秋田のニュース

秋田の「顔」進む弱体化 駅前の商店振興組合が相次ぎ解散

撤去の方針が決まった広小路商店街のアーケード

 秋田市のJR秋田駅西口の商店街で、集客やイベントを担ってきた振興組合が相次いで姿を消す。中央通商店街振興組合が今年3月に解散したのに続き、今度は目抜き通りの「広小路」が、シンボルとなっていたアーケード撤去とともに看板を下ろす。県庁所在地の振興組合が解散した例は、最近では東北で秋田市だけ。かつて県内随一のにぎわいを誇った「秋田の顔」は、多くの店舗にシャッターが下りるばかりか、足腰となる街のつながりまで弱体化が続く。

 「再開発など周りの環境変化も踏まえ、もっと時間をかけて検討してもいいのではないか」
 8日、秋田市のジョイナスで開かれた広小路商店街振興組合のアーケード存続協議会。撤去の方向で話が進む中、出席者の1人が慎重論を投げ掛けると、佐々木清理事長は「無理だろう」と言わんばかりの表情を浮かべた。
 広小路商店街の6カ所、計300メートル以上に及ぶアーケードの撤去案が浮上したのは昨年末。最も高額な維持費を負担している組合員が、店舗の改装を理由に一部撤去を申し出たのがきっかけだった。
 最盛期に42人いた組合員も、現在は19人に減少。1984年に設置したアーケードは老朽化が進み、年平均350万円の維持管理費は組合員にとって大きな負担になっている。一組合員の月当たりの負担金は数千円から十数万円に上る。

◎今や「お荷物」
 協議会に続き、14日に開かれた理事会で撤去する方針を決定した。組合の主な活動内容はアーケードの維持管理で、撤去すれば組合の存在意義がなくなり、解散することになる。
 佐々木理事長は「広小路の『危険物』を取り除くと理解してもらえればいい。要望のあるアーケードから順次、解体していきたい」と話す。好況時の設備投資が今や「お荷物」と化している。
 一足先に解散した中央通商店街振興組合も同じような事情を抱えていた。81年に商店街の共同駐車場を設置したが、利用者と組合員が減少したことで借金を返済できなくなり、債務超過に陥った。最終的に駐車場を売却し、清算を終えた今年3月をもって幕を閉じた。
 市内に郊外型の大型店が進出したことや景気低迷などで、90年代以降は駅西口の集客力が低下。老舗百貨店が売り場を縮小したほか、近くのダイエーも撤退した。空きビルや空きテナントが急増し「すれ違うのも大変だった」(佐々木理事長)という往時の姿は想像もできない。

◎「時代の流れ」
 国の商業統計によると、両商店街が含まれる中通地区小売業の商品販売額は、88年の950億円をピークに減少。2007年は365億円まで落ち込んだ。県内の路線価でトップを記録している同地区の「秋田駅前通り」も17年連続で下落を続ける。
 八方ふさがりの中、唯一の光明は商店街の隣接地で進む中心市街地再開発事業だが、地元商店主の心中は複雑なようだ。
 今年8月に広小路のブティックを閉めるという鳴海洋一さん(71)は「再開発の波及効果に大きな期待はできない。商店街は衰退の道をたどるだけ。時代の流れです」と淡々と語る。


2010年07月16日金曜日

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