ドキュメンタリーな日常。松江哲明の日記です。
■7/29(木)30(金)池袋シネマ・ロサ「ライブテープ」上映
http://spotted63project.seesaa.net/
2530087■「羽田に行ってみろ そこには海賊になったガキどもが今やと出発を待っている 監督:瀬々敬久」。
久々に。今見直すと設定に唖然。
■原稿書き。
■シネマート六本木試写室「リアル鬼ごっこ2 監督:柴田一成」。
「1」のとにかく走らせるという設定が今回も生かされていたが、物語が弱いのも変わらず。前作はそんなアホなという矛盾を逃げ切る力が良かったのだが。
■アスミックエース試写室「私の優しくない先輩 監督:山本寛」。
大傑作だと思う。もし大ヒットしたら日本映画の全体レベルがグググと上がると思う。だって刺激を受ける作り手がいっぱい出るはずだから。そういう意味でも90年代は「LOVE LETTER」と北野武、00年代は「リンダリンダリンダ」と「下妻物語」「愛のむきだし」がその10年代を代表する作品だと思うが「私の優しくない先輩」は2010年代を語り継がれることになるのでは、と思う。「ソラニン」に期待して、「あれれ」と思ったが、あの映画になかった描写力がここにはぎゅっと詰まっていた。そう思ったのは「月刊 創」の浅野いにおインタビューを読んだ直後せいかもしれない。10、20代が「ソラニン」をそのまま良しとするのはいかがなものか、という意見に同意するから。
川島海荷の「紀子の食卓」にも負けないナレーション量とアッパーな演技に驚いた。お人形さんのような可愛らしさをそれを壊す生声が素晴らしかった。はんにゃの金田は一見うざくてきもいが、うざくてきもくなりすぎないのが芸だなと思わせ、そこに彼の優しさを感じた。
僕はいっぱい泣かされたが、それは物語にではなく、でんぐり返しや、ミュージカルや、ちょいと浮く数センチや、嘘みたいな夕日や、まっすぐキャメラを見つめる視線や、「MajiでKoiする5秒前」や、あの長回しといったエモーショナルな瞬間に涙腺を刺激された。物語や分かりやすい演出より、そういった言葉にし難い描写にこそ本作の魅力があるし、この先10年を提示してると思うのだ。
死と向き合うスカした少女という今風の設定だが、何度もハッとさせられた。逆「(500)日のサマー」だと思った。男から描かれると痛く辛いが(そこが魅力もである)、女の子側から描かれると微笑める。とにかく楽しい。けど、やっぱり痛い。切ない。けど少女ならでは、とも思う。大林宣彦監督の意見が聞きたい。こんな難病映画が見たかった。そういえば今年は「半分の月がのぼる空」も素晴らしかった。食わず嫌いはいけないな。Yoshiと「セカチュー」に感動する世代にも、そうでない人たちにも届けようとする必死な作り手がちゃんと居る。
「鉄男」のような期待以上の発見も素晴らしかったが、予想もしない位置からこんな球を撃たれるとは、まさに不意打ち。しかし両作とも感情をぐわっと鷲掴みにされた。物語に甘えていなかった。とにかく映像で魅せてくれた。そして音の効果が素晴らしかった。
90年代文化への批評性も感じたが、それはもっともっと時間を経って考えたい。今日はただ「Majiでkoiする5秒前」を何度もリフレインして、川島海荷とはんにゃの金田の動きに見惚れたい。
一生見続け、追い続ける映画になった。これからもよろしく。
■きっと「私の優しくない先輩」を見たほとんどの人がするように、「MajiでKoiする5秒前」を歌いながらチャリで帰宅。「ワンツー、スリーフォーファイブ」。
http://www.youtube.com/watch?v=NFAlBat_Pao&feature=related
■写真は、「私の優しくない先輩」。ダメだ、このシーンを思い出すだけで胸が詰まってしまう。今年どころかこの先10年の重要作(断言)。