独立行政法人が国の資金で購入した国債の保有額が、21法人で計約3千億円(昨年3月末現在)に上ることが、朝日新聞の調べで分かった。購入原資は、国の出資金や交付金から事業費を除いた余剰資産など。国の税収不足を補うために発行額が増加し続けている国債を、独法が国費の余り分で買うという構図だ。専門家らは「独法が余り分を国に返せば、国債発行が抑えられるのに無駄遣いだ」と批判している。
独法の余剰資産は国に返還することができず、国債保有も設立規則で認められている。政府は、余剰資産を他に有効活用すべきだと判断し、今国会に独法に関する改正法案を提出しており、法案が通れば返還が可能になる。4月に実施される見通しの事業仕分けでも、独法の国債保有問題が検討対象になる可能性がある。
朝日新聞は、すべての独法98法人の2009年3月期の決算書をもとに、国債の保有額や購入原資を調査した。独法は、行政の効率化を目指して01年度以降、各府省の政策実施部門や特殊法人が移行して設立された。
国費を原資に国債を保有していたのは21法人で、保有総額は3006億円。21法人のうち、保有額が最も多額だったのが「住宅金融支援機構」の1793億円。それに次ぐ金額が「農畜産業振興機構」の210億円で、「情報通信研究機構」「日本貿易振興機構」など5法人も100億円超となっていた。
各独法の説明によると、購入原資は、国の出資金や運営費交付金から政策を進める事業費などを除いた余剰資産や、国費で設けた基金を充てていた。さらに、国債運用で得た金利は、事業費の一部のほか、独法の人件費や事務所費などに充てていたという。
国債運用益の使い道について、独法の特定の事業に充てるなどルールを設けているのは、21法人のうち10法人で、それ以外は理事らの判断に委ねられ、自由に使えることになっていた。