9回、ハーパーが逆転サヨナラ満塁弾を放つ(撮影・園田高夫)
「横浜8‐7巨人」(18日、横浜)
低迷のハマに、そして虎にも?救世主が誕生だ。3点を追う九回。誰一人家路に就こうとしないファンの姿が、この男への期待度を表していた。
九回1死満塁から横浜の新外国人・ハーパーが、守護神・クルーンの150キロスライダーを右翼席中段へ運ぶ、劇的サヨナラ逆転満塁弾。チームでは04年のウッズ以来となる3点差逆転の一撃に「ボールの行方は全く見てなかった」と、打った瞬間に一塁ベンチを見やり、両こぶしを高々と突き上げた。
「すごく興奮している」。大歓声を浴びてのお立ち台は、終始満面の笑み。最後は加地球団社長とガッチリ握手。米マイナー3A時代に経験はあるが、「こんな大きな舞台では初めて」という劇的弾に、何度も仲間と喜びを分かち合った。
その中に1人、盟友がいた。今季途中まで米独立リーグ・ランカスターで同僚だった、元横浜の仁志敏久氏だ。試合後は、解説の仕事で球場を訪れていた仁志氏と談笑。チャンスに恵まれない中、日本球界入りの相談に乗ってくれた友に、最高の勇姿で恩返しした。
「普段は優しいが気の強い選手。慣れない環境で、何度も助けてもらった」と仁志氏も話すナイスガイ。チームにもとけ込み「彼が来て空気が変わった。救世主だよ!」と加地社長。デビューから半月足らずながら、ハーパーグッズ発売を「すぐにでもやりたい」と緊急検討する考えだ。
虎のライバル撃破で約2カ月ぶりの連勝。2年ぶりに巨人戦3連戦を勝ち越した。ド派手なガッツポーズを見せた尾花監督も「あれでしなかったら、どこでするんや。本当に思いもよらぬ結末だった」と上機嫌。上昇を予感させる明るい空気が、ようやくチームに流れ始めた。
(2010年7月18日)