地球温暖化の科学が現在進行形で崩壊していることを、ちゃんと報道すべきではないでしょうか。


−− 脅威派の逆襲 −−

今年に入り、IPCCのリードオーサー(代表執筆者)の中からも公然とIPCC批判を行う研究者が続出し、CO2温暖化説を否定する論文も学術誌に掲載されるようになりました。学会は少しずつですが、健全さを取り戻しつつあります。

アメリカでは脅威派研究者の論点を摩り替えての反論や、懐疑派研究者への政治力を使った個人攻撃が目立つようになりましたが、日本の状況と似ています。先月は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された『気候変動における研究者の信頼性』という論文[23]が議論を巻き起こしていました。意訳すると、

『懐疑派の研究者はろくに研究もせず、市民を惑わしている』

という内容で、懐疑派を“denier(ホロコースト否定のナチス支持者を暗に指す言葉)”と呼んでいますが、科学的にナンセンスな批判だらけの文章を権威あるPNASが掲載したことに分野外の研究者たちも呆れ果てています。科学者なら科学の舞台で勝負すべきで、他の研究者への陰湿な誹謗中傷ではなく、真実の追究に努めるべきでしょう。PNASに掲載された論文の著者の一人James W. Prall氏はトロント大学のシステムプログラマーだそうで、彼は“懐疑派ブラックリスト[24]”なる物を編纂しています。CO2温暖化説に否定的な論文を発表したり嘆願書に署名した研究者の氏名、所属、国籍ホームページなどを丹念に調べ上げ、ご丁寧にもランク付けした上でトロント大学のサーバーで公開。“ブラックリストに乗ると研究費が取れなくなる”とも噂されていますが、懐疑派の研究者を晒し上げ名声を傷つけることを目的としてリストが配布されているのは間違いなさそうです。尤も、私の同僚は、

政治的圧力に屈せず、真実を貫き通した誇り高き科学者たちのリストだ」

と言っていますが。

不祥事が相次ぎ地球温暖化は科学として破綻する一方、学会や政界はまだまだ脅威派が牛耳っており、懐疑論を政治的に潰そうと躍起になっているのはまるで宗教戦争のようです。国連事務総長が『温暖化懐疑派の声拒絶』を訴えたり[25]、Climategate事件で炎上したCRUの調査を行ったイギリス議会は僅か一日のヒアリングだけで、

「(CRUの科学者らのデータ不正を示す)証拠は見つからなかった」

と潔白を謳い上げていますが[26]、証拠が見つからなかったのか、見つける気がなかったのか不明。同じくCRUの詳細な調査を行ったはずのRussell卿も、

「情報公開の拒否など問題はあったものの、CRUの科学者の不正は見つからなかった」

と結論付けただけで[27]、CRUから流出したメール(内部告発とも言われています)で明らかになった、以下の疑惑について突っ込んだ追及はなされていません。

 ・CRUの科学者らは、気温の生データや解析手法の公開を頑なに拒否していた。

 ・情報公開法の抜け道を模索し、データの不正操作の相談を行っていた。

 ・情報公開請求を受けたらデータを消去すると言っており、実際に消去してしまった。

 ・懐疑派にたいする攻撃や圧力が行われていた。

 ・60年代以降の気温低下を隠すトリックについてメールでやり取りがあった。

 ・気温低下を隠すデータ操作を行うプログラムが見つかった。

現実問題としてCRUのPhil Jones所長は関係者に証拠隠滅の依頼をしたのであり[28]、世界中で使われているCRUの世界気温のデータベースの元となった過去160年間に亘る気温観測データも消去されてしまいました。アリバイのように怪しげな補正の加えられたデータベースだけは公表されたものの、

「データの補正方法を記したメモは紛失した」

とPhil Jones所長が言っている以上、その信頼性はネス湖ネッシーといい勝負かもしれません。

IPCC報告書の検証を行ったオランダ環境アセスメント局も、IPCCの多数の過ちを認めたものの、

地球温暖化は進行しており、IPCC報告書の結論は揺らがない」

と言っていますが、現実には地球温暖化は止まっており、“禊払い”を真に受ける人も少ないでしょう。学会の権威や国家権力を使い、

地球温暖化研究者は正直者だから信用せよ」

と言えば言うほど、温暖化研究が市民の支持を失っているのは、何とも皮肉です。Climategate事件でアメリカ市民の多くがCO2温暖化説に呆れており、IPCC-Gate発覚前の今年1月の時点ですら、

地球温暖化は自然変動、若しくは地球は温暖化していない」

と答えた市民が45%に上っていました[29]。その後の一連のIPCCの不正発覚で、現在では市民は地球温暖化に対して完全に無関心になっています。昨日、NYが暑いというニュースが流れていましたが[30]、“ヒートアイランド現象で気温が上がった”と正しく伝えており、地球温暖化のことは一言も出て来ず、時代の変化を感じました。

CO2温暖化説崩壊への予防線か、最近、アメリカ環境保護庁はオバマ政権の支持を得て、

「CO2は有毒ガスだから規制する」

と言い出しましたが[31]、濃度が100倍になると頭痛を引き起こすものの、一般的な理解では“CO2は毒性の非常に弱いガス”。

国連IPCCを利用したグローバルガバナンスに見切りをつけたのか、『生物多様性と生態系に関する政府間プラットフォーム(IPBES)』なる怪しげな組織を立ち上げ[32]、次の資金源として注力しているようです。

地球温暖化やCO2になると、どうしてこうもウソや出鱈目がまかり通ってしまうのか理解に苦しみますが、もはや科学ではなく政治ですから、温暖化論争の帰着は世論が決めることになるでしょう。欧米の市民の間ではCO2温暖化説は急速に支持を失っていますが、日本ではマスメディアがClimategateやIPCC-Gateの実態をほとんど報道していない上に、脅威派の研究者が事件の矮小化を図ったこともあり、地球温暖化への国民の支持は相変わらず高いまま。日本は毎年1兆2千億円もの温暖化対策に加えて、発展途上国への温暖化対策支援として2012年までに1兆7,500億円を約束。京都議定書を遵守するには同年までに9,400億円の排出枠購入が必要ですし[33]、前総理の“25%公約”に至っては、

『仮に国内で13%削減できたとしても、1兆7千億円の排出枠購入が必要』

ドイツ銀行が試算していましたが、感謝すらされない経済援助を日本は本気で続けるのでしょうか。地球温暖化で巨額の税金が無駄にされる一方、重要な基礎研究が仕分けされた話を聞くと、一科学者として何とも虚しい気分にさせられます。

日本は大丈夫なんだろうか。地球の裏側からですが、心配しながら見ております。


References

[1] http://www.heartland.org/events/2010Chicago/

[2] http://www.heartland.org/environmentandclimate-news.org/ClimateConference4

[3] S. Mosher and T.W. Fuller, 『地球温暖化スキャンダル(渡辺正訳)』, 日本評論社 (2010).

[4] http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8511670.stm

[5] S. Solomon et al., Science 327 (2010) 1219.

[6] M.R. Manning et al., Nature Geoscience 3 (2010) 376.

[7] 槌田敦, 日本物理学会誌 62 (2007) 115.

[8] http://news.nationalgeographic.com/news/2007/02/070228-mars-warming.html

[9] 宮原ひろこ, ICRRニュース 72 (2010) 7.

[10] http://scienceandpublicpolicy.org/images/stories/papers/originals/surface_temp.pdf

[11] http://www.ncdc.noaa.gov/oa/climate/research/Peterson-Vose-1997.pdf

[12] http://www.youtube.com/watch?v=kkL6TDIaCVw

[13] http://ssrn.com/abstract=1612851

[14] http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=8239

[15] http://earthobservatory.nasa.gov/Newsroom/view.php?id=42399

[16] P.T. Doran et al., Nature 415 (2002) 517.

[17] http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=6502

[18] http://www.telegraph.co.uk/comment/columnists/christopherbooker/3563532/The-world-has-never-seen-such-freezing-heat.html

[19] http://climaterealists.com/?id=5910

[20] http://globalwarming.house.gov/impactzones/newengland

[21] http://www.dailymail.co.uk/news/article-1245636

[22] http://www.dailyprincetonian.com/2009/01/12/22506

[23] http://www.pnas.org/content/early/2010/06/04/1003187107.abstract

[24] http://www.eecg.utoronto.ca/~prall/climate/skeptic_authors_table.html

[25] http://www.guardian.co.uk/environment/2010/feb/24/ban-ki-moon-un-reject-sceptics

[26] http://www.foxnews.com/scitech/2010/03/31/climate-gate-inquiry-largely-clears-scientists/

[27] http://www.cce-review.org/pdf/FINAL%20REPORT.pdf

[28] http://eastangliaemails.com/emails.php?eid=893

[29] http://environment.yale.edu/climate/files/Climategate_Opinion_and_Loss_of_Trust_1.pdf

[30] http://hosted.ap.org/dynamic/stories/U/US_HOT_WEATHER_HEAT_ISLANDS?SITE=WSPATV&SECTION=NATIONAL&TEMPLATE=DEFAULT

[31] http://www.epa.gov/climatechange/endangerment.html

[32] http://ipbes.net/

[33] http://president.jp.reuters.com/article/2010/01/09/DF1CF1CA-FC15-11DE-9764-ADF03E99CD51.php

通りすがり通りすがり 2010/07/12 23:09 後からなら何とでも言えるでしょうに。
既得権益者が声高にアピールすることに
経済的な利得がからんでることなんて直感的にわかる。
人類の歴史で、人間やとりまく自然環境のためを心底に感じ入って
行動が促された出来事なんてほとんどない。

あなたがたは同族の批難を、”その時”にしなさいよ、後からじゃなくて。

税金・公的な資金を飯種にしてる科学者ってのは、自分達の
信奉してる科学が、これまた公的な利益のために利用されるという
当たり前の帰結に不平不満を漏らせる立場なわけ?

戦争由来のテクノロジーにしても、ほとんどが
国益、競争・資本主義界のスポンサードによる要望で発達。
自分達の数字ごっこでマッチポンプして喰ってるのが現実。
森羅万象なんて万に一つも解き明かされてない。科学は死んだ。
科学者は現代のピエロ。知ったような顔するんじゃないよ。

nytolanytola 2010/07/13 00:20 科学的に間違ったことに対して『No』と言うのは、科学者の義務だと思います。
Climategate事件やIPCC-Gate以前から、CO2温暖化説が科学的におかしいことを指摘した研究者はアメリカには少なからずいました。かつて逆風の中、アメリカ議会の公聴会でCO2温暖化説に科学的根拠がないことを説明し京都議定書の批准に反対を表明した科学者たちもいましたし、科学的な立場から京都プロトコルに反対した『オレゴン嘆願書』には9千名の博士を含む3万人の科学者が署名しています。尤も当時はメディアも世間も地球温暖化一色で、懐疑派研究者に対してマスコミや市民は「産業界の犬」と罵声を浴びせていました。大部分の研究者が産業界とは無縁だったにも拘らず、です。

一つ知ってほしいことは、趣味で研究を行っていた古き良き時代とは異なり、現代の科学者は“職業科学者”であるということ。特にアメリカの大学ではグラント(研究費)を取って来なければ大学院生・テクニシャン・ポスドクに給料を支払えませんし、私の所属する国立研究所では極端な場合、プロジェクトのグラントが切れたら自分自身も無給となります。グラントの獲得が科学者の最大の仕事となっている面もあり、国家レベルで莫大な予算を付けたテーマに研究者が集中してしまうのは、構造的な問題だと思います。
地球温暖化ではそれに輪をかけて、脅威派の研究者・政治家たちが自分たちの立場・利益を守るため学会の権威や政治力を使い懐疑派を潰しにかかり、いい加減な“証拠”を権威付けるのにIPCCが使われました。そしてメディアが温暖化詐欺の片棒を担いだことも否めません。懐疑派の研究者は懐疑論を主張していたのではグラントも取れず、ジャーナルも脅威派に乗っ取られていたためCO2温暖化説に否定的な論文を投稿する度に却下され、結果的に懐疑派の多くが一掃されてしまいました。
最後まで懐疑論を主張し続けたのはMITのRichard Lindzenやコロラド大学のRoger Pielkeを始めとする芯のある研究者か、他のテーマでグラントの取れる他分野の研究者でした。私の同僚が懐疑派研究者のことを“政治的圧力に屈せず、真実を貫き通した誇り高き科学者たち”と呼んだのには、そういう事情がありました。

ただ、どんな時でも、正しいことを言っている人はいます。インターネットが普及した現在、検索さえすれば誰でも多様な情報を得ることが出来ます。
私の意見に対して批判を行う人もいるはずですし、どうか多くの意見を読んだ上で判断して下さい。

アシカビヒコアシカビヒコ 2010/07/13 14:17 情報感謝します。科学はデータの勝負ですが、学会の結論は政治的だと思います。CO2を地球温暖化の原因としたのは政治です。大局的にみれば、脱石油エネルギー世論づくりのための政治的プロパガンダです。この脱石油戦略において、石油の対抗軸とされたのが原子力です。不都合な真実のゴアが原子力陣営でした。脱石油という大義のために駆り出された科学者群は政治的貢献に対して政治的報酬を得ていますので、彼等は科学者ではなく、政治的プロパガンダ装置になることを選択した人々でしょう。こういった大義のための事実捏造こそが石油大量消費と同様に20世紀の負の遺産と考えるべきでしょう。大衆を導くためには嘘も方便という発想はプラトン主義の悪しき伝統です。この流れを変えていくのはインターネットによる知の大衆化ではないかと思います。プラトンに対抗してアリストテレスは少数富裕層のための政治ではなく、中産階級のための政治が無難であり安定的と考えていました。この智恵に学ぶべきだと私は思います。
脱石油の大義のもと進められたのは実は西洋の覇権維持だったと私は推測しています。この路線に中国がノーといった段階で、西洋覇権維持は終焉しました。アジア、ヨーロッパの時代です。
いずれにしろ、「事実に基づく行動」が原則で、嘘を言ってはいけないのは、その嘘でもって自分自身が騙されるからだと思います。

nytolanytola 2010/07/13 19:39 アシカビヒコさん、こんにちは。

イギリスのThatcher政権が原発推進のため、CO2温暖化説を支援する目的でHadley気候研究センターを設立し、国連IPCCの設立にも尽力したと言われていますね。

> 大衆を導くためには嘘も方便

IPCC報告書の誇張・捏造に対するMurari Lal教授の「政治家たちに衝撃を与え、実際に行動を起こさせるためだった」という弁明は、まさにその思想が顕著に現れていると言えます。
アメリカのようにメディアが事実を報道し、日本でも市民が温暖化研究の実態を知ることが大切ではないでしょうか。

> この流れを変えていくのはインターネットによる知の大衆化

単に科学者・政治家・メディアのせいにするだけではなく、市民がもっと積極的に調べて自ら判断することが求められているのだと思います。

> 脱石油の大義のもと進められたのは実は西洋の覇権維持だった

鋭い見方だと思います。私はそれがCO2温暖化説の本当の目的だったとは思いませんが、現在の先進国と途上国の枠組みを維持するのに“Cap & Trade”が利用されようとしているのは、事実かもしれません。尤も中国はそのことに気付いているようで、25%削減を宣言した日本の政治家と比べてよほど賢いと思います。

> 「事実に基づく行動」が原則

私自身は脱石油を模索することは重要だと考えていますし、エコや省エネには賛成の立場です。現在のCO2規制に反対なのは、それが間違った知見の上に建てられた政策であり、正しい結論を導けるとは思えないからです。

nytolanytola 2010/07/13 19:52 トラックバックして頂いたonkimoさんの日記に、BBCの記事を引用してICCCの説明が丁寧になされています。

http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100713/1279032866

簡単に確認出来ることから検証してみます。

> 私の不満足な英語力で訳すと、こんな感じでしょうか。
> 聴衆、外国人もいないではないが、おもにリバタリアンや
> 共和党員からなるアメリカ人からなる聴衆は、「小さい政府」
> メッセージを好んだ。

BBCの記者は、どのように国際会議の出席者の大多数が“小さい政府を支持する共和党員”だと調べたのでしょうか。
なおBBCの記事はこちらですが、

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8694544.stm

『会議のディナーではもちろんステーキを食べる右翼ばかりで、ベジタリアンはほとんどいなかった』という書き出し、Roger Harrabin記者の価値観が想像できます。あくまで一般論ですが、欧米の脅威派は懐疑派のことを『右翼、共和党支持者、人種差別者、オイル会社の犬、肉食主義者』と罵倒することが多いです。随分と前のことですが、研究者同士のパーティで懐疑派と脅威派でディスカッションになった際に、
「この10年で地球は寒冷化しているのに、温暖化対策が必要なのか?」
と疑問を唱えたところ、
「捕鯨主義者は黙れ!」
と意味不明に怒鳴られましたが、『日本人の懐疑派=捕鯨主義者』なのでしょう。

> このイベントにオイルマネーがじゃぶじゃぶと注がれており、
> 石油や石炭を環境に良いと言いくるめつつ、気候研究者達の
> 信頼性をおとしめようという産業界の意図が見え見えだからだ。

何故ICCCのスポンサー一覧を直接調べないのか疑問です。

http://www.heartland.org/events/2010Chicago/cosponsors.html

現実には、ICCCは120を越えるNPO(非営利団体)からのささやかな寄付金で運営されています。
主催者のHertlandに対しても、onkimoさんはDESMOGBLOG.COMを引用して、

> Institute、エクソンモービルから 10 年ほどの間にあわせて
> 600 万ドルほどもらっているとのこと。

だそうですが、これにはHeartlandのDan Miller氏が直接反論しています。

「Heartlandのエネルギー関連会社からの収入は、全予算の5%未満である。
 690万ドルの収入のうち、69%を個人や財団からの寄付金が占めている。
 エクソンは少額の寄付をしただけで、具体的には2006年にテーブルを
 買ってくれた。KochやScaifeからの寄付も、10年以上もない。」

既に否定されている悪意のある記事を引用するのではなく、情報はきちんと確認すべきでしょう。さもなければIPCC報告書の二の舞になってしまいます。
ICCCを報じた外国のメディアでも、例えばオーストラリアのQuadrant誌は懐疑論を専門的に論じており、ICCCに極めて好意的なレポートを載せています。

http://www.quadrant.org.au/blogs/doomed-planet/2010/05/heartland-4

おおくぼおおくぼ 2010/07/13 20:51 はじめまして

>科学的な立場から京都プロトコルに反対した『オレゴン嘆願書』には9千名の博士を含む3万人の科学者が署名しています。


『オレゴン嘆願書』は信頼性の低い、怪しい嘆願書だと思うのですが・・・・。

参考

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1027712150

nytolanytola 2010/07/13 21:39 おおくぼさん、こんにちは。

オレゴン嘆願書に署名した科学者にはFreeman Dyson、Richard Lindzen、Frederick Seitzなど世界的に有名な科学者も多数含まれ、私の同僚たちの中にも署名した研究者は多いです。

誰でも署名できる嘆願書ですし、脅威派は『オレゴン嘆願書は信用できない』と盛んに宣伝していますが、40名を越す全米科学アカデミー会員を始め多くの著名な科学者が署名している事実は素通りしています。
著名な科学者で署名した人を調べるべきではないでしょうか。

おおくぼおおくぼ 2010/07/14 03:48 返信ありがとうございます。

でも、

>9千名の博士を含む3万人の科学者が署名しています。



>著名な科学者で署名した人を調べるべきではないでしょうか。

この二つは、矛盾するのではないでしょうか?



>40名を越す全米科学アカデミー会員を始め多くの著名な科学者が署名している事実

・・は高く評価するにしても、そのことで

>9千名の博士を含む3万人の科学者が署名しています。

・・・の水増し疑惑は消えません。

クライメートゲート事件についての『地球温暖化スキャンダル(2009年秋クライメートゲート事件の激震)』(日本評論社)を読むと、IPCC側に大きな否があることがわかりますが、懐疑派にも同じ種類の否が散見される気がします。

ド素人ド素人 2010/07/14 07:16 温暖化詐欺の内容が分かりやすい説明でド素人ながらよく分かりました。
海外の方の情報ブログは本当に助かります、これからもぜひ宜しくお願いします。

人間は何かをやる為に生まれてきています。しかし何もしない、何もできない出来ない人はいつも不平不満や批判をします。
上げ足を取る能力は本当逸脱しています(それしか出来ないですから)


哲学から遠ざかっていた科学が、哲学と融合する日も近そうです。
これからもがんばってください。

nytolanytola 2010/07/14 11:21 おおくぼさん、

そうですね、署名運動では手間がかかっても本人確認はした方が良かったですよね。ただ、オレゴン嘆願書は個人レベルでの寄付金で立ち上げられた署名運動であるため、チェックする人を雇う余裕がなかった面もあります。それでも多くの科学者が署名した事実は変わりませんし、『科学的な合意が形成されている』という脅威派のウソを打ち砕く役割は果たしたのではないでしょうか。
他にも2007年には世界を代表する100名の科学者たちが、

『地球温暖化の科学的な合意は形成されていない』

という国連事務総長への手紙に署名しています。

http://epw.senate.gov/public/index.cfm?FuseAction=Minority.Blogs&ContentRecord_id=d4b5fd23-802a-23ad-4565-3dce4095c360

日本でも科学者による署名運動は有効だと思います。

nytolanytola 2010/07/14 11:27 ド素人さん、

こんにちは、そしてありがとうございます。
研究者の友人から、『日本ではIPCC-Gateが報道されないので、アメリカの状況を一つ書いてくれ』と頼まれたのが始まりでした。温暖化の科学が崩壊し国連IPCCが大きく揺れていることを日本に伝えるにはこのBlogだけでは力不足ですが、日本には育ててもらった恩がありますし、一科学者として何かしたいと思っていました。

> 哲学から遠ざかっていた科学が、哲学と融合する日も近そうです。

『知を愛する』のが哲学(Philosophy)の本質ですが、あまりに政治的になってしまったのが地球温暖化の悲劇だったのでしょう。純粋な科学には完全な自由が必要なんだと思います。

アシカビヒコアシカビヒコ 2010/07/14 17:25 nytolaさん、
コメントありがとうございます。
前回の私のコメントの重要なケアレスミス発見。
「アジア、ヨーロッパの時代」ではなく、「アジア、アフリカの時代」でした。すみません。
私も石油の時代が引退していくことには賛成しています。省エネも原則当然。CO2削減を地球温暖化防止という路線にもっていった勢力が問題だと私は思っています。単に地球環境保全でよかったのです。日本がまじめに取組んでいる環境対策はそのまま、地球環境保全対策と看板をかけかえるべきでしょう。なぜ、CO2削減を地球温暖化防止にもっていったのか。ひとつには対抗勢力である原子力陣営の事情。したがって、原子力が海洋に投棄している膨大な熱は考慮されていません。これは極めて非科学的な態度でしょう。それから石油が化石資源だという説も単なる仮説であって、私は極めて疑わしい仮説と思っています。あれは、地球の分泌物ではないかと思っています。今のパラダイムでは石油は枯渇するからダメという論理を採用することになっています。地球環境にかける負荷が大きいから石油大量消費はダメなのだと私は思っています。人類は地球の良好な管理者たるべきでしょう。寄生しているんだから当然のこと。
インターネットによる知のネットワークの時代に大切なのは、発信する者が嘘をつかないことです。ひとつの嘘の影響が全体を歪ませる。そのときに必要な倫理は「自分が相手にしてほしくないことは相手にもしない」という単純な直感的倫理だと思います。生命システムを維持発展させている原理は免疫ですが、そこの論理は二重否定です。「自己とは非自己ではないものである」これが我々の感じている自由の根拠でしょう。
それから日本の25%削減の件、あれは日本政治の主軸をシフトするためのアンカー、引き綱でしょう。アメリカにNOというためには政治的にはEUに擦り寄るしかなかった。中国志向も同様。日本が独立国となっていくためには、アメリカべったりの政治姿勢からの自立が求められる。今後も親米反米の揺れのなかで、日本の柱が天と地に直立していく方向に動くことだろうと思います。そもそもアメリカ自体が一枚岩ではないのだから、アメリカの言いなりというのもひとつの幻想でしょう。

nytolanytola 2010/07/14 22:39 アシカビヒコさん、

> 単に地球環境保全でよかったのです。

全く同感です。ただ逆に言うと、エコに強い日本は地球温暖化ブーム崩壊後も活路はありますし、必ずしも悲観する必要はないと思います。

> 地球の分泌物ではないかと思っています。

石油無機起源説ですね。私は詳しくないですが、超深度の基盤岩の内部から油田が見つかることもあり一理あると思います。無機起源説に立てば石油の埋蔵量は莫大ですし、今の原油高は何なんだということになりますよね。

> 発信する者が嘘をつかないことです。

現実問題としてインターネット上には信憑性の低い情報も溢れていますから、受け手が取捨選択するしかないと思います。最低でも二つの立場の主張を比較して判断すべき、というのが私の持論です。一番やってはいけないことは、自分に都合の良い意見だけを受け入れること。科学の世界でも同じですが。

> 「自己とは非自己ではないものである」これが我々の感じている自由の根拠でしょう。

『互いに自由を妨げない範囲において、 我が自由を拡張すること、これが自由の法則である』
そう言ったのはカントでしたね。

> アメリカ自体が一枚岩ではないのだから、アメリカの言いなりというのもひとつの幻想でしょう。

アメリカのいいところは、社会が複数の意見を受け入れようとすることだと思います。地球温暖化ではアメリカでも懐疑派はメディアや市民から随分と叩かれましたが、それでも懐疑論を許容する土壌はありました。一方、日本はと言うと“国民総脅威派”。
日本人は極端に振れ易いので、今後、日本でも地球温暖化が崩壊していく過程で、脅威論に関わった学説・分野が全否定されないことを願います。

nytolanytola 2010/07/15 14:56 知人のBlogに書き込んだことの転載になりますが、日本ではあまり知られていないようなのでこちらにも書いておきます。

Anthony Watts氏が指摘した、NOAAの気温観測ステーションがアスファルトの駐車場やエアコンの排熱口の近くなど周囲の環境より明らかに温度の高い場所に設置されていた問題で、NOAAの反論がこちらに書かれています。

http://www.ncdc.noaa.gov/oa/about/response-v2.pdf

Watts氏が“良いステーション”と認定した70基と、“悪いステーション”とダメ出ししたステーションを含む1218基の気温変動(NOAAは明記していませんが、単純平均と思われます)を比較したところ、両者は非常によく一致したと言っています(p.3のグラフ)。これを根拠に、悪いステーションのデータの信頼性を主張。
そのNOAAの反論に対するWatts氏の反論がこちらです。

http://wattsupwiththat.com/2009/06/24/ncdc-writes-ghost-talking-points-rebuttal-to-surfacestations-project/#more-8837

NOAAが比較したのは生データではなく、補正(均質化、とNOAAは呼んでいます)を加えた後のデータ(USHCN2)。NOAAは補正を加えた後の良いステーションの気温変化と、補正を加えた後の悪いステーションを含む全ステーションの気温変化の傾向が一致すると言っただけで、良いステーションと悪いステーションが同じ傾向を示すよう施した“均質化”がうまく働いていることを示したに過ぎません。それに対してWatts氏は、ステーションの生データで比較すべきだと主張しているわけです。

Steve McIntyre氏も指摘していますが、均質化によってUSHCN2は全体的に同じような温暖化傾向を示すように補正されているとのこと。これでは、悪いステーションを隠すために補正を施したと疑うこともできます。

http://climateaudit.org/2009/06/29/the-talking-points-memo/

NOAAは気温の嵩上げに使った悪いステーションを小細工で誤魔化そうとしているように見えますが、疑惑を晴らすためには均質化に使ったコードが公開されるべきでしょう。

nytolanytola 2010/07/18 19:57 トラックバックして頂いたonkimoさんが、今度はEasterbrook教授のPDOのグラフのことで茶化しているみたいです。

http://d.hatena.ne.jp/onkimo/20100716/

> そして、なんと!この先生、誰もが成し遂げなかった PDO の数十年にわたる
> 予測に成功したのです。それも、誰もが予想だにしなかった方法で!!!
> それは…
> コピペ!!!
> です。スパコンも使わずに予測ができて、お手軽簡単、まあ素敵!

こういう茶化しに反論するのも大人気ないですが、Easterbrook教授自身の説明がこちら:

Adding the PDO record for the past decade to the PDO for the century provides an interesting pattern... the logical extension of the pattern is for global cooling to intensify and remain for several decades.
(過去のPDOの記録を未来に重ね合わせると面白いパターンが見えてくる・・・この図では寒冷化が数十年続くことを強調するため、過去のパターンを重ね合わせてPDOの記録を延長した。)

Easterbrook教授は、
『過去500年間、地球は大雑把に27年毎に温暖化と寒冷化を繰り返しており、PDOの高温・低温モードともよく一致している。PDOが低温モードに入ったため、数十年は寒冷化が進行する可能性が高い。』
と主張しているわけです。それに対してonkimoさんは、
「PDOのメカニズムが分かっていないのに、未来予測はできない」
という立場のようですが、実際には、例えば“17年ゼミ”の大量発生のメカニズムが分からなくても次の大量発生の年は予測できるわけで、Easterbrook教授の主張は科学的に自然だと言えるでしょう。

月・ライト月・ライト 2010/07/19 00:05 ド素人さんなどへ
ダイオキシンの排出権、水銀の海への垂れ流し(排出)権、
の取り引き。がおかしいと感じる感性があれば、CO2の
排出権の取り引きときいただけでウソと分かるでしょう?

月・ライト月・ライト 2010/07/19 00:23 P.S. 国民をダマし続けている国が財政破綻する
のは当然でしょう。

nytolanytola 2010/07/19 10:32 月・ライトさん、

エコ対策で努力してきた日本が、意味不明に外国から空気を買わされる。普通だったら、論理として破綻していると思いますよね。
ちょっと前にも、日本企業がポーランドから37億円でCO2排出権を購入したとニュースになっていました。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2716667/5588452

日本人が目を覚まさなければ、今後こうしたニュースが増えていくでしょう。

月・ライト月・ライト 2010/07/19 23:24 こんな詐欺は、おどし・ゆすり・たかり(金よこせ)ですから
すぐ気づくはず。今なら、水・食糧があぶない、とか。

月・ライト月・ライト 2010/07/19 23:31 天網恢恢疎にして漏らさず nytolaさんなどは
信じないかもしれませんが、だからポーランド
の飛行機は落ちた。2010/4/10

nytolanytola 2010/07/20 01:37 月・ライトさん、

“おどし・ゆすり・たかり”なら警察が助けてくれますが、CO2排出枠取引は国際的な合意の下に行われるだけに、性質が悪いです。

> nytolaさんなどは信じないかもしれませんが、
> だからポーランドの飛行機は落ちた。

排出権購入の二日後ですが、ポーランドの飛行機墜落は事故だと思いますよ。
・・・でも科学の世界では最後には真実が認められますから。