高木マニア堂

何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。

221:白覆面から始まった4代目タイガーマスク

ノンセクション2010年07月17日 08:35 | フォルダ : 

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<2009年8月=東スポ・プロレス格闘技サイト「プロレスマニア堂」より>

 1994年12月。ヒクソン・グレイシーと安生洋二の「道場破りマッチ」のビデオ上映会(埼玉・大宮)からの帰路、佐山聡代表(初代タイガーマスク)の車で池袋駅まで送っていただいた。

 車中、話題は「ヒクソンを倒せるプロレスラーはいるか?」となる。佐山代表は「残念だけど、今のプロレスラーに、その技術を持った人間はいない」と断言。プロ修斗でもグレイシー柔術の技術を積極的に研究、導入している
真っ最中だった。

 私は佐山代表の付け人兼運転手の青年とともに、佐山代表の格闘理論に耳を傾けていた。青年はニコニコしつつも、やや複雑な表情だ。

 上映会では、アンチ・プロレス派の報道陣が「それ見たことか」とUWFインター及び、プロレスをコキ下ろす。自ら道場破りを仕掛け、返り討ちに合ったのだから仕方がない。当時のUWFインターは、これでもかと「最強」を謳い文句にしていたから、その反動も大きい。東スポの記者としては、やや居心地が悪かったことを思い出す。

 当時の佐山代表はプロレスと距離を置いていたし、ある意味、アンチ派の象徴にさえなっていた。

 ところが車中の佐山代表は「実はね。そういった色んな最新の格闘技術を、すべて叩き込んだプロレスラーを育成しようと考えている。そいつにタイガーマスクの名を継がせたい」と夢を語る。プロレスと距離を置く佐山代表が、
あえてプロレスラー育成に乗り出そうというのだ。驚いた。

 それから半年後(1995年5月20日)。西日本プロレスの熊本市体育館大会で、佐山代表が修斗のエキシビション戦(3分2R)を披露することになった。

 相手は謎の白覆面。通常こういったデモでは〝斬られ役〟となるものだが、この白覆面は鋭い動きで佐山代表をカク乱。2Rに入ると何と回転式ヒザ十字、飛びつき逆十字で佐山代表からギブアップまで奪ってしまう

「こいつはタダ者ではない…」場内がザワつき始める。

 試合後、佐山代表から、その白覆面が7月に「4代目タイガーマスク」としてデビューすることを告げられた。控室で白覆面を脱いだその男は、あの日、佐山代表の付け人兼運転手を務めていた、あの青年だった。

 プロレス惨敗の現実を見せつけたビデオ上映会の後、複雑な表情を見せていた青年がタイガーマスクに変身。

 そして佐山代表が熱望した「グレイシー柔術を倒せるプロレスラー」は、あの頃、酷評にさらされまくったUWFインターの一若手に過ぎなかった桜庭和志によって現実化する。

 たった14年前の出来事ながら、何とも面白い因縁だ。

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