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【甘口辛口】民より先に喜び、後はしらんぷり
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「総理経験者が長く議員にとどまるべきではない」と、首相辞任時に見得を切った民主党・鳩山前首相が早くも翻意したという。地元の北海道苫小牧市で17日「国益に資する形で、身の振り方を考えていきたい」と語り、不出馬を明言していた次の総選挙への出馬に含みを残した。潔いと思っていたが、選挙が終わるとすぐこれだ。
これを聞いた自民党の若手議員がテレビ番組で「党も個人もやっていることは詐欺。それが民主党のDNA」と切り捨てた。民主党は参院選前、国会議員の定数を衆院で80人削減すると強調していた。議員1人年間で歳費など約1億2000万円もの税金が払われている。ぜひ実現してほしいが、選挙後はそんな話は一切出てこない。
経済の立て直しや雇用問題などで明るい材料がないうえ、全国各地を見舞った集中豪雨による大きな被害も加わった。菅首相の被災地視察も遅きに失した感がある。今年4月、中国国内で大地震が起きたとき、胡錦濤国家主席は南米訪問をとりやめ急きょ帰国して駆けつけた。首相にもそのくらいの迅速さがほしい。
中国の古書に「為政者は民の前に痛みを知り、民の後に喜びを知るべし」という戒めがあるという。苦しむ人々のためにいい政治をして喜ぶ顔を見て、「ああ、いいことをした」と喜ぶのが本当の為政者というわけだが、いまの日本の政治家は民より先に自分たちが喜んで、後はしらんぷりという感じだ。
月末に開かれる臨時国会も正副議長選出など手続き的なことだけですぐ終わりそうで、国のピンチなど構わずに先生方は長い夏休みに入る。痛みを抱えたまま、この猛暑の中に放り出される国民はたまったものではない。(今村忠)