韓国哨戒艦沈没:北朝鮮魚雷が原因 合同調査団が断定

2010年5月20日 10時28分 更新:5月20日 12時58分

韓国国防省が公開した、魚雷後部の推進体内部から見つかった「1番」というハングル表記の写真=AP
韓国国防省が公開した、魚雷後部の推進体内部から見つかった「1番」というハングル表記の写真=AP
19日、韓国・京畿道平沢の海軍基地で報道陣に公開された天安と煙突部分(右)=共同
19日、韓国・京畿道平沢の海軍基地で報道陣に公開された天安と煙突部分(右)=共同

 【ソウル西脇真一】韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没原因を調べていた軍と民間の合同調査団は20日午前10時(日本時間同)、「北朝鮮製魚雷による外部での水中爆発により、沈没した」と指摘したうえで「証拠を総合すると、魚雷が北朝鮮の小型潜水艦艇から発射された以外に他の説明をすることができない」とする調査報告書を発表した。北朝鮮の魚雷攻撃と断定されたことを受けて、韓国政府は近く対北朝鮮制裁の強化に向け、国連安全保障理事会に問題提起する方針だ。南北関係は重大な局面に入る。北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の再開は、さらに遠のくことが確実となった。

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は同日午前、ケビン・ラッド豪首相との電話協議で、「北朝鮮に対して断固たる措置を取る。国際社会の協力を通じて、北朝鮮が過ちを認め、国際社会の責任ある一員として復帰するようにしなければならない」と述べた。

 発表によると、5月15日に漁船を使って海底を捜索した結果、スクリューやモーターなどを回収。これらの部品は、北朝鮮が武器輸出用に作成したカタログに掲載されている魚雷「CHT-02D」の設計図面と一致した。

 さらに、魚雷後部の推進体内部から見つかった「1番」というハングル表記が、韓国軍が以前確保した別の北朝鮮製魚雷と同じ表記方法だったという。

 また、黄海沿岸にある北朝鮮海軍基地に所属する小型潜水艦艇と母船が、天安が沈没した3月26日の2~3日前に基地を離れ、沈没の2~3日後に戻ったことも確認された。合同調査団はこれらの事実から、北朝鮮の魚雷攻撃だと結論づけた。

 魚雷は天安のタービン室中央から左舷側3メートル、水深6~9メートルで爆発。その際に生じた強力な水流「バブルジェット」で船体が切断され、沈没したとみられる。

 天安(1220トン、乗員104人)は3月26日午後9時22分、海上の南北境界線である「北方限界線」(NLL)に近い黄海の白※島(ペクリョンド)南西2.5キロを航行中、突然爆発し船体が真っ二つに割れ、沈没。死者・行方不明者は46人に上った。

 韓国外交通商省は18日、6カ国協議に参加する日本、中国、ロシアの駐韓大使館に調査結果を説明。19日にも欧州など約30カ国の大使にも説明し、北朝鮮包囲網の形成に力を入れている。

 ※令へんに羽

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