独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」の本部が入居しているオフィスビル(左)。JR川崎駅(右)の目の前にある=28日午前、川崎市、朝日新聞社ヘリから、川村直子撮影
川内議員は「移転に伴う人件費増加の問題を経産省は明らかにしてこなかった。法案が通ればドサクサ紛れの増加になりかねない。移転できないように法案を修正すべきだ」と批判した。
さらに、同機構の現在の本部が、多摩川を挟んで東京都と接した川崎駅前にあり、JR東京駅まで約20分と近いため、同機構内部にも移転不要論があるという。ある機構関係者は「独法の無駄遣いに批判が高まっている時期なので、不便でもないのに拠点を移す必要がない」と話す。
北沢栄・元東北公益文科大教授(公益学)も、「本部が川崎市であることが不都合な点について、経産省は具体的なデータを示さないと、法改正に裏があると思われかねない」と指摘している。
経産省資源エネルギー庁は「移転は必要と考えているが、現状の給与制度では(移転で)人件費が増える可能性がある。人件費の削減を進める国の方針もあるので、機構に人件費抑制への対応を求めたい」。同機構の広報担当は「法案を出している経産省に聞いてほしい」としている。
同機構をめぐっては昨年、国家公務員OBを高給の非正規職員として雇用する「隠れ天下り」が16人いたことが発覚。そのうち8人は給与が1千万円以上で、人件費ではなく事業費から支給されていた。経産省はこれらのポストの廃止を決めている。(座小田英史)