メディアとつきあうツール  更新:2010-07-16
すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタル本当の話)/サイトのタイトル
<ジャーナリスト坂本 衛のサイト>

放送を中心に取材・執筆を重ね、専門誌「放送批評」「GALAC」編集長も務めた坂本衛の「すべてを疑え!! MAMO's Site」。最大の影響力を持ちながら、放送自らはもちろん新聞・雑誌も報じないテレビや放送局の実情や本音、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタルの真の姿を伝えます。最大限に活用しメディア・リテラシーを高めてください。

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すべてを疑え!! MAMO's Site(テレビ放送、地上デジタル放送・BSデジタル・CSデジタル本当の話)/坂本衛の他画像 byブブリン
★7月17日開催★「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表 ←click ★乞う取材・報道!★
ご一読を! new 現代キーワードQ&A事典テレビは何をすべきかネットとテレビ融合談合NHK受信料政治介入TV原理地上デジタルBush現代メディア・フォーラム公式琵琶湖塾公式オフレコ!第3号日本の「戦争力」8耐シンポ「テレビを問う!」テレビ報道を考える!!
<日録メモ風の更新情報>

07-16
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言への賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●7月17日会見出席の申し込みメールは、16日19時現在で40通ほど(入場は申し込んだ方優先)で、詰めればあと25人くらい入れそう。全国紙・通信社がもれなく来るほか、ENGを持ち込むキー局報道もある。専門誌記者や報道以外のテレビ局関係者も来ます。ただ、いわゆる「市民メディア」や「ネット・メディア」は全滅で、出席申し込みゼロ。理由はよくわからない。「市民」だから、連休の前日は休みと決まっているのか。さっさと地デジ化して、テレビを見ることができない者はネットを見ろということなのか。今日授業で話したのは、「阪神・淡路大震災のようなときは、携帯も固定電話もネットも不通になる。無線のラジオとテレビを持つことができる者は、持っていろ」とか、「田舎の爺ちゃん婆ちゃんは、ネットが使えんだろ。しかも、家も田畑もあるが年金暮らしで年収120万、資産持ちで生活保護は受けられないという世帯が、100万単位である。都会に出た息子や娘がハイビジョンを買ってくれればいいが、子どもがいない老夫婦はどうする」とか。市民メディアてのは、そういうことに興味があるのではと思っていましたが、どうやら期待はずれだったようです
●10時40分、日大前期の最終授業。前回上映のNHK『JAPANデビュー』について、NHKに対して8000人が一人1万円の損害賠償(慰謝料? 興味がないので詳しく知らない)を求めて訴訟を起こした話をしたら、「自分もその8000人の一人です」と言った学生がいたのには驚いた。あとは地デジの話で、映像を見せる時間なし。日大放送学科助手の米山明李には、資料コピーとか書類綴《と》じとか、ちょっと面倒な作業を頼む。ありがとう! 月末の飲み会で埋め合わせ予定!!
榊原英資・竹中平蔵『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)が5刷決定。ほぼ4万部に達し、担当編集・小林英史によれば「発刊以来、衰えを見せない順調な売れ行き」だそう。お読みくださった方、ありがとうございます

07-15
●未明、民放連賞のDVD視聴を残り1本で中断。一眠りしてから見て、13時前TBSへ。編成制作局編成部長・田代秀樹、編成部編成課の高島美穂、前田麻友と挨拶。昨年度の琵琶湖塾でたいへんお世話になり、夜12時すぎまで「裏塾」に付き合ってくれた毎日新聞主筆・岸井成格《しげただ》に、榊原英資・竹中平蔵『絶対こうなる!日本経済』(アスコム刊)を献呈すると、「こりゃおもしろい、この二人をぶっつけるのは。いつも互いに悪口ばっかり言ってる。しかも民主・自民の財務大臣級だ」と。坂本「だから、二人が一致してダメだということは本当にダメ、二人が対立してかみ合わないのが日本の真の対立点で重大な岐路」。岸井「そうだ。どんな点で一致し、対立した?」というので、国のかたち(大きな政府か小さな政府か)、財政赤字、国債、消費税などにつき、中身を簡単に紹介。そのうち音好宏も到着。冒頭、議論の進め方の話になって、「3審査員がまず全9作品に、とてもよい◎・よい○をつけ(今回は1作品だけを選ぶので、普通△・悪い×・とても悪い××は付けずに空欄)、評価の低いものから議論して落としていく」ことを提案。サクサクとまず4本、続いて2本に絞られ、とくに議論紛糾もなく1作品を選出。帰りに岸井に今後の政局について聞くと、「分裂の恐れがあるから、小沢も迂闊《うかつ》には動けない。9月の代表選を通り越し、年内いっぱいごたつくんじゃないか」と
●これはギャラクシー賞報道活動部門の審査(坂本は6月まで4年間やって退任)でも、つねに委員全員が思っていることですが、早々と済マーク(落選)がつく何本かは「これはまずい」とハッキリ指摘できる問題がある。にもかかわらず応募してくるのだから、制作者はたいした問題と思っていないか、問題に気づいていないことすら少なくない。実は審査側は、それを制作側にいちばん伝えたいわけです。殴り書きだが、清書すればA4一枚びっしりというくらいのメモを取りながら見ており、「問題点を10か所教えてくれ」と言われれば、もちろん全作品について指摘できますからね。逆に、この作品は上位1〜2本には来ないが狙いや方向性がとてもいいとか、総花的だがこのネタを見つけてきたのは見事で、このエピソードに絞り込めばぐんとよくなるというように、誉めたい点も多々ある。だからいつも、もったいないなと思います。今回は9作品中8作品の評価は一切表に出ない。ギャラクシー賞でも100字の短評しか表に出ないので。たとえば、ギャラクシー賞の贈賞式に続く記念の宴はただの立食パーティでなく、審査員「狙いはいいけど、構成に難があると思う」制作者「どういうふうに?」審査員「たとえば……」というような懇談や議論の場にしたいわけです
●深夜、17日会見に出す提言・資料の最終チェックにつき砂川浩慶とメール・電話でやりとり

07-14
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言の賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●17日会見・提言発表の告知作業。12日(月)までにやろうと思っていたのが、サッカー、選挙、会見・提言ページづくり、急な取材などで大幅に遅れてしまった。新聞学芸部や文化部・メディア誌にFAX、名刺交換した記者にメール、外国特派員協会にリリース80部を持ち込みなど。もっと早く知らせてほしかったという方には、お詫びします。ごめんなさい! 出席申し込みメールを見ると、放送局の経営企画・メディア戦略・広報といった部門、地方局東京支社の地デジ担当者、広告会社、消費者団体など、報道以外の関係者も少なくないようです。会場が狭いので、出席申し込みをくださった方の入場を優先させていただきます。詰めれば70人くらい入るはずで、まあ溢れることはないだろうと思いますけれども。17日会見後の懇親会は西早稲田「かわうち」の座敷を全部予約。会費は3000円メド。タクシー何台かに分乗して移動
●夕方から、日本民間放送連盟賞(民放連賞)東京地区審査「番組部門のうちテレビ報道番組」のDVD9本を見始める。15日13時〜審査員3名(あと二人は音好宏と岸井成格)による合同評議会@TBSで1本を選び、8月の中央審査で(各地区のものを集めたうえで)賞を決めると。明日未明までには見終わる予定

07-13
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表のページに、「地デジ完全移行/現行アナログ放送停止の延期を求める『10の根拠』についての資料」をupしました。2011年7月24日の地デジ完全移行/現行アナログ放送停止が不可能であることを示す、現時点でもっともまとまっており、的を射た資料である(これ以上の根拠が日本で示されたことは、私どもが知る限りでは、ない)と、資料をまとめた砂川浩慶・坂本衛の二人は確信しております(さっき、こう↑書いてよいかと砂川に聞いたら、「その通り」との返事)。会見にご出席の記者さんや関係者のみなさんは、事前にお目通しをお願いします。出席されない総務省や放送局関係者のみなさんも、お読みになったほうがよろしいでしょう。なお、砂川は立教大学に移る前、2005年まで日本民間放送連盟(民放連)の地上デジタル放送担当でした
●午後、中日新聞能登通信部・中平雄大記者から電話取材。総務省は能登半島最北端の石川県珠洲市と能登町の一部地域で、地上アナログ放送終了を1年先行して7月24日に実施する予定。アナログ放送停止リハーサルなどを実施し、総務省などは「大きな問題はなかった」と判断しているが、「本当にそうか」「奥能登でのリハーサルが全国に通用するのか」といった疑問があるとの取材趣旨。同紙はアナログ放送の先行終了直前に5回ほどの連載企画を予定しているそう。「CATVが60%以上普及した場所で、自治体首長が大乗り気で(全国紙やテレビで紹介される!)、自治体が熱心に推進し、チューナーもタダで配り、自治会や町内会の類も組織化され、ビル陰難視聴もない場所で、そりゃうまくいって当然。だって、うまくいきそうな場所を選んでリハーサルしているわけだから。ただ、2011年7月24日の参考には、まったくならない。3〜4年後、世帯普及率が90何%かになった暁には、同様に条件のよい場所で参考になる。北海道の原野で、瀬戸内海の島々で、東京の下町で、参考になるはずがない」という趣旨のコメントを1時間。さらに中日新聞浅井正智記者からNHKの名古屋場所中継中止につき電話取材が30分。何日か前、同じテーマで東京新聞から電話取材があったが、こちらは没に

07-12
●W杯が終了。7日以降12日未明までサッカーを見るヒマがなく、当欄でも触れることができずに失礼しました。四強のうちドイツが敗れたのはハッキリ予想外。オランダはまあ順当だが、ウルグアイは対オランダ、対ドイツ3位決定戦の健闘がすばらしかった。決勝のスペイン対オランダは、絶対に負けたくない思いと身体的な疲労とがともに頂点に達していることから、イエローカード連発の荒れ模様で、しかも1点を争う展開に。最初の反則はイエローを出すべきだった(レッドカードが出て不思議ではないファウルもあったが、これはブチ壊しを避けて出さないのが正解)。「そこで足に当てりゃ1点!」「キーパーと一対一!」というシーンで、空振りやキーパーのファインセーブが何度か出ましたね。連中の技術からすれば当然1点だろ、というのがハズレまくった。スペイン守備陣の「何それ?」という凡ミス(横パスの失敗など)も、じわじわ来ている疲労と、特別な試合の緊張によるのだと思います
●で、選挙情勢分析に引き続き、うつらうつらしながら前後半90分を見たところで、あまりにも眠く、おやすみカードが出てしまった。朝スペインの勝利を知りました。当欄既出の話の流れからすれば、ラテン系の2大勢力が早々に姿を消し、コンチネンタル系・軍隊系の勝ちかと思ったら、ぎりぎりラテンが面目を保った。やはりサッカーは1点を入れなければ勝てない。コンチネンタル系・軍隊系・組織的な守備で押さえ込もうとしても、攻撃は一人二人の個人技でなんとかなってしまう。そのバランスや意外性やらが、サッカーのおもしろいところですね。本田圭佑と松井大輔がおらず、遠藤保仁のFKが入らなければ、日本はゼロ封にされていた可能性が大きいわけで、誰がどう見たって世界ベスト16に入る実力など備えていない。サッカーでも、企業やビジネスの世界でいわれる「ガラパゴス化」が当たっています。そこそこ巨大な日本市場でなんとかなってしまう(日本代表クラスなら、テレビCMだってきちゃう)が、世界で通用するのは出て行った若いヤツだけだ、と
●参院選の総括をとり急ぎ。◆【1】日本の選挙民は実にまともだ、というのが第一印象です。タレント候補をほとんど落とし、政策実現性が望み薄のミニ政党や雨後の竹の子政党をほとんど落とし、二人区を見事に民主と自民に振り分けた。谷亮子当選や真山勇一落選はどうしようもないとしても(筆者は逆の当落を期待)、三原じゅん子と他のゴミ・タレント候補をちゃんと区別した
◆【2】当欄記事で繰り返し指摘しているように、一部「確信政党」(もう「革新政党」は流行らない)を除き、民主・自民の主張に大差はない(どちらも有権者の最大セクターである無党派層を取り込もうとするから)。消費税10%も同じ、「普天間移設先は辺野古しかない」も同じ。同じでしょう? で、選挙結果は「100人中55人がこっち、45人があっち」というような選択で決まる(有権者は7対3や8対2の比率には、断じて分かれない。だから、もう「革命」は起こらない)。小泉郵政選挙も政権交代選挙もそう。ということは支持者55人のうち1割弱が考えを変えただけで、50対50になる。2割弱が変えれば45対55と逆転する。最近10か月の民主政権を見れば、2割やそこらが考えを変えて当然。とはいえ、地方(一人区)を除き「自民党に入れる気にならない」のも確か。だから、みんなの党が躍進した。この点でも日本の選挙民はまともだと思うし、とくに驚くような結果でもない
◆【3】私が驚くのは、有権者がどんな判断をし、どんな投票行動を取るか見えておらず、見えないままに自分の政治信条だけに従って自滅の方向に進む政治家が、少なくないことです。舛添要一は、黙って自民党にとどまれば次期総裁の最有力候補だったはずなのに、なんで我慢できないのか。横浜市長や杉並区長は、なんであんな形で自爆してしまうのか。よくわからない。もったいないことです
◆【4】もう一つわからないのは、みんな、なんで「選挙運動」があんなにへタですかね? これは演劇をやっている娘(日藝演劇学科演出コース4年)の評ですが、「自民や民主の選挙CMは、なぜ、あんなにへタクソで、見せ方が弱いのか。ちょっとセリフを練習するだけで格段によくなるのに、なぜやらないのか。演出家が演技をつければ、さらによくなる」と。同感です。「一番」の復活を訴える自民の主張は、「歴史上、いつ、どの部門で日本が一番だったことがあるの?」と混ぜっ返されて終わりだと思うけど。平沼赳夫も、演説でどんなにすばらしい主張をしても、病み上がりの印象がぬぐえず、評価を大きく落としてしまう。「選挙とはそんなものだ」という理解が、なんでないのか、本当に不思議です。平沼赳夫と小泉進次カが、聴衆100人を前にまったく同じ内容の演説をしたら、100人が100人平沼ではなく小泉に投票すると思います。別に平沼をくさしているんじゃなくて、それが選挙でしょう? それを前提として選挙の作戦を立てるべきだと思うが、なんでそうしないのか。これも個人攻撃をするつもりはないけれども、参議院民主党のドン輿石東という人は74歳で、参議院議員の任期中に80歳になってしまう。こういう人を国会に送る時代ではなく、そのことは党派によらないし、右も左も関係ないと思いませんか?
●ついでにいえば、NHKが党首の選挙戦を振り返っていたが、なんで政治家は、あんなにダサい、みっともない姿をテレビに撮らせるんですかね。公明党代表の山口那津男が、遊説中に暑くて汗だくになるので奥さんが代えの下着の入った紙袋を渡すシーンはよい。だが、車内の下着姿(上半身ワイシャツを脱いだ下着姿)はまずい。仮にも公明党の総理大臣候補です。夕食時に何百万人も見るんですよ。庶民的でいいという声もあるかもしれないが、私は政治家の品格を落とすと思う。テレビでオバマ大統領の水着姿やTシャツ姿は見ても、ワイシャツを脱いだ下着姿は見ない。それは周囲が撮らせないでしょう。あと、暑いときはワイシャツの腕まくりをすると、”仕事ができる男”に見える(小泉純一郎もオバマもその演出をしている。ネクタイはつける)。そういうところ、もっと研究したほうがよいと思いますね

07-11
●日中は地デジ関係の作業。午後、家人と牛込一中の投票所へ。家人は途中にあるポスター掲示板を念入りにチェックし、「投票したい候補者がいない」と。これ、多くの有権者の感想だったと思います
20時前〜12日未明3時半、選挙特番チェック。【NHK】19:55〜プレ特番。おばちゃんたちのアイドル武田真一アナが「夜を徹して報道」と。19:56「出口調査による推計はすでに終了」。全国1700か所で21万6000人に聞き、74%の約16万人から回答を得た、独自の情勢分析その他も加えて、開票前の当確もあり、インターネットでも逐一報道などとアナウンス。20:00特番開始。武田第一声「与党、過半数割れの情勢。民主党は改選前の56議席に届かず、50議席を割り込む可能性も。自民党は改選第一党を争う」。20:02民主44〜51、自民46〜52の予測議席数(後からの注:実際の結果は民主44自民51で、民主は予測下限・自民は予測ほぼ上限まで振れた)。8:06当確の蓮舫一言。12日3:15社民党最後の一議席が決まったと報道
【テレ東】池上彰の解説イイ。選挙報道と同時に、事前収録した”よくわかる選挙入門”を流す。巣鴨地蔵通りロケでは、4日の縁日で10万の人手、投票率の高い高齢者が集まるなど、各党が党首演説の場所に選ぶ理由を解説。聴衆には動員された人がいる(政党カラーのシャツを着た夫婦に「その色は偶然か?」、地元地方議員「支持者30人と来た」、創価学会のおばちゃん取材といった証拠も提示)、亀井静香の第一声「嫌われ者の亀井」はうまいつかみだが、谷垣禎一の第一声「今回の選挙の争点は」はつかみなしでヘタな演説、なども的確
とくに、当確者や党幹部へのインタビューは他局インタビュアー(アナやキャスターや記者)には見られない出来といってよい。若い記者やアナが参考にすべきその特徴は、(1)回答を聞きっぱなしにせず、必ず念押しする(例:谷亮子が「政務に一生懸命励《はげ》む」と言ったら、「国会と柔道大会が重なったら国会を優先するということか?」と念押しする。責任問題の帰趨《きすう》を問われた民主党幹事長・枝野幸男が「仲間が一人でも多く国会に出てくるよう見守っているところ」と言ったら、「コメントできないということか?」と念押しする)。(2)「感想はどうか?」など漠然とした質問でなく、答えざるをえないような具体的で限定的な質問をする(例:執行部の責任に関する質問に対し、まだ答える時期ではないと答をはぐらかそうとする民主党幹事長に、「枝野さんの辞任を総理総裁・菅さんの身代わりにするのではと言われている。そのことをどう思うか?」と質問する)。ただ、残念だったのは、すべて池上彰に丸投げし、サブの女子アナやスタッフその他が池上のレベルについていけてなかったこと。自民・若林元農水相による議会欠席者の無断ボタン押し事件の説明で、ボタン模型がうまく出ず、池上が「失礼しました」と話を先に進めたのに、女子アナが模型が出たとき用のコメントを言いかけるなど、妙なシーンも。ベテランアナが進行し、ここぞというとき池上彰に振るほうがよかったのでは(進行も池上がやるから、「えーと、次は」という感じで段取りする「間」が気になってしまう)。ただ、ギャラクシー賞月間賞を出しても、あるいは他の業績も含めて池上彰に個人賞を出してもおかしくないと評価すべき番組でしょう(6月に報道活動部門選奨委員の任期を終えたから書くけれども)
【TBS】たけしは相変わらず。「大相撲は野球賭博で八百長相撲を隠した。民主党は消費税で他の争点を隠した」というようなことは、なかなかいえない。ただ、堀尾正明アナが、たけしを使いこなせておらず、もてあまし気味の印象。耳がデカく回文がうまい山内あゆの自民党本部レポートは、「怖い顔で有名な大島理森幹事長は……」とベテランの貫禄。松原耕二が当確の猪口邦子に「前回落選した小泉チルドレンとしての感想は?」というようなことを聞き、猪口は「落選でなく不出馬ですが」と話を続けた。不勉強で失礼だ、猪口インタビューが終わったら謝罪の一言をいうかなと見ていたら、一切触れずに次のネタに行った。あれはマズい。キャスターや記者は、間違ったことを口にしたとき、他者が訂正すればおしまい(それでいい)と考えてはならず、必ず自分の言葉で、直後に訂正しなければならない
【フジ】安藤優子のほお紅が、普段より濃い。前髪を一部分けて目の上に持ってくるのは、家人によれば「いまふうの若づくりでは」。ただ、11時すぎには普段の髪型に戻した。家人によれば「やっぱりいつものほうがいいってことでしょ」。安藤・木村太郎コンビは、私には新鮮みが薄かった
【テレ東(座談会)】榊原英資・竹中平蔵はじめ(ちょっと多すぎるが)なかなかの人選。内容はアスコム刊『絶対こうなる!日本経済』や昨年後半以降に『サンプロ』あたりでやっていたのと大きくは変わらないけれども。これも模型を出す段取りとか、画面下に出るデータと討論画面のかぶり(発言者の名前が見えない)とか、スタッフの不慣れな感じがありあり。スタジオ観客は大学生に限ってヤジらせる、若者・ビジネスマン・高齢者などグループ分けして質問させるなど、もっと工夫を(クイズ番組ではなく、賑やかしでいればいいってもんじゃない)。フリップに字を書かせるために渡すマジックは、先の丸いものを。先っぽが四角いと書きにくく、字がへタに見えるんですよ。フリップの上のほう、グリーンの帯より上の余白は全然いらないでしょ。下のほう、筆者の名前が小さすぎ、その右側の番組ロゴも20インチ以下の小さなテレビでは意味不明。以上はADにまかせきりではダメで、DかPがちゃんとチェックしなければ
【日テレ】島田紳助に新鮮みがなく、全体的にあまりパッとしないように見えた。深夜の若者の議論は、意欲は買うが消化不良という印象
【テレ朝】前半は、報道ステーションと代わり映えがせず、あまり見る気にならず。12日0時半頃からの田原総一朗司会の討論は、まあ、いつもの調子。メンツも、さえぎりや持論展開も『朝生』風だが、ただ、以前より気持ち優しい感じになった?

07-10
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)をぜひご取材ください(中継も可)。出席される記者や関係団体のみなさんは、上ページにあるメール・フォームを使ってお申し込みください。提言の賛同者も募っています。名を連ねてもよいと思われる方は、上ページの趣旨をよくお読みのうえご連絡ください
●13〜15時、産経新聞文化部・佐久間修志記者@神楽坂ジョナサン。「地上デジタル完全移行まで1年」につき3回連載するとのこと

07-09
●放送業界紙・文化通信社の『文化通信(速報)』(編集・発行人/指田洋)が22年7月8日(14989号)付けで、7月17日の記者会見・提言発表について紹介してくれました。中島優記者、ありがとうございます。【以下、同通信の掲載記事を引用】
◎受信側準備に問題、世帯普及率調査に不備
 有識者が地デジ完全移行延期を17日提言へ

 地デジ完全移行の延期を求める有識者が、完全移行1年前式典の1週間前にあたる今月17日(土)に提言を発表する。ジャーナリストの坂本衛氏、前BPO理事長で青山学院大名誉教授の清水英夫氏、元民放連で立教大准教授の砂川浩慶氏、元共同通信社編集主幹の原寿雄氏が発起人となり、受信側の準備が整っていない現状を踏まえ、完全移行の延期を訴える内容となる。
 この提言では、放送局の努力で送信側の準備は整いつつあることを評価。その上で、家庭のみならず、店舗、病院、学校、宿泊施設など受信側の準備が依然として整っていない現状や、今年3月時点で83・8%に達したとしている総務省発表の世帯普及率調査にも不備があると指摘し、完全移行を予定期日から2〜3年をめどに延期することを訴える。
 現在、賛同者を募っており、これまでに作家の小林道雄氏、元朝日新聞で現代メディア・フォーラム代表の柴山哲也氏、立教大教授の服部孝章氏が名を連ねている。発表当日は15時30分から東京・四谷の主婦会館プラスエフで記者会見を行う予定。
●【以上、引用記事】7時半すぎ京都発の新幹線で帰宅。10時40分〜日大授業(補講)あり。坂本は間に合わないので、助手さんに頼んでDVD「NHK JAPANデビュー第1回」を視聴。ちゃんと授業用ブログにコメントすること。16日は前期最終

07-08
●11時ホテル発。京都に出て昼すぎ、清水・産寧坂下の谷口松韻堂へ。前々回訪れたとき、いつぞや買ったコバルトブルー(店先の写真にちらほら見える水色。これが昔から妙に好き。釉薬《うわぐすり》の調子、厚さや温度で紫がかったり薄緑っぽくなったりする。こんな感じの色)のジョッキはないのと聞いたら、今度作っておくとのことだった。で、5月に行ったら、まだできていないというので、じゃあ次回と。今回はちゃんと作ってくれており、八つほど見せてくれたので三つ(いちばんデカいのは0.5リットル入り、超重い)と、別に酒器セットを購入。京都は今年いちばんの暑さとかで、石畳の照り返しがムチャクチャ暑い。ちょっと歩いた後、五龍閣カフェで涼み一服。さらに同じ敷地向かいの清水順正おかべ家で遅い昼食(単品で湯豆腐と野菜天ぷらとそうめん)。以前は五龍閣が湯豆腐屋だった
●16時すぎ、立命館大学衣笠キャンパスへ。【乗ったタクシー運転手さんによる裏技情報】京都のタクシーは3時間貸し切りにすると中型5名まで12000円/小型4人まで9780円なんだけど、30分につき中型2000円/小型1630円で時間延長・短縮可。「短縮可」がミソで、1時間貸し切りは3260円であると。なので、嵐山から大原三千院までなんてときは、1人で乗っても貸し切りにしちゃう。すると40〜50分で到着し、4000〜5000円取られるところ3260円で済むそう。東京だと15分乗って1500円、以後5分ごとに500円てな感覚だから安いでしょう。少人数のグループ旅行で割り勘なら、なお安い
●17〜19時、立命館大2010年度マスコミ対策講座「報道ジャーナリスト養成塾」の講義。その後に中華コンパ。出席者は、指導教授・柴山哲也、冨永佳弘、林勇志、塚本友里江、金子咲希、芝田佳浩、鈴木豪、坂本衛、三浦航資、森下千歩、流王理子。22時半、京都駅前の堀川通アパホテル(アパグループのオーナーが田母神軍曹の論文に賞を出した。部屋にそっち関係の冊子が置いてある)

07-07
●午後の新幹線で滋賀県・大津へ。琵琶湖塾(塾長:田原総一朗、副塾長:坂本)の第1回。嘉田由紀子知事は選挙中だから来ませんね。今回の知事選で現職に挑む上野賢一郎は、琵琶湖塾の塾生です(初年度だったか、数年前)。本日のゲスト講師は田中均。言うまでもなく2002年9月17日の日朝首脳会談をお膳立てした、田原曰く「骨のある外交官」。すると田中均は「立派な外交官」と言ってくれと
●控室で、外交官としての最初の任地がインドネシアというから、ジャカルタの日本料理「よしこ」はご存じですかと聞いた。母の古い友人の近藤芳子(故人。1950年代は静岡にいて、うちとは親戚のような付き合い)がマダムだったジャパニーズ・レストラン。彼女を「ジャカルタでいちばん有名な日本人」と書いた週刊新潮の記事を読んだことがある。帰国するたびに「日本画家の平山郁夫(のち芸大学長)が店に来た。あのエロ爺はカネにどうこう」なんて、よく話していた。極楽鳥(風鳥)を腹に巻いて来たこともある(高2のときフェリスと一緒にやった展覧会に油絵を描いて出した)。ジャカルタに赴任した外交官なら必ず行っているはずと思ったんだけど、30〜40年前の話で覚えていないそう。【9日付記】いま探したら、おお、これはマダム芳子の息子リヨじゃないか。リヨかリオだと思っていたら「良」って書くのか。最後に会ったのは40年以上前で、その後ホテルの勉強をしていると聞いていた。多摩川園に行ってざるそばを食べたとき、つゆをいきなりざるの上からかけたので、隣にいた俺のほうが慌てたんだよね
●田中均は「外交官としての私の生き方」といった趣の講演を50分ほど。ほとんどメディアで語ったことがないと思われる話もあり、たいへん興味深い内容
◆父は神戸の商社マンで、日米開戦の時ペルーで当局に拘束され死刑判決を受けた。しかし米軍捕虜との交換で帰国(アメリカが南米で捕虜交換のため日本人狩りをしたらしい)。その後、赤紙が来て中国戦線に行ったが無事帰国。敗戦直後に自分が生まれた。国家の政策によって個人の運命が大きく変わってしまう。外交が機能しなかったから戦争に突入した。その政策、外交に携わりたいという強い思いがあった
外交官としての生き方の鍵、外交官が決して忘れてはならないキーワードは次の四つだと思う。【1】確信を持つ、【2】力を持つ、【3】大きな絵を描く、【4】信頼関係を作る、の四つだ
◆【1】確信は一朝一夕に得られるものではない、長い経験から揺るぎないものとなった確信だ。【例1】80年代の日米経済摩擦で担当課長だったときの「閉鎖的な市場を開かなければ日本の繁栄はない」という確信。アメリカの要望を聞くのではない、アメリカの「外圧」を利用しても開くべきだという確信。【例2】1995年村山談話の実務責任者だったときの確信。広島・長崎で被爆した韓国人(当時は日本人)がソウルに帰ると被爆手帳がもらえないのは、断じておかしい。日本は朝鮮からサハリンに労働者を強制的に連れていったが、彼らは1948年に日本国籍を失って以後、無国籍者として放置された。韓国とソ連に国交がなかったからだが、これは断じておかしい。そのような確信。【例3】1991年の湾岸戦争で日本は130億ドルのカネを出し、まったく評価されなかった。圧力をかけられ小出しにする貢献はまったく評価されないとの確信。【例4】イランの米大使館人質事件のとき、アメリカは奪還作戦に失敗。結局、外交交渉だけが物事を解決する(人質解放につながった)との確信。そんな確信に基づき、2002年9月のときも、先立つ1年間に25回、たいていは週末に数時間、北朝鮮と交渉を重ねた。北京、上海、大連、マレーシア、ブルネイでもやった。外交官の揺るぎなき確信は、外交を動かすもっとも大事な点だ
◆【2】の力とは、軍事力や武力ではない。(1)情報の力、(2)同盟やアメリカの力(を利用すること)、(3)最高権力者の力(と結びつくこと)などだ。(1)交渉相手については、あらゆる情報を駆使して徹底的に調べる(キャンベルは野心家のbig picture manだとか)。(2)は、ガイアツがそうだ。(3)は、船橋洋一が私に「新聞の首相の動勢(1日)欄によれば、あなたは9.17以前に88回官邸に行っているよ」と教えてくれた。うち50回は北朝鮮の話だ。北朝鮮側は、日本の新聞を見ており、NHKもモニタしている。だから「この外交官は首相の直接の指示で動いている」と交渉相手にわかる
●【3】大きな絵を描くことは、つねに意識する。拉致問題をなんとしろと机を叩いて怒っても、何も解決しない。「一方が100、他方が0(ゼロ)」という外交はない。Win-Winで、互いに利益がなければ。しかし「拉致を認めさせ、対価を支払う」ことはできない。それはダッカ日航機ハイジャック事件の超法規的措置(人命は地球より重い)と同じで、テロを認めることになるからダメだ。どうするか? そこで、より大きな絵を描く。将来国交を正常化し、経済交流が始まり、北にもカネが行くと、妥協できるところまで絵を広げる。これが外交の鉄則だ
◆【4】信頼関係がなければ、外交はできない。鳩山さんは普天間以前に、アメリカとの信頼関係が崩れた。重要なのは首脳同士の個人的な信頼関係ではなく、国家間の信頼関係。約束したことを実行できるかどうかだ。とりわけアメリカが「人を見る」のは「実現する能力があるかどうか」を見る。スパイ容疑で北朝鮮に捕らえられた日経記者を無条件で解放せよと交渉したことがあるが、記者は帰国する飛行機の中で「いくら払ったのか?」と聞いた。日本政府は鐚《びた》一文払っていない。信頼関係はカネではない
◆2002年の首相訪朝で自分は批判された。03年9月には自宅に爆発物を置かれた(坂本注:石原慎太郎は「爆弾を仕掛けられて当然だ」と、立場をわきまえないきわめて愚劣な発言をした)。当時、私から被害者調書を取った検事は「あなたを『売国奴』と批判するすべての雑誌を読んだが、自分には、なぜあなたが批判されるのか理解できなかった」と言った。世の中は思惑で、「批判の利益」がある者は批判する。だが、確信があれば揺らぐことはない。ある新聞記者が「安倍晋三は、日に2回あなたの批判をしているよ」と教えてくれたことがある。安倍さんは北朝鮮に対する強硬姿勢で総理になった政治家。私は官僚だから、批判も自己弁護もしない。しかし、時がたって「自分は正しく生きてきたか」と思うだろう。そのとき自分の使命感に照らして、後悔だけはしたくないと思って生きてきた。外務省をやめることは2000年に決めていた。家内に「やりたいことがある。大使にならなくてよいか」と聞いたら「いいですよ」と言った。ただし、私の更迭論が出たこともあるが、外からの圧力では絶対に辞めないつもりだった。うんぬん
●車座集会で私が「田中均さんの言った四つは、とても参考になる。ジャーナリストの生き方で大事なこと四つと、まさに同じだ」と言うと、田原も「まったくそうだ」と同意しました。経営者、営業マン、教師、どんな仕事や生き方にもいえると思います。たとえば地上デジタル放送で私には、ハード至上主義ではダメという確信が90年代から、今回のやり方は2011年までには無理だという確信が2003年11月の段階からある(その証拠はこのサイトで読める)。
●「地デジを延期すると、サイマル放送負担がNHKと民放局で年200億円くらいになる。大変だ」という人がある。「NHKは60億円で大変だ」と福地会長が言った。私の反論はこうです。受信料収入6500億円の1%以下で、何が大変なんだ? 地デジ化コストが普通の家庭で年収の何%に当たるか、考えたことはないのか? 薄型テレビ7万円+アンテナ工事3万円=10万円が1%で済むのは、年収1000万円の世帯だ。年収500万円の世帯では2%。300万円なら約3%、200万円なら5%。NHKの1%が、何だっていうんだ? しかも、年収200万円の世帯は、年2万円以上のNHK受信料だけで収入の1%超を占めてしまう。テレビ購入とアンテナ工事で10万円かかったら、初年度に年収の6%超を地デジ対応とNHKに取られ、以後10年たっても20年たっても年収の1%超をNHKに取られ続ける。福地会長は、以上のことを考えたことがあるのか? そんな国民(20%前後)に、とにかく2011年7月までの1年間で年収の何%かを割いて地デジ化してくれ、うちは2011年7月以降に年収の1%を払うことなど一切お断りだ(延期は困る)からと、どの面下げていえるのか? ふざけないでいただきたい。受信料を支払ってあなた方NHKを支えてきたのは、貧乏人も含めた日本国民ではないのか!?──これが、私の「確信」です。「いまのやり方は、断じて許されない」という「確信」があるのです。そのことを7月17日の会見で訴えたいと、私は思っています。【2】〜【4】については、また今度
●田中均は明日早いとのことで、8時半の塾終了とともに帰京。引き続き車座集会。田原総一朗は塾の質疑応答もだが、たいへん饒舌。その後22時前から、大津駅近くの下田屋にて探求会(琵琶湖塾のボランティア運営スタッフ)メンバーと通称「裏塾」こと飲み会。出席者は後送(誰かメールして)。24時すぎに大津プリンス

07-06
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本、清水、砂川、原ほか)のページに、提言本文をupしました。記者会見への出席申し込みも上記ページからできます。発起人は本日以降、提言への賛同者を募るメールを順次送信する予定です
●地上デジタル放送の世帯普及率が83.8%なんて、ムチャクチャな数字が流通していますね。私たちの見解は次の通り(17日には、A4で10枚くらいの詳細な資料を記者さんたちに配布しますが、以下はその一部。もちろんすべて上記ページに掲載します)
●総務省が発表した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」(以下「浸透度調査」)が示す3月時点での地デジ普及率83.8%は、以下の理由から、正しい普及率を示しているとは到底いえない。
(1)RDD法(Random Digit Dialing=ランダムに生成した番号に電話する)により電話を30万本かけ、通じた家庭に「地上デジタル放送に関するアンケート調査票を送ってよいか」と聞き、「よい」と答えた家庭だけに郵送調査する。したがって、電話がかかる時間帯に不在がちの単身世帯や共稼ぎ世帯、携帯しか持たない若者世帯、「よくわからない」「面倒くさい」と答えがちな高齢者世帯、受信機を持たないなど調査に非協力的な世帯が、高い割合で調査から漏れている。
(2)厚生省の2009年「国民生活基礎調査」によると年収400万円未満世帯は全体の46.5%。浸透度調査の年収400万円未満世帯(4822サンプル)は全体(1万2875サンプル)の37.4%。浸透度調査は所得が比較的高い層に大きく偏っており、実態にそぐわない。
(3)理由は不明だが、都道府県によってサンプル数が大きく異なる。面積8万3456平方キロと国土の22%を占め人口552万人(10年3月)の北海道は402サンプル。面積2276平方キロと香川・大阪・東京についで小さく人口138万人(09年10月)の沖縄は1012サンプル。社会調査の専門家によれば、「少なくとも、なぜそのようなサンプリングをしたかとの理由を明記すべき。それがないから信頼性に欠ける調査だ」という。
(4)調査票の郵送を拒否した者を除く調査は、「調査に協力的なグループ」だけをピックアップした調査であり、普及率調査にはなじまない。メーカーが商品開発の参考のため「好きな酒の種類は?」と聞く調査ならば、酒が嫌いで調査に非協力的な者を排除してもかまわないが、日本のテレビ放送を停止する参考のために聞く調査で、調査に非協力的な者を排除してはならない。特定グループでなく日本人全体の傾向を知る必要があるからだ。地域を限定した全数調査や、より信頼のおける訪問調査をすべきである。
●2003年暮れからやって普及率がやっと「60%台」のものを、あと1年でどうせいっちゅうの、って話。また別の話で、隅田のスカイツリーは関東広域圏の地上デジタル放送に必須の600m級電波塔とされていた。その開業は2012年春で、フルパワー送信は12年12月以降にズレ込む予定なんですよ。2011年7月に現行アナログ放送を打ち切ったらマズいでしょ? 東京・千葉・埼玉・神奈川など南関東はどうしようもない状況で、湘南のほう(東京から見て山陰の海側)なんか大変。鎌倉あたりでも調査のたびに難視聴世帯数が増えて、鎌倉市庁舎の屋上に中継局を建てるが、それでもダメな世帯はどうするとかね。まあ散々な状況です

07-05
「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める」記者会見・提言発表(7月17日午後@四ッ谷。発起人:坂本 衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄ほか)の案内ページを新設しました。取材していただける方はご覧ください。一部コンテンツは鋭意準備中で、7日昼までにupします。この記者会見の予定は、掲示板その他にご自由に転載していただけます。告知にぜひご協力のほどよろしくお願い申し上げます
●7月4日午後5時59分から1分間、アナログ放送を砂嵐にして視聴者の注意を喚起するというので、見てデジカメを撮ったが、ええっ、砂嵐はそれだけなの? 2003年からアナログ停波の延期が必要と主張し、7月17日にも自腹で(カンパは受け付けます)記者会見まで開いて延期を求める提言を出そうと準備している私でさえ、「こりゃダメだ。こんなんじゃ、ちゃんとしたアピールにはならない。弱すぎ、見過ごされてしまう。爺さん婆さんたちには、何のことかわからない」と思った手抜きの1分間でした。推進側のアリバイづくりの類で、本気ではないのが、ありありでしたね。これでは抗議の電話もかかってこないでしょう。だからホッとして「PRがうまくいった」と考えるのが、おかしいわけ。それは、ちゃんと伝わっていない証拠だから
地デジ普及率が80%以上なんて大嘘で、まだ60%台です。二人以上世帯を対象にした3月の内閣府消費動向調査ですら、薄型テレビ(もちろんハイビジョンテレビのほか、アナログの薄型液晶を含む。ちなみに2006年1-12月の薄型テレビ出荷台数はプラズマ76万・16対9液晶453万・4対3液晶106万だから薄型テレビの6台に1台は地デジ非対応だった。さらに年次を遡れば地デジでない薄型テレビの比率が上がる)の普及率は69.2%。これは、ただでさえ高所得者層に偏るとされる調査で、単身者1000万世帯(うち高齢者単身世帯400万)をすべて無視して、の話です。また、厚生労働省によれば日本には生活保護世帯が134万世帯(10年3月現在)あり、さらに所得が生活保護基準を下回る世帯が229万世帯(2007年の厚労省国民生活基礎調査のデータに基づく社会・援護局保護課の推計。10年4月公表)ある。合わせて360万世帯だが、その3分の1強の生活保護世帯に限る簡易チューナー配布と無料アンテナ工事すら、予定より大幅に遅れています(生活保護をもらっているのが近所にバレてしまうと考える世帯が多いようで、なかなか申請しない)。これ以外に、共同受信施設(山間地域、都市難視聴地域、難視聴とは関係ないアパートやマンション)のデジタル化が大幅に遅れているんですよ。このままでは、2011年7月段階で、数百万規模以上の世帯が地上デジタル放送に対応できない可能性がきわめて濃厚です。私たち(発起人は坂本衛、清水英夫、砂川浩慶、原寿雄ほか)はそのことを7月17日の提言で主張します。今日明日で当サイトに専用ページを新設する予定です(それまでは06-23の項をご参照)
●大相撲が大甘処分。ふて腐れ、仕方なくいやいや謝っている理事長は何様なのか? NHKが相撲協会に支払う放映権料は年間30億円。その一部が力士に給与として渡り、その一部が野球賭博で暴力団に流れていたわけだから、早い話がみなさまの受信料の一部が相撲を通じ暴力団に渡っていた。名古屋場所のテレビ中継を軽々に決めることができないのは当然です。もちろんNHKは、一目その筋とわかる連中がずらりと特等席に並ぶ映像を持っている。顔にぼかしをかけて出す手はあるが、エグすぎて出せない。みなさまの税金で運営される文部科学省も、税金を使って財団法人日本相撲協会を優遇してきたから、早い話がみなさまの税金の一部が相撲を通じ暴力団に渡っていたも同然。さっさと事業仕分けの対象にすれば?

07-04
●昨昼12〜15時20分堂本光一『エンドレス・ショック』公開稽古、16時〜囲み取材@帝国劇場。時間がなく代わりに家人に行ってもらい、白波瀬傑にご挨拶(放懇の連中はまるでわかってないらしいが、こういう準備を重ねてGALAC表紙を依頼するわけ)。NHKの取材が入っており、8月18日(水)22:00〜22:48NHK総合テレビで(仮題)『堂本光一とSHOCKの10年』を放映するそうです
●昨夜は久しぶりに家人と神楽坂で夕食。赤城下町(赤城神社裏の石段向かい)のもつ焼き加賀屋へ。ここは、たとえば焼酎緑茶割りを注文すると、「焼酎と氷入りグラス+濃いめの緑茶入り小瓶(ジュースや炭酸なんかと同じ感じ)」をくれる。で、緑茶を半分くらい使って一杯目を飲み、二杯目は「中お代わり」と頼むと焼酎と氷の追加をくれる。ホッピー・システムの焼酎割りです。定番は煮込み500円、シロ・ハツ・レバ・タン・カシラなど串焼き2本240円、メンチやコロッケ、なす1本漬けなど。安く、平日は近所の印刷屋のオヤジなんかで早い時間から一杯になる。土曜は家族連れもちらほら。もー吉安倍俊彦の奥さん・津久戸臼井従姉妹カッちゃんと遭遇
●隣に若いカップルが座っていたんだけど、ビールを飲んでタバコを吹かし、頼んだ串焼きをかなり残して帰った。「残すなら頼むんじゃねえ!」って思うんだけど、残してサラリと帰るのが格好いいとでも考えているのか。まあ私の経験では、育ちがいい者ほど残さない。財閥や医者やらの息子が多い飲み会で、店員がじゃがバタを下げようとしたら、「待って」とジャガイモの皮を平らげたヤツがいて、たいへん感心したことがある(たしか李家)。私は、とくに育ちがいいとは思わないけれども、刺身のつまを店員が下げようとすると「待った」と言って残らず食う(そう言うのがイヤなので、刺身が一切れ残っているうちにつまを完食することにしている)。『日本人とユダヤ人』に、ユダヤ人が「魚の切り身に添えた野菜や、サンドウィッチのパセリを残すのは、日本人の宗教的タブーか?」と聞いたという冗談が出てくるが、そう思われるのもなんかシャクだし
●旧・赤城神社を抜けて神楽坂へ出て、理清蘭に余って帰る。赤城神社は、旧本殿と幼稚園(うちの子らも通った)を壊し、鎮守の森の大部分を潰して高級マンションを建ててしまった。歴史的な経緯を考えれば神社の境内(土地)というのは、神主の家の”純粋な私有財産”ではないはずですね。神社は氏子《うじこ》(牛込地域一帯の住民たち)が支え、神社の土地や森は、共同体の主要行事をおこなう集いの場だった。それを受け継いだから、宗教法人として税金も一般企業のような額を納めなくてよかった。その土地を神主が更地にして、マンションを建てる。しかも、このエコロジーの世に、牛込一帯でいちばんと思われる巨木を何本も切り、森を潰した。とんでもない話ですね。うちの子が根元に死んだカブトムシを埋めた木も、もうない。「新宿区保護ナンタラ」という札のかかった大木が何本かあったと思うが、何のために下げていたんだか。まあ、氏子ったって、町内会を牛耳る老人連中しか機能しておらず、神社側は彼らをうまく丸め込んだわけでしょう。赤城幼稚園の風山繁子園長は、商店街のオヤジたちを下の名前で「○○ちゃん」と呼ぶような女傑で、反対もしにくかった。私は仲よしで、幼稚園の式典で万歳三唱の音頭を取ったこともあるし、子どもらもずいぶんお世話になったけれども(息子が小学校の家庭科でマフラーか何かを編み、学芸会で「園長先生へ」と書いて出したら園長が涙ぐんだとか、長女が七五三の着物姿を見せに行ったらご祝儀をくれたとか)、もう高齢で次の世代にすべてをまかせてしまったんでしょう。神社は小規模にリニューアルされ、いま結婚式の募集をしているそうだけど、ま、高級マンションオーナー(収入面からは当然そっちが本業のはず)に祝詞なんか上げてもらいたくないですね。私が赤城神社に賽銭を上げたり参拝することは(20年近く続けてきたが)もう二度とあるまいと思います
●帰宅後サッカー。うーん。ドイツ強い。強いというか、ものすごく「硬い」感じ。アルゼンチンを応援していたけれども、4-0とは。やはり応援していたパラグアイも善戦したが、スペインが勝ち。こりゃ順当にいけば74年大会の再現で、ドイツ優勝ですね。それじゃ、つまんないから、南米を応援していたわけだけど
●まず前半3分の失点が、あまりに不用意。その後アが立て直し、とくに後半開始15〜20分まではよく攻めたが、あそこで同点にできなかったのが痛すぎ。2点目で勝負あり。アはメッシが風邪気味らしく精彩を欠いたうえ(力ない正面シュート連発)、全体的に動きが悪かった。守備・攻撃とも人数が絶対的に足りないうえに、パスをもらうべき選手が動かない。危なそうなとき独は自陣に全員が引き、ペナルティエリアの上付近に8人以上で二重三重の壁を作ったが、アは多いときでも6人。攻めも前のイグアイン・テベス・メッシの3人が中心で押し上げが足りず、サイドからディマリアの突っ込みが目立ったくらい(それもパスの出し所がなく、遠すぎて見込みの薄いシュートに)。独の得点シーンを見ると、クローゼの後ろに3〜4人がフリーで走り込んでいて、第2波3波が用意されている。アにはそれがなく、3〜4人で虚しくボールを回しては、一人が隙を見つけて個人技で突っ込んでいくと。統制の取れた組織サッカーの勝利でした。いくらうまくても、やっぱ走らなきゃダメでしょう。あと4点目、エジルのアシストは、ありゃすごい。あれで21歳かと、溜息が出ますねえ。アルゼンチンは、あの監督を何とかしなくてはダメ(おもしろいから好きなんだけどね)

07-03
おおっ、まい、がーっ! ブラジルがオランダに負けてしまった!! 楽しい酒を飲んでいたのと”油断”により見ておらず、今日午後にネットで知った。06-27当欄で「カカの出来しだいで思わぬ落とし穴も」と書いたが、フェリペ・メロが勝てた試合をブチ壊しに。主審を務めた日本の西村雄一、イイ。結果、ブラジルがいた山の決勝進出は、オランダか。ウルグアイはスアレスを欠くのが痛い。ガーナは大善戦、というか(見ていないがネット記事から判断すると)勝っていた
●これで今夜のアルゼンチン-ドイツ戦が、ますますおもしろくなった。ドイツは、オランダに続いて俺らも南米粉砕だ、決勝は74年を再現してやろうじゃないかと思っている。今後8年間ドイツ代表を牽引するエジルも、何かやらかしそう(21歳の彼はトルコ系で、いってみればドイツ軍隊式サッカーの傭兵)。W杯を伝える新聞各社のサイトは、産経が圧倒的にイイ。読売・朝日はいくら日本が姿を消し、週末に入ったからって、あそこまで手を抜くもんですかねえ。西部謙司の7月2日付け「インテル化するW杯 変わりゆく戦術トレンド」という記事は、当欄既出の守備的サッカー、負けにくいサッカー、サッカーの軍隊化などに関わる話。ご参考まで

07-02
●昨日の当欄サッカー審判とオフサイドについての記事、ご理解いただけましたか。典ピーわかった? 一つ補足しておくと、主審は対角線上を行ったり来たりと書いたけど、実際はコーナー付近まで行くことはまずなく、対角線にある幅30mくらいのベルト(でフィールド四角形に内接する部分)上を走る。角まで行くと帰ってくるのが大変なので。それと攻守のジャマになるからペナルティエリアには入らない。よく動く選手は90分で10キロ以上走ります(闘莉王や中澤は攻撃参加の往復があるから無茶苦茶たいへん。120分ならなお大変)が、よい審判も両チームを通じて移動距離が最大の選手と同じくらいの距離を走ります
●国境なき医師団JAPAN元会長の臼井律郎が、世界サッカーの戦力分布(?)に関する考察を面白く読んだ。それに刺激されてかワールドカップを見ていろいろ考えていたことを書いてみる気になったと、次のようなメールをくれましたので、許可を得て掲載。臼井は中高でサッカー部だったかな。まあ、こんな鋭いことを考えるヤツが新聞を読んだりテレビを見たりするんだから、記者という仕事は実に難しい。担当になって2〜3年では、現象を追いかけるだけで手一杯
◆【臼井メールここから】近年,南米・ヨーロッパのサッカーはともに,組織化への道をひた走っているような気がします.守備はもちろん,攻撃に関しても,相手の組織的守備を崩すための組織的戦術が,さまざま考案され実現されてきたように思います.こうしたサッカーの中で個々のプレーヤーにまず求められるのは,計算された戦略を実現するために必要な,肉体と精神の強さ,規律,忍耐,命令への服従などです.90分間安定した戦いを実現して勝つためには,こうした美徳が,個人の自由な発想やインスピレーションに優先される傾向が強くなってきているように思います.そして,こうした組織サッカーに求められる美徳は,実は,優秀な兵士の条件と同じようにも見えます.ですから,僕はこうした現象をひそかに“サッカーの軍隊化(militarization)”と呼んでいます.
◆“すべてのスポーツは戦争のシミュレーション”という言い方もあるくらいで,組織化されたサッカーを徹底することは,手っ取り早く結果を出すための近道だと思います.そして,現在のナショナルチームでこれにもっとも成功しているのは,彼らの強さ,速さ,高さ,組織力を見ると,多分ドイツに違いないと思います.日本も,組織サッカーで効率よく結果を出すことに努力を集中してきましたし,一次リーグでスペインを破ったスイスなども同様だろうと思います.
◆ところで,軍隊なら,目的は効率よく勝つことだと思います.もしハナから勝ち目がないときには,被害を最小限に抑えてしのぐことも大切で,これは,格上のチームを相手に引き分けを狙うサッカーの試合に少し似ています.では,サッカーの目的も軍隊と同じかと言うと,サッカーには,ときには勝利よりも大切なものがあるというのが大多数の考えのような気がします.たとえば,2006年ワールドカップ決勝でジダンがとった行動は,軍隊でなら銃殺刑に価するかもしれませんが,実際には,彼の行動を支持するフランス人は多いようです.これは,フランス人たちがサッカーを戦争のシミュレーションというよりは,むしろ芸術だと信じていることの一つの証拠だと思います.(芸術家たちの集団は,まとまれば強いのですが,つねに空中分解の危険をはらんでいるようです)
◆サッカーにはこうした文化があるようで(ラグビーやテニスにもあると思います),サッカーの試合の戦評にはつねに,組織・戦術に関する評価などとともに,inspiration,imaginationといった,普通は芸術を評価するための言葉が使われます.ですから,ドイツは確かに強いけれども,内心では彼らにはあまり勝ってほしくないという人も少なくないと思います.強くて速くて高い奴らを集めて組織すればいいのなら,サッカーに芸術はいらないことになります.(かつての,オベラーツやベッケンバウアーの西ドイツは,今よりもっと芸術的だったように思いますが,いかがですか)
◆今回のワールドカップで日本のサッカーが多少は評価されたとすれば,そこにはまず,経済は大国でもサッカーは小国のJapanがなかなか頑張っているぞという,一種のエクゾティシズムのような感覚があると思います.これには当然,結果を残したことが前提となるわけで,この点に関しては日本の組織サッカーの功績だと思います.いずれも強豪の4国を相手に,キーパーチョンボとPKの計2点だけに抑えた守備は大したものです.(川島のスーパーセーブに救われた場面が何度もあったにせよ.)ただ,遠藤のように本来はインスピレーション溢れるプレーヤーや,攻めが大好きなTulioが,彼らの能力の99%をひたすら守備に割いて,やっとこのレベルを維持できたという言い方もできると思います.
◆僕の個人的な意見では,世界が一番評価したのは,日本のようにすべてが組織的に動く国のチームが,組織力だけではなく,芸術的ともいうべきプレーを何回か見せて得点を重ねたことです.これには,本田と松井と遠藤の力が大きいと思います.スーパーフリーキック2本はもちろんですが,同様に,デンマーク戦の岡崎の1点も多くの人の印象に残ったと思います.現在の組織サッカーの中でチームプレーというときには,個々が全体の歯車としての仕事を正確にこなすというニュアンスが強いように感じます.しかし本来,チームプレーというのは,チームメート相互の信頼と敬意の上に成り立つものだと思います.本田が,一体何を思ってあのラストパスを出したのか知る由はありませんが,あの二人の間に,信頼と敬意が存在したことは間違いないと思います.70年代ごろ,まだサッカーが紳士のスポーツと呼ばれていたころには,チームメートにゴールの栄誉を譲るというシーンは時々見られたように記憶しています.あの岡崎のゴールは,多くのファンの琴線に触れ,印象に残るプレーになったと思います.
◆日本サッカーが少しは進歩を遂げ,ときには“サッカーの軍隊化”を超えて芸術の領域に手が届きそうなところまで来たのだとすれば,再び“軍隊化”して戦ったパラグアイ戦は少し残念な気がします.ただこれは結局,僕個人の好みの問題で,力が均衡した同士がどうしても負けられない試合をすると,しばしば“息詰まる凡戦”になるというのも,サッカーにはありがちだと思います.
◆蛇足ですが,あまり言われていないようなので一言触れると,日本を含めアジア代表の5チームは,どこもフェアプレーヤーだったと思います.これは,誇りに思っていいことではないでしょうか.【臼井メールここまで】
●おもしろいですねえ。メディアは寄稿を頼んだらいかが? 坂本見解は以下。まず組織化・守備化=サッカーの軍隊化というのが、イイ。「ファンタジスタ」の本家イタリアやイベリア半島など南欧ラテン系は芸術のほう。中・北・東欧コンチネンタル系は軍隊のほう。フランスは大陸っぽい部分もあるが、プラティニなんかは芸術のほうで、とくにアフリカ系が入るとそっちに近づく。ドイツの軍隊式に対して、ブラジルやアルゼンチンは芸術家・職人集団が軍隊式を採用したようなもの(「そっちのほうが強い」が坂本予測)。で、身体能力が弱い、または赤ん坊のときからボールを触っているわけではない連中は、軍隊式でいくと。「日本サッカーは欧州のサッカーが忘れた献身・他者への貢献の精神を持っている」というようなヨーロッパ人の評を読んだ記憶があるが、これも軍隊式の大きな美徳の一つでしょう。ただ、日本が芸術的なのは、ほとんど「置いた(停止した)ボール」を扱うときだけなのが、痛い。芸術の領域はまだまだ遠いと思う。日本やアジアのフェアプレーはその通りだが、これはレベルが違いすぎてうまく反則できない、という側面もあるのでは。「オベラーツやベッケンバウアーの西ドイツは、今よりもっと芸術的だった」のは、まあ、そうですね。でも、”フライング・ダッチマン”こと芸術的なヨハン・クライフにドイツのバックがスッポンのように食いついて離れず、オランダを下した。全体としていまより芸術的だったとしても、74年は軍隊式ゆえの勝利だったと思うな。ベッケンバウアーがネッツアを嫌ったのも軍隊式だからでしょう
●10時40分〜12時10分、日大授業。明朝の東京新聞特報面で、地デジ問題をやるようです。先ほど少々コメントし、資料をメール。18時〜彫刻家・吉本義人、藤森隆と天王洲で飲む。

07-01
●わっ、2010年も半分が終わってしまった。時間がない、ますます追い詰められてきたなと感じる今日このごろ……
●今日はサッカーはナシですが、ちょっと書いておきたい。ベスト8が出そろったところで、二つの大誤審が問題とされました。対ドイツ戦でイングランド・ランパードが放ちバーに当たって直下に落ちたシュートが得点と認められなかったのと、対メキシコ戦でアルゼンチン・テベスのヘディングシュートがオフサイド見逃しで得点になった二つのケース。関与した審判は外され、FIFAは新技術の導入を検討すると報じられています。一部の新聞記事は二つをごっちゃにしていますが、間違いですね。前者は、全審判が最善を尽くしても判定が難しく、ゴール裏カメラかスタンドその他からの俯瞰《ふかん》カメラ(または以上と同じ視点)によらないと正確には判定できない。後者は、副審(線審)が普通に仕事をしていれば見逃すはずがない単純ミス。両者は問題の質が異なるから、対応策も異なる
●主審というのは、フィールド内を斜め対角線上に走り、なるべくボールのそばにいて、ボールがある地点で起こるハンドや危険なタックルなどの反則を取る。ゴール判定や、ゴール付近でボールをゴールラインから出したのはどちらか(ゴールキックかコーナーキックか)も見る。副審(線審)二人はフィールド外にいて、自分に近い場所での反則やボールを出したのはどちらかを見るほか、重要な仕事としてオフサイドかどうかを判定する(ただし、最終決定するのは、どんな問題についてもつねに主審。副審は自分の判断に基づき旗で合図し、求められれば意見を言う)。以上三人のほか「第四の審判」がつく場合がある。W杯で両ベンチ間のライン際にいて交代選手の表示を出したり、監督が前に出すぎると注意したりするのがそうです
●サッカー大好きなんだけど、オフサイドがどうもイマイチわからないという女性も少なくないのでは。そこでちょっと解説しておくと、オフサイドは、敵陣で、しかもボールより前(敵ゴールに近い位置)にいる味方選手に対してパスする(ボールを送る)ときは、その味方選手と敵側ゴールラインとの間に、敵ゴールキーパー以外に最低もう一人敵選手がいなければならない(または、以上の条件を満たさない味方にパスを出してはいけない)というルール。その「もう一人」がいない場合は、オフサイドの反則を取られ、敵が間接フリーキックをもらう。パワープレーなどでキーパーがゴールを守っていないときは、上の文章は「味方選手と敵ゴールラインとの間に、敵選手が二人以上いなければならない」と読み替えます
●ようするに、ゴールを一人で守る敵キーパーのすぐ前にいる味方選手にパスを出してキーパーと1対1の勝負をさせるのは、フェアでないというか、紳士的でない。たとえば背が超高い選手をいつもキーパーから4〜5m離れた場所にへばりつかせて、そいつに高いボールを集めればヘディングでポンポン入るかも。でも、そんなゲームはつまんない、という趣旨のルール。ただし、味方のゴールキックとスローインはオフサイドの例外で、反則にならない(今大会はボールがよく飛ぶので、ゴールキック1発でトップ選手と敵キーパーが1対1となって得点したシーンがあったでしょう。バックスが蹴ればオフサイドになる)。また、ボールとまったく関係ない位置にいる(干渉もしないし、利益も得ない)味方選手は、その者にボールが出ればオフサイドになる位置にいたとしても、オフサイドにはならない(私がやっていたころはそれも反則だった)。敵陣でのコーナーキックや、一人がドリブルで斬り込んでいき深い位置から後方や横にパスを出すときは、キッカー以外の味方全員がボールより後方にいるから、オフサイドにはならない。最後にボールに触ったのが敵ならばパスではなく、もちろんオフサイドにはなりません
●ところでオフサイドは、「パスを出す瞬間に、味方選手がオフサイドとなる位置にいるかどうか」で判定する。ボールが空中を飛んでいるうちに、敵を追い越してゴール前に駆け込み、ゴールキーパーと1対1の位置でボールを受けても、オフサイドにはならない。で、主審はいつもボールのある地点を中心に見ているから、パスが出た(蹴った)瞬間に、遠くにいるそいつの味方と敵キーパーの間に守備選手がいるかどうかなんて、わからない(頭の後ろに目が付いていないので)。そこで副審の出番です
●副審Aは、フィールドのサイドライン(=タッチライン)ぞいに、ハーフライン(=センターライン。真ん中の横線)付近から一方のゴールラインまで行ったり来たりする。反対側サイドに副審Bがいて、ハーフライン付近から他方のゴールラインまで行ったり来たりする。文章の説明だけで、わかるかな。フィールドを真上から見たとき「日」の形になるでしょ(天地の横棒中央にゴールがある)。主審は対角線上に走ると書いたのは、日の右上角から左下角までを斜めに行ったり来たりする。このとき副審Aは日(=口が上下に二つ重なっている)の上側の口の左辺ぞいを上下に動く。副審Bは下側の口の右辺ぞいを上下に動く
●なぜこんな動きになるかというと、副審は、つねに自分の担当するフィールド半分にいる守備側の選手のうち後方から二人目の者(キーパーを除きいちばんゴールに近い者)と位置を合わせる。つまり、自分の位置と守備の最終ラインを一致させる(ただし、ボールが守備の最終ラインを越えてゴールに近づいたら、なるべくボールのラインに合わせてゴール方向に動く。強いシュートは時速110〜130キロほどだから現実には動けないけれど)。すると最終ラインを飛び出している攻撃側の選手がいれば、一目瞭然。しかも、サイドラインの外側にいるのだから視野が広く、パスを出した瞬間もわかる。そこで、オフサイドの合図の旗を上げるという段取りなのです。こうして副審二人がフィールドのほぼ半分ずつを行ったり来たりして、全フィールドをカバーする。半分を越えて行かないのは、バックスの一人がたいてい自陣に残っているからです。すると、日の字の上側の口の右辺と下側の口の左辺に副審がいないでしょ。主審はそこをカバーするように動くから、右上と左下を行ったり来たりするわけ。蛇足だが、うまい主審はつねにボール(つばぜり合いが起こっているプレー)を自分と副審一人とではさむような位置取りを心がける。ボール(や選手のぶつかり合い)と副審の両方を視野に入れ、副審の合図を瞬時にとらえるためです
●もっとも副審からは、他の選手が死角を作って、パスを出す瞬間が見えないことがある。また、ボールの出所が遠いと、蹴ったのを見てから最終ラインを見るという二段動作になり、オフサイドではない位置から駆け込んできた選手にオフサイド判定を出してしまうことが、よくある。しかし、副審が通常求められる動きをしていれば、テベスのように露骨なオフサイドを見逃すことはあり得ません。モメたとき「絶対にオフサイドだ。間違いない」と主審に意見具申できなかった副審は、ちんたら走って守備の最終ラインに追いつかなかったか、ボールをよく見ていなかったか、いずれかです。これは審判の技量の問題で、論外。そして、オフサイド判定はそもそも微妙(パスを出す「瞬間」とは、ボールが足から完全に離れた一瞬だが、そんなのは足元を横方向から見るときと斜め・縦方向から見るときでズレて当然)だし、微妙な判定でオフサイドにされたら、次は駆け込むのを一歩遅らせればよい。オフサイド判定をいちいちビデオで確認など、馬鹿バカしい。しかし、得点かどうかの判定は別。これは試合中に1回あるかないかの話で、しかも勝敗を決定的に左右してしまう。だから、ゴール裏に複数のカメラを置き必要なときチェックするか、ゴール判定審判を二人追加するかすればいい

06-30
●昨夜は23時から、サッカー日本-パラグアイ戦を家人とテレビ観戦し、近所迷惑も顧みず大声を出して応援。松井のバーに当てたシュート、ゴール左にわずかにそれていった本田のシュートは惜しい! だが、フリーキックやコーナーからの闘莉王らの攻撃は、枠をとらえることができず。どれも遠藤が放り込むばかりは、一本調子すぎてやや疑問。パラグアイは決定力を欠いたうえ、日本の守備陣(とくに川島)が大健闘。岡崎、中村憲剛、玉田圭司の交代も、うまくいったほうだが(とくに中村。スピード、うまいパス出し、ミドルシュートの信頼性は、持ちすぎのうえ虚しい大ハズレの枠外シュートを連発した他の選手とは比較にならない)、十分には機能せず。結局、延長の末PK戦で負け。しかしながら、日本は本当によく戦い、実力以上のものを出しきった。「へたなりに」行けるところまで、いやその先まで行ったと思う。立派!
●繰り返すが、ベスト16に進むことができたのは御の字。カメルーンが半崩壊(日本戦は崩壊で、その後に立て直し)したから、タナボタで上に行ったので、グループリーグでちゃんと「勝った」といえるのはデンマーク戦だけ。しかも、結果オーライで分析なしのメディアは、代表監督の岡田武史を「名将」であるかのような持ち上げようだが、直前の二流相手の練習試合で初めて試した戦術を一か八かでやってみたなど、愚の骨頂。あんなのは、追い詰められ、打つ手がなくなって、苦し紛れに採用した愚劣な作戦で、たまたま第一戦が壊れた相手だから通用したように見えただけ。あんたはいつから代表監督をやっているんだ? いままでずっと続けてきた練習やらフォーメーションやら戦術やらは、何だったんだ? 2010年に入ってから負けた試合(つまり、ほとんど全試合)直後のインタビューで「課題が見えてきた。やるべきことがわかった」とか「やるべきことはやった」などと言っていたのは、全部デタラメだったわけか? という話です
●だから、誉めるべきは監督の采配ではなく、直前の唐突でデタラメな作戦変更によく対応した選手たち。フランスあたりだったら「ふざけんな、このヤロー」となるところ、よく耐えて一丸となり、工夫を凝らし、気力と体力を振り絞って戦った。そもそも岡田新(珍)作戦では、センターフォワードがいない、というかフォワード(FW)が一人もいないんですよ! ミッドフィールダー(MF)とディフェンダー(DF、バックス)だけで戦い、途中から出したフォワードは岡崎・玉田だけ(二人とも実質的には0点)。こんなアホな作戦は、世界のサッカーでも、日本のJリーグでも、小中高大のサッカーでも、ほとんど採用された例がない(いわゆる「ゼロ・トップ」。久野明によると、セリエAなんかでは例があると)。各国のフォーメーション図でトップにいる選手名の脇には(FW)とついているが、ワントップ本田だけは(MF)と書いてあるわけ。つまりMFのうち得点力ある一人をFWにコンバートし、従来のFWを先発レギュラーからはずした異常な作戦で、代表監督は、日本のFWには世界に通用する得点力がないことに、W杯の本選直前にようやく気づいたと。こんなアホな話がどこにある?
●なお、ベスト8の顔ぶれは、26日夜の事前予測通り(06-27の項をご参照)。トーナメント表の一方の山の大将は、ブラジルでまず間違いなし。もう一方の山の大将は、アルゼンチン-ドイツ戦の勝者でしょう。【以下、放懇サッカー担当・久野明による追加情報】今回のボールを使っているのは、Jリーグの日本とブンデス・リーガのドイツのみ。あれはアディダス製で、他リーグではスポンサーの関係で使いたくても使えない。練習でもダメ。イングランドは日本との試合で初めて触った(闘莉王と中澤で3点入れ、ただしうち2本は入れたゴールが違い、ルーニーが苛《いら》ついたときね)。今大会でフリーキックがなかなか決まらないのはそのせいで、ということは本田・遠藤のFKも割り引いて考えたほうがよい、と
●ずっと自宅で、雑用あれこれ

06-29
●昨夕、世田谷の実家に行き1泊。昼前帰宅
●アスコム刊、榊原英資・竹中平蔵著『絶対こうなる! 日本経済』(聞き手は田原総一朗で、構成坂本)が、ちょっと前に5000部の2刷となり、今日また5000部の3刷が決定。初版2万部で、ここまで累計3万部です。これを読んで参院選に行き、さらに中長期レンジの日本経済の方向性について、一人ひとりが自分の問題として考えていただきたいと願っています

06-28
●今回のW杯については、決勝トーナメント行きの16チームが出そろったところで、新聞各紙が「南米好調・欧州不振」と書いた(たとえば27日朝刊掲載、ルステンブルク発の共同配信記事)。ただ、その理由が書いてありませんね。フランス・イタリアなど世代交代の失敗を指摘する声があるくらいで、じゃあなぜ失敗したとは書いてない。調査・分析はテレビより新聞の仕事だと思うが、上の共同記事も「欧州以外で開催したW杯は、すべて南米勢が優勝しているというデータもある」など、”分析”でなく”引用”でお茶を濁している。そこで、それらしい”仮説”を書いておこうと思います。本格的に調べているヒマはないから、本業である記者さんたちが、ちゃんと取材して書くといい
●まず、ベスト32から16へという顔ぶれ(国や地域)に見る今大会の特徴は、【1】南米勢の好調、【2】欧州勢の不振(とくにフランスのチーム崩壊、伊英ポルトガルなど強豪の出遅れ)、【3】旧東欧圏の善戦(決勝進出のスロバキア、敗退したがスロベニア・セルビアも)、【4】アメリカ・アジア・オセアニアなど新興勢力の善戦(決勝進出の米日韓、敗退したが豪ニュージーランド北朝鮮も)、【5】アフリカ勢の不振(とくに半崩壊のカメルーン)などです。これらは次のように説明できるでしょう
●第一に、興行としてのサッカーが非常に盛んで、大金を積み世界中から選手を集めているのは、スペイン・ポルトガル・イタリア・イギリス。次にドイツ・フランス・オランダなど。成金が増えたロシアもそうです(旧ソ連時代は違った)。つまり、世界の有力選手は基本的に、以上ヨーロッパの国々のプロチームに所属してプレーする。15〜16歳で将来を嘱望された南米やアフリカの若者は、中3や高1で欧州にサッカーをやりにいく。もちろん南米も興行としてのサッカーが非常に盛んですが、カネの面で欧州先進国にかなわないから、次点の選手が国内でプレーする。すると欧州プロリーグで鍛えられた選手が、W杯のときだけ母国代表となるから、世界トップと国内残留トップを足すことになる。だから南米はムチャクチャ層が厚く強いのです
●第二に、以上のような傾向を加速させたのが、1990年前後の東欧・ソ連圏(社会主義)の崩壊、自由化、国際化(グローバル化)、BRICsなど新興工業国の成長、それに次ぐアジア・アフリカ諸国の成長、といった一連の国際社会の大変化です。情報化の進展(たとえば衛星放送の普及)でサッカー人気が盛り上がり、興行規模が大きくなったことも、背景の一つ。これによって、旧東欧圏諸国(セルビアは旧ユーゴでもともとかなり強いけど)や韓国などが、経済面でも人的交流面でも世界に(欧州サッカー国に)出ていった。南米やアフリカ出身選手の欧州への進出も増えた。BRICs(ブリックス)は成長著しい新興工業国ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字ですが、資本主義国ロシアは石油成金その他がカネを注ぎ込んで各国の選手を集めている。呼ばれる東欧やアジアの選手も多い。ブラジルも国全体が豊かになっているから、たとえば中流オヤジが息子をヨーロッパ留学に出す機会は以前より増えた。さすがに印中は人口がデカすぎて、サッカーはまだまだですが
●第三に、以上に書いたことと裏腹で、サッカー興行が盛んな欧州では、かえって自国選手が育たない(なかなか上にいけない)という現象が起こります。いわゆるウィンブルドン現象(テニスの本家本元のイギリスで、自国選手がウインブルドンに出られない。男子シングルスで1936年以降、女子シングルスで1977年以降、イギリス選手の優勝がない)と同様のことが起こりつつあるわけです。たとえばフランスは1998年、ジダンが率いてフランス大会で優勝したが、この段階で従来の白人主体から旧植民地出身者(その子孫含む)主体のチームへと変質している。フランスの閣僚が「これがフランスチームなのか?(黒人ばっかりじゃないか)」と疑義を呈したと。今回のチームも白人は2〜3人しか出ていなかったでしょう。代表チームがそうなら、国籍不問の国内リーグの強豪チームはなおさらそうで、自国選手がはじかれてしまう。このような変化は、90年代以降のグローバル化が強く関係している。海外植民地が少なく移民も少ない国は、スウェーデンやベルギーのように弱くなる一方。イングランドやイタリアは相変わらず強いが、国内の層はかつてより薄くなっており、相対的な地位の低下は明らかだと思います。層が薄いのを現役有力選手でカバーしようとするから、世代交代が遅れるわけです
●第四に、そうは言っても現在はまだ過渡期だから、欧州リーグのスター選手がちらほらいる程度では、アフリカは上にはいけない。まだまだ不安定(たとえばコートジボアールやカメルーン)。これに対して、ドログバやエトーほどの選手はいなくても組織力があるチームは、「へたなりに」ある程度いける。これがアジアやオセアニアの善戦でしょう。これらの国はカネ回りがよく、選手を厚遇していますから。アメリカのサッカー事情は詳しく知らないが、まあ、あそこはどんなスポーツをやらせても強い。本質的に移民の国で、実力あるヤツが上にいく。そのうえカネ回りが非常によい、という話なのでね
●ということで、先の【1】〜【5】はだいたい説明できそうですが、いささか屁理屈気味なところはご愛敬。ただ、これからアフリカ勢はどんどん強くなり、「南米対ヨーロッパ」の時代から、やがて「南米対アフリカ」の時代になりそう。で、欧州リーグのスターは、南米かアフリカの連中ばっかりになると。20年後はそうなるでしょう
●なお、同じ欧州の国ながら、ドイツが南欧のようにヘタれないのには、いくつか理由があります。【a】ラテン系で開放的な南欧に対し、ゲルマン魂の自助努力を重視する誇り高い閉鎖的な国なので、ドイツ人だけでチームを編成しようとする(早い話、黒人を入れたくない。お気楽で怠け者の南欧、経済危機のギリシャなんか救わんでいいとの考え)。だから自国の選手育成にとても熱心。【b】もともと生真面目な社会主義っぽい国なので、国家的な選手育成に熱心というだけでなく、上手で徹底している(青年奉仕団、なんたらユーゲントなんかが昔からの伝統)。【c】東ドイツを取り込んだので、選手層が厚い(移民取り込みと似ているが、ドイツ人の兄弟たち以外はダメという点が、フランスと全然違う)。【d】以上のことから世代交代に成功し、チームがとても若く、速く、強い。【e】もともとサッカーは、大きくラテン系とコンチネンタル系のスタイルに大別できる。ラテン系は、スペイン・ポルトガル・イタリアなど南欧や、スペイン・ポルトガルの植民地だった南米の、個人技の強い華麗な攻撃的サッカー。アフリカもそっち。コンチネンタル(=ヨーロッパ大陸)系は、ドイツやソ連・東欧、中北欧などの、ハデさはないが組織的で堅実な守備的サッカー。半世紀以上前からそういわれていたところ、イタリアが極端な守備的サッカー(負けにくいサッカー)を始めて、ブラジルも習ったと。これ以降、国際大会では5-3なんて点取り合戦は少なくなり、1点差ゲームとか、0-0や1-1でPK戦というゲームが増えた。現代サッカーは基本的にこの流れのなかにあり、守備重視。で、もともと守備的なドイツのサッカーは、クローゼが出場停止でもなんとかなる。対してラテン系のサッカーは、点取り屋が不調だとチームそのものが足踏みしてしまう。とりわけW杯のような短期決戦では、総合力重視で守備的なチームのほうが勝ち残りやすい。だから、スペイン・ポルトガルに優勝経験がないわけです
●27日夜の対イングランド戦でも、前半はイングランドのボール支配率のほうが高かったでしょう。ドイツは壁をつくって、ボールを回させていたと。しかし、それは守りきり、若いヤツを走らせて入れるときは入れると。今大会ではそんなドイツ・サッカーの強みが、よく発揮されている。アルゼンチン対ドイツ戦が事実上の決勝戦かもしれない、とすら思います。あと、あの審判は国に帰っていい。得点の判定だけは、たとえば線審用モニタ2台をライン際に置き、微妙なときは再現映像で確認したほうがよいのでは。今回は点差が開いたからサポーターも諦めがつくが、1点差か同点PK戦で負けたら、暴動や殺人事件に結びつきかねない

06-27
●あれま、1〜2日は間があるのかと思っていたら昨夜、韓国-ウルグアイをやっていて、テレビをつけたら1-1だった。初日はウルグアイ(対韓国)とガーナ(対アメリカ)が勝つと見た(ガーナは半分アフリカ応援)。今日以降の勝者は、ドイツ(対イングランド)、アルゼンチン(対メキシコ)、オランダ(対スロバキア)、ブラジル(対チリ)、パラグアイ(対日本)、スペイン(対ポルトガル)と予測。日本は第3戦の調子がよく、ニュージーランドと引き分けたパラグアイはそこそこだから、望みがないわけではない。スペイン-ポルトガルはどちらもイマイチで、どちらが勝っても、引き分けPK戦でも不思議はない。低調な凡戦は勘弁してほしい。あとブラジルはカカの出来しだいで、思わぬ落とし穴があるかも
●ついでだから、続く四強はウルグアイ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの南米独占。決勝はブラジル対アルゼンチン。メッシのアルゼンチン優勝と予測しちゃいましょう。7月3日のドイツ-アルゼンチン戦が一つの山かと
●終日、地デジの取材・執筆と7月17日提言発表の準備

06-26
●6月13日付け当欄に書いたW杯グループリーグ勝ち上がり予測の再掲。赤字は的中、( )内太字は実際の結果。A組:フランス/南ア(ウルグアイ/メキシコ)、B組:アルゼンチン韓国、C組:イングランドアメリカ、D組:ドイツガーナ、E組:オランダ/カメルーン(オランダ/日本)、F組:イタリア/パラグアイパラグアイ/スロバキア)、G組:ブラジルポルトガル、H組:スペイン/スイス(スペイン/チリ
●16チームのうち11チームだから的中率69%。1位2位もかなり当てて、まあ悪くはないが、私としてはハズレすぎ。フランス完全崩壊、カメルーンほぼ崩壊、イタリア停滞が、まさかあれほどヒドいとは予測できず(これは世界中の多くの専門家も同じ。以上三つも当てて的中率88%の予定)、南アへの期待しすぎもあってA組は予測とまったく逆に、また日本がグループ最下位との予測もハズレ。ただし、A組はメキシコがフランスに勝てばメキシコ勝ち上がり(フランス敗退)、F組はニュージーランドが最下位(スロバキア3位)、H組はチリ-スイスの勝者が2位という補足説明はまあまあ
●昼12時すぎ、早稲田大学大隈タワー(26号館)15階のレストラン「西北の風」にて、立教大准教授・砂川浩慶と打ち合わせ。「懐かしいナポリタン」を注文。このビル15階のエレベータホールからうちが見える(望遠鏡があれば)

06-25
●午前3時に目覚ましをかけて起たら、キックオフまで時間がありそうだったので、テレビの音を絞った。で、気がつくと、おおおっ!!、2-0で、日本がデンマークに勝っている!(1時間以上寝てた) この点差なら大丈夫だろうと見ていたら、PK。入れられたが、川島イイ。さらに後半42分の本田、あの時間帯であのクイック反転は、エラい(このときは前半を見ておらず、どの程度走って、どれくらい疲れていたか不明だが)。さらに、ここまでゴール左上に2本はずしていた岡崎にパスして入れさせたのは、とてもエラい。大口を叩くだけのことはある。守備陣は頑張り、長友の切り込みもよかった。VTRで見た前半のフリーキックもイイ。遠藤のFKもイイ。やったね!
●と誉めたところで、冷静な話をすると、前半開始早々はかなり危なかった。あれをしのいだのが勝因の一つ。先に1点入れられていたら負けでしょう。FK2発が入ったのはラッキーだが、喜びすぎは大間違い。2発とも練習で、同じ距離・選手配置でやってみればわかる。そう簡単には入らず、たぶん4〜5本に1本くらいしか入らない。だから、次戦以降大きな武器になるものの、直接の得点力としてはさほど期待できない。本田・遠藤をFKの名手と思わせ警戒させておいて、どんな多彩な攻撃ができるか。期待はやはり闘莉王でしょう
●当たり前ですが、サッカーは肉弾戦。身体能力に劣る日本は、相手に競り勝ちながらの得点が難しい。カメルーン戦で松井の挙げたボールは、敵のバックス4人ほどが誰もマークせずボールの出所しか見ていなかった。だから競り合いがなく、ひょいと後ろに位置を変えた本田がフリーで受け、ゆっくりシュートする余裕があった。明らかにカメルーンの守備がイカれていたことによるタナボタ点で、組織プレーで崩したわけでもない。FKの直接2点も、なにしろボールを置いて蹴るから競り合いなし。ようするに4点中3点までが、かなりラッキーな得点であって、日本の得点力には依然として大きな課題があるのです。長友や大久保がドリブルで突っ込んでいって遠くから枠外シュートというのはあったが、裏を取る動きはほとんどないでしょう。押し込んでないからコーナーキックが少なく、闘莉王・中澤の惜しいシュートもない
●10時40分〜日大授業。サッカーの影響か、人数少なし。13時、『放送レポート』編集長(メディア総合研究所事務局長)岩崎貞明と昼食がてら打ち合わせ@四ッ谷。四ッ谷見附から新宿通りを三丁目方向にちょっと歩き左折した左側にあるフランス料理「イル・ド・パスィオン」。うちまで歩いて帰る。途中バジルのポット植え(数本が30cm近く伸び、かなり状態がよいのに、90円は安い!)を三つ買う。ビデオ屋でエヴァンゲリオン全話揃いを見つけ、買う(昔、GAINAXで庵野秀明を田原と一緒にインタビューしたことがあり、借りたか何かして全部見た。当時の劇場版2作は試写して見せてくれるというから、これは久野明と岩谷健一を誘って3人で試写室で見た。テレビ放映版のビデオはかなり持っているが、何話か抜けているので)

06-24
●13時四ッ谷駅前プラザエフで会見場の下見。一回り広い部屋がふさがっていてちょっと狭いが、ポケットマネーで借りるのだから仕方ない。それでも詰めれば60人やそこら入る3階「コスモス」という部屋。四ッ谷しんみち通り「政吉そば」で小海老のタレの冷やしそば(一服できるのがいい)。うちまで歩いて帰る。途中、新宿区の歴史博物館で神楽坂の文士たちの展示をやっていたのでのぞく。大した展示でもないのに写真撮影禁止は、なんでなのか。黙って撮ろうかと思ったが、モメるのも面倒なので、誰が何年にどこに住んでいたというのをメモ。外苑東通りぞいの花屋でサンチュのポット植え(葉が10枚ほどついており即収穫できそう。210円)を三つ買う。外側から2〜3枚ずつ採り、焼き肉に巻いて食おうと。ビデオ屋でサウスパークの中古ビデオを3本(1本100円)買う

06-23
●7月17日(土)午後3〜6時(のうち2時間程度)、四ッ谷駅前プラザエフにて「(注:名称は仮です)地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の延期を提言する」記者会見を開きます。現時点での発起人は、坂本衛、清水英夫(青山学院大学名誉教授、弁護士)、砂川浩慶(立教大社会学部メディア社会学科准教授)、原寿雄(元共同通信編集主幹・社長)で、あと2名ほどに依頼中。発起人は17日に出席を予定。来週中に提言をまとめて発表のうえ、賛同者を募り、賛同者リストと合わせて17日に発表します。当サイトに告知ページをつくるほか、主要メディアにはニュースリリースを出します。通信社、新聞社、雑誌・出版社、放送局、ネットメディアのみなさんは、ぜひ取材し、地上デジタル放送の現状と見通しを報道してください。ネット中継も歓迎いたします。もう65年もたっているのだから、いつまでも大本営発表報道でもないでしょう
●夕方、四ッ谷駅前プラザエフ。夜、東銀座で若林宗男(J:COM放送・制作部長)、川喜田尚(Jスポーツ、日本大学藝術学部放送学科)、砂川浩慶(立教大社会学部メディア社会学科准教授、前民放連)と飲み会
●げっ、昨夜のキックオフは23時半というので、22日22時すぎテレビの前に横になり(家人たちが『絶対零度』とか、そんなのを見ていた)、起きたら朝5時半でした。おおっ、A組はW杯史上最低のスキャンダルの一つともいうべきフランスのチーム崩壊により、私の予測(6-13の項をご参照)は百八十度ハズレて、ウルグアイ・メキシコが決勝進出。B組は予測通りアルゼンチン・韓国。10日前に「韓国が、ナイジェリア戦で引き分け以上なら2位」なんて書いているところが、我ながら渋い
●念のため、私が「予測」というのはもちろん、ある組の4チーム中この2チームが強そうという漠然とした話ではなく、全試合をざっとシミュレーションして導いた「事前の推測」。だから「予想」という言葉を使わないのです。「事前の想像」じゃないのでね(こんなこと書くと、また田中ノリピーこと田中典子に「あなたのそういうところがよくない!」て言われるけれども。でも、W杯の勝ち負けなんてどうでもいいが、たとえば地上デジタル放送については、数百万世帯からテレビを取り上げるのかという話になりかねないから、予想でなく、取材と分析を重ねた予測を語らなければダメなのです)。C組は、今日イングランドがスロベニアに、アメリカがアルジェリアに勝って英米が決勝進出、というのが10日前の私の見通し。D組は、明日ドイツがガーナに勝ち、セルビアはオーストラリアに勝つが、私の予測ではドイツはセルビアに勝っていたはずだから、ドイツ・ガーナが上に行くと。ところがアホなスペイン裁判、じゃなかったスペイン審判が出したレッドカードが予測の範囲外だった
●しつこいが、当欄は学生諸君も読むのでもう一言(以下は坂本受講生向け)。以上の話で、わかるね。予測は根拠があるから、ハズレたときその理由を検証できる。「二つ目の根拠が甘かったな。次回は気をつけなくっちゃ」というように反省もできる。すると次回の予測精度が上がる。漠然とした予想は「ハズレちゃった」でおしまい。何かを右から左に伝えるだけがメディアの役割ではなく、その何かが人びとに将来もたらすだろう結果までも見通して伝えるべきならば、ちゃんと根拠ある予測を報じなければならない。たとえばイラク開戦で、子ども手当で、農家への戸別所得補償で、口蹄疫で、消費税で、だよ。いいか、あなた方が40〜50歳の働き盛りになり、あなた方の子どもが社会に出ようというとき、収入の何割くらいが税金と社会保障費で持っていかれるか、現段階でほとんど予測できるわけ。このままでは月収100万円でも毎月50〜60万円以上持っていかれる社会になる(いまは40万円くらい)。きみらの子どもは、まだ生まれてもいないのに、だぞ。平均70歳で新党を立ち上げるなんてジジイたちが、90年代以降にそんな日本国・日本政府をつくったのよ(若い連中が、坂本もそのジジイどもと同罪だというなら、反論はしない)。そういう予測をメディアは伝えているか。あるいは伝えなくてよいのか。よく考えてごらん

06-22
●7-0のポルトガル・北朝鮮戦につき。北朝鮮はテレビの生中継があり、前半を折り返したあたりでは、アナや解説者が「まだまだいける」と力んでいた。そのうち「わがチームのほうが試合場への移動距離が長くて不利」などと負け惜しみを言いはじめ、3〜4点取られてからは完全に沈黙した、と報じられています
これこそテレビの偉大な力、大きな強みです。新聞・雑誌・書籍・映画などは後から操作できるが、テレビ生中継は操作できない。できる操作はブチ切るくらいだが、少なくとも隠そうとした企《たくら》みがバレてしまう。国際社会にとっては、無許可で放送され権利を侵害されたというマイナスよりも、北朝鮮国民がサッカーにおける世界との距離や自分たちの代表の実力を如実に目撃したというプラスのほうが、はるかに大きい。このような経験を北朝鮮の人民にさりげなく、しかしジワジワと重ねさせることが、かの国のソフトランディングにはきわめて重要で、つまり日本の安全保障にとってきわめて重要なのです
●私は、北朝鮮にいる日本人拉致被害者向けの日本からの宣伝ラジオ放送(日本政府提供)は、彼らが聴くことができても誰一人亡命すらできない現状ではほとんど無意味、監禁などされて聴くことができなければなお無意味だ、と思います。必要なのは、北朝鮮の人民が受け入れることができ(北朝鮮を一切攻撃せず)、しかも、さりげなくジワジワと、国際社会はこうなっていると現状を伝える対北朝鮮向け放送です。「対北朝鮮向けの宣伝・プロパガンダ放送は、北朝鮮を攻撃・非難する内容に決まっている」などというのは、ド素人やガキの考え方。本当の謀略放送や情報操作というのは、一見そうは見えないことが最重要の条件。映像の歴史を見れば明らかなように、多くの宣伝・プロパガンダ映像や音声は、特定の誰かを攻撃していない。そんなことは当ったり前(これについては「テレビ報道を考える!!」ブログを参照)。テレビCMは(政治的ではないものの広義には)宣伝・プロパガンダの一種ですが、特定の誰かを攻撃していないでしょう。そのほうが広く受け入れられて、得だからです。もちろん以上は、北朝鮮に一切圧力をかけるなという主張ではない。圧力は、圧力としてかければいい。しかし、一見すると圧力とは見えず、むしろ親北朝鮮と思えるような映像を北朝鮮に送ったほうがはるかに効果的だ(日本政府はそれをやってよい)、と私は主張しています
●浜名湖ボート転覆事故(女子中学生1人が死亡)。一報に接し、麻布学園の相模湖事件を想起しました。1954(昭和29)年10月8日に、麻布中2が相模湖に遠足に行き遊覧船に乗ったところ、定員オーバーで浸水・沈没。生徒22名が水死した事件です。私は在学中、講堂棟の新設で校舎をぶっ壊す直前に空っぽの職員室をうろつき、床にうち捨てられていた相模湖事件の記録本を入手した。いまも実家にあるはずです
●現地での組別集合写真には生徒の玉井裕(革マルをへて麻布・世界史教員。故人)が写っていたし、引率のドブチューや伊月道海(事件後、仏門に)もいた。本には、遺体収容作業を手伝った地元の元力士が、生徒二人が抱き合う遺体を引き上げて「わしは、こんなかわいそうな姿は見たことがないよ」と号泣した、見つからなかった最後の遺体は小田原かどこだかの漁協の協力を得て巨大な漁網でさらって収容した、父兄の一人が自衛隊幹部だったので自衛隊車両に2棺ずつ遺体を載せ隊列を組んで帰校したといった話が記され、東洋英和の中2有志からの見舞いの手紙なんかも載っていた。この事故以来、学校行事では遊覧船の類に乗らないことになっており、自由行動でも「お前ら、ボートだけは乗るなよ」と注意される。私も、たとえば芦ノ湖で海賊船に子どもと乗るときは、必ず救命具を確認していましたけどね
●相模湖のときは、うろ覚えだが定員の倍以上乗り込むというような無謀な話で、出船のとき喫水線が甲板にかなり近づいており、一目ヤバそうな感じだった(だから敬遠した生徒もいた)。船長は刑事責任を問われたはずです。今回の事故も明らかに人災でしょう。みな救命胴衣をつけていたのだから、すぐには溺《おぼ》れない。転覆して何人かが一時閉じ込められたボート内を最終確認せずに現場を離れた大人は、責任を問われる
●忘れてならないのは、これ、正規の教員でなくPTA行事で引率する保護者だって、同じように責任問題が発生することです。小学校PTAの仕事をしたとき、地域の老人団体が例年通り運動会を開くから生徒たちを参加させてくれという話があった。私が「ケガなんかがあったときの保険はどうなっていますか?」と聞いたら、老人団体はおろか、前年まで子どもを送り込んでいた各校PTAも「保険のことなど考えたこともなかった」と答えたのには驚きました。乗り気ではなかったが、PTAとして正式に参加(子どもは希望者のみの自由参加)したのは、事故が心配だからでした
●この手の話は、すぐれた教員でも、わかっていない場合がある。長男が小1〜2のときの担任は、小笠原(希望者が多い)から転任してきたとても優秀な先生で、うちは大の仲よしだった(子どもの祭りのダボシャツ、股引き、腹掛けなんかは、お下がりが先生の息子に)。で、小2のとき結婚式を挙げて、教え子たちに来てほしいという話になったんだけど、「ちょっと、簡単に言わないでよ」と。当然PTAの公式行事ではないから、有志のおっ母さんたちが引率し、地下鉄で行く。万一ホームから転落したなんて事故があれば、刑事責任すら問われかねない(民事では、学校行事なら役所が賠償するが、ふつうのおっ母さんは一生が台無し)。だから、絶対に事故を起こさないようにと念押ししたことがあります。まあ、私の経験からすれば、教員の過半数と、保護者(小学校でざっと1000万人以上)の大半(アンケートを取れば90%より100%に近い割合)が、わかっていないでしょうね

06-21
●17時30分〜19時30分、THE COVE問題で弁護士会館へ
●昨20日は13時〜18時、放送批評懇談会の理事会・総会・懇親会@西新宿スバルビルB1会議室。全館禁煙らしく、B3の喫煙室に五井千鶴子ギャラクシー賞ラジオ[←勘違い失礼]CM部門委員長に新任)、上滝徹也(テレビ部門委員長に2年だけの約束で返り咲き)、石井彰(放送作家)と休憩のたび入り浸る
●総会の事業報告で、ギャラクシー賞報道活動部門委員長だった(この日限りで退任)坂本が述べた大意は以下。「報道活動部門は、私のほか副委員長としてテレビマンユニオン出身で現場に精通する碓井広義さん、委員として大空社のドキュメンタリー年鑑を執筆されている鈴木典之・田原茂行の二大巨頭をはじめ、毒舌の麻生千晶さん、日大放送学科を牛耳る上滝徹也さん、GALAC前編集長の小田桐誠さん、『法とジャーナリズム(改訂版)』著者の山田健太さん、駿河台大・文化情報学研究所長の今村庸一さん、フジテレビOBの露木茂さん、某新聞のテレビの生き字引・小林英美さんというきわめて重厚な布陣というか、うるさい委員、言い換えれば話が超長い委員のみなさんとともにギャラクシー賞を選考しました。(中略)なお、私は本日限りでめでたく2期4年の満期退任となります。長い間ご協力ありがとうございました」
●総会終わり間近の一言自己紹介では「放懇ジャニーズ担当の坂本です」と言って、ちょっとウケた。実は「サイト『すべてを疑え!』というのをやっています。1月8日以降更新がないと、各方面からお叱りをいただいておりますが、どっこいガンガン更新しております。サッカーW杯と地上デジタル放送に関しては必見サイトです」と続けようとしたが、時間が押していたので略。ざっと見わたしたところ出席者は、飯田みか、石井 彰、石井清司、石橋さや夏、市村 元、入江たのし、碓井広義、小田桐誠、音 好宏、小原道雄、兼高聖雄、隈部紀生、五井千鶴子、上滝徹也、桜井聖子、嶋田親一、千田利史、滝野俊一、田代勝彦、田中典子、中島好登、永田俊和、中村正敏、丹羽美之、信井文夫、橋本 隆、稗田政憲、藤田真文、藤久ミネ、山田健太、渡辺久哲、事務局からは中島のほか福島美子、久野明のみなさん
●なお、新しいギャラクシー賞報道活動部門委員長は碓井広義。懇親会の挨拶で、「報道活動部門は、春秋に居酒屋を昼すぎから借り切って選考会を開き、夕方店が開くと同時に飲み会・宴会になだれ込むというすばらしい方式を採用している。これはぜひ継承したい」というから、「ええっ? 継承することは、それだけかい!?(笑)」と。ま、飲み屋にホワイトボードやマーカーを持ち込みそのままになっているから、せいぜい使ってください。その日は8時頃、ぶらりと行くわ
●昨日はスロバキア-パラグアイ戦を見て寝る。パラグアイ強い。カメルーンは壊れたのをなんとか修繕しつつあるが、フランスは完全に壊れた。選手追放・練習ストライキは、エグい。トルシエは何を狙っているのか、盛んに日本をヨイショ。ヨイショしたからって、呼ばれはしないでしょう。久野明によると、犬飼人脈でブッフバルトって話があるそうだけど
●書き忘れていたけど17日、私も見ていたNHKのW杯関連番組で、若い女子アナが、オランダ戦の19日はNHK-BSで午後1時から10時間ぶっつづけで放送と告知した際、「コマーシャル、ありませんからね」と発言した件。おおっ、正直に言っちゃったなと思っていたら、翌日以降、降板になったようですね。テレビ朝日が猛烈に抗議

06-20
●昨日の当欄で紹介した「ザ・コーヴ」上映予定の映画館が全国から参集する集会は、創・篠田博之から「すみません告知はやめてください。会場が小さいのでもう一般の空席はないのです」とのメールが来ましたので、あしからずご了承ください
●昨19日は、夜8時、母と一緒に東戸塚の兄宅を出て、世田谷・奥沢の実家に一泊。移動中1セグで対オランダ戦を観る。7人がけシートに3〜4人座るような混み具合で、うち一人くらいは携帯で見ていた印象。JR・東急では谷間やビル間は画像が乱れたり止まったり。日吉や田園調布のように空が見えない駅構内では、もちろん受信できない。前半はオランダがやりすぎと思うほど引き、0-0でよいという様子見。後半は、日本が1点を失い負けたが、大善戦でしょう。0-2か1-3くらいが妥当な実力差なので
●頑張っていたと健闘を称えるべきは、長友、闘莉王、中澤、阿部らのバックス陣とキーパー川島永嗣。ただし、スナイデル(シュナイダー)の1点は、あれは完全にキーパーのミス。ボールの出所《でどころ》を正面にドンと構えて、出所方向に弾き返すべきなのに、身体が右側に流れすぎ、手のひらを左側に差し出す形になって、ゴール内に弾いてしまった。直前にボールがブレったって、あのスピードで飛んでくるものが、目の前で(たとえば50cm手前から)5cmもブレる(カクッと曲がる)はずがない。勢い余って、あるいは目測を誤って、身体を寄せすぎたことによる失点です。今大会に出ている海外のキーパーであれば、止めるヤツのほうが多いでしょう。もっとも川島は、それとは別に失点2点くらいを防いだから、差し引き大健闘
●それにしても、スナイデルが打ったとき、彼のそばでお気楽に片手を挙げているアホな日本選手は誰なんだ? 反則をアピールしたとは見えないから、俺にボールをくれという合図だと思うが、闘莉王がダイビングヘッド体制に入った瞬間に、「ヤバい! 入れられそうなピンチ」と判断できないのは、どうかしている。あの体勢からのクリアは大して飛ばないこと、闘莉王が立ち上がって体勢を立て直すまでの1〜2秒センターバックが一人欠けることは明らかで、しかもミドルシュートをもっとも警戒しなければならないスナイデルが近くにフリーでいたからです。あそこでスナイデルをフリーにした段階で、もう限りなく1点マイナスに近い。スナイデルにいちばん近い日本選手が、10m離れていたとしても、3〜2秒前から守備の意識で動き出していれば、なんとかなったかもしれない。それがちんたら棒立ちどころか、その場でゆっくり片手を挙げるヒマがあったと。日本代表は、全員で守り、全員で攻撃するんじゃなかったのか? 今大会の日本代表戦で、最低に気の抜けたシーンの一つでした
●あと3本立て続けに入りそうもないシュートを打ったフォワードがいたが、ありゃ、まずいでしょう。枠に飛ばないか、枠に行っている場合はユルユルで、どの隅に行こうがキーパーが間に合うというのでは(敵は全然ビビらない)。日本選手がペナルティエリア外から打って入るのは、よほどの場合ですから、1本はいいとしても、別の得点の取り方を追求すべきです。サッカーは気力合戦じゃないのでね。岡崎のシュートは、あれは仕方がない。日本のストライカーは、あんなものです。後ろからの難しいシュートだから、練習で10本打っても1〜2本しか入らないでしょう。海外のうまいヤツなら5〜6本入る。だから、日本はシュートが数本〜10本では「ゼロ封」にされる恐れが強いのです。ああいうシーンを何度か作る必要があり、それには岡崎一人が頑張ってもどうにもならない(念のため、ペナルティエリア外から入りそうもないシュートを連発して数を増やしても無意味)
●途中出場の選手たちは、全然ダメでしたね。したがって、あのメンバー交代は監督の大失敗です。とくに中村俊輔は、もう出番はないでしょうね

06-19
●創出版から、以下の案内あり。◆〈来る6月21日(月)午後5時半から霞ヶ関の弁護士会館で、「ザ・コーヴ」上映予定の映画館が全国から参集し、集会を行うことになりました。(中略)21日の集会は映画館が今直面している実情を明らかにするとともに、表現者との間で議論や意見交換を行い、それをマスコミ各社に来てもらって、取材報道してもらう予定です。〉とのこと◆【日程】6月21日(月) 【時間】マスコミ受付:17時00分〜(ムービー、スチール、共に先着順)シンポジウム:17時30分〜19時30分(映画上映はしません) 【場所】 弁護士会館3F 301C(千代田区霞が関1-1-3)※丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞が関駅」B1-b出口より直通 【主催】東京弁護士会、第二東京弁護士会 【登壇者】各公開劇場支配人、加藤武史(『ザ・コーヴ』配給会社代表)、篠田博之(「創」編集長)、日隅一雄(弁護士)、田原総一朗(ジャーナリスト)、石坂啓(マンガ家)、綿井健陽(ジャーナリスト)他
●昨日の当欄記事で、「役所の誰かを呼びつけて検証・指導・叱責する仕組みが、この国にない。役所が民間を呼びつけて指導する仕組みはあるが(JALも相撲協会も日本振興銀行も)、その逆がない。自民党が長い間、役人とつるんでいたから、国会にその仕組みがなく、特捜などが逮捕する以外に指導のしようがないわけです」と書いたことにつき、ちょっと補足
●本来ならば、マスメディアがその仕組みの一部を担わなければならない。でも、まったくやっていないとは言わないが、ちゃんとやっていない。臼井律郎と先日その話になり、臼井「だって、ジャーナリズムなんかの最初は、そういう権力チェックじゃないの? 言葉の由来とかは」という。私が言ったのは「いや、違う。ジャーナルの語源はラテン語のディウルナ(diurna)。日々の刊行物というような意味で、カエサル(「ブルータス、お前もか」のジュリアス・シーザーね)がローマ政庁前の掲示板に張り出させた紙が最初よ。もともとの意味は、権力側の日刊情報で、ローマの兵士たちが今日はどこそこで大活躍をしたとかさ」「新聞が社会に警鐘を鳴らすという意味で、『私たちは社会の木鐸です』と胸を張るでしょ。この語源も正反対。木鐸は、木の舌がついた鉄の鈴(=金口木舌《きんこうもくぜつ》。中国で、新しい法令などを民衆に示すときに鳴らした。もともとは権力側の告知、お触れのしるしなわけ」(後からの注:論語八〓[にんべんの右側が、八の下に月]に「儀封人請見曰。君子之至於斯也。吾未嘗不得見也。從者見之。出曰。二三子。何患於喪乎。天下之無道也久矣。天將以夫子爲木鐸。」とあり、早い段階から比喩的に「世人を覚醒させ教導する人」を意味することはあった)「だから東西ともに、ジャーナリズム(民衆に対する日々の情報伝達)の起源は、権力側の広報。大本営日報。それではダメだというのは、のちのちのヨーロッパの権力批判を通じて出てきた話」と
●それも最初は、政治闘争や宗教闘争に勝つためにやっていたわけだから、「民衆のための権力チェック」機能なんてのは、ごく最近の話です。明治初期とか大正にはあったけど、65〜70年前の日本では完全に封殺されていた。「権力チェック」機能は、ジャーナリズムや報道にもともと備わっているものではなく、ジャーナリストや報道する者が不断に獲得し続けなければならないものだ、というのが、当たり前ながら私の考えです。昨日の日テレ『太田総理』はよかった。カネをつかまされて権力チェックを疎《おろそ》かにしているのではないか、という根本的な話をしていましたから
●あれま、ドイツがセルビアに負けちまった。あのスペイン審判のドイツ潰しはまずい。いくらなんでもイエロー出し過ぎで、試合をブチ壊しに。ドイツ#16の、明らかにボールだけをとらえ、相手の足が後から引っかかったタックルまで、ファウルにしていた。昨日見たのはこれだけですが、おやま、イングランドがまだスイッチ入らず。古い話で恐縮ですが、アルゼンチンは完全にスイッチが入った。メッシの得点はまだだが、ストライカーは1点入れれば、あとはポンポン入ることがよくある。韓国戦でキーパーが弾いたのを、あの瞬間の反応でちゃんとポストに当てるというのは、いやはやどうも。アルゼンチンで頑張っているのはテベス。自分でやればと思うのまで、献身的なパスをしまくっている。エラい! あと、フランスもスイッチが入っていないのではなく、壊れているらしいことが判明
●昼、実家へ行き、母を連れて横浜の兄宅へ。日本の対オランダ戦は、3点以内の失点ならば、まあ、よろしいのでは

06-18
●今朝の東京新聞で、スポーツに詳しいジャーナリストで私もよく知っている谷口源太郎が「相撲協会は解体して出直すべき」とコメントしている。賛成です。あの組織を財団法人として優遇しなければならない理由がない(税金のムダづかいであって、事業仕分けの対象になって当然)。監督官庁の文部科学省課長が、ちゃんとしてくれなければ困るというように説教をしていたが、暴力団関係者をかぶりつきにご招待したのが悪いのは当然として、文科省役人や同省に関係の深い政治家は、協会からチケットを回してもらったことがないのか? 世の通例からすると、過去に当然あったはずだと思いますけどね。多くの財団・社団は官僚の天下り先なので。放送関係なんてひどいものです
●あの課長の説教で思い出すことはもう一つ。文部省は過去にリクルート疑獄で、省内トップである事務次官の逮捕者を出している(坂本・前屋著『官僚たちの熱き日々』などをご参照。私がインタビューした初代生涯学習局長は、雑誌記事が出ないうちに辞任してしまい、校了直前だったので肩書きに「前」とつけるほか手の打ちようがなかった。同局長はその後、放送大学に天下り)。大問題は、そんな不祥事に結びつきそうなことや、不祥事とはいえないまでもロクでもない政策を役人がやっているとき、役所の誰かを呼びつけて検証・指導・叱責する仕組みが、この国にないことです。役所が民間を呼びつけて指導する仕組みはあるが(JALも相撲協会も日本振興銀行も)、その逆がない。自民党が長い間、役人とつるんでいたから、国会にその仕組みがなく、特捜などが逮捕する以外に指導のしようがないわけです。素人政治家がわからないままやっている最近の「脱官僚」でも、財務官僚に乗せられて事業仕分けなんて枝葉末節を大々的に打ち出すだけ(まあ、消費税もですね。菅直人は、そのうち財務省事務次官になる現主計局長・勝栄二郎の言う通りにやっているように見える)
●ヒドいのは総務省で、地上デジタルも放送法改正も、たいへん具合が悪いが、政治家はほとんどわかっていない。仕方がないから参院選の7月11日以降24日までのどこかで、放送に関係する仲間たちと一緒に「地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の延期を提言する」記者会見を開こうと考えています。あわせて、もう無理だ、延期したほうが国民も放送局もメリットが大きい、国のやり方はここがダメだという要点を、短いアピール文にまとめて出します(これには賛同者を募ります。文章を読まない[だって、まだ書いてないのでね]段階ながら、立教大教授・服部孝章と作家・小林道雄と元朝日新聞・柴山哲也は賛同すると)。メディアのみなさんには会場などが決まり次第、個別にご案内を出しますので、ぜひ取材をしてください。その後に、総務省の言い分・反論をきちんと取材し、それを報じてください。普及率80%以上という直近の普及調査には、きわめて大きな問題があります。地上デジタル放送全面移行・現行アナログ放送停止の根拠には絶対になりません。総務省の担当官にも社会調査の専門家にも取材したうえ、私はそう断言しておきます
●10時40分〜日大授業

06-17
●昨日の『ちょんまげぷりん』完成試写前の舞台挨拶では、錦戸亮、ともさかりえ、子役の鈴木福、原作の荒木源、監督の中村義洋が順に登場し、一言ずつ。錦戸「すごく濃い撮影期間だった。お見せできるのがすごくうれしい」。ともさか「中村組ですごした幸せが皆様にも伝わるのでは」。福「僕は友也役をできてすごいよかったです」。荒木「学生時代に映研で、いつか映画をつくってみたいと思っていた。クレジットに名前が載り、野望を果たせた」。中村「ワーキャーの音程むちゃくちゃ高くてびっくりしている」
ついでだから、錦戸・関ジャニファンに大サービス! 続く質疑応答で撮影中のエピソードを聞かれ、錦戸「かつらとか衣装とか準備があったから、東宝スタジオの楽屋に1回も行ったことなくて……。これといったエピソードはないっすね」。ともさか「エピソード。えーと、エピソードというか、本当に錦戸さんと現場でお話しした記憶がまったくなくて、セリフ以外は『おはようございます』『お疲れさまでした』だけで。打ち上げで初めてお話ししました」。福「ボクは、あのー、りえちゃんと一緒にしゃべったのはー、あのぉ、なんかあったんですけどぉ、でも、忘れちゃった」【錦戸さんとは?】「はー、いろいろしゃべったの、あのー、うーん、あのぉ、うーん、あのぉ、まとまら#?@%$……」【なんて呼んでいたの?】「はい、はい、『錦戸』って呼んでました」【どうして?】「錦戸が、『錦戸って呼べ』っていわれたから、錦戸って呼んでました」(場内爆笑)。中村「まるで会話がない空気になってますが、極端に人見知りの男と極端に人見知りの女が共演してますんで。1週間くらいたって、一言もしゃべっていないらしいと(わかった)。いい現場でしたよ」【映画の見所は?】「錦戸亮の目力《めじから》、ともさかりえのリアクション、福ちゃんの泣き声」
●一種のファンタジー映画で、おもしろかった(痕跡探しの展開は予想と合致しすぎたけど)。会場にいたファンは、錦戸を半ばコメディ・アイドルと見なしているのか、錦戸がヘンっぽい場面で盛んに笑っていた。最後のほうのあのシーンって、そんなに大笑いする場面か、と思いましたけれどもね。まあ、ちょんまげ錦戸が、ちょっと消臭プラグを連想させることも事実か。ともさかりえは、どーんと存在感があったが、かわいい(とくに寝顔が)。会場にいたジュリー藤島Kに「おめでとうございます。いつもお世話になりありがとうございます」とご挨拶。シーさんこと白波瀬傑とも少々相談。お土産は、ちょんまげぷりんてぬぐいと、ちょんまげぷりんストラップ。7月31日全国公開予定
●相撲の力士ら65人が賭博行為への関与を自己申告。だから、たとえば内館牧子のように「大相撲のご立派な連中によって日本の歴史・伝統が守られ維持されている(または、されなければならない)」という考え方そのものがイカレている、と私は思います。彼らは、横綱を張っていた大鵬・柏戸がアメリカ巡業で拳銃と実弾を密輸し、ヤバくなってこっそり隅田川に捨てたってお咎《とがめ》めなしの、もともとロクでもない異形《いぎょう》の者たち。だからこそ、一部神様につながることを担ってきた。多くの歴史・文化で、そのときどきの社会の大枠からはずれた者(出自や肉体的・精神的な特徴が標準と大きく異なるとされた者)が、神様の世界に近く、普通の者が持たない特別や能力を持つと考えられてきた。その連中に「普通であれ」というのは簡単だが、かなり無理がある。多くが中卒、しかも中学時代にまともな勉強をしておらず、甘やかされて育ち、社会人として最低限必要なルールすらわきまえていない。ちゃんとした日本語すらしゃべれない者が多いわけで(朝青龍よりまともな日本語を話す日本人力士が何人いる?)
●そんな集団でも、現代日本では法律を守らなければならないし、見ている多くの子どもたちに悪影響を与えるような行動は慎まなければならない、と。しかし、関与者全員をちゃん調べてちゃんと追放すると、大相撲は存続できないんじゃないですかねえ。現役65人がやっていたなら、OBや親方も相当数がやっていたに違いないと考えるのが自然なので。ピストル不法所持の大鵬は二度とテレビに出すな式のキツいやり方は、いかがなものか。美空ひばりは暴力団と密接な関係があった(身内だった)から、テレビ・ラジオで一切流すな、DVDもCDも封印せよというやり方は、全然おもしろくないし、世の中のためにならない。まあ、とりあえず次の場所は1回休みにして、「あんた方は、存続の危機に直面しているんだよ」と、一人ひとりにわからせるのがよろしいのでは
●私は一度だけ、相撲協会と取材交渉をしたことがある。草柳大蔵の対談に当時の理事長を呼ぼうとした。草柳は、昭和天皇逝去のとき1日中NHKに出ずっぱりだった人だから、(天皇やNHKが大事に違いない相撲協会は)喜んで出てくるだろうと思ったら、全然違って、ひどく驚いた。電話の口調がヤクザそのもので、しかも「なに、誰だって? 知らねえな」と、草柳大蔵という存在そのものを知らない。そんなのが広報担当だから、頼み事するのもアホらしく、人選をやり直しましたけど
●おおっ、スイスがスペインに勝った! 前半はスペインが15回とか20回くらいボールをつなぎスイスがさわれない場面が目立ち、この10分間の支配率80%てな雰囲気でしたが、ついに得点できず。アルゼンチン、イングランド同様、ストライカーのスイッチが入っていない感じ。それでも負けるとは思わなかったが、日本が勝ったように、ああいうこともある。しかし、試合内容は雲泥の差。両チームとも最後まで自分のやり方を貫き、実におもしろい、タフな試合でした。#14のクロスバー直撃は、今大会ここまでで最強(最速)のシュートでしょう

06-16
●18日くらいから、坂本が構成・まとめを担当した榊原英資・竹中平蔵共著『絶対こうなる! 日本経済──田原総一朗責任編集! 2時間でいまがわかる』(アスコム刊)が、書店店頭に並びます。このご時世に初版2万部! 書いた者がいうのも何ですが、これはおもしろい!
●どこがおもしろいかというと、大蔵省・財務官出身の榊原英資は民主党の最高経済ブレーンで、民主党政権で財務大臣の声すらあった人物。竹中平蔵は小泉内閣で5年間にわたって経済・金融責任者を務め、郵政民営化もやった人物。で、かつて榊原は竹中を「無免許でスポーツカーを疾走させている」と批判した。竹中は榊原を「官僚上がりの学者に何がわかる」とこき下ろした。政治的に対極に位置し、世間で犬猿の仲と思われている二人が、田原総一朗の仕切りで日本経済について大激論したのが、この本なのです
●間違いなくいえることは、榊原・竹中の二人が一致して批判する問題は、政治的立場に拘《かか》わらず日本が解決しなければならない緊急の課題であり、榊原・竹中の二人が断固対立する問題は、これこそ日本の真の論点・対立点だということ。それをハッキリ示し、日本経済の本当の姿を浮き彫りにし、私たちが選ぶべきいくつかの大きな選択肢を提示してある(それを狙って書いた)。鼎談で足りない部分は、私が個別に榊原・竹中にインタビューし、すべて盛り込んであります
●たいへん興味深いというか、衝撃的なやりとりは、たとえば民主党の経済ブレーンである榊原英資が「(現政権には)だから成長戦略もへったくれもないし、ようするに、経済政策そのものがない。まったくないんだ」といい、田原「この二人が、『民主党にはマクロの経済政策がない』と断言するんだから、本当にないんですね」榊原・竹中「ない」田原「マクロの経済政策がない先進国って、世界中にありますか?」榊原・竹中「ない」と断言している箇所とかね。これは一例で、「ええっ、そうなのか?」と思うやりとりが、至るところに出てくる。財政赤字、国債、消費税などでも、最低ここまでは一致、ここから先は大対立というのがわかる
●とくに若い人たちは、この『絶対こうなる! 日本経済』を読んでから、選挙に行ってほしい。今後、大借金を返済していかなければならないと(選挙権もないうち、生まれてもないうちから)すでに確定している若者たち(やその子どもたち)が、この国とどう付き合っていけばよいのか──つねにそう思いながら、原稿をまとめました。あなたがた若い人たちは、もっとジジイたち、オヤジたちの世代に対して「あんたたち、なんてことをしてくれたんだ!」と怒るべきです。戦争のときもそうだった。ジジイたちのバカな決定で最大の被害を被るのは、いつだって若者たちなのだから
●いまこの国は、本音を口にせず、摩擦やトラブルを避け、間違っていると思っても大勢に迎合する風潮が、ますますヒドくなってきたと思います。自民・民主両政権の財務大臣級が「日本には経済政策も成長戦略もない。こんな先進国はありえない」といっているのに、経団連やら経済同友会やらのジジイたちが、「おかしいじゃないか! なんとかしろ!!」といわないのは、妙だと思わないですか? 大企業は、エコ・ポイント(臼井律郎いわく「エコは『エコノミー』のエコで、『エコロジー』とは無関係」。あと『依怙贔屓』《えこひいき》のエコという説も)をつけてもらって、自分たちの製品が売れさえすればいいのかって、いいたくならない? エコ・ポイントやエコ減税は、新車を買える人、家を買ったり持ち家を直せる人だけが恩恵を受け、薄型テレビ・冷蔵庫・エアコンなど高額で巨大な大企業製品ほど恩恵が大きい。だから、広く薄く取る税金を使って、高所得層や大企業をより優遇する結果になり、所得再分配の逆になる。でも、広告が入るからマスメディアはそんな側面には一切触れない。どちらかといえば低所得層に手厚いはずの民主党や、連立を組んでいた社民党が触れない訳は、これは”謎”ですけれども
●一見すると全然違う話だが、似たような点がなくもない話を一つ。手元に『日本史〈50年周期〉逆引き年表』(吉川弘文館)という本がある。その2010年のページを開くと、【50年前】の項に「6.10ハガチー事件。6.18安保改定阻止国民会議、第18次統一行動、33万人のデモ隊、徹夜で国会議事堂を包囲。6.19国会、午前0時をもって新日米安保条約を自然承認。6.23新日米安保条約批准書、交換され、同条約、発効」とある。「6.15全学連デモ隊が国会に突入し、警官隊と衝突。東大生・樺美智子が死亡」と書いてないのは、どうかと思うけど、50年前にそういう大騒動があった。【100年前】の項には、「5.25大逆事件の検挙、始まる。6月1日、幸徳秋水、逮捕」とあり、50年の古さ、長さをじわーっと感じます
●で、メディアは「節目の報道」や「折折の報道」が大好きなので、昨日今日の新聞には樺美智子の記事が載っている。ところが、あの安保反対運動を総括する記事は、あまり見ない。これは田原総一朗著『日本の戦後』や『日本政治の正体』(こちらは坂本が手伝った)に書いてあることですが、旧・日米安保条約(独立回復の1951年に策定)の特徴三つは、(1)アメリカには米軍を日本国内・付近に配備する権利がある(日本はその権利を与え、アメリカは受諾する)。(2)アメリカは日本を防衛する義務を負わない(「外部教唆や干渉による内乱鎮圧や、日本防衛のために米軍を使うことができる」と書いてあり、「必ず使わなければならない」とは書いてない。なお、米軍が日本人に武器を向けることが想定されていたことに注意)、(3)期限がない。これに対して岸信介が改定を目指し、労働組合や樺美智子をはじめとする学生らが30万人を動員して成立を阻止しようとした新・日米安保条約(1960年6月に成立)の特徴三つは、(1)アメリカは、米軍が日本で施設・区域(その使用については別途行政協定で決める)を使うことを許される、(2)アメリカは日本を防衛する義務を負う(「日本への武力攻撃をアメリカの平和・安全を脅かすものと認め、危険対処の行動を取る」と宣言している)、(3)10年の期限がある。原文にリンクしています。どうぞ、ご自分で確かめてください
●ようするに、岸信介がやった「安保改定は、改正か改悪のどちら?」といえば、「改正」です。この点では私は、岸の孫である安倍晋三と同意見。日本の平和・安全・国益により寄与する方向での改定であり、51年の旧条約より60年の新条約のほうが、日本(人)にとってよいものであることは、疑う余地がない。だって、旧条約には「アメリカは、日本政府に頼まれれば、赤色国家にそそのかされて暴れた日本人を鎮圧するために米軍を使ってよい」と書いてあったんだから。ところが日本人は、51年から60年まで、現行の安保条約はヒドい、なんとかしろという反対行動で国会を取り囲んだ形跡がない。それが突如、新安保条約だけはダメだと猛反対した。おかしいでしょう? おかしいのです、そこだけを見れば。田原は「連日国会デモに行った。A級戦犯になりそこなった岸信介なんて極悪人に決まっている。その岸がやろうとしている安保改定は、日本を戦争に引きずり込む改悪に決まっていると思っていた」という。じゃあ樺美智子は、何を目指して死んだのか。これは総括しなければならない。50年前に国論を二分した安保闘争は総括しなければ。そういう記事は見かけず、50年前に純真な女学生が亡くなったという記事だけが出る。なんで?
●W杯、ポルトガルはまだスイッチが完全には入っていないようだが、ロナウド1発とデコ折り返しはじめ見所満載。コートジボアールが大善戦し、ハイレベルのおもしろい試合でした。ブラジル-北朝鮮は、最初3分くらい見たが、すぐ深い眠りに。スカパー!のスタジオ・キャスターは、もうちょっと丁寧な、まともな日本語を使うべき。あれで専門チャンネルっぽい、プロっぽいと思っているなら、大きな勘違い
●18時半〜『ちょんまげぷりん』完成試写@新宿明治安田生命ホール。錦戸亮、ともさかりえ、鈴木福ほかが舞台挨拶予定。錦戸はとてもうまい役者で、ややオーバーアクションというか一本調子気味の部分がさらに枯れれば、日本を代表する俳優の一人になると思う(たとえば09年夏の『にぃにのことを忘れないで』。あそこまでやれる俳優は、現在でもほんの一握りだけ)。ともさかは、なかなかこれという役に恵まれないが、好きな実力女優の一人

06-15
●今夜20時5分から、ピアニストの本田聖嗣がNHKラジオ第1(594=「国宝」と覚える)の「おしゃべりクイズ疑問の館『ショパン生誕200年』に生出演するそう。企画内容はすべて本人が考え、トークも本人だと。月曜9時はテレビ神奈川「佐藤しのぶ出逢いのハーモニー」レギュラー、平日朝7〜10時はデジタルラジオOTTAVA frescoに生出演。クラシック好きの人はどうぞ
『ザ・コーヴ』出演者を迎えての明治大学での上映会&ティーチ・インが急きょ中止に! 何ですかね、これは。明大側は、このイベントに教員その他が一切参画しておらず、本当に会場貸しだけなのか(それは、ちょっと考えにくいような)。こういうのは、授業としてやれば、中止圧力は「言論表現の自由」に対する圧力に加えて「学問の自由」への圧力となり、「大学の自治」に差し障るから、資産管理課なんかの出る幕ではなくなる(「学長、あなたの学者としての立ち位置は何なんだ」という話になる)。しかも、フツーの大学は、玄関に警備員がいて不審者を誰何《すいか》するから、事前申し込み制にすれば、上映できないはずがなかろうと思いますけれども。だって明明後日《しあさって》の金曜日に、日大藝術学部放送学科の授業で、私が借りて持っている『ザ・コーヴ』のDVDを学生むけに上映することは、著作権法上も何の問題もなく(大学にも配給会社にも相談不要で)できますから。そこに知り合いや関係者を呼んできたと言えば、ティーチ・インもできる。他の大学がなんでできないというのか、よくわからない
●おおっ、あの岡田ジャパンが勝った! やったね! ま、勝てば内容はどうでもいいんだけど、次もあることだし、一応分析しておきます。日本の勝因は、【1】カメルーン代表が壊れていた。イングランドやアルゼンチンのようにスイッチが入っていないチームは珍しくないが、スイッチが壊れているチームは、今大会初登場。ゲームメーカーの中盤ソングを無意味に欠いたうえ、”内紛”でメンバーを大幅に入れ替え、最初からガタガタ。組織的守備ができない弱点がモロに出た。しかも後半は、ただボールを放り込み「あとは個人技でなんとかしろ」ってしょうもない攻めを繰り返し、最低の羽根つきゲームに。ここまでのW杯でサイテーの凡戦。【2】本田圭佑に好き勝手にやらせた。右に左に中央にと、点を取れそうな場所を探し、勝手によく動いた。結果的に1トップ起用という”その場しのぎ”策が奏功。【3】2〜3人で詰めていく守備が、まあ機能した。壊れた相手やアジア予選レベルなら機能する。日本の基本戦略は以前と同じ。闘莉王がイエローをもらわなかったのもイイ(次のオランダ戦でもらう予定なので。阿部勇樹は次戦で気をつけないと、デンマーク戦がヤバい)。【4】選手交代がいつもよりやや早かった。毎度の致命的な遅れは避けられた。【5】運がよかった。前半は両チームぐだぐだ。後半はバカげたパワープレーを繰り返したカメルーンが6-4か7-3でボール支配。入ってもおかしくない惜しいシュートは日本が2本(前半に入れた本田と、後半37分オフサイドになった岡崎のポスト直撃。総数5本)、カメルーンが3本(いずれも後半。4分エトー突っ込みアシストから左上にはずれたのと、40分ゴール左上角直撃と、47分中澤への回転背中斬りファウル直後の。総数9本以上)。コーナーキック数の違いも痛すぎ(闘莉王と中澤の得点力がゼロに)。優勢なのに勝てなかったのは、壊れたカメルーンです
●というわけで、「やることはすべてやった」(岡田監督)結果があれならば、依然として前途多難。監督は「前半は0-0か、0-1でもいい」といったそうだが、0-1ではよくて引き分けだから、何いってんだか。「冴えた岡田采配」「大きく前進」と書く記者の気が知れない。応援し元気づけるのと、的ハズレに喜ぶのは違いますから。オランダとデンマークには勝てないでしょう
●オランダは、ロッベンを欠きながら、エリアなんて若いのが途中から出てきてあれだけ働くのは強い。デンマークのバック#15もいい選手ですね。味方の背中にヘッドして1点取ったけれども、入るゴールを上に蹴出して1点救った

06-14
●1時、放懇へ。二、三受け渡し書類・データがあったのと、ご母堂の体調不良で今回南ア行きを泣く泣く諦めた久野明にW杯テレビ観戦グッズを差し入れ。中島好登・福島美子・久野明と韓国料理ののち、家人が近所で買ったグッズに追加するため東急ハンズほかを物色。放懇に戻るとデザイナーと打ち合わせ中のとGALAC副編集長・飯田みかに遭遇
●観戦グッズたって、ブーブー(ブブゼラ)は売ってない。入手したのは、勝つ(柿)ピー、日本代表カード2枚付きポテトチップ、キャップにボールを描く眠眠打破ドリンク、韓国海苔味ポテトとジンロ(本選に進むかもしれない唯一のアジアチーム応援用)、日本代表公認「お風呂でポン!サッカー日本代表チームユニフォーム型マスコットタオル」(入浴剤を風呂に入れるとユニフォーム型タオルが。背番号はお楽しみ)、FIFA公認クリアファイル、南ア大会記念ライターなど。代表カードはその場で開けて、カズやゴンが出たのでウケる
●本日、サッカー日本代表のカメルーン戦。日本のメディアはお祭り好きで、「みんなが盛り上がっているところに水を差しかねない発言は自粛しよう」と思う。だから、小泉人気が爆発するとき小泉批判をせず、鳩山人気が爆発するとき鳩山批判をしない。イラク戦争も日本がイケイケどんどんのときは、批判しない。根は同じです
●で、私はそういうのはよくないと思っていますので、書いておきます。まず、日本代表を率いる岡田武史監督は、(1)リーダーの資質に著しく欠けており、(2)戦略・戦術が定まっておらず、(3)代表選手の選出にも難があります
●(1)は5月24日の対韓国戦に0-2で負けた直後の発言に明らか。岡田監督は、日本サッカー協会の犬飼基昭会長に「自分が監督を続けてよいのか」とたずね、慰留されたことを、自分から明かした。歴代の日本代表監督のなかで最低で、せいぜいコーチ止まりが相当の指導者です。私はインタビューの中継映像を見ていましたが、最初「会長に問い質した」といった言葉を使い、「……じゃなかった、たずねた」というように訂正した(録画したわけじゃないから、一字一句この通りではないとしても、そんなやりとり)。公開の場で無礼もよいところの妄言で、かなり平常とかけ離れた精神状態だったと思います。あの一件だけで、代表監督の資質に欠けると断言できる。小学校の学級委員が大失敗した直後、「先生に僕でいいのかと聞いたら、続けろと言われた」と、誰もたずねもしないのに口走ったら、クラス全員が「バカか、お前」というでしょう。オマケに翌日「ありゃ冗談だった」と。あれは、選手に動揺が走ったから言いつくろった嘘です。あれが冗談なら、もちろん「ベスト4を目指す」も冗談に決まっている。でも、指導者には言ってよい冗談と悪い冗談がある。総理大臣なんかも同じです
●日本サッカー協会会長も、指導者の資質に欠ける。岡田監督が進退に言及したとき、犬飼会長がいうべきセリフは「バカ者! 初戦まで3週間のいま、お前を換えられると思うか? それにいくらカネがかかると思うんだ? そんなことできるはずないと知っていながら、そう聞くのは、『続けてよい』という言質《げんち》がほしいだけじゃないか。ふざけるな! そんなこと二度と口走ったら、ただじゃおかん。いまのやりとりを絶対に口外してはならんぞ。わかったか!」です。そう言わないから直後に、クビすげ替えの声が高まるのに先手を打とうと、岡田が愚かな発言をして、選手たちに「この人に付いていっていいの?」と思わせた(ま、最初からそう思っているわけだけど)。1勝もできなければ二人とも辞任するしかないと思います
●(2)は、だって岡田は何年間、日本代表監督をやっているわけ? この期におよんで本田の1トップって、「ブレている」以外に形容のしようがない。ようするに日本選手は身体的能力に劣り、1対1では世界と勝負できない(ボール・キープできないし、奪えないし、高さもない)。だから、相手選手と接触しないように、速いボール回し(ゴロの速いパス)と速い移動(つねに裏を取る。基本はいわゆる三角パス)で攻める。「前方にフィード」などというアホなこと(ありゃパスじゃない)はしない。守るときは1人に2〜3人で対応し、フォワードもパスの出し手に詰めていく。以上、全員守り・全員攻撃をやると、とても疲れる(たとえば中村俊輔は90分もたない)。だから、早めに選手交代していく──これが日本の基本戦略であって、それができない選手はいらないと(オシムのように)いうべきです。その基本戦略のうえに細かい戦術があり、誰を1トップ・2トップなどというのはその部分。基本ができていないところで、誰を起用しても勝てない。岡田監督の選手交代のタイミングがいつも遅すぎるのも、基本戦略よりも誰某《だれそれ》に頑張ってもらうというその場しのぎ戦術を優先させているから。後半37分に出して何とかしろでは、出した選手が気の毒。前半で交代させるべきだったのにパスミスから点を失う選手も気の毒(動けなくなった中村のミスから取られた点が、何点あった?)。監督や選手が負けるたびに「世界との壁を感じた」「課題が見えてきた」「あとは気力だけ」などというのは、どれも的ハズレ。壁と課題は10年前と同じなんでね。気力や精神力のせいにするのも違う。必要なのは日本の戦略に求められる体力と技術力です
●(3)で、少なくともスポーツ記者は指摘したほうがよいと思うのは、「Jリーグで何十時間もプレイしてあまり点を入れたことがない控えフォワードを、対世界戦で15分出して、1点取れると思うか」ということ。まあ、前田遼一を選ばない手はないでしょう
●で、まともに分析すると、以上に加えて、日本代表は直前の国際試合・練習試合の内容が悪すぎて話にならない。6月7日にセルビア相手に3-4で負けたカメルーンは、ディフェンスに確かに難あり。といっても、日本は4月7日にセルビア2軍とホームでやって0-3で負けている。6月6日にコートジボアールとやって0-2で負け。10日にFIFAランキング110位のジンバブエとやって(30分×3本)0-0で引き分けは、ここ10年くらいで最弱の日本代表といわれても、反論できない無惨な結果。「ケガしないように押さえた」と語っていた選手がいたが、ケガせずに3、4点入れなければならない相手に、何をいってるのか。まあ、みっともないから3点以上取られないようにと祈りつつ、応援しています
●私は、いまの日本代表でいちばん得点力があるのは田中マルクス闘莉王、次が中澤佑二だと思っています(イングランド戦で、二人で3得点はすごい! 3本中2本はゴールの向きが違ったけど)。で、ずーっと以前から闘莉王をフォワードにコンバートしろという説ですが、守備の代わりがいないので、しょうもない。川平慈英のものまねで出てきた博多華丸が、日本代表のバックスは誰か聞かれ「日本は4バック。中澤、田中、マルクス、闘莉王の4人」と数えたのには笑った。みんな得点力あるセンターフォワードが必要だと思っているでしょうが、背が高くスピードのあるセンターバックが一人いたほうが、日本のため。あと、長友佑都はとても好きな選手だけれども、サイドバックも。中盤の選手層が厚く前と後ろが人材不足に見えるのは、小中高を通じてサッカー指導者に問題があるんじゃないですかね。野村克也は「小中高の野球指導者が適材適所ということをわかってない。そのわかってない連中が決めたポジションを疑うプロも少ない」と言っていた。足がそう速くなく、なんとなくキャッチャー的体格だから「お前キャッチャーやれ」と言われ、プロに入っても、なんとなくキャッチャーを続けていると。同じことがサッカーにも言えるかも

06-13
●私は担任だった故・小沢シゲ子先生の影響で小3からサッカーを始め(かれこれ四十数年前!)、中学のサッカー同好会では10番をつけておりました(WMシステム3-2-2-3の真ん中の「ハーフ」で青学なんかと試合。当時はMFという言葉は使わなかった。鵜の木グランドで芝中とやったときはセンターフォワード)。テレビの生中継で見た最初のW杯は74年大会です。決勝は、”皇帝”ベッケンバウアー、”爆撃機”ゲルト・ミュラー、左足専門のオベラート(最近では「オフェラート」と書くらしい。ハーフにもう一人いたネッツァのほうが個人的な能力は上だったと思うが、ベッケンバウアーと相性が悪く、はずれた)らの西ドイツが、ヨハン・クライフのオランダを粉砕。というわけで、そこらの若い記者や解説者よりはよほど試合を見ていますので、ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の予選突破チームを予測しておきます(注:予測時点で最初の3試合が終わっており、完全な「事前」予測でない点はご勘弁。そううまく時間が取れないので)。もちろん、テレビが流すいい加減な予測よりは当たるでしょう
●A組:フランス/南ア、B組:アルゼンチン/韓国、C組:イングランド/アメリカ、D組:ドイツ/ガーナ、E組:オランダ/カメルーン、F組:イタリア/パラグアイ、G組:ブラジル/ポルトガル、H組:スペイン/スイス
●以下、補足の解説。◆A組は南アのホーム&ブーブー効果が恐ろしく強力なので。0-2で負けるところ1-1にする(得点力で南アに1点加え、敵から1点削ぐ)くらいの効果がある。メキシコは初戦に勝てなかったのが痛すぎ、フランスに勝たなければ望み薄(その場合はフランスが予選敗退の恐れ大だが、そこまでの番狂わせは考えにくい)。◆B組はヤケに調子よく気合いの入った韓国が、ナイジェリア戦で引き分け以上なら2位に入りそう。◆C組は波乱なし。◆D組は順当ならセルビアが2位だが、アフリカ勢に奏功するブーブーを加味。もっとも気分屋ガーナは大コケの恐れあり。◆E組は波乱なし。日本は3連敗で最下位敗退だと思う。一つでも引き分ければ御の字。◆F組は、パラグアイとスロバキアのどっちが強いか、よくわからない(ニュージーランドはオマケ。本来ならW杯に出るチームではなく、3連敗で最下位敗退の見込み)。◆G組は波乱なし。◆H組はチリ-スイス戦の勝者が2位だと思うが、引き分けた場合は後半に弱いヤツと当たるスイスが有利

06-12
●17時〜23時近く、国境なき医師団JAPAN元会長・臼井律郎と久しぶりに西早稲田かわうち。渡部雄一が鮎の塩焼きを出してくれる。話題は、普天間、日本の政治、メディアの役割(「ジャーナリズム」「社会の木鐸」のルーツ)、ザ・コーヴ、シー・シェパードの逮捕話、MSF(国境なき医師団)、とくにオランダ人医師が人質に取られた件、フランス流の議論・会議の仕方(なぜ彼らが他と大きく違うか)、古代日本のルーツ、古代の対朝鮮関係、イスラエルと日本(アメリカ庇護下の国際的KYとして、よく似ている)、ジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』(1998年度一般ノンフィクション部門ピューリッツァー賞)をめぐって、多磨全生園(ハンセン病の国立療養所。中高同期の臼井も村上龍司もここの医者)、終末期医療、安楽死、日本の医療費についてなど、あれこれ
●臼井律郎の本は、「出す」といってくれている出版社があり、必ず出します。臼井「好きに書いて」坂本「いや、そうもいかん。著者は臼井だぜ」と。これまでのインタビューテープは10時間分以上あるかな。今回も、いい話で微妙な(ヤバい)話が結構あったので、レコーダーを回せばよかった

06-11
●10時40分〜日大授業。『オリンピア』第二部後半を見せるつもりが、普天間、アメリカにとっての米軍基地の意味、イラク戦争、メディアの役割、『ザ・コーヴ』問題などを話しているうち時間切れ。映画は次週。議論の中身は、日本大学芸術学部放送学科「放送特殊研究V」ブログ テレビ報道を考える!!(11日付記事)をご参照
●亀井静香が辞任。亀井という人物に私は会ったことはないけれども、人柄や人間、つまり感情・情緒・人情といった側面では魅力的というか、「いい男」なんだろうと思います。お人好しで、好人物。ところが、戦略的思考や、知的・合理的でクールな判断力には、欠けるところが大。お人好しすぎて足下をすくわれるということが、ままある
●最大のそれは、小泉純一郎に裏切られたことです。小泉政権ができる直前の自民党総裁選に立候補したのは小泉、橋本龍太郎、亀井静香の3人。小泉は「自民党が変わらなければ、私がぶっ壊す!」と絶叫。田中真紀子の応援もあって、予備選(地方投票)で優位に立った。しかし、本選(国会議員投票)で亀井が橋本と組めば、小泉は勝てない。そこで中川秀直と安倍晋三が使者に立ち、亀井を小泉陣営に取り込む工作をした。このとき中川・安倍は「小泉は100%あなたに相談する。だから小泉を推してくれ」と亀井を説得。亀井も相変わらずの経世会、しかも2回目の橋本よりは、小泉に乗ろうと考えて、総裁選から降りた
●だから亀井静香は、小泉政権の生みの親の一人であり、小泉純一郎の大恩人なのです。ところが、小泉は組閣のとき、(従来の自民党の常識では)副総理格で入閣を求めても何の不思議もない亀井に、一切相談しなかった。それどころか亀井派の平沼赳夫に、亀井の頭越しに政調会長就任を打診し、亀井は激怒。このとき徹頭徹尾無視されて、亀井は「反小泉」になった。以来、郵政がその典型ですが、小泉純一郎のやろうとしたことに徹頭徹尾反対するのが亀井静香の立ち位置。理屈や合理性は抜きに、そうなのです(以上、詳しくは、田原総一朗著『日本政治の正体』朝日新聞社に書いてあります。これは田原の聞き書きをまとめ、09年の総選挙前に出した本。ついでながらこの本には、田原総一朗が官房機密費1000万円を、どこでどんな女性から、どのように渡され、どのように返したかが、詳細に書いてあります。ちゃんと京都の政治家と推測できるようにね。あと、田原が田中角栄から渡されて早坂茂三に返したカネは、ありゃ官房機密費じゃない。角栄が自分の金庫から出してきたカネで、封筒には角栄のハンコがドーンと押してあった。このことも書いてある。おもしろいですよ。念のため、官房機密費は、政府首脳に対するいわゆる「ご進講」とかアドバイスの報酬として、つまり漠然と「よろしくね」と渡すのではなく何かの対価として支払われる場合がある。支払先リストに載っている全員が買収されているわけではないから、誤解なきよう)
●で、話を戻すと、菅直人という人物は、理想主義者のようで、ちゃっかりリアリストの面がある。なので参院選以降は、亀井がやり過ぎれば、民主党が国民新党を切るシナリオがありうるでしょう。小泉は、党内に亀井を代表とする抵抗勢力を作り、それと戦っている姿を国民に見せてウケた。同じように民主党内で、党内に敵を作り、それと戦っている姿を国民に見せるとウケる。これが「非小沢」です。田原によると、かつて菅直人は「野球でいえば、小泉と戦っているのは自分たち野党なのに、マスコミはベンチの中の内輪ゲンカばかり報じている」と嘆いた。これ、いまは谷垣禎一の心中でしょう
●ところで、郵政民営化の見直しは完全にイカレていると、私は思います。民間を圧迫してよくないから郵貯は500万円までに制限せよというのが、民主党の本来の主張。それが日本の全銀行の中で、ゆうちょ銀行だけが2000万円+利息まで保証する(他銀行はすべて1000万円+利息まで。潰れたときペイオフされる金額)なんて、アホで不公平な話はありません。地銀や信金のカネが郵貯に流れて倒産騒ぎを招きかねない。郵政問題はアメリカがWTO(世界貿易機構)に提訴し、日本は確実に負けるだろうとも思われている
●郵便局は親方日の丸で、民間のように働かず、税金も払わず、赤字が積み上がっている。国家公務員なのに世襲制なんて、北朝鮮と同じでヘンだ。使途を問わない「渡し切り費」1000万円などという怪しいカネを国庫から(税金から)全郵便局にバラ巻き、郵便局が組織的に自民党の選挙活動をするのはおかしい──これらが郵政民営化の理由であって、近代国家ならば民営化して当然。その民営化をなるべくもとに戻して、プラスがあるとすれば、郵便局の票をもらえることくらいでしょう。でも、そんなのは数十万票やたかが100万票単位の話、ミニ政党の何人かが当選するかどうかという話であって、国政の大勢には影響しない
●このあたりの民主党の見通しの悪さは、普天間問題でも同じです。民主党は、09年の総選挙で「最低でも県外」と言わなくても、「政権交代」とだけ言っていれば、政権を獲得できた。当欄で繰り返し述べているように、「郵政民営化をやる」と言った小泉純一郎に300超の議席を渡したのも、「政権交代をやる」と言った鳩山由紀夫に300超の議席を渡したのも、間違いなく同じ日本国民なのです。政権を獲ろうと思う者は、ここをメイン・ターゲットにしなければ
●私は、郵政民営化をちゃんと説明さえすれば、依然として過半数の国民が支持すると思います。だって、民営化して悪いことなど、ほとんどない。JR西日本の大事故は、「民営化が悪い」んじゃなくて、「JR西日本という民間会社が悪い」のです。この二つは違う話でしょう? 国営じゃないと郵便が届かなくて心配? じゃあメールは? コンピュータなんて大事なものを、民間会社どころかアメリカの会社にすべて丸投げして、なんで心配ないわけ? 「民営化で効率ばかり追求され、地方が切り捨てられる」ともいう。そんな過疎地の郵便事情の改善に必要ならば、国費を投じればよい。しかし、なんで全国一律に(都市部も地方も)郵貯は2000万円、他の全金融機関が1000万円? 国民サービスの劣化をどうするかという問題とは、まるで関係ない話でしょ。郵便局に対する不当な利益誘導以外に、理由はないでしょう
●サッカーW杯が開幕。南ア-メキシコは、ブーブーなしの中立国でやれば、メキシコが勝つと思う。1-1まで持っていったのは、強い。G・ドスサントスってえらく若い、女の子のような顔をした選手は、なかなか。フランスは「仏国籍アフリカ出身選抜」みたいなチームですね。アフリカの黒人選手たちは、たらたら走っているように見えて最後の2〜3歩とか、ひょいと出す1歩の「質」が違うように感じます。「届くか、それ」と思うボールに、ちゃんと足がさわる。A組は順当ならばフランスとメキシコが勝ち上がるでしょうが、南アがフランスに勝てば南アとメキシコと見た

06-10
●『ザ・コーヴ』問題。NHKサイトがまとまっているので、ご参考まで。◆イルカ漁映画 上映会とシンポイルカ漁映画出演者 理解訴えイルカ漁映画 上映中止広がるイルカ漁映画 配給会社が対応
●NHKによれば、昨9日の上映会で「映像ジャーナリストの綿井健陽さんは『太地町の人にとってはイルカ漁も生活の一部で、彼らの言い分も伝えるべきではないか』と指摘」したそうだが、まあ、これはわかっている綿井の、何というか一種政治的な、配慮をきかせた発言でしょう。あるいは「(この映画の中では無理でも)太地の人びとの言い分は別の方法(たとえばテレビ、別の映画、シンポなど)できちんと伝えるべきだ」という趣旨かも(綿井は7〜8日と太地町を取材したそうだから、自分でやろうとしているのかも。私は昔、太地町に行き、クジラ博物館もイルカショーも見たが、イルカ漁には気づかなかった)。それならば大賛成。というのは、「この映画の中で」太地町の人びとの言い分を伝える必要など、全然ないからです。必ずそうしなければならないならば、たとえば、バクダット空爆のうち誤爆で苦しむイラク民衆を描く映画について、「米軍兵士にとっては空爆も生活の一部で、彼らの言い分も伝えるべきではないか」と言えるわけ。そんな馬鹿な! そんな必要は、まったくない
●広島の原爆で苦しむ人の映画の中で、米軍の言い分を伝える必要などない。水俣病を描く映画の中で、原因者のチッソや、自分たちの責任を長く認めなかった日本政府の言い分を伝える必要などない。ある右翼がある信念から誰か悪人を暗殺したとして、その右翼を描く映画の中で、殺された人物の言い分を伝える必要などない。誰かが靖国神社礼賛映画をつくったとして、その映画の中で反靖国論者の言い分を伝える必要もない。永山則夫の獄中の肉声を伝えるドキュメンタリーの中で、被害者遺族の言い分を伝える必要もない。「映像製作者は、必ず両論併記しなければならない」なんてルールは、世界のどこにもありません。放送には、それらしいものがあるが、それは放送全体として。単一番組の中で、ではない! しかも放送は勝手に家庭内に入り込んでしまうからで、カネを払って見たいヤツだけが見る映画とはルールが異なる
●そもそも本には256ページめど、映画には90分メドというような限界がある。自分は一方の言い分を伝えたいのに両論併記したら、スペースが半分になるから、まあインパクトやら根拠の説明やらも半分になる(喩《たと》えですよ、喩え)。わざわざそんなことするドキュメンタリ作家やノンフィクション作家なんて、いるはずないじゃん。当然おもしろさも半分になり、本の売れ部数も半分になり、収入も半分になりかねないからね。過去に評価が高かったドキュメンタリー映像、ノンフィクションやルポルタージュ書籍を、落ち着いて振り返れば、ほとんどすべて一方的な言い分であることは明らか。作者が、ある人物や民衆に入れ込み、魂が乗り移ったようにつくるからこそ、よいものができる。そうせずに両論併記しろなんて主張は、表現とは何かがまったくわかっていない愚論。それは「表現の自由」以前のレベル
●もちろん、映画に描かれた人びとに対する「人権侵害」「違法行為その他」があれば、これはまた別の問題。それは名誉毀損でも何でも訴えればよいし、地元メディアその他を使って自分たちの言い分とやり方を広く伝えればよい。映画の製作者も、それは望むところでしょう。自分たちが逮捕されたとしても、あのイルカ追い込み漁をやめさせることができれば本望だ、と思っている連中がつくった映画なんだから
●昨9日夜7時半〜8時のNHK『クローズアップ現代』は、たいへん興味深かった。ずっと私が大切に考えている「歴史的視点」、先日小林道雄とも話した「来歴の重要性」につながる内容であるうえ、NHKそのものの問題点も浮き彫りにする番組だったのでご紹介(録画はしておらず、ぐちゃぐちゃの走り書きメモから。荒っぽい点はご勘弁。発言者の取り違えがあれば、ご指摘を)
●テーマは「イラク戦争を問う〜英国・検証の波紋〜」。アメリカの同盟国としてイラク戦争に参戦したイギリスで、昨年から戦争参加を問う検証が始まった。歴史学者、元外交官、議員ら5人による独立調査委が、機密文書へのアクセスも認められ、ブレア元首相はじめ関係者80人以上に公開聞き取り調査し、すべてネットに出していく。元官房長官「いったん決定されるとくつがえす意見が出ず」、閣僚「内閣ではまともな議論がなかった」など、戦争をめぐる判断、政治(決定)システムの問題を問う証言も。◆The IRAQ INQUIRYブレア元首相の証言ビデオ(6時間以上!)
●英オックスフォード大アダム・ロバーツ教授の見解……【国谷裕子《くにや・ひろこ》インタビュー:検証の意義は?】開戦時、政府内で意見が分かれていたことを認識。日本人もそうだろうが、英国民は米のプードルはイヤ。決定に問題がなかったかを問うことに。【透明性については?】意義深い。重大な事実を学んだ。内閣顧問の国際法専門家が、国連決議に基づかない参戦にハッキリ反対していた。【なぜ英は独自の視点を出せず?】労働党政権とリーダーシップの問題。歴史的視点がなく、過去と似ているのに学ばなかった。独裁者さえ排除すればよいのだと思ってしまった。【安全保障上、どんな問題が?】政府に危険があるとわかった。【最大の教訓は?】日本も参考になるかも。国際的に他国の言いなりはよくない。少なくとも英首相は米に従うと決めた。イラクでは1920年代に苦労したが、その歴史に学ばなかった。【今後、軍事的な判断をしにくくなる?】可能性はある。その場限りでなく、数年後でも国民にきちんと説明できる政治決定が必要だ
●英ロンドン大ギアソン教授の見解……密室での決定ではダメ。公開の流れができた。もう後戻りできない
●防衛大・等松春夫教授の見解……【国谷インタビュー:意義は?】歴史的視点の重要性。英はイラクでそれを忘れた。日本で深刻なのは65年前の検証をしていないことだ。【日本の安全保障の軸は?】主体性を持つことが肝要。それとリアリズム(バランスの取れた現実感覚)
●局取材……イギリスでは過去200年間、大戦争のたびに検証・記録作業がなされてきた。最初は1800年代はじめのナポレオン戦争で、軍事作戦の成否など。1982年フォークランド紛争のときは、国民の戦争支持が強くイマイチ。最近では政治判断まで問うように。イラクでは英軍戦死者178名。アフガンに転戦し戦闘中だから、なおさら。年末には報告書がまとまる見込み。
●ここからは坂本の見解。政治家個人の判断の是非を問うたり、責任を追及するのでなく、どのような政治決定システムが機能した(または、しなかった)かという事実を各方面の証言や機密文書から検証するのは、よいこと。議院内閣制で、首相や内閣のあり方が似ている日本は、おおいに参考にすべき。民主党政権は普天間問題で、政治とカネ問題で、これをやれ! どちらも自民・民主ともに問題があった。「個人の責任は問うが、罪は負わせない。なぜなら政治的立場に拘《かか》わらず、みんなが間違えた問題だから。政治システム全体が二度と間違えないようにするため、問題を浮き彫りにし、反省することが目的だから」というスタンスで、検証し報告書をまとめればいい
●ところで、番組ではゲストから「日本は65年前の戦争を検証していない」という話が出た。しかし、イラク戦争に参戦はしなかったものの世界最速でアメリカへの全面支持を表明し、イギリスに次ぐ軍事的貢献をした(バクダッドに最初にトマホークを撃ち込んだ駆逐艦/イージス艦も、5000回も攻撃機を飛ばした空母も、横須賀や佐世保から出撃していった)日本国の政治決定の検証は? あの企画をやって、小泉内閣の「こ」の字も出ないというのは、いったいどういうわけか? NHKの「他人事報道」には、いつもながら呆れます。30分の枠に収まらないなら(収まらないと思う)続編で、あるいはNHKスペシャルで検証すべきです
●NHKがよく番組化し検証するのは、たとえば40年以上前に連続ピストル射殺事件を起こし13年前に刑執行された死刑囚との対話、2000年前からの朝鮮-日本問題、65〜70年前の大日本帝国海軍の問題といったもので、それぞれ今回のギャラクシー賞大賞、特別賞、優秀賞を受賞した。作品だけを見れば、確かに受賞に値するよい出来。いずれも部厚い取材を重ねた、きわめて完成度の高い番組で、民放には到底つくることができない。しかし、いかんせん、話が古い。「歴史的視点」は重要だが、「現在」あっての視点のはず。NHKは、こうした番組と同時に、歴史的視点から「いま」を問う番組をつくるべきです。なぜ『死刑確定囚109人との対話』『シリーズ普天間の15年間』『自衛隊幹部の証言100時間』という番組をつくらないのか? あるいは、なぜつくれないのか? 私は4年間、ギャラクシー賞報道活動部門の委員長でしたが(この6月で4年の任期を終え退任予定)、以上のことは、ギャラクシー賞選奨委員たちにも強く訴えたいと思います。テレビを映画のように、完結した作品とだけ見ると、大事なことを取りこぼしてしまう。放送全体を見て、歴史的視点を踏まえた現在を問う批評が必要だと、私は考えています
●2005年にアスコムから出た(現在は改訂版が新潮文庫刊)『日本の戦争力』は、軍事アナリストの小川和久が坂本の質問に答えるかたちの本で、たとえば次のような問いが並んでいます。
◆イラク戦争を日本はいち早く支持しましたが、国内には反対の声も少なくなかった。このときの日本のイラク戦争支持は筋が通っていたと思いますか?
◆平和主義を掲げる日本は、イラクに首相級の特使を派遣するなどして戦争を回避する努力を惜しむべきではなかったですね。開戦前に、マスコミがそのような独自の努力をせよと提言してもよかったはずだが、それもなかった。日本は今後、そういうことがいえるようになると思いますか?
◆米英がイラク戦争に踏み切る最大の理由とし、日本がイラク戦争を支持する際の理由でもあった大量破壊兵器は、核も生物・化学兵器も存在しなかった。戦争支持の理由が崩れたとは、いえませんか?
◆開戦直後(2003年3月27日)の小泉内閣のメルマガには「問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器を廃棄しようとしないこと、国連の査察に無条件、無制限に協力しようとしないところにあります」という小泉首相の言葉が載っています。後半部分はよいが、前半部分は言い過ぎだったのでは?
◆ブッシュ政権がイラク戦争を正当化するために示した根拠は、(1)サダム・フセインは多くの国連決議を踏みにじり大量破壊兵器を保有している、(2)イラクを残忍な独裁者から解放すべきである、(3)フセインはアルカイダなどのテロ集団に大量破壊兵器を提供する恐れがある、の3つでした。2003年のブッシュ大統領の年頭教書演説、同年2月5日のパウエル国務長官の国連安保理演説でも、そう主張しています。この3つのうち、日本が国として乗っても構わないのは(3)だけで、残り2つはまずいわけですね?
●こういうことを私は以前から考えており、いまだに「検証が必要だ」と思っています。まあ、以上は単行本だから角を丸めてある。イラク開戦の2003年当時、私が編集長を務めていたGALACの連載はもっと過激。なにしろ、「ブッシュのアメリカが馬鹿な理屈で対イラク開戦 北朝鮮攻撃も支持するのか?」ってタイトル。「この戦争を見て北朝鮮は核武装を考えるに決まっている」と断言したら、それが現実となった。これは取材力の問題ではなく(その時点で取材したって、そんな事実は出てこない)、想像力の問題。そして歴史的視点の問題でしょう。北朝鮮によるとされる韓国哨戒艇撃沈事件を見ても、「似たような事件はなかったっけ?」と考える癖をつけるとよい。張作霖爆殺事件、盧溝橋事件、トンキン湾事件、ラングーン事件、大韓航空機爆破事件とか。どれも少しずつ似た点があるのでね
●忘れてましたが、サイトの制作環境/ハード編サイトの制作環境/ソフト編のページを更新。なぜ日本製PCが高価格なのかと疑問に思っている方は、ハード編をどうぞ

06-09
●半年ほどサイト更新をサボって、何かいいことでもあるかしらんと思ったのですが、とくに何にもない。そこで、突然ですが、再開します
●まずは、3月以降に書店に並んだ小川和久著『この1冊ですべてがわかる普天間問題』(ビジネス社刊)の話から。この本は、昨年末、軍事アナリストの小川和久が「鳩山首相から直接電話があり、11月16日に官邸で会って普天間問題をレクチャーした」というので、「小川さんのレク内容を含む普天間問題についての考え方や、96年以降に関わってきた経緯を、誰か本にしたいと言ってきましたか?」と坂本がたずね、「誰も何も言ってこない」「では、私が出版社を探し、原稿をまとめますから、本にしましょう」と単行本にしたもの。坂本による小川インタビューは10年1月8日の半日1回だけ。テープ起こしが上がってきたのが1月20日。2月に入ってから書きはじめ、18日には最終原稿を渡し、あとは小川和久が細かい点を修正しました
●ご参考まで、その後の経緯を書いておきます。3月20日には鳩山由紀夫が官邸で小川和久に「普天間問題担当の首相補佐官に就任してほしい」と要請。この話は『週刊文春』6月3日号、『週刊朝日』6月11日号が書いた通り、佐野忠克・首相秘書官(政務担当)ら(平野博文・官房長官も、でしょう)の反対で潰れました。その後、小川和久は5月の連休中に「民間人」として訪米し、各方面と交渉したようで、これが5月の日米政府合意に至ります。鳩山前首相が5月4日、沖縄で「学べば学ぶほど(海兵隊はじめ沖縄の米軍が)連携して抑止力を維持しているのがわかった」と述べたのは、何に学んだかというと、この『この1冊ですべてがわかる普天間問題』という本に、です。直前に、小川和久が「この本の、とくに3章と4章を念入りに読んでほしい」と伝え、前首相はその通りにして、あの発言に至ったと聞いています
●この本は5月19日に2刷が決まりました。民主党政権であれ自民党政権であれ、この本に載っていない解決策を導き出すことは、きわめて難しいだろうと、私は思います(注:もちろんこの本には、「辺野古に移設せよ」などとは、書いてありません)。もちろん、そう思ったから本にしたわけです。菅内閣に変わっても、この本の鮮度は全然失われていないと、私は確信しています。というか、少なくとも新聞・雑誌記事やテレビの解説より説得力があることは、企画・構成を担当した私が保証致します。メディアは、誰某《だれそれ》が嘉手納統合案を言った、長崎はどうかと言った、グアム・テニアンがいいと言ったと報じるだけでした(首相のクビが飛ぶほどの大問題なのに、普天間問題で2時間スペシャルや、3夜連続特番なんかを放映した放送局がいくつあった? なんで、ないわけ? おかしくね?)。しかし、この本には「これこれの理由で無理だ」と、ちゃんと書いてありますので。さらに言えば小川和久は、ただ軍事専門家というだけでなく、1996年段階からこの問題にかかわってきた当事者なのです。網羅的でわかりやすい普天間問題の入門書としても、これまで出た本の中で最良のものの一つと信じます。興味がある方は、ぜひお読みください。とくにメディアのみなさん、本書の内容くらいわかったうえで記事を書き、レポートしてください
●ところで、たぶん「県内移設以外の選択肢はほとんどない」ことに、鳩山由紀夫は11月中頃には気づいていたように思います。小川レクを受けた直後の09年11月下旬に「自分で決める」と発言していますから。ただ、その後はブレまくった
●そもそも昨年夏の民主党マニフェストには、「普天間の県外・国外移設」が明記されていない。実は、このあたりから話はおかしいのです。この点は、本を書くとき念入りに調べました。マニフェストに言葉は出てこないものの、首相発言や民主党「沖縄ビジョン2008」の内容からして、「普天間の県外・国外移設」は事実上、民主党の選挙公約だったというべきです。沖縄選出の民主党議員は全員が「普天間の県外・国外移設」を訴えて当選したのだから。それをマニフェストに明記しないのは妙でしょう。だから、前首相も不勉強だったが、沖縄ビジョンを策定したりマニフェストを策定した民主党議員たちも、同じように不勉強だったと思います。普天間返還合意から14年間も何もできなかったのは自民党政権ですから、自民党議員たちもエラそうなことは言えないですね
●じゃあ、どうすりゃいいんだという話は、また今度

06-08
●7日午後10時すぎ、私も賛同者に名を連ねている「〔緊急アピール〕映画『ザ・コーヴ』上映中止に反対する!」の声明文が送られてきました。5日にチラと述べた、草案に対する私の主な意見は以下
◆全編を通じて「です・ます」調のほうが、高圧的なもの言いをする上映中止圧力側と同じレベルにならず、好ましいと私は思います◆映画『靖国』と似ているとは、言わないほうがよいと私は思います。「『靖国』と同じ。反日映画だ」と言いたいのは右翼だからです。右対左なんて関係ないという立場なのだから、わざわざ上映中止圧力側と同じレベルに近づく必要はないでしょう◆「公開国の人びとと日本人に情報ギャップ・断絶が生じ、海外の人びとが日本にどんな印象を持つかという日本の利害・国益に直結する問題を、日本人だけが考えない結果になってしまう」という趣旨を盛り込むのがよいと思います
●私はこの映画を、アジアプレスの綿井健陽から知らせをもらい、4月8日の試写会で見ました。会場には佐藤忠男もいたようで、試写終了後、配給会社アンプラグド代表の加藤武史、アジアプレス野中章弘、元TBS下村健一、綿井健陽の5人でしばらく立ち話。そのとき私が話したことは、「おもしろい。アカデミー賞を取るだけのことはある。あのようにおもしろがらせる手法を、ドキュメンタリー制作者はもっと学んでいい」「カネがかかっていてすごいね、あの機材。日本のドキュメンタリーでは考えられない」「本来なら、この映画が描く問題は、地方の放送局とか、日本の誰かが撮影していてもおかしくない。しかし、注目した日本人は(私の知る限り)誰もいなかった。ここは考えどころだ」「もちろん見せないのには反対。広く見せて議論すべきで、上映中止なんてダメ」「途中、日本語の解説が何か所か入った。あれは、海外版に入る解説は英語のまま日本語字幕をつける、日本版にだけ入る解説は日本語で流すというように、峻別したほうがよかった」など。8日は久しぶりに綿井健陽と秋葉原ヨドバシ上の串カツ屋で一杯
●さらに田原総一朗を誘って、5月17日の試写会にも行きました。田原は「おもしろい。あの情熱はすごいね。あの情熱は、どこから来るんだろう? ただ、結局は、文化の違いという問題だと思う」てなことを言っていた。対して私が言ったのは、以下
●この映画は「わんぱくフリッパー」のイルカ調教師の物語、彼の反省記であり(後)半生記だ。イルカを手の中で亡くした彼の情熱が第一でしょう。盗撮プロジェクト参加者それぞれが、イルカとの強いつながりを持っていることが第二。第三に、支援団体のカネと力じゃないかな。田原さんは「文化の違い」という。でも、作中でも言っているが、あのイルカ漁は日本の伝統・文化なの? 私は、そこは疑問。クジラ漁は江戸時代にやっていたが、イルカの追い込み漁は戦後だし、日本人が知らない話だし。たとえば犬を食うのは、中国や朝鮮の文化でかまわないし、食いたきゃ食えばいいと思うけど。でも、中国や朝鮮のどこかの街の袋小路に、中国人や朝鮮人が100匹からの犬を追い詰めていき、片っ端からバットでブチ殺して血しぶきが上がる映像が全世界に流れたら、まあ、そんなやり方はやめたほうがいいんじゃないのと、誰でも思いますよ。犬の肉好きでもそう思うはず。それと同じでしょ
●二つ三つ付け加えると、映画『ザ・コーヴ』は「反・イルカ追い込み漁映画」であり、その意味で「プロパガンダ映画」「宣伝映画」です。この点は、制作側が映画の中で「太地のイルカ追い込み漁をやめさせるために作る」と明言している。で、私は、宣伝映画やプロパガンダ映画は見る価値がないとか、上映すべきでないとは、まったく思いません。現に、いま日大放送学科の授業では、もっとも成功したナチ(その親玉がヒトラー)のプロパガンダ・宣伝映画『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』(注:リンク先には全面的ネタバレあり)を、3週にわたって学生に見せています。その前は、戦前の日本の主だった国策映画(プロパガンダ・宣伝映画)を見せた。1929(昭和4)年『日いづる國』、1939(昭和14)年『靖国神社』、1943(昭和18)年『学徒出陣』とか(何を見せ、学生たちがどんな感想を抱いたかは、上のリンクを参照。日大3〜4年生は、戦前の映像をとても素直に受け入れていて、おもしろい。愛國行進曲を歌えるようになっちゃった、という学生もいると)
●ところで、映画『ザ・コーヴ』は、露骨な「反日映画」には見えません。当たり前でしょう。反日色を強く打ち出したら、日本人を敵に回し、映画の主目的である「宣伝」に差し障りますから。これは1938年、ということは第二次世界大戦勃発の前年に制作された『オリンピア 民族の祭典/美の祭典』が、反英米映画でも反仏映画でもないのと一緒。プロパガンダ・宣伝映画なんだから、アメリカ人も喜ぶように作ってある。これはテレビCMも同じで、宣伝なんだからおもしろく、なるべく反発が出ないように作るわけです
●もっとも、この映画は間違いなく「反『太地のイルカ追い込み漁師』映画」です。つまり、漁師たちを悪役に仕立ててある(注:日本版では日本人の顔をボカし、特定できないようにしてある)。すると「だから、イコール反日映画だ。なぜなら太地の漁師たちは、私たち日本人の一部、私たちの仲間なのだから」と思う人もあるかもしれない。しかし、その考え方はヘン。間違い。その考え方に基づくと、水俣病映画は(日本人が勤めるチッソという日本企業を悪役にしているから)「反日映画」、反原爆映画は(投下したアメリカを悪役にしているから)「反米映画」という話になってしまうのでね。そんなことは、ありえない。まして、上映中止を求める理由にはならないでしょう

03-10
●以下、毎日サイト2010年3月9日20時58分記事
 見出し 地デジ:アナログ一時停波し警鐘 政務官が検討指示
 本文引用ここから→  地上デジタル放送への切り替えを促すため、長谷川憲正・総務政務官はアナログ放送の一時停止の検討を指示した。デジタル対応への遅れを視聴者に認識させる荒療治として、米国でもアナログ停波を実施したことがあるが、実現には曲折がありそうだ。
 地デジ対応受信機の世帯普及率は、09年9月時点で69.5%と、目標の72%を下回っている。ビル陰などの受信障害がある世帯が利用している共同受信施設(共聴施設)に限れば、地デジ対応は25.8%と、10年3月末の目標値50%の半分にとどまっている。
 9日の政務三役会議で長谷川政務官が「政府のCM枠内ででも『今から10秒間、アナログ波を止めます。止まった方は地デジに非対応なので早急に変更を』と呼びかけられないか、事務方に検討してもらっている」と説明した。
 石川県珠洲市では今年1月、48時間にわたってアナログ波を実験停止したが、大きなトラブルはなかった。ただ、ある放送局の広報担当者は「全国一斉では苦情が殺到するのでは」と話す。【望月麻紀】 ←本文引用ここまで 
●記事中の長谷川政務官は、昭和42年に郵政省に入り、九州郵政局人事部長、四国郵政局長、東海郵政局長、大臣官房国際部長、郵務局長、郵政審議官など歴任した典型的な郵政官僚上がりの政治家です。郵政省(現・総務省)が国民の都合を無視して決めた杜撰《ずさん》な地上デジタル放送計画の問題点を棚上げにして、テレビを10秒切って国民を驚かせてやれという身勝手で馬鹿げた考え方には、なんともあきれ果てます
●この政治家は、郵務(郵便行政)出身だから無理もないというべきか、テレビが重要なライフラインであることを、まったく理解していません。もちろん放送を切る10秒間の前後に巨大地震が来て、秒を争う緊急地震速報が伝わらない恐れがある。この一点だけでも、放送を切ってはならないし、切ることはできない。阪神・淡路大震災級の地震が襲い、地震速報が出なかったことによる死傷者が出たら、政務官はどう責任を取るつもりだという話。そこを考えていないのだから、国民の安全を守るべき政治家として無責任きわまりない。この無定見な郵政官僚上がりの政治家の発想は、椿発言事件を伝えたサンケイ新聞に載った当時の放送行政局長の「停波もありうる」という身勝手な発言を思い起こさせます。こんな連中が地上デジタル放送計画に関わっている限り、2011年7月24日にアナログ放送の停波などできるはずがないと、私は確信しています
●CM枠を買った政府の関係者が、その枠であれば放送を切ることができるのではないかと思うのも、愚劣な発想です。問題は、放送事故と間違われて苦情が殺到することだけではない。毎日の取材に応じた放送局の広報担当者は、全然わかっていません。それは、放送の自主自律を損ねるとんでもない暴挙であって、放送局のトップ全員がそろって「ふざけるな!」と抗議すべき話。違いますか? CM枠を買ったヤツが放送を切っていいなら、カネさえ出せば民放を止めることができるわけです。民放なんてその程度のメディアだと政務官が思っているようだから、民放は「バカにするな」と意思表示したほうがよいでしょう。たとえば私のサイトは、カネをいくら積もうが止めることはできない。民放も、うちは言論報道機関だからカネには左右されないよと言うべきです。「政府の命令には黙って従うメディアだ」と思われたくなければ
●どうでもいいけど、もう一つ問題なのは、政府CMを見ている人の数がきわめて少なく、効果が期待できないだろうということですね。仮にNHK紅白をブチ切ったとしても、そのときテレビ(NHK以外を含む)を見ている世帯の半分にも伝わらない。だから、そもそも全世帯の半分がテレビを見ていなければ、4分の1にも伝わらない。どの時間の政府CMを想定しているか知らないが、仮に視聴率が3〜4%の番組なら、日本の世帯の40分の1に伝わるかどうかという話になる。それは125万世帯を驚かせるかも、という程度の話。政府の主張通り地デジ世帯普及率が70%もあるなら(もちろん非現実的で過大な見込み数字です)、アナログ40万世帯がビックリするかもねという話。少なくとも1500万世帯、おそらくは2000万世帯以上のデジタル化をどうするかが現在の問題ですから、効果があったとしても誤差の範囲内のバカ話。まあ、ようするにテレビのことをよく知らない総務政務官が、くだらない妄想のたぐいを事務方に検討させているわけです
●もうちょっとテレビのことを知っていれば、たとえば画面を真っ黒にしてデカい字幕を出し、「ご覧の放送はアナログ放送です。この画面が表示された方は、地デジに非対応なので早急に変更を」とやったらどうかと、提案するのが当たり前でしょう。でも、そうであればれは現在やっている地デジCMの見せ方を工夫しろという話にすぎない。推進協会にそう言えばいいので、事務方に言うべき話ではない。ただ、それをやって、本当に2011年7月24日にアナログ放送を切ることができなければ、「なんなんだ、テレビの嘘CMは」という話になってしまう。テレビは嘘の広告や誇大広告は流してはいけないことになっている。いつ 「2011年7月24日にアナログ放送は終了する」という表示をいつやめるか検討しているときに、そんな話に民放が ほかに有効な推進策がいくらでもあるのに、なんで思いつかないんでしょうね
●ついでに不思議なのは、放送行政に関与している総務省の役人なら、以上に書いたことくらい知っているでしょう。私が20分ほどで書いたんだから、総務省の事務方も1時間でメモをまとめて政務官に提出すりゃいい。誰が何日間くらいかけて検討するのか知らないが、税金のムダづかいです

01-08
●14〜17時半、小川和久、岩谷健一と普天間緊急本の作業。引き続き新年会@かわうち

01-07
●12時45分〜琵琶湖塾スタッフの奥野修、山崎弘、堀江?と過門香・赤坂溜池山王店でランチ。13時〜田原総一朗と2010年の琵琶湖塾打ち合わせ、ゲストの人出し。14時〜田原、アスコム高橋克佳、小林英史と『オフレコ!』打ち合わせ、巻頭言や後記の取材

01-06
●午後『オフレコ!』原稿書き。

01-05
●午前中『オフレコ!』原稿書き。午後、サイト更新。夕方、奥沢の実家へ

01-04
●国際政治・軍事アナリストの小川和久と(仮タイトル)『緊急出版:どうする!? 普天間移設!』をビジネス社から2月末メドで出すことに。鳩山由紀夫は「中央公論」2008年2月号の小川論文を読んで電話を寄こしたそうで、09年11月16日には小川和久が首相官邸に出向き、普天間問題を40分ほど説明しています。同じ日に日本記者クラブでも講演している。『日本の戦争力』でも何度か普天間問題に触れているので、「普天間問題ならばこの1冊!」というのを速攻でやりませんかと坂本が企画。時間もないので100ページほどのブックレット版で、税別価格952円を予定。年末企画が2月末に本になるというのは、月刊誌なみ(GALACよりハッキリ1か月以上速い)
●18時〜劇団ロロの芝居『LOVE』@王子小劇場。演劇をやっている娘が制作と演出助手のほか、ちょこっと出ると。おもしろい芝居。光の演出がたいへんきれい。照明、音楽、音、小道具の使い方はうまいと思う。三つの愛の物語が同時進行するが、あれこれてんこ盛りで、盛り込みすぎた観も(なので、わかりにくかったり焦点がボケたりする)。劇団主宰で脚本・演出の三浦直之に、ちらとそう言ったら、思い当たる節があるような返答だった。日本大学藝術学部演劇学科の4年(だと思う)が、なかなかの才能。頑張ってと。八月もなかなかカワイイ

01-03
●午後、他のライターの『オフレコ!』原稿をチェック。手を入れて入稿するのに半日かかってしまった

01-02
●昼すぎ、神楽坂に戻って仕事。夜、『オフレコ!』榊原英資・竹中平蔵・田原鼎談原稿を送信

2010-01-01
●あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます

12-31
●16時頃まで掃除とかいろいろ。家人や兄嫁・娘も来て大掃除。ドーンと届いたタイを兄嫁が裁いて、豪勢な夕食。紅白その他を見る。家人は私の代わりにジャニーズ年越しカウントダウン行き。23時すぎ、そばを茹でて食う

12-30
●娘が風邪を引き、新型インフルエンザを疑って医者に行ったが、ただの風邪と判明。31日〜1月4日に王子小劇場で芝居なので、みんなホッとする
●まだ原稿途中ながら、昼すぎ奥沢の実家へ。今年は兄が中国に単身赴任中で、男手が足りないため、例年より1日早く行き、庭の木を切るとか、トイレ掃除、風呂掃除とかあれこれ。家人は私の代わりにKinKiKidsのコンサート行き

12-29
●『オフレコ!』原稿書き
●18時〜曽根宏、ビジネス社・岩谷健一と忘年会@西早稲田かわうち。チゲ鍋で飲みながらあれこれ企画の話。いちばんいけそうな1本は年内に企画会議を通すと

12-28
●『オフレコ!』原稿書き
●18時〜ジャーナリスト舘澤貢次、小説家・永瀬隼介ことライター祝康成と忘年会@西早稲田かわうち。後から家人も合流。舘澤貢次は、私が二十代後半、つまり四半世紀前に2年間だけ在籍したプレスサービスという編集プロダクションの編集部次長(阿含宗の桐山「尊師」の本を書き、後に幸福の科学問題を書いて大騒動になった早川和廣が、当時の編集部長。早川退任後に編集部長)。峯岸(後、北海道新聞)、祝(後、『週刊新潮』専属)、坂本の三人が編集部にいた(途中から赤迫という女の子が入ってきて、最初のうちは峯岸とよく面倒を見たつもりだったが、どうもうまくいかず、残念ながら辞めてしまった)。私はその何年か前から、高橋良典を通じて田原総一朗の仕事の手伝いなんかをしており、良典《通称りょうてん》と早川は風呂屋で会って知り合いだった。誰かいないかという話が、良典経由で坂本のところに来た、と。坂本の結婚式では、舘澤貢次・繁子夫妻が仲人で、祝康成が司会をやってくれたんですねえ(当欄のオキテで、すべて敬称略にするけれども)
●まあ、しょうもない編プロだったが、年金問題の岩瀬達哉と話したとき、彼も結構長く在籍していたと聞き驚いたことがある(彼は猪瀬直樹の手伝いなんかもしていた)。プレスサービスの創業社長は『週刊ポスト』アンカー出身の高尾宏政で、雑誌の共同通信を目指すという話だった。制作部、写真部、編集部とあった(あとは営業部と総務部らしきもの)。この編プロで初めてポストの仕事をしたとき(1980年代半ば)、小学館の担当編集は坂本隆(後の編集長)。ネタは「いまからでも間に合うスキー場」とかいうヤツで、坂本隆がポストのデカい緑色の罫線用紙みたいなものに、こんな感じでと表の枠を作り、あちこちに電話してそれを埋めていった。早川和廣は早々に辞め、舘澤貢次もたまたまマンションを買うのにフリーでは具合が悪いと在籍していただけだから、しばらくして辞めてしまった
●制作部の鈴木、下川良子(現・小寺良子で花豊カオと仲よし)、結婚しちまったあの二人(調べりゃわかるが、名前が出てこない)。写真部の北川雅夫高橋晴彦、坪和正幸(ひと坪ふた坪の坪に平和の和と書く)、庄司、太田勝久(現・北陸最大のプラモ屋レオナルド11店長。エアガンをオフィス内でパンパン撃って、蛍光灯を割ったり下川の尻まで撃っていた。下川は涙ぐんだ)、辻田菜苗(現・太田の妻。一度屋上に呼び出されて「何なんだ、あんたたち編集部は」と抗議された。辻田は涙ぐんだ)、末武和人(現・TAD若松のところの番頭というか筆頭フォトグラファーでGALAC表紙撮影。『週刊ポスト』用の顔写真を坂本が取材時に撮って持ち帰ったら、末武が現像に失敗してオジャンに。「ふざけんな、この野郎!」と言ったものの、しょうがないから再撮にいった)。一人総務部の内山(歯が欠けていた)。営業部の土屋(辞める前は毎日午前中、私に電話してきて「ボードに直行直帰と書いておいて」と)、長谷川(いつも暑い暑い《あちゅいあちゅい》とハァハァ言って、冷蔵庫を開けて何か飲んでいた)。岩本、大谷の女性二人も編集部所属だったかな。私が辞める頃で、その段取りをいろいろやっていた結果、尻ぬぐいをさせてしまい、怒った大谷女史に殴られたことあり。……と、何ともおもしろい、ヘンなヤツが大勢いた。当然ながら編集部がもっともカネにならない。で、「拒否するんだな事件」というのもあった。坂本が写真部長に「こんなくだらない仕事はできない」「じゃあ拒否するんだな!?」「もちろん拒否するんです!」とかね
●大阪と名古屋に支社というか支局もあったが、これも笑えた。大阪事務所は新大阪駅のそばにあって、大阪で週刊誌の写真を撮る。それを急ぎで東京に送るのに、なんと、新幹線の東京行きのホームで信用できそうな誰かにフィルムを入れた封筒を渡す。その後、東京着何時何分の何号車の誰に渡したという電話を東京にかけてきて、九段北の本社から写真部の誰かが取りにいくと。これで事故があったという記憶がないから、なかなかすごい。お坊さんとか、実直そうなサラリーマンに渡して、100%うまくいっていたようだった。プレスサービス出身の何人かとは現在も行き来があるが、みんな、どこで何をしているやら──てな話が久しぶりにでき、楽しかった
舘澤貢次の本はこちら。『リーツェンの桜』の原作者でもある。永瀬準介の小説はこちら。祝康成のノンフィクションはこちら。祝が書いた小説『閃光』は、奥田瑛二主演の映画『ロストクライム─閃光』の原作。昨年12月12日クランクアップし、2010年初夏に公開予定。新刊は文春文庫の永瀬隼介『退職刑事』(581円+税)。祝は気鋭の警察小説作家でもあるのです
●なお、三億円事件の犯人は、やっぱり青酸カリで死んだあの少年で、少年は自殺ではなかった、平塚刑事はヘタを打った、カネの流れはよくわからない、ということのようです

12-27
●『オフレコ!』原稿書き

12-26
●日大放送特殊研究Vの受講生は、単位はくれるのかというメールを寄こすヒマがあれば、さっさとコメントをつけなさい。授業で言ったとおり、その心配はいらない。単位はつけた。ただし、単位をくれるなら書かなくていいやと思うやつは、天罰が下ることを覚悟しなさい
●なぜか、ということを教えておこう。たとえば就職のとき、企業は最終選考段階で、入社させたいと思うやつの名前をGoogleに入れて調べるということを、すでにやっている。アメリカでもGoogleやMySpaceやFacebookでやっている。オバマが子どもたちに「書き込みはくれぐれも慎重に」とメッセージを出したほどだ。放送特殊研究Vブログは、授業の初めに全員に実名コメントを書かせたから、その後に書き込みをせずサボったやつが誰かは、企業側にわかるわけ。その結果、最終選考で落とされるかもしれないが、そのとき悔やんでも、もう遅い。それは坂本のせいではなく、自分が悪い。天罰とはそういうことです
●そうと知っていれば、この授業は取らなかったって? 取ってくれって頼んでないぜ。それどころか、シラバスに「映画学科など他学科も含めて、授業を取らない学生も、映像を見て構わない」という意味のことを書いたはず
●わかった? 大学内限定のブログでちまちまうじうじやっているシーラカンス教授(1月か2月にアスコムから出る茂木健一郎+田原総一朗の[もちろん仮タイトル→]『ええっ!? マジで? 脳って、そういうことだったのかよ!』みたいな対談本を御参照。まとめは坂本)連中とは、最初からやっていることが違うの。深海に生きる魚族のように、自らが燃えなければ何処《どこ》にも光はないわけよ。わかったら、さっさと書き込め!
●昨日、テレ朝が『サンデープロジェクト』の終了を発表。私は、かなり前から話が出ていることは聞いており、最終的に決まった日も田原総一朗が電話してきたから、テレ朝会長や社長や前会長が田原に何を言ったか知っています。視聴率はあまり関係ないでしょう。私が田原に言ったのは「番組打ち切り反対の集会なんかは、見苦しくてみっともないうえに効果ゼロだから、絶対ダメですよ」田原「もちろん、そんなことはわかってるよ」と。言いたいことはあるだろうから、暖かくなったらシンポジウムでもやりましょうかね。なお、この日録メモ風にも手がかりは残してあります。「電話であれこれ」と書いて、話の中身を書かないときがあるでしょう(10日くらいなんの連絡もないときもあるが、1週間くらい毎日電話がかかってくることもある。何かあったときしか当欄には書かない)
●24日の東京新聞記事「NHKオンデマンド サービス開始から1年」。近藤晶記者が書く「累積赤字の取り扱いが問題となる可能性がある。」とは、NHKはオンデマンドを「受信料を使うべき事業ではない」と考え、受信料収入から借り入れて別会計としたのでは。しかし、08年12月〜09年9月の最初の10か月で累積赤字が24億円。たとえば3年後、累積赤字が数十億円で黒字化の見込みが立たず止めるとき、「この借金は誰が返すのか?」って話にならないかと
●解決策が一つあります。「NHKオンデマンドは、(1)NHK受信契約者に対するサービス(受信料還元の一環)であり、同時に(2)未契約者に新規契約をうながす有力なPR手段であるから当然、受信料を使ってよい事業である。すでに受信料を払っている人に対するサービスであり、新しく受信料を払ってほしいというPRだから、どちらからもカネは取れない。よってNHKオンデマンドは、基本的にすべて無料とする」と考えを改めればよい
●NHKオンデマンドは、放送法第9条第2項第2号に〈協会が放送した放送番組及びその編集上必要な資料(これらを編集したものを含む。次号において「既放送番組等」という。)を電気通信回線を通じて一般の利用に供すること〉とあり、NHKの業務として認められている。また、放送法第39条(支出の制限等)に〈協会の収入は、第9条第1項から第3項までの業務の遂行以外の目的に支出してはならない。2 協会は、第9条第2項第2号及び第3項の業務に係る経理については、総務省令で定めるところにより、その他の経理と区分し、それぞれ特別の勘定を設けて整理しなければならない。〉とあり、会計を本会計と分けなければならない。以上、放送法は「会計を分ければ、支出していい」と読むことができる
●NHKオンデマンドの「よくある質問」には、「放送法改正により、(中略)改正放送法39条で義務付けられています」と妙な日本語(誤植つき。「通信区分」って何?)で、放送法のせいでカネを取らざるをえないかのような記述があるが、NHKの説明は間違い。放送とは別の著作権許諾料も、放送のテープから配信用のファイルや番組情報などを作成する経費、配信サーバ設備維持費、回線料等も、NHKが払っては絶対にダメで、必ずネット利用者から取らなければならないわけではありません。そう考えなければ、無料放送をやっている現在のNHKオンデマンドは放送法違反になってしまう。そんなアホな。いまはネット利用者から取っているというだけの話です
●記事によれば、半年で1億しか儲からないのだから、そんなのは受信料収入6000億円からすれば誤差の範囲。もらうも、もらわないも同じ。しかし、NHKオンデマンドを見た人のうち10万人が新規に受信料契約をすれば、1件月額1000円としても、年に12億円の収入増になる。多くの人は10年後も払い続けるから、10年で120億円になる。100万人が契約すれば10年で1200億円になる。だったら、NHKオンデマンドに受信料から年50億円やそこら注ぎ込んでも、何の問題もない。だって、未契約者は1200万(事業所は除く)やそこらいるんだから。さっさとやればいいだけの話です。トヨタや資生堂やサントリーがテレビ広告に年に数百億円投じ、そのコストが商品価格に上乗せされているのに、誰も文句を言わない。ならば、NHKが受信料を払ってもらうための無料ネット放送に年に100億円投じても、誰も文句は言わない。だからやりなさいよと言うのが、民間ビール会社から来たNHK会長の役割だと思うけど、違いますか?
●ただし、全部タダで見せちゃったら、それこそ受信契約者と未契約者の不公平を助長することになる。たとえば連ドラや大河の1回目だけはタダで誰にでも見せる。2回目以降全部見ることができるのは、受信契約者だけにするとかね。他のテレビ局ともっとも差別化ができるのは報道だから、これはケチなことをいわず1週間分、全国民に見せりゃいい(「ここまでやっているんです。受信料を払ってください」と言えるじゃないか)。許諾料が膨大でたいへんならば、「そこは悪いけど月500円払ってくれ。面倒だから受信料と一緒に引き落としにさせてくれ」と言ってもいい。『おはなはん』を見るために、NHK受信料を払い始める人が10万人、日本にいると思いますね。ほかのもガンガン出していけば、300万契約やそこらは楽勝でしょう。それはNHK受信料だから払うわけ。ネットには払わない。それどころかCSにも払わない。だから、スカパー!やWOWOWの加入者が300万で止まっているわけです
●実はもう一つ、NHKの受信契約数を飛躍的に(数百万単位で)伸ばす秘策があります。これは新聞・雑誌で読んだことがなく、放懇でも大学でもシンポジウムなどでも、誰からも聞いたことがないから、坂本オリジナルのアイデアだと思いますけれども。莫大な利権がからむ話だから、こんなところにタダでは書かない。あしからず
●終日、原稿書き

12-25
●北米航空宇宙防衛司令部NORADによると、例年通りカナダ空軍のCF-18がサンタに接近。米空軍のF-15やF-16も出撃しサンタ一行(サンタほかルドルフなど馴鹿の連中)をエスコート飛行した模様。未確認情報によれば、アフガンやパレスチナは訪問せず、プレゼントも投下しなかった模様で、消息筋はRPG-7その他で狙われることを警戒したとの見方を示した。なお、米軍はクリスマスと言わず年初から断続的に、別のプレゼント(爆弾やミサイルほか援助物資)を投下済みとされる
●『オフレコ!』竹中平蔵+榊原英資+田原鼎談の原稿書き
●21日締め切り厳守の日大放送特殊研究V4年の成績をつけるのを5日待ったが、教務課から督促がきたので、25日0時現在ブログについたコメントだけで評価することに。大多数が無残な結果

12-24
新型戦車、護衛艦導入へ 10年度防衛関連予算(共同通信)。なんで民主党政府が新型戦車? どこでどう運用するんだ? 誰に向かって撃つの? 上陸してくる敵? 役に立たない張り子の虎で、ムダの極致。自衛隊戦車部隊の自己満足と防衛産業むけ公共事業という以外に、意味がない。石破茂+小川和久著『日本の戦争と平和』(ビジネス社 坂本企画・執筆)を読め!
●もっと手軽にWiki「敵の戦車を撃破する火力を持ち、自らは敵の戦車に破壊されない装甲を持つことが戦車の目標とされ、正確な砲撃による攻撃力を備え、対戦車兵器がなければ容易に破壊出来ない陸上戦闘の主役である」でもいいや。これだけでも、戦車は現在の日本にほとんど必要ない兵器とわかりそうなもの。隣国と地続きでない日本の戦車は、敵国の戦車を撃つ機会がない。敵戦車が上陸してこない限りは。で、敵戦車が上陸してくるときは、海上自衛隊と航空自衛隊が全滅しているときだから、そのとき撃っても意味がない。いちばん可能性のありそうな、日本に上陸する望ましくない勢力が、どの国のどんな人びとかは誰だってわかるでしょう。彼らに対して新型戦車など必要ない。自衛隊の手持ちと海上保安庁の艦艇と警察車両で十分(どうしても戦車を使いたけりゃ74式でいい。動きゃあいい)。ただし、大量に来るかもしれないから、その要員と体制をどうするか準備が必要
●原稿書き。『オフレコ!』三木谷浩史・田原対談をup

12-23
●『オフレコ!』月尾嘉男・田原対談をup。米陸軍が戦争や訓練その他での排出している二酸化炭素量は、1年で世界の排出量の1%(アメリカのじゃない、世界の1%)だそう。あと空軍と海軍があるんだけどね。イラク戦争のCO2排出量って、誰か計算しているのか? その場合、米軍のミサイルでイラク油田が大火災を起こしたら、アメリカの排出量か、イラクの排出量なのか?
●2020年までにCO2を90年比25%削減の鳩山イニシアチブも、なかなか。ある試算によれば、世帯当たり可処分所得に占める負担額が年に77万円で、それ以外に光熱費が13万円上がる。つまり年に90万円かかると。日本には年収200万円以下の世帯が1000万世帯あるから、5軒に1軒は、稼ぎの半分を地球温暖化対策に使う計算かと。確かにCO2は出なくなりますね。死んじまうから
●月尾嘉男は対談で2020年までのシナリオを三つ示した。二番目がいちばんありそうだと言うんですが、そのシナリオが日本にいちばん苛烈。まあ京都議定書の二の舞で、苦しんでも苦しんでも生産力・競争力がなお落ちていくシナリオ。詳しくは1月下旬発売『オフレコ!』本誌にて

12-22
●『オフレコ!』茂木健一郎・田原対談をup。言ってみれば「脱藩のすすめ──脳を最大限活かして生きるために」というような中身。引き続き原稿書き

12-21
●終日『オフレコ!』原稿書き
●17時半〜岩本太郎と西早稲田かわうち。22時半まで、あれこれ話す。岩本は当人がブログで書いているように鬱病で3週間に1度は病院通い。朝はぐったりしているそうだが、夕方には元気が出る。なので、「ようするに、神様かお天道様が岩本さんにひと休みしろと言ったんだ。そんなヤツがいないとすれば、岩本太郎の身体や脳がひと休みしろと言った。だから、ひと休みすればいい。頑張れなどとはもちろん言わん。頑張る必要など全然ない。ただ休めばいい」「ただしだ、薬で治らなかった鬱はないんだ。30年鬱病のやつもいないぞ。1年や1年半で必ず治るんだから、その間はゆっくり休めばいい。ただし、医者にはちゃんといかなければダメだよ」と話す。「ま、何か変わったことをするときは、必ず電話を寄こせ。あれだ、クビでもくくるかなというときは、とりわけ忘れちゃダメだぜ。必ず電話してくれ」と
●フリーのこと、GALACや放懇のこと、創のこと、ネットやブログのこと、市民メディアのこと(坂本「そもそも市民って言い方が、気持ち悪くて話にならん。市民とは何か。市民革命をやった国の市民と明治維新で出現した日本の平民は、実態も意識も違う。その後の「理念としての市民」の担い方も定着の仕方も、まるで違う。でも、そのあたりを全然突き詰めていないからな。農民は市民か、元皇族はどうなんだって言われても答えることができない。なんで「誰でもメディア」じゃダメなんだ? 語呂が悪い? 市民メディアより、よっぽどいい呼び方じゃないか)など、あれこれ話す
●帰りに家人が持たせた土産の小袋(群馬のリンゴ2個とか、静岡のみかんとか、せんべいとか、名古屋限定八丁味噌プリッツ少々とか)を渡す。出がけにもっと何かないのかと言ったら、「子どもじゃないんだから、これでたくさん」と

12-20
放送特殊研究Vの受講生のうち4年生は、さっさとブログにコメントを書け! テレビ報道を考える!!ブログはこちら。もちろん一般の方も書き込むことができます。レニ・ルーフェンシュタール『民族の祭典』や市川崑『東京オリンピック』なんかの再現部分や類似点の記述は、Wikiあたりよりは格段に詳細。田原総一朗『ドキュメンタリー青春「おれはガンじゃない! 片腕の俳優 高橋英二の1年半」』に至っては、ネット上の記述はこのブログだけでしょう。TBS「ハノイ 田英夫の証言」を戦後日本のテレビ報道が示した最良の映像の一つと評価しつつ、北ベトナムの宣伝映像が入っているのはマズいよなと書くのも、このブログくらいのものだと思うけれども
●『オフレコ!』原稿書き

12-19
●昼、田原から電話。単行本2冊分は書いてあり、本にするだけ。あと『オフレコ!』原稿を何本か年内に書く。さらに次の単行本企画をどうすると、あれこれ。ずいぶん何度も「ありがとう」だの「すみません」だのと言ってましたけど。先延ばしにした忘年会が28日や29日まであり、また今年も年賀状を書くヒマがない(しょうがないな、あいつはと呆れつつ賀状をくださる方、すみません)
●終日サイトの作業。自分のも日大授業のも。このところ月1回更新ペースになってきて、非常にマズい。ひと月ほど前だったか、綿井健陽のブログに「このブログもいつ以来の更新になるのか、よく覚えていないほど間があいてしまいました。どうやって更新するのかもよくわからなくなっている」「どうもこのブログというものが自分の身体にフィットしなくなったような気がして、更新する気持ちがなくなってしまった。この欄に何かを書くモチベーションを失ってしまった」と書いてあり、そうだよなあと思ったけれども

12-18
●日大の補講はなし。放送特殊研究Vの受講生のうち4年生は、成績をつけ単位をやらなければいかんので、年内12月31日をメドに、ブログにコメントを書き込むように。20日までと言ったけど、こちらの準備が整わないので延ばす。書き漏らしは1月中にやっつけて。3年生も1月いっぱいで。明日までに、坂本記事の書き込みとコメントができない不具合の調整を終える見込みです
●午前中、スターチャンネルでフランク・キャプラ『素晴らしき哉、人生!』(It's a Wonderful Life)をつい見てしまった。DVDもあり何度も見たが、なぜだかラストがこれまでになくジーンときました。住宅向けサブプライムローン破綻が招いた世界大不況(余談だが、アメリカ発なのに日本が世界最大の落ち込み!)の最中に、主人公ジェームズ・スチュワートの住宅金融会社が出てくるこの映画を見るのも一興。アメリカの楽天的ヒューマニズム、人間を信じる楽天主義を代表する映画で、アメリカ社会の底力を描く映画とも言える
●『クリスマス・キャロル』と並ぶクリスマス映画の定番ですが、どちらも精霊や天使が別の世界を見せるという共通点がある。『クリスマス・キャロル』のスクルージは自分が忘れた過去、自分が知らない現在、このままの自分に訪れる未来を見る。『素晴らしき哉、人生!』のベイリーは自分が生まれなかった世界を見る。その手伝いをしてくれる存在がいるキリスト教世界ならではの映画。日本映画だと、崖から落ちて頭を打ったり薬を飲んだりする必要があって、ややこしい。この映画をスピルバーグは繰り返し見直すそう。ロバート・ゼメキス『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんかも
●つまり、宇宙人が精霊や天使と同じものだったり、精霊や天使の代わりに超未来技術が同じことをやると。佐藤優は「神様の趣味はジェノサイト」とよく言いますが、ハリウッドが大好きな天変地異や地球滅亡ネタは、唯一絶対神の趣味や仕事を繰り返し描いているわけです。人類に与える試練というやつで、つまり荒野の40日。それを宇宙人が引き起こしているときは悪魔(神と正反対だが、神と同義)。パニック映画なのにやけに説教くさい、いい加減にしろやと思うのがよくあるでしょう。原理主義的宗教国家アメリカにおけるハリウッドの役割というのも、考えてみるとおもしろい
●夕食の前、居間に出てきてフジの情報ニュースを見ていたら、寒いのにソフトクリームが大人気、どういうわけ?というようなレポートに突然、片山右京の会見中継が割り込んだ。富士山で遭難し仲間二人が行方不明の件。片山がほぼ一方的にしゃべり(テレビに慣れた人物はそれができる)、記者は聞きたいことが出てこないので不満な様子。「どうだったのか?」というような口をはさんだ記者がいて、またちょっとしゃべり、片山側のスタッフか「明日も捜索がある。片山も病院にいかなければならない」とさえぎった。記者から「片山さん、最後に一言!」という声が飛び、片山が一言いって会見終了。新聞・放送どういう内訳か知らないが(たぶん両方いたんでしょう)、取材記者の稚拙さがモロに中継され、改めて呆れました
●要するに、この時点で「一人は絶望、一人は危険な状態」(そう新聞サイトは書いている)だと記者たちは知っていた。それが片山の口から出てこないので、もう打ち切るのかよという感じで最後に一言!と”食い下がった”りもした。しかし、これは記者が悪い。発言者の意図と異なる話をさせたいときは、一般的・抽象的な「どう?」という質問でなく、個別的・具体的で、回答がYesかNoか二つに一つと限られる質問をしなければならない。たとえば「一人だけ下山し始めるとき、二人に意識はあったのか?」「二人にどんな言葉をかけ、二人は何と応えたか?」と。記者が「最後に一言!」と言えば、相手は「ありがとうございました」でも「じゃあ、みなさんさよならね」でも、何を言ってもいいわけ。「何か一言!」というバカな発言は、事件会見で報道記者が絶対に言ってはならない言葉の一つ。報道各社は、そのように記者を訓練しなければならない。今回言った記者は、自分のバカさ加減が全国放送され、それを何百万人が見たと自覚し、反省すべきです。もちろん言った記者の上司も報道部長も局長も社長も
●芸能会見なら、芸能記者は「いよいよ芝居の初日ですね。どうですか?」とか「最後にお好きな言葉で締めてください」と言っても構わない。しかし、三人のうち一人だけが二人を置いて生還した事故の会見は、芸能会見ではない。生還者の行動が適切だったか警察が事情を聞く事件だから、報道記者が出なければならない。そして、政治家や検察や警察など、物事を隠すことが自明な人や組織を相手にする報道記者は、芸能記者と同じやり方ではダメ。彼らに報道内容をコントロールされてしまうからです。それは戦前の日本の報道やナチスの報道と同じだからダメなの。そうならないよう努力する責務を第一義的に負うのは、言論報道機関の現場にいるあなた方です。しっかり勉強しようよ

12-17
●16日から徹夜で原稿書き。朝5時に1本、昼前に1本入れて茂木健一郎と田原総一朗の対談本を脱稿。発売は2009年1月。おもしろいです。10時には放懇にGALAC用写真を送信。久しぶりにゆっくり昼寝した後、資料整理やサイト作業そのほか雑事いろいろ
●毎号送ってくる新潮社『フォーサイト』に休刊のお知らせが入っていました。2010年3月号まで出して事実上の廃刊。(1)厳しい出版状況に直面し、全社的な事業再編、とくに雑誌部門見直しが不可避、(2)収支改善の見通しが立たず、(3)ネット普及で国際政治経済情報を扱う月刊誌の役割が大変化、の三点が休刊の理由。ずっと送られてきていた『週刊新潮』も今年になって来なくなり、最近は取材したいとかコメントをくれという連絡もない。地上デジタルや『サンプロ』の話を誰に聞いて書いているのか、あるいは書いていないのか。さすがに『週刊文春』は毎号送られてきますけれども。『週刊朝日』や『潮』もね
●探しものをしていて、たまたま行き合った珍品サイトODDEE。Photoshopで写真をいじる人は少なくないと思いますが、こんなのにご注意。中国の何新聞かしらないがハト大杉。左のパクリのほうは向かって右側の太ももがヘン。もっとも写真はPC上だけでなく、現場で操作されることもある。別サイトのこちらは、08年夏に通信社ロイターが配信(死体が看護婦の手をつかむ?、ケツ出し死体が動く?と、2ちゃんでも話題に)
●ついでに書いておくと、09年夏は「ちょっとピンぼけ」のロバート・キャパが、「ちょっと勘づけ!」って話になった。朝日新聞は時事の引用だが、ニューヨークタイムズはちゃんと取材をしている。まあ常識的に考えて、あのように身を隠す場所のないなだらかな丘を下る兵士が撃ち殺されるとき、戦場カメラマンが前方の敵(普通は、すぐそばに敵兵がいる。イラク米兵のほとんども、数〜十数メートル内の短距離から撃たれた)から目をそらし後方を撮影することは、ありえません。そんなことは怖くてできない。敵が至近距離にいないノルマンジー上陸すら、あのピンぼけ写真しか撮れないのだから。しかも、敵がいるとわかれば、そもそも兵士が立って前進しない。気づいた瞬間、身を伏せて撃ちまくる。匍匐《ほふく》前進すらしないでしょう。だから、あの写真は、油断してゆっくり歩く兵士を、遠方に身を潜めた敵の狙撃兵が撃った瞬間にとらえない限り撮影できない。その瞬間は、とんでもない偶然のたまものですね。キャパが被写体をあの兵士と決め、この位置から撮ると決め、しゃがみ込むなど姿勢を低くし、アングルを決め、ピンをピタリ合わせた瞬間に、彼が狙撃され(むろん狙撃手はスペイン内戦を戦った両軍中に何人いるかという名手)、しかもファインダーの中で突如起こった衝撃的事象にもカメラを微動だにせず、なおシャッターだけを押すという反応をしなければならない。カメラをやる人は誰でも実感すると思うが、そんなのを1枚だけ撮ることはほとんど不可能です。撃たれる前に丘をだらだら歩く写真が何枚もあり、その23枚目があのショットだというならまだわかる。その一連の写真はないし、撃たれた兵士に仲間が駆け寄る写真もない(あの瞬間にカメラを1ミリも動かさずシャッターだけを切ることができる冷静なカメラマンが、撮り忘れるはずがない)。兵士がポーズをつけていたところを撮ったなら、ピンやアングルができすぎな点の説明はつくが、その場合は、撃たれるような危険な場所で被写体にポーズをつけさせたカメラマンの責任が問われてしまう。いずれにせよやらせ写真といわれても弁解の余地はなく、やらせではない証拠を残さなかったキャパが悪い。しかも日時と場所が合わないとなれば、結論は明らかです
●念のため一言。にも拘《かか》わらず、もちろん私はロバート・キャパを戦争を撮ったカメラマンとして高く評価しています。今日まで登場した優れた戦場カメラマン10人の一人に数えていい。そんなのはダメだ、キャパの写真は全部ゴミ箱行きだという人と私は、報道したり表現したりする者が伝える「事実」という意味のとらえ方が違うわけです。もちろん私のとらえ方のほうが正解で、事実が含まれてりゃいいってもんじゃない。『アンクル・トムの小屋』は事実ではないが、黒人奴隷に関する事実を描くどんな記事やルポルタージュより力があった。リンカーン大統領はストウ夫人に会って「あなたのような小さな方が、この大きな戦争を引き起こしたのですね」と言った。「実名を出さなければ事実を描くことができない」なんてもの書きは、何もわかっていません。そういうのを事実乞食」といって、私は心底から軽蔑しています
●【12月20日さらに念のため付記。崩れ落ちる兵士についても一部加筆あり】もちろん戦争中なんだから、反ナチスのジャーナリストが人殺し(たとえばヒトラー暗殺)をしたって構わない。報道カメラマンが、やらせ写真どころか、カメラに銃を仕込んで暗殺したっていい。そりゃ、いいでしょうよ、ヒトラーをブチ殺すためならば。それで何十万人という同胞の命を救えると思えば。これは、もちろん反枢軸国側の話。当時の日本の報道カメラマンからすれば、ヒトラーは最重要同盟国の指導者であって、この意味で昭和天皇と並ぶ存在。天皇同様に不敬があってはならず、記者がヒトラーに靴を投げたら、その場で撃ち殺されて当然です。だから、真実なんてものが簡単に見つからないように、報道する者が絶対に守らなければならない万国共通・時代を通じた統一規範なんてものはない。いまの私(たち)にとってはこれだ、というものしかありません。それは自ら見出すべきもので、所属する会社や業界団体その他から与えられるものではない。やらせ基準、倫理基準というのはね

12-16
●15時45分〜17時、オフレコ!の鼎談で、竹中平蔵・榊原英資・田原総一朗と赤坂。アスコム高橋克佳・小林英史、カメラ塔下智士、岡部朱美も。早めにきた竹中と、しばらく雑談。もちろん私は十数年前から郵政民営化論者ですから「まさか小泉政権下でやった郵政民営化が、ここまでムダになるとは思わなかったでしょう。悲しみや怒りを通り越しちゃったのでは?」と聞くと、竹中「まったく、呆れてもう笑うしかない」と。坂本「なにしろ亀井総理だから」「まさにそう」「簡保の宿をオリックスに売り飛ばすやり方がインチキだったとしても、それと、日本の郵便が大赤字の宿泊業を手がけるべきかどうかは別の話。その議論が通じないんだから、ムチャクチャですよね」「おっしゃるとおり。しかし、このツケは国民が払うんです。仕方がない。それが民主主義だから」と。菅直人と会ってきたというから「菅さんも次期首相が見えてきたから、慎重になって何もいわない」「完全にそうです」。当欄にも書いた(08-19の項を参照)国債が紙切れになる話については「いま海外に行くと、どこも日本国債の話でもちきりです。日本だけですよ、国債が大丈夫かという話をしていないのは」。日本をダメにした極悪コンビの一人(もう一人は小泉純一郎)と思うのは勝手ですが、なにしろ2000年以降もっとも長く(5年間一人で)日本の経済財政を担当した元大臣の発言だから、もっとみんなよく考えたほうがいい。バーゼル委の銀行新規制で、日本の銀行はさらに数兆円規模の公的資金投入が必要かもしれないんですよ
●鼎談の中身は1月アスコム刊『オフレコ!』にて。全体の特集テーマは「10年後の日本」です。いま日本のシンクタンクが、10年後の日本についてレポートを出すのを止め、沈黙というか思考停止しています。そこで『オフレコ!』でぶちまけようじゃないかという趣向。竹榊原英資と竹中平蔵に「お二人のお孫さんはもっと小さい年齢でしょうけど、10年後の2020年に社会に出る子どもらに、必ずこれだけはやっておけとアドバイスを三つするとしたら?」と、これは鼎談の最後に坂本が聞いておきました。以上で外出したほかは終日、原稿書き

12-15
●昼夜の別なく原稿書き。放懇の理事会・忘年会はヒマがなく欠席
●朝日新聞15日付け朝刊に、2009年の放送を回顧する記事が載っています(大江健三郎のエッセイの左側)。そこに坂本が選んだ「この3本の番組」も出ているんだけど、番組名だけじゃ、何のことやらわからないですね。朝日新聞文化グループ放送キャップ丸山玄則に8日に送ったメールは以下(先方が電話すると言った日が出ずっぱりなので、こちらから書き送った)
●2009年の放送から坂本が(どちらかといえば報道っぽい硬いものを、番組でなく「××の報道」という形でも構わないという注文で)選んだ3本とその理由は次の通り
(1)NHKスペシャル『JAPANデビュー第1回「アジアの一等国=v』……日本の近代化に光をあて、過去を冷静に検討する好企画。中国がGNPで日本を抜く、政権交代した日本がアジアの中での生き方を模索するという前に、日本はアジアでいちばん近い台湾に何をしたかを取り上げ、大いに時宜を得た。これを偏向番組とする議連が発足し、8000人の訴訟が始まった馬鹿バカしさも、2009年という時代をよく象徴する。※偏向との批判がなっていない件は、このページ06-27を参照。
(2)8月30日の各局開票速報(とくに日本テレビの選挙特番)……1955年以来初めての本格的な政権交代を伝え、2009年を象徴する報道番組となった。純粋な開票速報としてはNHKが視聴率トップ(関東地区ビデオリサーチ調べで19時55分〜21時24・7%、〜23時21・9%、〜25時10%以上)。しかし、イモトのマラソン効果で日本テレビ特番のほうが視聴率が高い(21時〜22時30分が26・4%)。イモト以外に下の名前を知らず。太い眉毛に女高生の服で猛獣に近づくだけのタレントが長距離走をすれば、世界一の放送局が総力を挙げて半世紀に一度の政変を伝えた開票速報より高視聴率となる。これこそ2009年現在、日本のテレビの正しい象徴だ。
(3)夕方情報ニュースほかの犯罪報道(のりピー、市橋、周囲で男が死ぬデブ女など)……TBSのりピー報道は視聴率30%超。転落した元アイドルの姿を、日本人は見たくてしょうがない。「他人の不幸は蜜の味」はテレビの有効な原理の一つと再確認。上空ヘリが見失わないよう手配されたワインレッド色のワンボックスカー、移動中の着替えや化粧、誰かが下書きした謝罪コメントを便せんに書いて覚え、読むなど、容疑者側のテレビ向け配慮もなかなか。市橋事件では顔の部品別整形コスト、「現場は騒然」(騒いでいるのはあんた方報道陣だけ)の定番レポート、バカな警察OBの推理合戦など。デブ女では、テレビとその他メディアで写真や実名を出す出さないと、見所(ただし、くだらない)満載。報道する者が明らかにつまらないと感じつつやっており、それこそ番組がつまらない最大の理由なのに、なお数字が来る。これまた日本のテレビ状況を象徴する報道番組といえる

12-14
●終日、原稿書き

12-13
●14〜16時、林家正雀の西早稲田かわうち寄席。小林道雄、家人の母と兄も来て、持参金、紺屋高尾(こうやたかお)、お富与三郎(島抜け/与三郎の死)の三席を聞く。「持参金」はもと大阪の話。Wikiと違うのは借金の額は10円で、世話になった番頭から借りた。聞く限りでは、どこがどう差し障るのかいまいちわからなかったが、この演目を禁じている寄席があるそう。持参金のために結婚すること自体がよくないのか、嫁さんの容姿の描写かヒドいからか
●紺屋高尾は、大阪では「こんや」というかも。いい話、私の好きな話です
お富与三郎は歌舞伎の与話情浮名横櫛(よはなさけうきなのよこぐし)、春日八郎の歌謡曲「粋な黒塀 見越しの松に 艶《あで》な姿の洗い髪 死んだはずだよ お富さん」ってあれ。金原亭馬生師匠から教わったそうです。無宿人となり人殺しとなった与三郎は佐渡金山で働かされる。前半はその脱走劇(島抜けを謀って見つかると、腹を縄で巻かれ木に吊される。腹のところでキュッとなって、後はカラスなんかに食われるだけ。「ひょうたん縛り」というらしい)、後半は江戸の実家を物陰から見て、品川にいるというお富に会いに行き再会。「酒を飲みお富の膝枕でぐっすり眠る与三郎。お富は胸元から取り出した匕首《あいくち》を振り上げた。折しも外では、捕り方十数人がお富の家を取り囲んでいた」で終幕。なお、匕首=合口で、ツバがなく、さやと柄《つか》がピタリ合うように作られた短刀のこと。「九寸五分」なんともいい長さ30センチ弱
●弁当に飲み物が出て(以上込みで木戸銭3000円)飲み会になったとき正雀師匠に「与三郎の死の場面は、みんなあの終わり方ですか?」と聞くと「いや、私が考えまして、あの終わりにしました」と。与三郎の胸を突く場面まで語らないのが味。もう一つ「捕り方は、どこで察知したんでしょう?」とくだらない質問に、「さあねえ、佐渡から追っていて、実家の周りで張り込みしていたんでしょう」と。小林道雄は、バカなこと聞くんじゃないとか言ってましたけど。ちょっと飲んで私だけ帰宅。これ以外は原稿書き

12-12
●終日、原稿書き

12-11
●日大授業。午後は日本海テレビ「校庭芝生化キャンペーン」映像を見せる。これ以外は原稿書き

12-10
●午前10時すぎの新幹線で帰京。原稿書き

12-09
●琵琶湖塾。15時の新幹線で京都へ。山科あたりで田原総一朗の乗るグリーン車に行ったら「あれ、来たの?」って、なに言ってんですか、寝ずに仕事してくそ忙しいなか来ましたよと。ゲスト岸井成格(毎日新聞)も同じ列車で、在来線に乗り換え大津へ。途中、田原が「スポニチ読んだ?」「いや。何の記事ですか?」「僕がサンプロを降りると書いた」「田原さんのところに取材があったの?」「いや、局にあったとは聞いていたけどね」。田原が大津駅のキオスクでスポニチを買ったが、関西版だからか記事はなし。局や番組の公式見解は「関知しておらず、存じません」ですね
●岸井成格の講演は、いまの日本はどんな位置に立っているかというわりと大きな話。たとえば、自動車メーカーはいまのままでは続かず、業界地図が大きく変わる。電気自動車の普及開始があと5年でなく3年ならば、巨大メーカーが倒れる怖れすらあるだろう、とか。質疑応答では、外務省の沖縄密約問題やジャーナリズム論も
●終わった後は、運営スタッフとの車座集会。さらにその後、裏琵琶湖塾(飲み会。誰か出席者リストを送って)。岸井成格も0時すぎまで付き合ってくださり、一緒に大津プリンスホテルへ。大病をして出演番組も減らしたそうだから、申し訳ないことでした
●これは琵琶湖塾ではなく出所は全然別ですが、私が聞いているところでは、沖縄の土地の現状回復費の日本側肩代わりという密約事件には、まだ報道されていない裏があるようです。毎日の記者は、まだ本当の話をすべて語ってはいないと思います。言い換えれば、彼は情報源の秘匿に失敗した(情を通じた外務省事務官の逮捕を招いた)ことになっているが、本当の情報源の秘匿には成功した。その秘密を墓まで持っていくつもりかもしれないが、それはよくない。墓に入る前に、墓に入った3年後に開封するというような形で、手記を残すべきでしょう
●新幹線の中だったか、田原総一朗が「『創』を読んだんだけど、何なのあれは? テレビ朝日について編集長が書いているんだけど、誉めてばっかりで肝心なことは何一つ書いてないじゃない。なんで?」坂本「そうなんですか。いや、まだ読んでないから知らない」「テレビ局に批判的なことを書いているのは、NHKを書いた坂本さんだけだよ。きっとNHKはびっくりするね、なんでうちだけ誉められないんだって。あとは全部誉めてるの。なんででだろ」「さあ、私もよく書いていたのは阪神大震災の頃までですから。久しぶりに連絡があって書いたんだけど、よくわからない。送ってこないから読まないし、どういう路線なのか知らない」

12-08
●終日、原稿書き

12-07
●終日、原稿書き

12-06
●終日、原稿書き

12-05
●終日、原稿書き

12-04
●日大授業。午後は阪神・淡路大震災の関連映像を見せる

12-03
●終日、原稿書き

12-01
●終日、原稿書き

11-30
●17時半〜20時半、第一回『田原総一朗ノンフィクション賞』の受賞作記者発表・授賞式・記念パーティ@学士会館2階。16時半、控室でもろもろ打ち合わせ。出席者は田原総一朗、魚住昭、佐藤優、宮崎学、中沢けい、坂本衛(以上、選考委員)、司会は二木啓孝
●坂本が壇上で語った一言は以下(別にテープから起こしたわけじゃない。記憶で書くので、だいたいこんな感じってことで)
◆ここ1〜2年、テレビで「報道」「ノンフィクション」というタイトルの番組が増えたことにお気づきでしょう。いま辛く過酷な現実に、私たちの生活が脅かされ圧迫されている。その現実、事実の意味を新たに見つめ直そうじゃないかという話なら、結構なことです
◆しかし実際のところは、これはクイズじゃない。情報バラエティかもしれないが、録画じゃなく生だ。ならばノンフィクションだというような、安易な番組が多いのではないか。いかに現実に語らせるか、現実と格闘するかというテレビはそうそうない。NHKの特集や地方局の力作を除いては
◆そんななかで今回、映像部門を見たわけですが、正直懸念もありました。これが現実だって勘違い、思い込みのビデオがたくさん届くのではと。でも案に相違してそれは少なかった。少なくとも映像部門の上位4作はまずまずでした。映画祭などに出したものが多くて映画のほうが水準が高く、テレビはおとなしかったけれども。なかでも個人的には『にくのひと』がイチ押しです。これがいちばんおもしろかった。素直な瑞々しい感覚を高く評価します
◆ただし、この賞に名前がついている田原総一朗さんは、1970年前後に当時の東京12チャンネル、現在のテレビ東京で『ドキュメンタリー青春』を撮った。多くの人は見ていないのではと思いますが、いまのテレビでは放映できないハチャメチャな、過激なノンフィクションの作者です。それからすれば、映像部門はもの足りない。田原賞なんだから、もっと乱暴狼藉を働いてもいいんだ、それを次回に期待したいと申し上げて、私の講評とします。ありがとうございました
●懇親会で懐かしい多井みゆきに会い、小林健治とも話す。受賞者ともあれこれと。この話は時間が取れたときに

11-29
●終日、原稿書き

11-28
●終日、原稿書き。深夜から明け方にかけ、『創』のNHK原稿で写真がないとかいうのをちょっと書き足して調整。だから、たとえば18字×356行、小見出しは4本前後で本文3行取り2行最大何文字、各ページの段数・行数はこれこれと事前に伝えてくれれば、ピタリその通りに書くし、小見出しの泣き別れ(段の境目やページの境目に見出しがきてしまうこと)もない、そっちのほうがラクでしょ(こっちもラク)と、事前に編集者に言うんですけどね。だいたいの分量をもらって後からレイアウトする方法しかやったことがない編集部相手だと、余計な作業が増えて面倒くさい(GALACのときは校了日の朝にブチこんで、全然どうってことなかった)

11-27
●朝からホテルで原稿書き。午前9時『創』のNHK原稿を送信。10時すぎの新幹線で帰京。途中静岡で下車し、駅前でしらす、生桜エビ、わさび漬けそのほかを買う
●18時半、京王プラザホテルの中華・南園で、特定非営利活動法人(NPO)国際変動研究所(SRIIC)の理事会。理事長は小川和久で、理事は平田康郎、上田明浩、坂本が理事(設立発起人)。都営大江戸線で牛込神楽坂から15分もかからないんだけど、車内がムチャクチャ暑い。異様な暑さで、スーツの上着を着ていられない。すると都庁前に到着するあたりでエアコンの噴出口から風が吹きはじめ、手をかざすと冷たかった。つまり冷房に切り替えたらしい。バカじゃないか、という話
●いつも思うんだけど、人はみな、家を出るとき、外の寒さに合わせてコートを着たりジャケットをはおるわけですね。で、会社や学校や店でそれを脱ぐ。だから外出中に乗る地下鉄やJRや私鉄は、外気温と同じ温度で何の問題もない。それに備えた格好で乗るんだから。あんな狭い車内に、たとえば50人乗っていれば、小型電熱器を50個つけっぱなしにするくらい人間が熱を発している(一人何ワットとどこかで読んだが忘れた)。だから暖房なんて必要ないか、ちょっと暖めておくくらいでいい。それをなんで、どの電車もあんなに気持ち悪くなるほど暑くしておくんですかね。このCO2削減の世の中に
●夏は弱冷房車両がある。ならば冬は弱暖房車両を走らせろ。そうでなければ、寒がりだけに配慮して、暑がりに対する差別(端的にいってデブ差別)だ──と、暑がりの私は思いますけれども

11-26
●11時半、奥野修が迎えに来てくれて、滋賀県大で学生たちとランチ。「子ども手当てはよくない。そういう政策が女性の離婚や社会進出を増やし、結果、子どもが悪くなる」との主張があり、私も含めて「そりゃ違うだろう」と議論。15時に県大を出て彦根駅から在来線で京都へ。17時前、立命館大学衣笠キャンパス。18〜20時「立命館大学エクステンションセンター総合講座 マスコミ対策講座 報道ジャーナリスト養成塾」の授業。学年や学科を問わず、マスコミ(新聞が多いようだった)を目指す学生が、特別に授業料を支払って参加するもので、「テレビの志」という講義をする。担当教授は柴山哲也(元朝日新聞)。終了後、大学近くの酒呑童子で小コンパ。11時、京都ホテルオークラ ※ランチと小コンパの出席者リストはあとで

11-25
●琵琶湖塾。ゲストは100ます計算の陰山英男。14時半東京発の新幹線で名古屋へ。駅の立ち食いできしめんを食べ(いつもより早めに東京駅に行ったら30分ほど早い列車に乗れたので。なぜか、きしめんはじめヒラベッタい麺類が好きなので、ちょっと期待したが、どうということはなかった。なお、いつもは弁当を持参)、こだまに乗り換え。17時すぎ米原着。彦根の滋賀県立大学へ
●陰山英男の主張は、100ます計算をやってみんな東大に行けと言いたいのではなくて、ゆとり教育で学校であまりに何も教えないのが非常にまずい。必要最低限のことは、ちゃんと学校で教えよと。それから、遅寝、テレビの長時間視聴、朝食抜きは、学力低下とハッキリ相関関係がある。改善が必要だと。恐ろしいのは、ゆとり教育世代が教師になっている。陰山がある学校の職員室で若い教員に「スウェーデン(坂本注:かどこか北欧の国)がどこにあるか、世界地図(の白地図)で指せますか?」と聞いたら「できません」と。「そうだよね。習っていないんだから。では、富士山がどこにあるか、日本地図(の白地図)で指せますか?」と聞いたら「できません」と言ったので、その場が凍りついたそう
●陰山英男は「ようするに、子どもがバカなのは親が悪いんだ」とは言っていない。時間が限られていることもあって、むしろ親への注文が足りないように思えたので、質疑応答の時間に坂本が「親にこれだけはやってほしいと思うことは?」と質問しました
●以下は坂本意見。「遅寝、テレビの長時間視聴、朝食抜きは、学力低下と相関関係がある」というとき、みんな間違えないほうがよいと思うことは二つ。(1)相関関係は、必ずしも因果関係ではない。ハッキリした因果関係は、「親の不在」という原因が「子どもの遅寝、テレビの長時間視聴、朝食抜き、学力低下など」という結果につながるケースがあること。テレビを長く見るとバカになるなんて因果論は論外。(2)夫を別れた母親がやむを得ず夜の仕事(たとえばコンビニの夜間バイト、パン工場パート、ホステスそのほか)をしている場合、母親は子どもの夕食を作り置いて夕方出かけ、明け方疲れはてて帰宅し、パンとチーズと牛乳だけ出して午前10時まで寝る、なんてケースがありうる。その子どもに、遅寝、テレビの長時間視聴、朝食抜き、学力低下が見られるとき、どうすればよいかは簡単ではないこと。「母親が昼間の仕事に移りゃいいんだ」と言っ放して済むほど、日本社会は単純でも楽でもない。ここは考えどころです
●新幹線車中や彦根のホテルに入った後も、PCにて原稿書き

11-24
●15時、楽天本社(楽天タワー)にて三木谷浩史と田原総一朗の『オフレコ!』用対談。アスコムから高橋克佳、小林英史、カメラ石川健一郎。TBS問題などについても聞く。田中康夫知事時代、長野県本人確認情報保護審議会の委員同士でたまに会っていた広報渉外室長・執行役員の関聡司とも久しぶりに再会。関の部屋は三木谷社長の隣だそう
●三木谷浩史は、なによりも元気で前向きなのがいい。元気で前向きな話ばかりで、本当にオフレコの話もいくつか出たけれど、それも含めてとてもおもしろい。アジアを見すえていること、楽天の海外進出は現地の人(ネット上の店の主宰者)が儲かる(現地で安く組み立てる工場進出とまるで違う)から、時間はかかるが摩擦がなく手堅いことなどが印象的

11-23
フォーラム神保町主催 第一回『田原総一朗ノンフィクション賞』 受賞作記者発表及び授賞式のご案内(以下、報道むけリリースをそのまま転載)
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度、「フォーラム神保町」では、第一回『田原総一朗ノンフィクション賞』の受賞作記者発表及び授賞式を、下記の通り、開催する運びとなりました。
つきましては、ご多忙中の事とは存じますが、是非、ご出席を賜りますようご案内申し上げます。
日時/2009年11月30日(月) 午後5時〜8時半(4時30分より受付開始)
会場/「学士会館」2F 201号室
出席者/田原総一朗、魚住昭、佐藤優、宮崎学、中沢けい、坂本衛(以上、選考委員)及び受賞者
「田原総一朗ノンフィクション賞」の設立趣旨
フォーラム神保町は2006年10月の発足から、現役のメディア関係者(新聞記者、ライター、編集者、テレビ番組制作にかかわる取材者ら)を集め、表現や発表及び研究の場として、メディア研究会のトポス(空間)を公開、提供してきた。その3年に及ぶ活動の次なる展開として、これからの日本の言論・映像の世界を担うにふさわしいと思われ、またその実力があるものと認めた活字または映像表現によるノンフィクション作品に対し、『田原総一朗ノンフィクション賞』を授与する。
問い合わせ・出席のご連絡は フォーラム神保町→info@forum-j.com
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フォーラム神保町『田原総一朗ノンフィクション賞』受賞作品決定のお知らせ
第1回『田原総一朗ノンフィクション賞』受賞作品は下記のように決定致しました。
<活字部門>
◇大賞 該当作なし
◇佳作 大瀬二郎(41) 『アフリカ大戦の亡霊』 副賞として30万円
◆最終ノミネート作品
田村和紀夫(57) 『クラシック音楽 名曲名演論』
吉田俊一(47) 『少年たちはなぜ 路上生活者暴行死』
河西宏祐(66) 『路面電車を守った労働組合』
花房尚作(39) 『いわゆるネトゲ』
佐藤清文(43) 『ジャーナリストの文学 ノンフィクション』
前川恵司(62) 『帰郷 満州建国大学 朝鮮人学徒 青春と戦争』
大野和基(54) 『代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳』
堀越善晴(52) 『バリアオーバーコミュニケーション』
片岡 健(38) 『この壮大なる茶番 和歌山カレー事件再検証報告』
近藤己順(26) 『アスペルガー障害とともに』
戸根裕士(22) 『アイコノクラズム』
大瀬二郎(41) 『アフリカ大戦の亡霊』
高瀬 毅(54) 『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』
<映像部門>
◇大賞 該当作なし
◇奨励賞 松林要樹(30) 『花と兵隊』 副賞として50万円
◇佳作 満若勇咲(23) 『にくのひと』 副賞として30万円
◆最終ノミネート作品
満若勇作(23) 『にくのひと』
松林要樹(30) 『花と兵隊』
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第一回『田原総一朗ノンフィクション賞』最終選考会 講評
「私は、いまでも、このノンフィクション賞に自分の名前を冠することへの拒否感があります。しかし、最終的に諾としたことは確かです。そうである以上、僕が読んで、ドキドキする作品、時代を壊す作品を期待し、それを大賞の基準としました」(田原総一朗)
応募総数 活字作品289 映像作品17
最終選考作品を審査した結果、残念ながら大賞受賞基準に達する作品はない、というのが審査員の一致した意見だった。ただ、選考過程で、将来、時代と斬り結んでくれそうな可能性を秘めた作品、著者、制作者に出会えたのは、大きな収穫だった。
その観点から、以下3作品を、奨励賞、佳作に選出した。
奨励賞(1作品)
『花と兵隊』松林要樹(映像部門)
太平洋戦争終結後も、出征先に残った旧日本軍兵士の戦後を取材したドキュメンタリー。単に、旧軍兵士の“その後”を描いているだけではなく、老いゆき、やがて死を迎える者と、生まれてくる新しい生。綿々と続く命が静かに淡々と描かれている。制作者の松林氏がこの作品を撮影したときは20代後半だと思われる。その若さでこのような視点から人間が生きてゆく姿を捉えることができるという点は、非常に高く評価できた。映像が美しく、若い世代の美意識やセンスの高まりを感じさせる作品でもある。
一方で、制作者も認めている通り、今村昌平氏のテレビドキュメンタリー『未帰還兵を追って』(1971年)とテーマは同じであり、『未帰還兵を追って』を凌ぐ作品とは言い難い。しかし、松林氏の若さ、取材対象へのまなざし、撮影・編集技術の面において、今後、さらに良質な作品が撮れるのではないという期待を抱かせた。
佳作(2作品)
『にくのひと』満若勇咲(映像部門)
審査員の意見は大きく二つに割れた。食肉加工と被差別部落の問題という、既存のメディアでは触れることも、撮ることもできないタブーとされている映像を撮った点を高く評価するという意見。一方、制作者の満若氏がこうした問題に踏み込めたのは、その素直さ、そのストレートさゆえとも言え、食肉加工の現場で働く人たちの葛藤が映像から伝わってこない。また、タブーに踏み込んだとも言えない。タブーというのは既存のメディア側にとってのものであり、本質的なタブーはこの映像からは見えてこない。という異論も。
しかし、差別の問題から離れ、食生活について考えてみると、この作品は何を訴えかけてくるのか。外食、家ごはんを問わず、肉なしに現在の食卓は成り立たない。その意味で、制作者は、食物の調理プロセスのひとつとして見せるつもりで、この作品を撮ったようにも思える。作品中、見学に来た女子中学生が解体の様子を見ようとしないのも、その生徒に見るように促す教師の及び腰も、象徴的だ。
『アフリカ大戦の亡霊』大瀬二郎(活字部門)
著者の大瀬氏はフォトグラファー。取材メモのような文章だが、写真と相まって、現地の情景が頭に入ってきた。PKOで先進国が資金を出し、現地に派遣されているのは開発途上国の兵士だという実態から、猿の燻製の弁当まで、自分の目で見たものについて、自分はこう見たと素直に書いてある。書いていて本当に楽しいという本人の思いが伝わってきた。取材メモであるがゆえの面白さがある。近代散文法以前の、冒険物語であり、言い方を変えれば、体を張った取材と言えるだろう。
時代に対する影響力という点では残念ながら大賞の水準には達していない。しかし、この作品は、未発表でもあり、著者の、見たものを言葉にしようとする努力を鑑みると、ここから何かを積み上げていく出発点にできるのではないだろうか。物語の面白さに加え、写真点数を増やして再編集し、商業出版物としての可能性を探ってみたいという気持ちにさせた点で佳作とした。
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●終日、原稿書き。【以下11月30日に付記】念のため、上記選考で坂本はあくまで「映像部門の審査員」です。映像部門の全作品は詳細に視聴し、すべてについて短評を書き、まとめの坂本見解を付して他の選考委員に渡しました。結果的には、私が「大賞ではないが、賞を出すべきだ」と結論した映像部門の2作品が奨励賞と佳作になりましたが、活字と映像の最終ノミネート作品の比較検討には関与していません(聞いていた)。田原は選考会で「みんな(活字の人だから)活字に厳しく映像に甘いんだよ」と言っていましたが、私もそんな印象を受けました。なお、映像部門の受賞2作についての私の評価は、最終選考結果ちょっと違います(奨励賞と佳作の順が違う)。ここは選考会でも議論になったところ。そのようなやりとりはすべて公開する方針と聞いていますので、フォーラム神保町サイトをご覧ください

11-22
●終日、原稿書き

11-21
●この数日間、創の電話取材をあれこれ断続的に

11-20
●午前、日大マスコミII、午後同じく放送特殊研究Vの授業
●午前中に課題論文(ルポルタージュ)のサマリーを書かせていて言ったこと。【質問:ワープロ提出原稿は何字×何行で書けばいい、に対して】とりあえず下書き段階はA4紙に40字×40行でいい。あとで整形すりゃいいので、そのとき確定書式を指示。基本は「読みやすい」ことね。横組みの本の1ページは普通2段組になっているでしょ。なぜかといえば、1行に50文字とか詰め込むと、ある行の50文字目まで読んで次行の最初の1文字目に戻るとき、目の移動が大きすぎ、スンナリ見つけられないから。メールでもそうでしょ。改行しないと読みにくいだろ。【あまり改行しませんとの声多し】なんで? ん? ああ、携帯メールだからか。いま言っているのはPCメールについてだよ。必ずこの電子メールのマナーを読めと言わなかったっけ? 学生と「メールではね」などと話すとき、PCと携帯と互いに違うものを思い浮かべているので、話が食い違うことがある
●午後は『ゆきゆきて、神軍』(後半)を見せる

11-19
●終日、原稿書き

11-18
●終日、原稿書き

11-17
●終日、原稿書き

11-16
●終日、原稿書き

11-15
●終日、原稿書き

11-14
●終日、原稿書き

11-13
●日大授業。午後は『ゆきゆきて、神軍』(前半)を見せる

11-12
●終日、原稿書き

11-11
●終日、原稿書き

11-10
●午後、『オフレコ!』新年号の対談。月尾嘉男vs.田原総一朗。お待たせしました! 田原責任編集・坂本責任副編集の『オフレコ!』、アスコムから出しますよ

11-09
●13〜15時、田原総一朗ノンフィクション賞の最終選考会@都内ホテル。選考委員は田原総一朗、佐藤優、魚住昭、宮崎学、中沢けい、坂本衛。関係者として選考スタッフ(活字)大窪一志、牧梶郎、アスコム高橋克佳、小林英史、「魚の目」山田聡。事務局は岡部朱美(フォーラム神保町)。選考会の様子は「フォーラム神保町」ならびに『魚の目』のサイトにて掲載予定。なお、坂本は活字部門の応募作を1行1字も読んでおらず、関わったのは映像部門だけです
●18時半〜放送批評懇談会・記念事業プロジェクト@新宿5丁目放懇事務所

11-08
●実家に行き、さらにART KAWASAKI 2009へ。吉本義人やお蓉、藤森隆も行っているはずだが、林武は来ない(佐野でケンカ中らしい)。池上町(旧桜本3丁目)の焼肉・道飛館は日曜やっているのかしらん。焼肉を食う日本人ならば一度は行き、周辺を歩いてみるべき店

11-07
公開シンポジウム「テレビ報道活動・ギャラクシー受賞作を見て、制作者と語る会」
■日時 2009年11月7日(土)13:00〜17:00《開場12:30》■場所 日本大学藝術学部江古田キャンパス東棟E301教室■主催 放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門委員会■後援 日本大学藝術学部放送学科■無料 定員250名※事前の申し込みは必要ありません。どなたでも入場できます
【坂本による口上・能書き】
 2009年ギャラクシー賞「報道活動部門」受賞作を上映・鑑賞して、制作に携わった放送局関係者、選奨委員、会場参加者が語りあうシンポジウムです。
 ギャラクシー賞に輝く報道活動は日本を代表する優れた放送番組ですが、放送エリア外ではなかなか視聴する機会がありません。その上映は、報道をじっくりと振り返る得がたい機会です。
 また、制作者、取材者、批評者、研究者、学生、視聴者などが一堂に会してテレビ・ラジオ報道について議論することは、報道の現状や課題を浮き彫りにし、放送にとって大きな意義があります。
 制作者、メディア関係者、研究者、メディアや表現を学ぶ学生、放送に興味をお持ちのみなさんなど多くの方々のご参加をお待ち申し上げます。
アクセス■西武池袋線「江古田」下車。池袋から各停で10分■駅北口を出て右へ。徒歩3分
プログラム
12:30 開場/受付開始
13:00 〜 13:05 開会あいさつ坂本衛
13:05 〜 14:15 ………………………… part1
◆関西テレビ食物アレルギーキャンペーン上映
◆毎日放送VOICE 農水利権追及シリーズ上映
◆ディスカッション《終了後10分休憩》
佐藤一弘(関西テレビ)、東野欣(毎日放送)、
小田桐誠(放懇)、田原茂行(同)
14:25 〜 15:35 ………………………… part2
◆NHK 名ばかり管理職キャンペーン上映
◆朝日放送消費者不在〜幻の魚クエ偽装上映
◆ディスカッション《終了後10分休憩》
岩田敏志(NHK)、半田俊介(朝日放送)、
麻生千晶(放懇)、鈴木典之(同)
15:45 〜 16:55 ………………………… part3
◆札幌テレビそこにある地球温暖化上映
◆日本海テレビ校庭芝生化キャンペーン上映
◆ディスカッション
山谷博(札幌テレビ)、福浜隆宏(日本海テレビ)、
坂本衛(放懇)、露木茂(同)
16:55 〜 17:00 閉会あいさつ上滝徹也
※総合司会は放懇選奨委員の碓井広義。今村庸一、上滝徹也、小林英美、山田健太は会場参加の予定。
●20分ずつ2本を上映し、4人で30分議論します。当サイトの読者のみなさんも、ぜひおいでください! 2ちゃんねるで「麻生千晶は実在するか?」と議論しているみなさんも、自分の目で実物を見るといい

11-06
●GALAC相葉雅紀表紙号、発売
●日大授業。17時半〜小林道雄、元木昌彦と飲む@西早稲田かわうち

11-05
●原稿書き
●明日発売のGALACは、昨4日に放懇オンライン注文分の発送を終えました。ヤマトのメール便で、到着までに当日を数えて都内で3日(6日着予定)、北海道あたりでは札幌・函館など大都市で4日(7日着予定)程度かかるようです。GALAC編集部では「11月9日の月曜日いっぱい待っていただき届かない場合は、11月10日からメールや電話で問い合わせを」と申しております。よろしくね

11-04
●サイト更新ほか雑務膨大。公開シンポジウム「テレビ報道活動・ギャラクシー受賞作を見て、制作者と語る会」ページをようやくup
●昼食中に見たTBS番組の感想。日本語がムチャクチャです。詐欺を働いた女性の周辺で男性何人かの不審死が続いた事件のニュース。0時3分頃、女が500万円一括払いでクルマを買ったことが「捜査関係者取材でわかった」と報じた(ナレーションも字幕も)。捜査関係者は通常、警察のことだが、彼らの調査は通常、取材とは呼ばない。これは捜査関係者への取材では? また、練炭を「んたん」(「れ」にアクセント、「ノンタン」のよう)と言ったが、「れんん」(「た」にアクセント、「あんパン」や「れんこん」と同様)のほうが標準語では? 0時12分には「××さんが殺害、放火された事件」と報じたが、千葉の女子大生は身体に放火されたのか? 千葉県警の発表は「何者かに殺害され、その後部屋に放火された」との見方。「部屋に」を省略してどうする? バカな元滋賀県警OBもハッキリ有害。容疑者らしき男の映像を「メガネの目が見えているから、変装用サングラスではなく、普段からメガネをかけている人物」とアホな解説。なんで? 遠視でATM操作のときだけ老眼鏡をかけたかもしれないし、変装用に度の入ってないメガネをかけたかもしれない。このTBS番組の視聴者が、画像の男は知り合いに似ていると思ったが、テレビで元警察官が「普段メガネをかけている人物」と断言したから通報するのをやめたとしたら(そういうことは絶対にあり得ないと、どこの誰に断言できる?)、この元滋賀県警は、どう責任を取るつもりなんだ? ふざけんな! TBSはニュースその他の番組で公務員の天下り問題を伝えている。元公務員が自分の半端な”専門知識”をひけらかし世の中をミスリードすることにカネを払う放送局と、天下り官僚を受け入れるナントカ財団を、一度比較してみたらどうか。視聴者に五十歩百歩だ、どっちもどっちだとと思われる心配はないだろうか、と。それからこの番組は、世の中の女性のうち悪いことをした者を「女」(おんな)と呼ぶことに決めているらしい。私は、女たちに失礼な話だと思いますね
●11月7日の公開シンポジウムのプレスリリースを作成、放懇・久野明から各メディアに送信してもらう。案内チラシに添えた文面は以下
●いつもお世話になり、ありがとうございます。
 私ども放送批評懇談会ギャラクシー賞報道活動部門委員会は、日本大学藝術学部放送学科の後援を得て、別紙案内のように公開シンポジウム「テレビ報道活動・ギャラクシー受賞作を見て、制作者と語る会」開催致します(11 / 7〔土〕13:00 〜 17:00 @日大江古田キャンパス)。
 制作者、取材者、批評者、研究者、学生、視聴者などが一堂に会してテレビ・ラジオ報道を鑑賞し議論することは、報道の現状や課題を浮き彫りにし、放送にとって大きな意義があります。
 新聞・雑誌・テレビなど、マスメディアの現場のみなさんに、積極的なご参加と、当シンポジウムについての紹介・取材・報道をお願い申し上げたく、FAXにてご案内させていただきます。
 どなたでも、どの時間からでも参加でき、撮影も自由です。受付で名刺をお出しください。放懇選奨委員は個別の取材にも対応致します。

11-03
●原稿書き、サイト作業

11-02
●午前中PC作業。13時、新宿セゾンプラザ7階の「ねぎし」で昼食。放懇・福島美子、久野明と。一緒に事務所に戻り、会報「ほうこん」日韓中テレビ制作者フォーラム報告記事を書き、雑用少々
●18時半〜映画『BANDAGEバンデイジ』(小林武史監督、2010年1月16日公開)の完成披露試写会@有楽町国際フォーラムCホール。1階は30万人の応募から当たった一般の女の子たち約1000人。私の席は2階10列26番で最前列中央(正確には26と27の境目が中央)なのはいいが、スクリーンを見下ろす感じになる。映画はできるだけ低い姿勢でクタッと寝て見たい主義(というか趣味)なのだが仕方ない。上映前に舞台挨拶。赤西仁、北乃きい、高良健吾、柴本幸、笠原秀幸、金子ノブアキ、杏、伊藤歩、岩井俊二、小林武史がズラリ登場し、1階席は狂喜の大歓声。仮にジャニーズの人気者20人のファンを1000人ずつ呼んでおき、好きなアイドルが登場したときの歓声(騒音?)の大きさを測定すると、たぶん赤西ファンがいちばんでは(年末カウントダウンでもそう思った。関ジャニ∞も結構上位)。以前KAT-TUNのCDデビューお披露目が芝プリンスであったとき、メンバーが会場を回って出席者と記念撮影した。赤西仁と田口淳之介にはさまれて私が写っている、と。あの若者が映画初主演とは喜ばしい
●こんなことを言っていた。「赤西仁でーす。お忙しいなか足を運んでいただきありがとうございます。楽しみに待っていてください」「(今日の試写を)僕的には待ちくたびれていました。映画の世界観がすごいなって、惚れ込んでしまう印象を受けた」。北乃きい(私が、同年代では群を抜いてすごい女優だと思っている上野樹里に、感じがよく似ている)によると「赤西さんは気さくな方で、現場のムードメーカー的な存在でした」。小林監督は「(主役には)赤西クンがいいんじゃないかと言ったが、勘の上をいくドンピシャだった。楽しいことに気持ちが動いて、反応が早い。とてもやりやすかった」。確かに、うだうだとアンニュイな、ちょっと不良(ワル)っぽい、実は純で優しく恥ずかしがり屋な感じはピッタリ。歌はもうちょっと、がなり立ててもよいような
●映画が終わって暗闇のなか拍手が続く最中いきなり幕が開き、映画主題歌のライブ。1階席は狂喜乱舞。白波瀬傑、清水茂晴とご挨拶、相葉雅紀GALAC表紙のお礼を言い、21時20分退出

11-01
●正午、奥沢の実家。奥沢図書館で調べ物を16時まで。19〜21時、嵐の実験SPを母と見る。その後、ノートPCで2時半まで仕事

10-31
●原稿かき

10-30
●日大授業。マスコミIIは、ルポ作品サマリー書き(400字)。午後の放送特殊研究Vは、大ホールの宮藤官九郎(日藝賞受賞者)講演会と重なったので、行きたいヤツはそっちに行けと。それでも何人か残り、マイケル・ムーア『ボウリング・フォー・コロンバイン』の後半を視聴。この映画でいちばんまともな発言をしているのが、ロックのマリリン・マンソン。コロンバイン高校銃乱射事件の犯人が聴いていたので、悪の権化とされた。じゃあ、乱射犯が犯行の朝やっていたボウリングはどうなんだ、こいつも悪の権化かというのが映画タイトル。たんなる銃社会アメリカの告発映画ではなく、不安や恐怖に踊らされる病んだアメリカを描く映画。日本同様アメリカでも、凶悪犯罪は減っていることに注意
●映画の終わり、監督ムーアは全米ライフル協会会長チャールトン・ヘストンの自宅に押しかける。彼が何者か説明しようと「『ベン・ハー』って映画知らない? 『大いなる西部』でグレゴリー・ペックと殴り合ってたヤツは? じゃあリメイクじゃない最初の『猿の惑星』は? ラストに自由の女神が出てくる映画」と言ったが、全員が全部見ていない。当然『十戒』も『北京の55日』も見ていない。学生たちと話していて、これが最近いちばん困る。映画の話、文学や小説の話が、見ていないし読んでいないために全然通じない

10-29
●15〜18時、新宿で買い物以外は原稿書き

10-28
●午前中、原稿書きなど。13時、ドイツ料理カイテル。放懇専務理事・隈部紀生、事務局・中島好登、福島美子と昼食。ここのランチは超おススメ。スープ、サラダ、パン、メインディッシュ(肉とごはん+α)、コーヒー、デザートが順に出てきて1050円。明らかに食器を洗うだけでもたいへん。とくにデザートには、いつも驚かされる。このデザートとコーヒーで800〜1000円取る店は、全然珍しくない。新宿3丁目からちょっと歩くが、ここに寄ってから伊勢丹で買い物なんてのがオシャレかと。紹介サイトの口コミ情報にはママがキツいと書いてあるが、いつか昼に行き「放懇の連中が来てから注文する」と言ったら「ビール飲んで待ってる?」と出してくれた。サービスだと。だから人それぞれでしょう。食事後、専務理事が「楊枝をくれ」とドイツ語で言ったが、昭和14年生まれのマイスター、カイテルは「何? そんなドイツ語ない! そんなことを言っているのは、どこのどいつだ?」。若いころ京王プラザの副料理長を16年やったオヤジなのだが、しょっちゅうダジャレや冗談を連発。専務理事にご馳走に。ごちそうさまでした
●午後いっぱい、放懇で11月7日のイベント用ポスター(A2、A3判の大小2種)とチラシA4判づくり。一段落してから、東急ハンズと世界堂で買い物。18時半〜放送批評懇談会の理事会
●相葉雅紀表紙のGALACは、放懇オンラインショップへの申し込みはそれほどでもなかったが、書店注文が5000冊規模と多く(当欄で安いところで買ってくれ、2冊以上なら送料無料のオンライン書店もある[アマゾンのこと]と書いたせいかと調べたら違った。ネット書店経由は1割もなくせいぜい数%。ほとんどが書店店頭での注文だったらしい)、結局ふだんより7000部多い1万1000部を印刷した模様。事前に注文してくださった方、ありがとうございます。いままで1万部を大きく超えたのは嵐の3人が表紙の号だけです。21時半帰宅

10-27
●朝から取材資料・レジュメづくり。13〜14時、脳学者の茂木健一郎に取材。アスコムから高橋克佳、小林英史。14〜15時半、田原も来て『オフレコ!』新年号用の対談

10-26
●朝、田原総一朗と電話で長話。原稿書き。18時〜ビジネス社岩谷健一と打ち合わせ@西早稲田かわうち。私が出した単行本企画二本の進め方につき、あれこれ

10-25
●原稿書き、資料整理など。夕方、実家の水やり

10-24
●夜中から朝まで、細かいメモを取りながらギャラクシー賞報道活動部門の応募ビデオ視聴。10時に終わり2時間ほど寝る
●14〜17時、ギャラクシー賞報道活動部門委員会の上期審査。西早稲田かわうちを昼間から特別に開けてもらい、その座敷にて。出席は麻生千晶(作家)、碓井広義(報道活動部門副委員長、東京工科大教授、元テレビマンユニオン)、小田桐誠(選奨事業委員長、前GALAC編集長)、上滝徹也(日大教授)、小林英美(読売新聞)、坂本衛(報道活動部門委員長、元GALAC編集長)、鈴木典之(評論家、元文化放送)、田原茂行(評論家、元TBS)、露木茂(東京国際大教授、元フジテレビ)。欠席で書面提出は今村庸一(駿河台大教授・文化情報学研究所長)、山田健太(専修大)。事務局から福島美子
●ほぼ滞りなく16時半すぎには審査終了。17時から玄関近くの椅子席に移り宴会。最後は小田桐、小林、露木、坂本の4人でぐだぐだ飲み、時計を見たら0時10分。4000円会費で10時間もいてしまった。渡部雄一ゴメン!

10-23
●日大授業。午後の授業は真田広之(日藝賞受賞)の講演会と重なり、そちらに学生を回してほしいということで、放送特殊研究Vはヤメ
●17時半〜20時すぎ「メディカル朝日・大編集会議」なる歓談会@朝日新聞社新館15階会議室。『メディカル朝日』編集長・近藤雅人に誘われて顔を出す。朝日新聞の事業開発部部長・酒井淳三、同次長・浜崎里枝子、メディカル朝日広告担当専任部長・山辺茂樹、同キャップ・樋山結花、朝日新聞出版分冊百科編集部・光成三生、インフ・プランニング岡田明彦、日本職縁研究所・平野賢司、医科歯科大博士課程・塚崎朝子(元テレビマンユニオン)、以下は医療ジャーナリストやライターの林義人、小林和夫、山下知志、大橋由香子、田中響子といった方々と話す。挨拶を求められ一言。科学、医療、環境問題を追うフォトジャーナリスト岡田明彦は全共闘世代、日大芸術学部写真科中退だそう。喫煙ルームで、カメラのこと、日大のこと、彼の師匠だった木村伊兵衛のことなどあれこれ
●昔アサヒカメラ講座という何巻本かのシリーズがあって、子どものころ熱心に読んだ記憶がある(朝日カメラ教室ではない。たぶん昭和30年前後の本。いまでも実家にあるはず)。短髪で袴姿の八千草薫がモデルになったりしていた。この本に木村伊兵衛がライカで撮った街のスナップ(たしか夜の京都先斗町あたりとか銀座とか)やポートレート(芸者とか歌舞伎役者とか)が載っており、「ふーん、8分の1秒で撮るわけだ」なんて思った。ブレているのも、また味であると。オヤジが昭和20年代末頃のライカMIIIを持っていて(いまは私が持っている)、中高時代にけっこう撮ったもんです。オヤジは「ここの製造番号を見てみろ。この100万台目が英エリザベス女王にプレゼントされたのだ」と自慢げに話していた(この切手になったのがそうかも)。小6のときの修学旅行(日光)にはオヤジのペンタックスを持っていったが、「絞り8・125分の1秒を基本に、日照や雲や日陰の様子と被写体のスピードを勘案してあれこれ動かす」というモノクロ撮影(もちろん露出計なしストロボなし)で、まず失敗しなかった
●ついでに書いておくと、うちにあった土門拳の『筑豊の子どもたち』(ザラ紙の薄っぺらい週刊誌みたいな感じの写真集)も子どものころ読んで(見て)衝撃的だった。何しろ半世紀前の、もうボロボロの冊子だが、今も手元に置いてたまに眺めることがある
●21時すぎ帰宅。ギャラクシー賞報道活動部門の応募ビデオ視聴スタート。ぶっ続けで10時間かければ終わる見込み

10-22
●彦根ビューホテルを出る朝、エレベータの扉が1階で開いたら、朝食をすませて部屋へ帰る井村雅代とバッタリ。「またお会い致しましょう」とご挨拶。9時54分米原発、名古屋で乗り換え、11時31分静岡着。なにかというと、静岡駅前の松坂屋6階美術画廊で母が「第21回 坂本幸子 革の会作品展」(10月21日〜27日、午前10時〜午後7時。最終日は午後4時半まで)を開いているので途中下車。12時には東京から家人も来て合流。母と3人レストラン階で昼食。静岡のお弟子さんほか前島敬臣・徳子(母の妹)夫妻も。前島叔父は80いくつかのはずだが、ついこの間、自動車免許を更新したし、今日は家から自転車で来たと。実に若い! 15時頃まで画廊。奥に展示してあったいちばん大きい額作品を、母の母校の旧静岡高女(現・静岡県立静岡城北高等学校)に寄贈するそう。
●その後、松坂屋地階や駅ビル(パルシェ)で買い物。このために容量24Lのソフトクーラーボックス(軽く、5cm厚くらいにたためる)を彦根まで持っていった! 買ったのは釜揚げしらす升売り山盛り4杯(たぶん700gくらい)、桜エビ2パック、蒲菊(本店は静岡・呉服町で昔、暮れになると一番町の母の実家から伊達巻や紅白の蒲鉾を買い出しにいった)の黒はんぺん3袋ほか、足平(焼津の練り物屋)のゴボウ巻き3袋ほか、ヤマサ(豊橋だがパルシェに出店)のちくわ、田丸屋のわさび漬け(この金印ってのがいちばんうまい。気が抜けるので、大きいものより小さいサイズを2〜3個買ったほうがいい。上に抜けるので、冷蔵庫でも食卓でも天地をひっくり返しに置くといいと思う)とわさび塩(前はこんなのはなかった。天ぷらやタコ刺しなどによさげ。かなり強烈)、松坂屋地階の刺身よりどり3パック1000円など。売り場にデカいアイスボックスがあり、勝手にビニール袋に詰めて持ち帰る。最近流行《はやり》の静岡おでんも買って、帰りの車中で食おうかと思ったが、ヤマサのちくわでよしとする。静岡おでんについては、一番町小学校の前にあった、いまはなき駄菓子兼文具店「山田」のおでんに優るものは断じて存在しない(40年以上前に1本5円、肉のみ10円)。16時すぎ静岡発の新幹線で帰宅
●私は赤ん坊のときから休みのたびに長く静岡に行ってましたが、お茶とミカンとワサビ漬けと焼津に上がる鰹をのぞけば、静岡土産というか静岡の三大うまいものは、しらす、桜エビ、黒はんぺんだと思います。本当にうまいしらすは、東京では滅多に食べられません。いちばんうまいのは駿河湾の船の上、ついで浜で釜揚げにしたヤツ、その次が朝取れた釜揚げを当日静岡で食う場合。ここまでは非常にうまい。三番目を東京に持ち帰ったり送ってもらっても、かなりいける。なお落ちるが冷凍すれば日持ちする。もちろん、干したしらすの話じゃないですよ。しらすも桜エビも大根おろしが合うが、いちばんうまい食べ方は、そのまま白いご飯にドーンと載っけることでしょう(醤油はかけない)。黒はんぺんは、ふわふわのいわゆる「はんぺん」とは別物で、鰯《いわし》や鯖《さば》を使った平べったい「つみれ」に近い。食べ方は、そのまま刺身のように山葵《わさび》醤油または生姜《しょうが》醤油またはワサビ漬け+醤油で食べる、あぶって同様に食べる、おでんや鍋に入れる、フライにするなど。静岡の祖父・深澤銀蔵は「こんなものは生臭くて食えん」と言っていたから、生ではダメという人もいるかも

10-21
●昼、宋文洲・田原総一朗の対談本原稿up、送稿
●15時東京発の新幹線(名古屋乗り換え)で米原へ。18時すぎ彦根の滋賀県立大学。18時45分〜20時半、公開琵琶湖塾。ゲスト講師はシンクロナイズドスイミングの世界的な指導者、井村雅代。2006年1月の琵琶湖塾にも来てもらったことがあり、当時は中国チームに行くかもというような話だった。その後の2008年夏、北京オリンピックでヘッドコーチを務めた中国チームが銅メダル(日本はチーム5位)。まず「北京の銅メダル、おめでとうございました!」と言うと、「ありがとう。おめでとうと言ってくれる人は、日本では珍しいんですよ」とニコニコ。田原は前の仕事が押して到着は20時すぎというので、私の司会で進行。中国代表チームのヘッドコーチになった体験談を50分講演してもらい質疑応答。20時40分から1時間ほど、県大学生たちとの車座討論
●講演は、北京オリンピックが近づくなか四川大地震の勃発と胡錦濤が見学に来た話、それからオリンピック本番のデュエットで失敗してからチーム競技までの3日間の話(競技にむけてあらゆることに神経を集中し頭を働かせ、ちょっと一言いうだけでも考えに考えまくって、いつ寝たか何を食べたか一切覚えていない。自分の人生のハイライトの3日間だったと)が、とりわけ興味深かった。本番1か月前、中国側の水泳連盟か何かのエラい人が来て「政治家の見学はできないだろうか。マスコミも来てよいPRになると思うが」と打診。井村コーチは「お断り。1分1秒でも惜しいからダメ」と言った。しばらくするとまた来て「どうしてもだめですか」「ダメです」。先方は困った顔で「政治家って、中国でいちばん偉い政治家なんですけど、何とかなりませんか」「それは何という方ですか」「胡錦濤という人です」「あ、その方なら結構です。どうぞどうぞ」と。いうまでもなく胡錦濤は中国国家主席で、中国の最高指導者ね
●井村が中国代表チームを率いると決まったとき、日本では国賊だの裏切り者だのという話が出た(とくに週刊誌)そう。ここから先は私の考えですが、自国のコーチがライバル国のコーチになるなんてことは、国際化しているスポーツでは珍しくも何ともありません。たとえばサッカー。フィギュアスケートだって日本代表選手にロシア人コーチが付いているが、あのコーチを「ロシアの裏切り者でロシアの国賊だね」とは誰も言わない。「ロシア人コーチが指導するフィギアの日本選手が、ロシア選手に勝ってメダルを取る」のはよいが、「日本人コーチが指導するシンクロの中国選手が、日本選手に勝ってメダルを取る」のは許せないのだとしたら、偏狭な考えにとらわれて論旨が一貫せず問題外。問題があるとすれば、日本のシンクロ界でしょう。日本より下位のチームにメダルをもたらすコーチを引きとどめることができず、メダルに届かないコーチしか用意できなかった日本のシンクロ界がマヌケというだけの話。日本チームの秘密が中国側にバレてしまうと、くだらない心配を口にしたシンクロ関係者がいたそうだが、話にならない単なる嫌がらせ。サッカーのような直接対決がない競技なのだから、過去の戦術や練習法がバレたって何の問題も生じない。もちろんサッカーだって、日本代表監督のジーコをブラジルの裏切り者と思うブラジル人なんていない。サッカーのオランダ代表監督ヒディンクは、韓国代表監督として韓国をW杯ベスト4に、ロシア代表監督としてロシアをEURO2008ベスト4にした(オランダを破った)。オランダ人は「オランダ人のヒディンクはさすがだ」と称賛するのであって、裏切り者だの国賊だのとは言いませんよね
●帰るとき井村雅代に「井村さんて、何でそんなに元気というかパワーがあるんですか。反骨心かな。大阪のオバチャン・パワーも何割か入っているのは間違いないと思うけど」と。大阪から彦根までも自分でBMW・MINIを運転して来た。「百何十キロでピタッと路面にくっつく」とかなんとか。22時半、田原とタクシーで彦根ビューホテル。部屋で夕食

10-20
●対談本最終章の原稿書き

10-19
●対談本最終章の原稿書き

10-18
●【この項、後送】

10-17
第9回日韓中TV制作者フォーラム@韓国・仁川(インチョン)4日目。9時半〜総合シンポジウム。壇上パネリストの総括で、今野勉「去年のテーマは若者。今年は都市と人間。参加国が同じ基盤で(テーマを)つかまえることができるようになってきた。この場で見た番組を、各国の放送で見られるようにしたい」と。坂本は「今野さんは共通基盤ができてきたとおっしゃった。それは結構なことで大切にしたい。ただし、今回見てやはり三国の違いは非常に大きかった。とくにドキュメンタリーの再現映像、違法スレスレ行為の表現、演出法、BGMの使い方。他国では放送できないと思われる表現すらあった。共通基盤を意識しながらも、互いを比較し、違いを自覚し、その違いが何に由来するかを考えることが、極めて重要だと思う。その違いを認識して初めて、違ったままでよいか、他国を参考にやり方を変えていくべきかを考えることができる。それを考えなければならないと思う」と発言。また、NHK遠藤理史が、今まで黙って付き合ったけれども最低これだけはという感じで、「制作者が出席しないのはダメ。欠席ならエントリー取り下げをルール化すべき。壇上のエライ人の話より制作者同士の討論が直接、明日のテレビをよくしていく。ジャンル拡大や細分化には反対。この会場も広すぎ。人数も多すぎるのでは」という趣旨の発言。日テレ水島宏明も制作者の立場から提言。壇上パネリストからも、第10回を前にしてゼロ・セッティングのとき、原点回帰が必要、フォーラムらしい討論を増やすべき、サイトを作るべきといった意見
●11時すぎ、審査結果発表。仁川賞6本は韓中3本ずつ。優秀賞3本はNHK「お買い物」、日テレ「ネットカフェ難民」、日本海テレビ「人間の力(鳥取方式)」。最優秀賞2本は韓国「水の旅」、フジテレビ「風のガーデン」。大賞は中国「青春の主人公は誰」。大賞は、個人的にはやや疑問で、次回主催国にやや花を持たせたか。それ以外は順当だが、ドラマ・ドキュメンタリーを問わず、日本で評価が高い番組はアジアでもダントツに出来がよく、同列に評価するのは無理だという印象
●いずれにせよ課題は残るが、中韓のテレビの現状が垣間見え、非常に興味深かった。また、韓国側は今回、予算面で苦しいと聞いていたが、至れり尽くせり、盛りだくさんの内容で、関係者各位に敬意と感謝を表したい。ありがとうございました。また、日本側ガイドについた崔仁〓(「吉吉」という字)、尹さんにはお世話になり、ありがとうございました。このフォーラムは、参加者は足代のみ自己負担で、現地の宿泊費・食費は開催国が持つという仕組み。来年は中国・蘇州で開催予定。これなら、行き帰りの足代や観光・土産代に10万円くらい出して参加するのも悪くないと思いました
●昼食を早めに終え、みなさんにご挨拶。久野明とホテルに帰り、12時半に呼んでおいたタクシーでソウルへ行き、もう一泊。他の参加者は本日、仁川空港から帰国

10-16
第9回日韓中TV制作者フォーラム@韓国・仁川(インチョン)3日目。朝のバイキングでは、例によって夜のつまみ用韓国海苔を仕入れる。なお、韓国の食べものは大抵が甘い。空港からのバス内で出たサンドイッチが典型だが、飲み物も最初から甘い。フォーラム会場のロビーにあるコーヒーは最初から甘く、ペットボトルもお茶以外は何かしら甘い。ホテルのバイキングに置いてあるリンゴジュース、サイダー、ヨーグルトなども甘く、久野明によるとトマトジュースまで甘かった(トマトの甘みでなく砂糖で甘い)と。辛いものが多いと、甘いものがほしくなるのか。いちばん甘くないおススメの飲み物はペットボトルの水・お茶とミカンジュース
●9時フォーラム会場。【8】中国ドラマ「青春の主人公は誰なのか」上映。姉が働く北京に可愛く奔放な妹が出てきて、親が心配してと、ずっと以前にどこかで見たような青春もの。討論で「日本でも80年代後半以降、アメリカ発の青春ものが入ってきた。まずテレビ制作者が見て、その後に視聴者が見て、日本の青春ドラマには、その影響があった。アメリカ(ハリウッド)の影響は中国ではどうか?」と質問。「参考にはするが、模倣はしていない」との回答。ついで【9】韓国ドキュメンタリー「水の旅」上映。漢江その他の河川上流から海に出るまでに見られる虫などの生態を、クローズアップを多用して見せる自然もの。なかなかの力作。討論でカネの話や権利の話が出たのが興味深い。制作者が企画・カメラを兼ね、撮影に半年、編集に1か月、日本円にして300万円で作ったと。NHKで同じものを作れば10倍か20倍かかるかもしれないという話。権利はMBCだが、海外販売のみ自分にも権利があると
●昼食は、ソンド開発地域で都市博をやっているので、見学もかねてその会場でとのことで、バス移動。食事代として2万ウォン(1600円強)の配給あり。「東京館」と看板のある屋外食堂で「うどん」5000ウォン。久野明は「ラメン」6000ウォンだが、これはインスタントラーメン。都市博といっても、パビリオンというよりは大テントや仮設建物にゼネコンや環境関連企業が出展するほか、なぜかテディベア館(遠足の幼稚園・小中高生に人気)があり、さらになぜかトロイの木馬や2階建てロンドンバスがあって(どちらもただ2階に上るだけ)、会場中央に噴水、花壇、脇に小さな遊園地があるという、やや意味不明のイベント。誰かが仁川空港と直結している静岡県のブースがあったと言っていた。コンビニがあったので、夜のつまみでも買っておくかと「しょっぱいお菓子はない?」と聞いたら、店員がヘンな顔で「これかしら」と辛いえびせんとポテトチップを指した。日本のせんべいという菓子はしょっぱいのだと言うと、驚いた顔。やっぱり菓子も全部甘いらしい
●フォーラム会場に戻り、15時半〜【10】日本テレビ「ネットカフェ難民〜見えないホームレス急増の背景〜」上映。水島宏明が「ドキュメンタリーは何よりジャーナリズムを体現しなければならない。問題を掘り起こし、現状を変えていく力となるものでなければ」と制作者の弁。韓国の制作者は、取材対象をどう見つけたのかと実際的な質問
●17時〜【11】中国ドキュメンタリー「道の上で」上映。中韓の大学生6人が自転車で旅をする。行き先は自分たちで決め、農作業やら塩田の手伝いやらしつつ、環境問題を考え友好を深める。ところがこれ、あまりにも作り物っぽすぎ。塩田作業後、夕日を背景に学生たちがトンボやバケツを持って一列に歩くシーンはシルエットできれいだが、夕日がその位置に来るまでいったい何時間待ったんだという映像。6台の自転車の並べ方も画面きちきちに収まりすぎ超不自然。地面に置いたカメラ脇を自転車がシャー、シャーと通り過ぎるシーンでは、6台の間隔がそろいすぎ超不自然。行き先のわからない旅なのに、一つ谷をはさんだ遙か遠い山の道を行く自転車を望遠カメラで捉えるシーンは、自転車班とカメラ班が無線で連絡を取らないと撮れない。過剰演出満載だから、自転車をこぎつつ学生たちが語る「環境について人間はどうすべきか」なんて意見も誰かが書いた台本を記憶しただけ、どうせ自転車をトラックに積んで山越えしたんだろうと見えてしまう。捨ておけない駄作なので、以上をごくやんわり(「作り物っぽすぎると、メッセージまで作り物に思われて、よくないでしょう」と)指摘したら、「制作者が来ていないのでコメントできない」との回答。あとで、日本海テレビの福浜隆弘は「おっしゃるとおり。でも坂本さん、よく言いますねえ」、NHKの遠藤理史は「夕日のシーンは確かにやり過ぎ。クレーンで撮ってますよね」と。ドラマならまだしもだが、どうやら中国側は「このドキュメンタリー、いい出来でしょ」という感じで出してきたらしい。上映後、フォーラム会場となりでバイキングの夕食
●19時半〜【12】フジテレビ「風のガーデン」初回放映。中村俊夫が制作者の弁。討議で制作費の話が出て、宮本里江子が「1本5000万円で11本。ロケ地が遠方で拘束時間も長く、制作費がかさんだ」と説明すると、中韓はうーん、参ったという感じ。フジ社員のギャラは別勘定だから、その金額を知ったら、さらに愕然とするのではと思う。21時すぎ、優秀作品を投票。なにしろフジテレビ開局50周年記念ドラマ「風のガーデン」を日韓中に持っていったのは、あまりに破格すぎ(ハナから勝負にならず)、同じ土俵に乗せるのはまずいような。ホテルに帰り、日本海テレビ組を部屋に誘って小宴会。ジンロ小瓶を2本空ける

10-15
第9回日韓中TV制作者フォーラム@韓国・仁川(インチョン)2日目。7時起床。シャワー(バスタブなし)。8時すぎ19階レストランで朝食バイキング。韓国らしきものは海苔、カルビ、イカなど海鮮炒め、キムチ、オイキムチ、カクテキくらいで、あとはフツーのホテルの朝飯。会場まで歩いていこうとしたら、車で連れて行くという韓国の人あり、久野明と二人乗せてもらう
●9時〜【3】日本海テレビ「発見!人間の力 鳥取方式校庭芝生化キャンペーン」上映。10時20分〜【4】韓国ドキュメンタリー「誰でもよかった犯罪」上映。韓国の考試院と呼ばれる簡易宿泊施設(安下宿風アパート)に泊まっていた若者が放火し、逃げる人6人を無差別に刺し殺した韓国版アキバ事件を問う。再現シーン(再現というテロップは出ない)が、おそろしく凝っていてドラマっぽい。誰それは何カ所刺され抵抗しここまで逃げて力尽きたと細かい。何人もがこんな感じで泊まっていたというのを、大規模なセットを作って上から撮って再現。一目やり過ぎで、エグすぎ。BGMなどもおどろおどろしく、演出過剰。ヒドい無差別殺人があり、詳細はこうで被害者がこんなにかわいそうという以上の中身がない──と、誰も言わなければ言おうと思っていたら、ネットカフェ難民の水島宏明が、「犯人側を掘り下げるつもりはなかったのか」と発言。韓国側制作者も「過剰、誇張した部分が多く恥ずかしい」と弁明。昼食は隣のホールで松花堂のような弁当。刺身や天ぷらなど和風だが、ひょうたん型のトレイにカルビ、青唐辛子、韓国風小エビグラタンと、初めて韓国っぽいものが出た。休憩中、日本海テレビがVTR取材をしていたので、「一言ほめとく?」と鳥取方式の報道活動をほめる。「日本のマスコミの悪いところは、自らを安全地帯に置き、批判ばかりして、何ら対案を出さないこと。これはテレビも新聞もだ。日本海テレビの校庭芝生化キャンペーンは、声高な批判は一切せず、こんな対案があると爽やかに伝えた。結果的に、これまでの行政のやり方への徹底的な批判になっている。すばらしい。だから2008年度ギャラクシー報道活動部門大賞に輝いた」とかなんとか
●13時半〜【5】中国ドキュメンタリー「旅館」上映。最初は(しばらくの間)ドラマかと思った! 三峡ダム建設で川に沈む旅館の移設をめぐって二つの旅館が対立し、殺人事件が起こる。舞台も素材もいいのだが、何に焦点を当てるかわからないまま撮りはじめ、事件が起こったので犯罪者にインタビューしたという中途半端な映像。人間関係も誰が誰を殺したのか(少なくとも外国人には)わかりにくい。水没する家から丁寧に瓦を外して並べているのは、ずいぶんたってから、移設先で再利用するためかとわかった。ここ2〜3日あまり寝ていないので、午後の部の残り【6】NHKドラマ「お買い物」、【7】韓国ドラマ「ソウルには愛いっぱい」の視聴はパス。一人ホテルに帰って2時間ほど昼寝し、17時すぎ戻る
●18時、バスで仁川港に移動。19時、ディナー・クルージングに出発。まず、1階メインホールで、骨付きカルビ、手羽先、そうめん、キムチ、寿司などのバイキング。飲み物はビール、ジンロ。次いで3階デッキに上がり、バーベキュー(骨付きカルビに生ビール)。船は、仁川空港〜仁川開発地域を結ぶ連絡橋(ド派手にライトアップ中)をくぐり、橋のそばでしばらく停泊。近々開通式があり大統領も来るそう。その後、メインホールでショーを見せるというので、みんな下に。ショーは、ベラルーシからのきれいなお姉さんたちのダンス、韓国パワー系アクロバット、韓国女の子のフラフープ回し芸、さらにベラルーシ劇団によるフレンチカンカン。今度は3階デッキで花火をやるというので、またぞろぞろ移動。船後方からの花火は、小ぶりながら数十メートルの直上で破裂して大迫力。21時10分、バスでホテルへ。往きは渋滞で1時間かかったが、帰りは暴走気味でたったの25分。一度、全然減速せずに右折したら、右後輪が縁石に乗り上げ、大型観光バスのくせにジャンプ(最後列右に座っていたので衝撃大)。「こりゃヤバい」とベルトを締めたら、すぐホテルに着いた。日テレ水島宏明情報によると「韓国のバスは、路線バスでも運転手がバスオーナーで個人営業というのが多い。それで強気」なんだとか
●ホテルの部屋で、久野明とジンロで一杯。氷は各階にごくごく目立たない部屋があり、そこに製氷機がおいてあるのを取りにいく

10-14
●0時すぎまで原稿書きやらメール返信やら。荷造りなどして、寝たのは未明2時近く
第9回日韓中TV制作者フォーラム@韓国・仁川(インチョン)初日。朝4時半起床。5時11分神楽坂発の東西線で九段下へ、半蔵門線に乗り換え5時36分水天宮前。箱崎エアシティターミナル6時発のリムジン(混みそうな時間はネット予約可。片道2900円だが、往復を買えば割引5200円)で7時成田着。朝7時25分成田集合というので早めに出たら、30分近く早く到着し、大韓航空カウンターはまだ火が入ってなかった。隈部紀生はじめ放懇・放送人の会関係者とも遭遇。搭乗券を受け取り、放懇事務局・久野明とライオンで朝食(カレー。ここは一服できるのがイイ)。出国手続きの後タバコなど買い、9時すぎKE706便に搭乗。ボーイング747(いわゆるジャンボ)で、この機種はもうほとんど飛んでおらず、えらく古い機体のはず。いちばん後ろ、胴体が細くなっている席だったから広々としているうえ、生存確率も高い(笑)。9時半離陸、11時41分仁川空港着。いま話題の極東を代表するハブ空港で、とにかくデカい。さんざん歩かされる。どのバスに乗るか、このバスだが、先に乗り込んだ中国代表団の荷物で荷室がいっぱいでどうすんだ、というような話らしくグダグダ。中町綾子の超巨大スーツケース(何を入れてきたか知らんが、人が二人くらい入る)も座席に無理やり積み込んで13時すぎ空港発。バス内でサンドイッチ(芋やら野菜やらベーコンやらがゴッチャに入っていて妙に甘い。久野「この芋はサツマイモだ!」)。14時半、仁川広域市松島(ソンド)のソンド・パークホテル着
●あたり一帯は、ようするに日本の千葉幕張・横浜みなとみらい21・東京13号埋立地(お台場)を合わせたような巨大開発地域。とにかくここかしこにビルを建てており、あとはフェンスや仮囲いで囲った空き地。多くの建物上にクレーンが乗っていて、つまり建設中。なかでも一際高いとんがったビルが貿易センタービルで、そのふもとに日韓中TV制作者フォーラム会場のソンド・コンベンシアがある。荷物を部屋に置き、すぐバスで会場に移動。ホテルからは徒歩5分ほどだが、そうわかったのは帰り道
●開会宣言の後、15時15分から【1】韓国ドキュメンタリー「私には大事な夜」上映と討論。現代人の生活が「24時間化」「夜化」していて、事故も起きる。CATV局に勤める夫婦は、旦那が普通の勤務だが奥さんが午前5時番組のキャスターなので時差がネパールと西サモアほど違う二人が同居しているのと同じ。ソウル−テグー間の深夜トラック実験(脳波測定など)では居眠りしてジグザグ運転。チェルノブイリ原発大事故も居眠りが原因だった! ネズミも寝かせないと10日で死ぬ、うんぬん。上映後に討議。中国代表団副主席の長い演説後、日本人が誰も発言しないので、私が「居眠り運転の中継は、日本ではやらないし、できない。抗議が殺到するから放送できないし、ヘタすれば警察沙汰だ。そのような配慮はなかったのか? また、この実験も放送もできない日本のテレビをどう思うか?」と質問。韓国の制作者は「興味深い質問だ。危険と思えば撮影を中止したかも。(居眠りでも)道路の端のほうを走っていたので撮影を続行した。実情そのものを見せるべきだと思った」と、トホホの回答
●ついで【2】中国ドラマ「お正月」上映。スクリーン中央に大、左右に中の画面を同時に出し、二つには当該国以外の字幕がつく(これに限らず全作品がそう)。この日本語字幕が微妙すぎ笑える。たとえば「管理だったの?」「文化革命」「タイヤファンク」「あnお部屋が」「たしがわ」etc.正しくは「官吏だったの?」「文化大革命」「タイヤパンク」「あのお部屋が」「わたしが」。俳優はしっかりしており、そこそこ楽しめたドラマ。77年の正月に始まって30年を描く大河ドラマなので、日本人が誰も質問しなければ「文化大革命さなかの1964年正月に始まるドラマは作れるか?」と聞くつもりだったが、発言があったのでやめ。休憩中、韓国テレビ局OBSの取材を受ける。自己紹介、なぜ今回参加したか、今日の印象、仁川の印象を、各2分くらいで話す。仁川松島大開発については、「すごい大開発で驚いた。日本も同じようなことをやったが、後のほうで失敗した。そうならないように、がんばってください」とかなんとか(失敗とは、13号埋立地のこと。91年頃の坂本の週刊現代記事「東京大破産」4週連載をご参照)
●今日の上映は2本なので、さあ宴会かと思ったら、ここから本格的な開会セレモニーに突入。日本側挨拶の大山勝美(放送人の会)が遅れたそうで、今野勉が急遽代理に。モダン琴の演奏後、10分ずつ三国のテレビ事情紹介。中国は国家60周年・テレビ50周年で、最近は家族倫理や家族愛のドラマ、オリンピックと四川大地震でドキュメンタリーが作られていると。韓国は地上放送のシェアが30%を下回り赤字でたいへん。CATVが躍進。政権交代でKBSの社長が追い出され、政権に批判的なキャスターが入れ替えになった。さらに、今回のテーマが「都市と人間」ということで、建築家・金鎭愛の特別講演。なかなかドスの利いたオバさんで、「都市が陥っている落とし穴は視覚パワーの陥穽、資本の陥穽、権力の陥穽の三つだ。テレビも気をつけろ」と。新政権についても結構ボロクソに言っていた。19時半からフォーラム会場となりで晩餐会(バイキング)。テキトーに食べて解散。ホテルでは久野明と同室の1103号室。二人とも直前まで仕事で、朝も早かったため、何もする気になれず就寝。久野さんは、よほど疲れていたのかトド状態の大イビキ。あいにく耳栓を忘れたので、ティッシュを耳に詰め、枕二つで頭をサンドイッチにして寝る
●なお、日本からの参加者は以下の34名(所属などは参加名簿による)。遠藤理史・村田秀夫(NHK)、中村敏夫・宮本里江子・浅野澄美(フジテレビ)、水島宏明(日本テレビ)、福浜隆弘・澤田一宏(日本海テレビ、ここまで出品作の制作者)、隈部紀生・坂本衛・久野明・中町綾子(放送批評懇談会)、鈴木貴尚(放送番組センター)、甲斐靖子(放送文化基金)、磯部信夫(アジアコンテンツセンター)、吉野和美(映像新聞)、牧之瀬恵子、臼杵啓子・方敬子(鄭さん紹介)、原田令嗣(諮問委員)、隈元信一(朝日新聞)、水谷慶一(元NHK)、大山勝美、今野勉、河野尚行、山田良明、林健嗣、後藤和晃、松尾羊一、伊藤雅浩、渡辺紘史、中島〓(燎の火がりっしんべん)、寒河江正、長沼士朗

10-13
●原稿書き。夕方『マスコミ市民』の対談ゲラチェック。ちょっと完成度が低く全面的に手直し、えらく時間がかかる。明日からの韓国出張の前にギリギリ入稿する予定だった単行本の最終章が終わらず、アスコムに予定変更を伝える

10-12
●原稿書き

10-11
●GALAC(相葉雅紀表紙)ほかの原稿書き

10-10
●田原総一朗ノンフィクション賞映像部門の下審査で応募DVDを視聴。20本近くあって、たっぷり丸1日かかった。SABCDのランク付き選評メモをA4判4枚にまとめて事務局にメールし、DVDを送り返す

10-09
【相葉ちゃんファンのみなさんへ】前に当欄で13日頃からとお伝えしましたが、本日9日から、放送批評懇談会サイトで相葉雅紀が表紙(B5判)とグラビア(3ページ、記事は坂本が書くが1200文字程度と短い)に登場する『GALAC』2009年12月号(11月6日発売号)の予約受付を開始しました。この「GALAC 事前予約をご希望のみなさまへ」と題したページから予約すれば、必ず入手できます。よろしくお願いします
【いくつかご注意】
【1】上のページから、放送批評懇談会オンラインショップに飛ぶことができるほか、書店注文の仕方と、オンラインで申し込む環境になく書店も遠い方むけにFAX注文の仕方が説明してあります。よくお読みください。「FAX申込用紙をダウンロードできず、放送批評懇談会から直接取り寄せる方」以外は、メール・電話・FAXによる問い合わせをなるべくご遠慮ください。GALAC編集部は常駐3人で、この3人が放送批評懇談会事務局を兼ね、電話も受ける。問い合わせが殺到すると、まるで仕事にならないので、よろしくね
【2】事前予約の締め切りは、たぶん20日頃です。予約はお早めに。予約だけして入金しない人がいつも全体の1〜2割いるので、ひやかし予約はなるべくご勘弁。たいてい何百部か捨てることになります
【3】書店店頭で予約される方は、「11月6日発売の『GALAC』12月号。No.151」と必ずハッキリ伝えてください。書店経由の注文は角川書店を通じて放送批評懇談会に届きます。書店側の理由で注文が届くのが遅れると、入手できないケースが絶対にないとはいえません(余分に刷るからまず大丈夫だが、約束はできない)
【4】アマゾンなどオンライン書店でも受け付けているようですが、送料をよく調べて、いちばん安いところで買ってください。1冊ならば放懇オンラインショップの送料84円がもっとも安いはず(1冊84円、2冊116円、3冊140円で、4冊以上の場合無料)。2冊以上買う人は「1500円以上送料無料」のサイトで買ってもオーケー。もちろん書店店頭なら送料はかかりません
【5】アマゾンでは二宮和也表紙の『GALAC』2008年12月号を2380〜2500円(さらに別途送料340円)で売っていますね。この号は在庫があり、放懇サイトから780円+送料で入手できます。こういうのに引っかからないよう、くれぐれもご注意ください。【以上ルールを守って転載自由、リンク自由、耳打ち自由、噂話自由】
●昼夜の別なく原稿書き
●日大授業。午後の放送特殊研究Vでは先週に引き続き土本典昭「水俣──患者さんとその世界」後半を上映
●18時半〜斉藤敬之を偲ぶへちま@西早稲田かわうち。現時点での出欠は以下。いずれもメール到着順。【出席】村松(19時すぎ)、臼井、藤森、村上、曽根、中込、内藤、石川、トリ(遅れ)、片山、原人、坂本【欠席】宮内(篤)、李家、松本、大橋、大留

10-08
●昨夜11時〜未明3時に寝て、あと原稿書き。3時〜3時半、テレビで台風情報をチェック。NHKのみ30分刻みで台風関連ニュース。「東海地方は直近10年で最大の暴風、伊勢湾は3mの高潮発生の可能性」と伝える。まだ大きな被害は出ておらず、時速50kmと抜けるのが早く、被害が長引かないのがせめてもの救いか。東京・神楽坂では、3時と3時半の30分間に風・雨とも強まりました
●NHK以外は、フジがFNSドキュメンタリー、テレ東がコスプレドラマのほか、キー3局がテレビショッピング。こういうときいつも、NHKは現在の形のまま受信料で流す公共放送として存続させなければダメだ、と痛感します。真夜中一人淡々とニュースを読むNHKアナの緊張感が見る者に伝わるのは、伝えなければならない使命感があってやっているから。映像からも各地で取材するスタッフの緊張感が伝わる。ドラッグ汚染芸能人のニュースが弛緩しているのは、伝えなければならない使命感がなくてやっているからです。「ああ、くだらねえ。うんざりだ」と思ってやっていれば、視聴者がそれに輪をかけてうんざりし、見る気をなくすのは当然【未明4時記】

10-07
●終日、原稿書き。午後、台風に備え庭(4階テラス)の鉢を3階から上がってくる階段に移動。その他、暴風で飛びそうなものを撤収。神楽坂青空市で家人が買ってきたコスモスの鉢二つは室内に
●東京都知事・石原慎太郎が、言わなくてよいことを言い、全世界に恥さらし(4日、報道陣に「ブラジル大統領がアフリカ諸国に何か約束したらしい。フランス大統領も戦闘機を買うならブラジル支持と言ったらしい」という趣旨の発言をして、ブラジルを侮辱)
●この男は、いつも自分の責任を棚上げにして”人のせい”または”何かのせい”にする。非常に往生際が悪く、女々しい(女性たちには失礼ながら)。過去の自分のアジア蔑視発言や、公然と軍隊式の敬礼をする愚劣な態度が、今回のオリンピック日本招致に悪影響を及ぼしたことに気づかない。今回の自分の不注意な一言が、次回のオリンピック日本招致に悪影響を及ぼすことにも気づかない(気の利いたヤツなら、次回招致のとき今回の報道資料をバラまき、南米票とアフリカ票とフランス票を日本以外に振り向けようとするに決まっている。以上が何票あるか、誰か数えてもらいたい)。なんで「ブラジルは、かつての高度成長期の日本を思わせる活力がある。日本からの移民も多く、日本とは特別な結びつきがある。南米初も歴史的な意義がある。おめでとう!」と言えないか。その後に「150億円のムダ金を浪費し都民に申し訳ない」と謝るのが筋。本当に愚かなバカ者だと思います
●こんな考え方もできる。日本は150億円使って20票前後の支持を得たのだから、1票得るのに7億円かかった。石原発言で10票失うとすれば、都知事は不用意な発言によって日本のスポーツ界に70億円の損害を与えたのと同じ。みんな、そういうことに気づいたほうがよい。以上のようなことを伝えないメディアは、いったい何を怖れているのでしょうか

10-06
●終日、原稿書き
●3日前の五輪開催地記事につき補足。6日各紙が載せた共同電によれば、シン印IOC委員は2024年ニューデリー五輪開催の意向を表明し、「20年は欧州に戻るのでは」と語った由。そう、インドでいい。彼らがやりたいなら、日本がシャシャる必要なんてない。ただ、2020年の欧州がスペインかフランスだとやりすぎ(2回目と3回目)。ロシアを除く旧ソ連圏の欧州なら、私の主張通り。10万人規模の競技場や巨大マスコミセンターが必要といった五輪肥大化が進んでいるが、ITを駆使して世界の十数億人が見れば、競技場は小規模でもいいと考えるべき。経済的にたいへんな国、民族対立がヒドい国が多いが、何か国か共催でもよいと思います。「ポーランド・バルト3国五輪」なんて、いいじゃないですか
●それにしても、日本のスポーツ関係者が「地元で活躍を見せたかった」と語る偏狭さに辟易《へきえき》します。そんなこと言っているからメダルが取れない。ボルトはどこで走っても一番で、地元なんて考えはハナからない。ブラジルでサッカーがうまい中高生は、その段階からヨーロッパを目指しているわけで。メダリスト集団に糸から紡いだ30万円也のスーツを着せても、ニコニコと手を振るだけのペレ一人にかなわない
●そりゃ当たり前で、ペレは半世紀も前から世界中の子どもたちによく知られていた。もちろん私も42〜43年前、小3〜4で知っていた。3〜4年の担任だった故・小沢シゲ子先生に「『サッカーへの招待』をお読みなさい」と言われ、買って読んだので。イングランドのマシューズは普段履く靴に鉛を入れ重くしており、スパイクに履き替えると「はだし同然の軽さ」と言った(羽根のようとも言ったかも)とか、左側に抜くフェイントと決まっているのに必ずみんな抜かれたとか、現役中に警告を受けたことが皆無と、小4で知っていました(Wikipediaには以上三つのうち最後の一つしか書いてない! そういうものだ、とくに昔のことは弱いとわかって利用するように)。あとはポルトガルのエウゼビオ、イングランドのゴードン・バンクスとかね。1970年W杯のブラジル-イングランド戦では、ペレの絶妙ヘディングをバンクスが超ファインセーブ。ペレのアシストも見事(ジーコには、これができなかった)。ボビー・チャールトンも出ている。以下、久野明が喜ぶオマケ。ペレ、マラドーナ、ロベカルがすごいが、ハーフラインからのベッカムも見逃せない。The BestTOP 50StupidFunny1Funny2TRICKS!

10-05
10-01の項にGALAC相葉雅紀表紙号の情報あります。引用・転載ご自由にどうぞ
●14時半〜17時半、茂木健一郎・田原対談と打ち合わせ。あと原稿書き
●11月7日に公開シンポジウム「テレビ報道活動・ギャラクシー受賞作を見て、制作者と語る会」をやります
日 時 2009年11月7日(土)13:00〜17:00(開場12:30)
場 所 日本大学藝術学部 江古田キャンパス 東棟E301教室
主 催 放送批評懇談会 ギャラクシー賞報道活動委員会/日本大学藝術学部 放送学科
無 料 定員250名 ※事前の申し込みは必要ありません。どなたでも入場できます
詳しくはこちらのpdf(146KB)をご参照。日大マスコミIIと放送特殊研究Vの受講生は参加必須。取材記者さんも一般の方も入場大歓迎です。会場では坂本にお声かけをお願いします

10-04
●原稿書き。なんでか、いまいち乗りが悪い。夜、田原に明日の対談メモをFAX
●中川昭一が死去。第一報を聞き、また自殺かと嫌ぁーな感じがしましたが、その後の調べでは病死らしい。しかし、そうだとしてもアルコールや睡眠薬の影響が無視できないように思えます。なんというか、”緩慢な自死”に近いのではないかと。はかないものです。麻布中のとき村松謙二に「謙ちゃん謙ちゃん」と言っているのを見かけましたが
●もっとも、そんなことを言えば、私がタバコを吸うのも”緩慢な自死”に近いかも。アルコールはそこそこ強いほう(あまり酔わず崩れず、その場の情景や会話をよく覚えている)だが、別に1週間や10日一滴も飲まなくても平気。晩酌もしない(晩酌程度の中途半端な量だと、目が冴え眠れなくなって困る)が、タバコを吸わない日はないので

10-03
●オリンピックの東京招致は予想通り失敗。最初に脱落するのではと思っていたが、アメリカの上は大健闘。というより世界の嫌アメリカがよくわかった(黒人差別もあったかも)。NHK報道によれば石原都知事は「よくわからない力学が働いた」と述べた由。各紙もIOC(国際オリンピック委員会)のなかでのJOCの地位低下を指摘し、一層の国際化、人脈づくり、したたかな招致戦略が必要といった論調だが、まったくズレていると思います。「南米でやったことがない」からブラジルに決まったのであって、そのように働く力学は最初からわかっていた。国際化しカネもあるアメリカ、人脈あるスペインもダメだったのだから、国際化や人脈が二の次三の次だったことも明らか。そんな大局観なしに突っ込んでいったことを反省する必要があります
オリンピック開催地の変遷を見れば、世界史や時代をほとんどそのまま映していることがよくわかる。初回1896年アテネ(ギリシャ)は発祥の地として除き、以後1948年まで(事実上の戦前。48年ロンドンは44年中止の復活)は米英仏が2回ずつやった。あとは12年ストックホルム(スウェーデン)、20年アントワープ(ベルギー)、28年アムステルダム(オランダ)、36年ベルリン(ドイツ)。スウェーデンだけが例外だが、早い話が最初に産業革命をやった連中が仲よく2回ずつ、重商主義の連中が1回ずつやり、大航海時代の連中(スペイン・ポルトガル)は衰退期入りしてできなかった。産業革命の船に最後に乗った日独は、ドイツが先にやり40年日本は中止。”平和の祭典”なんて関係ない。ここまでは、誰がどう見ても”帝国主義の祭典””列強の祭典”です。世界の陸地を8〜9割占拠していた国々が、たらい回ししていたわけです
●その後は52年ヘルシンキ(フィンランド)、56年メルボルン(オーストラリア)、60年ローマ(伊)、64年東京(日)、68年メキシコシティ(メキシコ)、72年ミュンヘン(西独)、76年モントリオール(加)、80年モスクワ(ソ連)と多様化・拡大した。オセアニア、中北米、日独伊の第二次大戦敗戦国、ソ連がやり、戦勝国・戦前の帝国主義国が遠慮したのは、政治経済の発展に則したまともな展開でした
●その後は、”世界帝国”アメリカが2回(84年ロサンゼルス、96年アトランタ)とやり過ぎたが、これは東西冷戦の勝利と情報化(テレビ)の力による。88年ソウル(韓国)、92年バルセロナ(スペイン)、2000年シドニー(オーストラリア)、04年アテネ(ギリシャ)、08年北京(中国)は、白豪主義のスポーツ大国オーストラリアが2回目とやり過ぎ気配濃厚という以外は、成長著しいアジアがやり、ヨーロッパの出遅れ国がやった。100年に1度アテネに戻すのも悪くない。これまた、まともな展開です
●で、12年ロンドンで「また欧州かよ」となったから、16年リオ(ブラジル)で南米に持っていくのは当然。経済発展著しいBRICs(ブリックス=ブラジルと露印中)の一員でもある。以上のような流れからすれば、今後日本より先にやらせたほうがよいのは、東欧圏、インド、アフリカ、中東だと思います。以上4地域には、政治経済状況が整い次第、持っていったほうがいい。オリンピックが本当に”平和の祭典”であるならば。日本の2回目はその後でいい。先進国の多くは、以上の地域を長く分割支配し、その犠牲のうえに大発展し、現在の混乱の火種を蒔いた。その責任を果たすのが先です
●それにしても、以上のような大局観がメディアでほとんど語られないのは、なぜなのか。オリンピック評論家なる人物がテレビに登場していたが、IOCやJOCの事情は伝えても、肝心なことは何一つ語らない。テレビは電通の意向通りだとしても、新聞が解説してもよさそうですが、やらない

10-02
●日大授業。午前中のマスコミIIでは、当欄10-01に書いたニュース表現の話、オリンピック招致の話など。2016年の開催地については、ハッキリ「東京でやるべきではない」と主張したのが一人、残りも全員が東京招致に懐疑的。坂本「南米で1回もやったことがないんだから、ブラジルでいいよな」に全員うなずく。「アメリカは過去何度もやっているうえに、イラク戦争やサブプライムローン破綻・リーマンショックで世界の嫌われ者だから論外。日本もアジアでは嫌われ者。たとえば石原都知事は『東京の治安悪化は第三国人のせい』と言い、中国が有人宇宙船を打ち上げたとき『いまどき有人などバカ。技術は日本のほうが上』と言った。中国が支持するはずがないし、中国の影響下にある小国も支持しない。そもそも衆院選のとき『民主党の鳩山なんぞが政権を取ったら日本はムチャクチャになる』と言っていた。それが総理になった途端に『ご協力を』『そりゃ麻生よりはいい』って、どっちがムチャクチャなんだ」と。スペインはバルセロナでやったから、まともに考えればブラジルで決まり。プレゼンに誰が行くなんて関係ない
●アジアの中の日本について「新政権は東アジア共同体というが、なんで地震のスマトラ救援にすっとんでいかないんだ。アメリカは沿岸警備隊の輸送機が飛び立った。オーストラリア海軍もニュージーランド海軍も救助活動を始めている」と、前日までの情報で話したら、誰かが「今朝、救助隊が出発したとニュースでやってましたよ」。「そうか。でも遅すぎる。自衛隊の一部を国際救助隊に改組し、いつでも飛び立てるようにしときゃいいんだ。坂本が企画しまとめた石破茂・小川和久の対談本『日本の戦争と平和』には、ソ連が北海道に攻めてくると想定していた時代と、国際貢献が任務の一部になった現在で、航空自衛隊の戦闘機・輸送機の比率が変わっていない、これは絶対におかしい、という話が出てくる。日本でいちばん自衛隊に詳しい政治家が、そう指摘しているわけだ。イラク戦争のとき輸送機はどうしたかというと、自前のも使ったが、世界最大の旧ソ連製輸送機をロシアからバカ高いカネで借りたんだよ」と
●授業では言わなかったが、日本の地震で家を失った被災者が出ると、自治体が仮設住宅を建てる。体育館・公民館やら親戚の家やらにいた人が2〜3か月後に移り住む。そこから、だんだん人が出ていって、しまいに取り壊す。これは時間がかかるうえにムダじゃないか。トレーラーハウスを500世帯分とか、自衛隊の各駐屯地や新幹線の高架下などに分散して置いておき、使い回せば、地震だけでなく台風や集中豪雨でも速攻で使える。クルマで避難生活中に老人死亡なんてことも防げる。──と前から思っているんだけど、採用する政党はないものか。日本の激甚災害指定というのは土建業向けで、地震や台風によって何か所かで道が崩れると、何百億円か予算がついてドーンとバイパスを通しちゃったりするのでね

10-01
●原稿書き。フジテレビ調査誌『AURA』197号の「新政権に臨む放送メディア政策」アンケートに回答
●20時、相葉雅紀のGALAC表紙・グラビア撮影とインタビュー@都内某スタジオ。編集委と重なり編集部からは久野明のみなので、お茶くみ要員を家人に頼む。カメラはTAD末武和人、佐々木友一
●『志村どうぶつ園』のスタジオ収録後に相葉雅紀登場。まず表紙を撮ったが、ふだんの相葉とはまるで違う表情。笑い一切なし。凛凛しく男前。「アイドル誌では素を出そうと思うけど、GALACさんでは、いつもと違う方々に見てもらうわけですからね。気合い入ってます!」と。末武和人も大満足の出来(20年やそこら見ており、うまくいったぜというのは表情でわかる)で、「年内に飲もうぜ」の一言を残し、一人撤収
●衣装を替えてもらいインタビューを40分ほど。表紙よりは素に戻り、笑いも出たが、表情は終始真剣。ずっとこちらの目を見て、ほとんどはずさない(瞬《まばた》きすら、あまりしない印象。天井とか壁とかあさっての方向を見て話す二宮和也とは、まるで違う)。ドラマ『マイガール』の話、バラエティの話、「5人とも、なんでそんなに嵐が、そして他の4人が大好きなの?」「なんで嵐はトップアイドルになったと思う?」と嵐の話。アニバーサリー10のツアーでも、コンサート後メシを食いホテルに戻ると、リーダー大野の部屋に集まって、また乾杯。テレビを見たりしながらあれこれ話す。明日も仕事なのに、3時間4時間たっても、誰も自分の部屋に寝に帰らないそう。「3時間4時間も、どんなことを話すの? 深刻な話も出るんですか?」と。あるいは「嵐でおバカをやり明るくするね。その相葉雅紀を明るくするもの、元気のもとは何?」とか。途中で、GALAC記事のタイトルは「やっぱ愛だよな、愛!」にしようかと思う(ファンクラブ会報にそんな言葉が載っているとは、後から家人に聞いた)。嵐のなかではバラエティ班ということになっているが、もっともオールマイティなのが相葉かも。インタビュー後また衣装を替えてもらい、立ちでグラビア撮影。オシャレ! ファッションについては、ブログなんかでも書いていきたいと
●松本潤がとても礼儀正しかったと書いたが、相葉雅紀もムチャクチャ礼儀正しい。終わってメイクルームに戻るとき、こちら側の一人ひとりと握手して礼を言い、帰るときも丁寧に挨拶した。天真爛漫な、屈託や屈折のない、気持ちのいい男。相葉雅紀が表紙のGALACは11月6日発売予定。10月13日頃から予約注文を受け付け開始する予定。そのころ当サイトや放懇サイトをのぞいてください。久野明、家人と市ヶ谷駅近くの素材屋にて一杯。0時帰宅【この項の記述は、適宜サイトに転載・引用してもかまいません。ただし全文をそのままコピペしちゃダメ。それをやられると、当サイトに来る人がいなくなっちゃう】

09-30
●18時半〜放懇理事会@新宿5丁目。原稿に追われていたら失念! 久野明からの電話で20時到着

09-29
●原稿書き

09-28
●原稿書き。午前中、以下を送信。へちま案内が届かないが参加希望の方、坂本までメールしてください(52卒限定)
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へちま各位
斉藤敬之を偲ぶへちまのお知らせ (Bccメールにて送信)
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 ご無沙汰です。政権交代は成ったものの、先行きは問題山積。10年後の夏はクーラーを、冬はストーブを3割止めるんかい、さぞ熱い夏、寒い冬になるのだろうねと、いまから心配してもしょうもない今日この頃。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 斉藤敬之が8月10日亡くなって、はや四十九日になります。「へちま」への出席率がもっとも高かった(事務局除く)男が斉藤で、今年の新年会を知らせたときの返信メールを見たら、斉藤の到着がいちばん早かった。
 その斉藤を偲ぶへちまを、下記のように企画しました。いつも明るく賑やかで、バカ話が大好きで、ときに冷徹な批評やシニカルな警句を口にするリアリストでもあった斉藤敬之のことを語りあい、いささかでも供養になればと思います。今回は、村松謙二が久々に登場予定です。ふるってのご参加をお願いします。
 なお、深刻なデフレ状況に鑑み、今回は会場を替えて、いつもより安く上げる予定です。詰めれば20人くらい座れる小上がり(座敷)を予約しました。斉藤にゆかりの誰かを誘う「拡大へちま」でもよいのでは、と思っております。心当たりのある方は、声かけを。
             記
■日時 2009年10月9日(金)午後6時30分〜
■場所 西早稲田「かわうち」電話03-3205-4129
(地下鉄東西線「早稲田」下車。高田馬場より出口から早稲田通りを馬場方向へ、穴八幡神社の交差点を越えて最初の信号)
■会費 4500円前後メド
■地図 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/kagura/nswsdmap.html
■店情報 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/kagura.html#kawauchi
■演題 斉藤敬之はどこから来て、どこへ行くのか?
■出欠 事務局まで、このメールの返信にて必ず連絡をお願いします。※欠席の方も、メール着信を確認をしたいのでよろしくご返信のほど。
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■へちま事務局■ 藤森 隆/坂本 衛
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09-27
●原稿書き

09-26
●原稿書き
●18時、マスコミII飲み会@西早稲田かわうち。前期の終わりに予告していたが、出席率超悪し。中竹、安藤、山口と4人でじっくり飲む。22時解散。好きなもの飲み放題・時間制限なし、付きだし4、特上刺身盛り、焼き鳥盛り合わせ2、枝豆、山芋サラダ、軟骨揚げ、砂肝ポン酢、えいひれ、ざるラーメン2で学生1500円は、お前たち普通じゃないからね

09-25
●日大授業、後期の第1回。放送特殊研究Vではドキュメンタリー青春『おれはガンじゃない! 片腕の俳優 高橋英二の1年半』(1970年3月6日、東京12チャンネルで放送)を上映。ディレクターは田原総一朗。終わってこんな話
●田原総一朗って人は知っている? テレビ朝日『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』見たことない? その二つの番組でガンガン咆えて、人の話を遮ってばかりいるおっさん? そんな側面もあるが、40年近く前には、こんなテレビ番組を作っていた。ディレクターだが、16ミリのカメラ(フィルム)を肩に載せて回してもいた
●役者と人間、演技者とガン患者、ガンに侵されアルコール漬けになった腕と肉体としての腕、演技と素の自分、主人公とナレーター、制作(撮影・取材)者と演出者、演出とやらせ、脚本とアドリブ、ドキュメンタリーとドラマ、フィクションとノンフィクションというように、何事にも”二重性”があるわけだ。このドキュメンタリーは、そんな二重性をそのままに、とにかく対象に迫る。で、同じ一人や同じ事象のなかで境界線がハッキリしない、曖昧模糊とした二重性をただ提示することで、何か感じ、考えてくれと言っている。とくに結論などない。ただ、過激である。到底いまのテレビでは放映できない。これは、そんなドキュメンタリーともつかないドキュメンタリーの一例だ。腕を切り落とす手術の前日から、1年半後に死に霊柩車で焼き場に向かうまで、ナレーションがすべて本人の声であることに注意
●この頃の田原や、その後の原一男がよく使った言葉に”対象との共犯関係”というのがある。カメラを向ける主体と向けられる対象、取材者と被取材者なんてものが、こっち側とむこう側というようにハッキリ区別できるのか。被取材者はカメラを向けただけで、いつもと違う者になる。取材者もカメラが映す対象によって、どんどん変質していく。映像はそんな相互作用で作られていく。撮す者と撮される者の間に一種の共犯関係が成立している。客観なんてウソだ。テレビカメラは、その関係を生み出す暴力的装置ともいえる。そのことを認識しない映像作品てのは、これは違うだろう──てな考え方だ。これは、互いに共犯であることを強く自覚した典型的なドキュメンタリーともいえる

09-24
●原稿書き

09-23
●雑用と原稿書き

09-22
●原稿書きと雑用

09-21
●11時半、父の墓参@新横浜・貴雲寺。新横浜プリンス地下の盤古殿(前は胡弓という別の店だった)で昼食。15時、田原総一朗、アスコム高橋克佳と打ち合わせ。あと原稿

09-20
●原稿書き

09-19
●原稿書き
●昨夜のテレ東記者懇親会は、時間を30分間違え、早く着きすぎ。久しぶりに麻生千晶とあれこれ話す。毎日・佐々木浩材、東京・近藤晶、日刊ゲンダイ・峯田淳・岩瀬耕太郎はじめお世話になっている記者、メディア開発総研・浅利光昭・柳川素子とも。放懇からは中島好登、福島美子、小林英美、石橋さや夏ら。テレ東幹部(とくに報道関係)と話そうと思ったが、最初は記者たちに囲まれているようで、しばらくしたら誰がどこにいるやらわからず。終了後、日刊ゲンダイ、放懇で近くのカフェへ。さらにその帰り、いったん帰社した小林英美に大手町で電話を入れると、いま会社を出るというので、神楽坂・竹ちゃんへ。26時帰宅
●懇親会で話したある人が「(坂本が)GALAC編集長のときヒドいダメ出しをされた」と言ったんだけど、「ええっ、私がそんな失礼なことを!? 全然覚えてない。ごめん!」と。罪を憎んで人を憎まずと同様、私はダメ原稿は憎んでも書き手を憎まない主義で、悪気はないけれども。もちろんこの人ではないが、編集長のとき「坂本さんは僕が嫌いなんでしょう」と言った書き手が2、3人いた(1人は事務局に、あとは私に直接言った)。「はぁ?」と言って無視したが、何か言うとすれば「あなたという人間をどうこう言うつもりはない。ただ、あなたの原稿はヒドすぎる。話にならん」。身も蓋もないからそうは言わなかったが、連載を切るときゴネて面倒でした。ま、自分の仕事を棚に上げて「あんたは俺のこと嫌いなの?」と聞いてくるヤツに、仕事を頼むヤツなんているはずない

09-18
●原稿書き。18時半〜テレビ東京の懇親会
●民主党の総務大臣は原口一博。放送行政に関しては、これまで郵政省や総務省が恣意的な放送免許を下ろしてきたのを改め、いわゆる独立委員会(第三者機関)を設置する方向です。日本では、1950年に放送法など電波3法ができ、電波監理委員会が設置されたものの、独立回復後の52年に吉田内閣によって潰された。それ以来、「『放送免許は誰が下す』と日本のどの法律にも明記していないので、放送を所管する官庁が下す」という理屈によって、郵政省や総務省が免許を下し、放送局を支配し、放送局に天下りを送り込んできました。それが60年近い年月をへて、ようやく改められる可能性があります。10年前に私が書いた提言「放送行政委員会」を設置せよが、やっとリアリティを持ってきたようです。私の提言(1998年)は以下
日本の放送行政は、官僚の恣意的で無責任な裁量に委《ゆだ》ねられる部分が多く、不透明な密室主義の横行を招いてきた。このことは、日本の放送の不偏不党、真実、自律を損ない、その将来を危うくし、言論・報道の自由を大きく脅かすものである。
放送は、何よりも国民全体の福祉に適合するように規律されなければならい。そのために、透明で公正な放送行政制度を構築することが、高度情報化の進む今日ほど求められている時代はない。
そこで、免許付与をはじめ放送を規律する放送行政は、政府からも議会からも一定の独立性を持つ、第三者的な行政機関に委ねるべきである。行政委員会であれ、その他第三者的機関であれ、この行政機関は人事、予算、権限などの面で独立・中立性を確保し、透明で公正な運営がなされなければならない。
●新政権の関係者は、当サイト放送制度・官僚論を熟読することをおススメします。放送の歴史「放送法制定までの経緯」1945〜50〜すべての放送関係者・学生諸君必携〜の資料も。15年前には、こんな(郵政、東京U局(現MXTV)へ露骨な介入)官僚の暴走がまかり通っており、これを載せることができる媒体は『噂の真相』以外にはなかった。新聞も当事者として噛んでいたからです
●ただし、総務省(担当の民主党チーム)は地方分権が問題山積で、すぐには地上デジタルまで手が回らない気配。12月1日までにはなんとかしないと、具合が悪い

09-17
●11時すぎ京都発の新幹線で帰宅。たらたらと原稿書き。PCを持っていったが、新幹線車中では、はかどらず
●夕方(保釈後の酒井法子容疑者が会見場に移動)から夜(会見を終えて病院に移動)にかけてヘリコプターが3機、上空にいて非常にうるさい。会見場は竹橋の如水会館で、どうでもいいけど、私はここの2階のスターホールで結婚式をやった。うちからは地下鉄の駅で三つ先だが、ヘリは大きな円を描いて旋回するので、3機とも順番にうちの上あたりを通る
●それにしても、テレビが犯罪者(容疑者)の一方的な言い分だけを中継するのは、非常にバランスが悪い。罪は罪、罰は罰です。まだ罰を受けて罪を償ってもいない段階では、容疑者扱いをすべきだし(たとえば、アナやコメンテーターは容疑者に対して敬語を使うべきでない)、容疑者の一方的な発言を流すときは、容疑者ではない立場から補い憎むべき犯罪を冷静に批判するコメントや解説を付けるべきです。全部チェックしたわけではないが、テレビがそれをできていたとは思えない。そもそも、容疑者がちらちら見ていた自筆の便せん書きが、100%自分の考えであるはずがない。弁護士その他関係者が文案を練り、念入りにチェックした文書に決まっている。すべて暗記していたとしても、女優なんだから、それくらいできて当たり前。それを容疑者の真摯な反省の弁などと分析するのは、どうかしています。仕事仲間が逮捕された芸能人が芸能ショーで感想をいうのと、芸能人の逮捕・保釈についてニュースで報道するのは、別のこと。放送局は両者を峻別し、報道が越えるべきでない一線だけは守らなければなりません

09-16
●10〜12時、茂木健一郎と田原総一朗対談@ANA。虎ノ門パストラル(今月末で廃業らしい)に移動し、アスコム高橋克佳・小林英史と昼食。アスコムに寄って『オフレコ!』第5号を受け取り、予定をちょっと早めて京都へ。16時半すぎ大津・ピアザ淡海着。琵琶湖畔を散歩し、ホームセンターのアヤハディオ大津店を覗く。私好みの店だが、大荷物を東京に持って帰るわけにもいかず、見るだけ
●18時45分〜20時半、琵琶湖塾第3回。ゲスト講師は諏訪中央病院名誉院長の鎌田實。今回は田原は休み。『ちょい太でだいじょうぶ』の著書がある鎌田に、「私くらいでどうですか」と聞くと「まあ、大丈夫なんじゃないの」と。講演も質疑応答もたいへん身近なテーマでおもしろく、感動的でした。車座集会の後、恒例の飲み会(通称裏塾)。駒井千代が26歳(?)だかの誕生日だそうで、ハッピバースデーの歌で乾杯。0時すぎ大津プリンス

09-15
●原稿書き

09-14
●原稿書き。15〜17時、ルノアール新宿区役所横店で『マスコミ市民』の対談。川崎泰資(元NHK)と地デジの話。同誌編集長・石塚さとし、編集者・伊藤大介も同席。川崎は「アナログ停波を強行したら暴動が起こる」説。私は、「いや、起こらない。その前に放送局側が延期を打ち出す」と。喫茶店のルノアールは貸し会議室マイ・スペースというのをやっているんですね。ネット予約でき、室料は時間1000円強くらいからで、一人一品頼めばいいと。安いので取材に使える
●放懇で打ち合わせなど。その後、西早稲田かわうちで家人・その母・息子と落ちあい夕食。放懇関係の予定は以下。相葉雅紀取材は9月中だが、未《いま》だスケジュール出ず。理事会9月30日、放送人の会「日韓中制作者シンポ」@韓国仁川10月14〜17日、報道活動部門ギャラクシー賞上期審査10月24日、報道活動部門ギャラクシー受賞作を見て制作者と語るシンポジウム@日大江古田キャンパス11月7日(ご参考:昨年度のシンポはこちら

09-13
●原稿書き。『週刊新潮』三輪晋からNHK会長の1期退任発言につき取材の電話あり
●昨12日、蜷川幸雄演出、阿部寛主演の9時間の舞台「コースト・オブ・ユートピア」@渋谷シアターコクーンの初日。10月4日まで。演出の勉強をしている娘(日芸演劇3年)が制作の手伝いに入っていて、本番では朝から晩まで舞台袖で子役の世話をしています。蜷川は「日大なんかより、ここにいたほうが余程勉強になる」とか言っていた。一度見たいと思うけれども、まだチケットがあるかどうか。あと、見る時間があるかどうか。それにしても9時間は長い。初日には役者たちが客に対して長時間お疲れと拍手したそうです

09-12
●原稿書き
●昨日、田原総一朗と会ったので民主党、小沢一郎、自民総裁選の話などをあれこれ聞く。途中、携帯がかかってきてしばらく中断し、「いまのは仙谷」てな調子。田原の考えでは「民主党はこれまで夢を語ってきた。夢を売ってきたともいえるが、今後は現実を売らないと。そこで夢と現実の折り合いをどうつけるか。これが難しいと思われているが、話は簡単だ。夢の部分を先延ばしにすればいい。”来年から”は”再来年から”にすりゃいいんだよ」。小沢一郎評は朝日新聞出版『日本政治の正体』に詳しいが、「小沢は自分に対する批判を許さない。独裁者とは違う。首相になるつもりがなく、支配者にはならないんだから、独裁者じゃない」。田原総一朗は左翼なのか右翼なのかという話になって、「(右の)福田和也からは左翼、(左の)佐高信からは体制派といわれるから、この二人と鼎談をやろうかと思う」。さらに、こうもいった。「あえていえば、僕はアナーキーだよ」と。そうでしょう。「美は乱調にあり」の乱調が大好きなのが田原総一朗。小沢辞任の直前の5月、民主党と自民党の勉強会のどちらにも田原がかんでいて、これこれの会合があったというニュースに、田原がチラと映った(議長席の隣あたりに座るから、どうしても映る)。もちろん政治部記者は「田原総一朗氏の呼びかけで」などとは口が裂けても言わないし書かない(そりゃ当然で、俺らは何を報道してんだという話になってしまうから)。そこで『ドキュメンタリー青春』の話になって、坂本「たしかにアナーキーでムチャクチャだ。日大では見せたけど、あれを若い連中に見せれば、田原観は相当変わると思いますね。どこかのブログに、『マイケル・ムーアが尊敬する原一男が、田原に甚大な影響を受け田原の助手を務めていたと知って、田原をちょっと見直した』とか何とか書いてあった。そのうち上映会やりましょう」というと、破顔一笑
●11日夜、CSのヒストリーチャンネルで『9.11〜アメリカを変えた102分〜』を見る。手嶋龍一が解説。2001年9月11日、WTCが崩壊するまでに撮影された100分の映像で、ほとんどが未公開。離れたビルから若い女がビデオを撮っていて、母親か誰かに「すごいことになっている」と携帯で話しているところ2機目が突っ込み、「オー・マイ・ガッ! オー・マイ・ガッ!」とか、消防との会話「×階に×人いる。早く来てくれ!」「全市の消防・救急が向かっている」「どうすりゃいい!?」「隙間をふさいで煙を入れるな。そこから動いてはいけない。数百人が同じ状況だ。電話を切る」とか。録画を日芸放送学科放送特殊研究Vで上映します
●12日夜は、フジ『戦場のメロディ』を見る。渡辺はま子は、私が好きなというか、もっとも関心を寄せていた昭和の大歌手。カラオケで歌えと言われれば、支那の夜、いとしあの星、風は海から、蘇州夜曲、桑港のチャイナ街、モンテンルパ……あたりは歌える。だから知っていた話ですが、よくできていたドラマ。薬師丸ひろ子は、セーラー服時代を含めて、いちばんいい出来なのでは?(別に全部見ているわけじゃないけれども)。小日向文世もナレーション遠藤憲一もイイ
●ただ、日本人の死刑囚たちが全員、我を失い、泣き叫び、抵抗しながら十三階段を上るんだけど、あんなことってありますかね。私は大いに疑問。泣き叫ぶ者もいたかもしれないが、覚悟を決め従容《しょうよう》として上った軍人のほうが多かっただろうと思う。ああいうところ、「何がリアルなのか」あるいは「リアリティとは何か」に、作り手の考え違いがあるのではと思うことがよくあります。キャーキャー騒げばリアルなわけじゃない。たとえばドラマに出てくる出産シーンはほぼ100%、母親が苦しみもがき泣き叫ぶでしょう。私は長男のとき立ち会って出産の瞬間をモードラ付きのα-9000で撮影したけれども(長女のときは警察病院で立ち入り禁止)、全然あんなふうではなかった。あれは必ずしもリアルな表現ではないし、若い女性や女の子たちに、出産はあんなにも苦しく恐ろしいものだとドラマで刷り込むのは、よくないことだと思っています

09-11
●15時〜17時前、田原総一朗、アスコムと単行本や『オフレコ!』打ち合わせ。これ以外、原稿書き
●とくに夜や明け方、めっきり涼しくなった。昼、快晴で太陽が照りつけていても、カラッとしているので過ごしやすい。鉢やプランタの土が乾くのも早い。6〜7月、忙しくて放ってあったせいもあるのか、今年はシソなんかの終わるのが早かったが、生き残りが復活してきました
●マンション住まいでもベランダにプランタを置くなどして緑を生《は》やしている人は少なくないでしょうから、昔から思っていることを一言。小さめのプランタは土面の大きさが長さ60cm×幅18cmくらいでしょう。これに種三つを蒔いたり苗三つを植えるとき、種や苗の間隔を等しくする人が多い。長辺方向に15cm×4区画に分けて、3本の境界線の真ん中に蒔くか植えるかする。種または苗をABCとして間隔をxとすると「xAxBxCx」(4x=60cm、x=15cm)のようにすると。これは間違いですね。BがACと比べて十分成長できないから。ま、2年目には修正がきくけれども
●そうではなくて、ABCの周囲に同じ分量の土が必要なんだから、「xAx」「xBx」「xCx」を一つのプランタに並べて配置する。つまり「xAxxBxxCx」(6x=60cm、x=10cm)のようにしなければ。ヒマワリの種でもシソの苗でもなんでもね。苗が2本なら、短辺から20cmのところでなく15cmのところに植える(中央部の2本の間隔は20cmでなく30cm)。で、私はそうしていますが、近所を歩くと玄関先にプランタを出している家が多いのでわかるけど、等間隔に植えている人が結構多い。花づくり大百科のようなレファレンス本でも、ついている写真は正しいのに、イラストが等間隔で間違っていたりする(上記の内容は書いていない)。念のため「プランター 植え方」「プランター 植え方 間隔」でグルグルし、ざっと探したら、このダリアを植えよう!に、説明なしで図が載っていた。ほかには見つからず
●あまりにも基本的な情報で専門家はわざわざ指摘せず、素人である編集者は気づかないのか。こういうこと、どの分野にも相当ありますね。政府でも省庁ごとにゴマンとある。レファレンス本に相当するのが新聞テレビ

09-10
●終日、原稿書き。当サイト【役に立つ新型インフルエンザ情報】は09-04の項、地デジ関係記事は放送デジタル化ページ

09-09
●終日、原稿書き
●夜、サッカー対ガーナ戦をテレビ観戦。全然ヤル気のないガーナに、前半は「まさか、この相手でまた3-0かい」と心配。すると後半冒頭、ガーナが4人も選手交代。ようやくヤル気を出すのかと思ったら逆で、ますますヤル気がなくなり、前半から出続けの選手たちも疲れて棒立ちに。そこで、”奇跡の大逆転”(4-3で勝ち)がなったわけですが、くれぐれも勘違いしないように。対オランダ戦前半の日本が、いっぱいいっぱいです。世界は「あの戦いを前後半やって勝てるかどうか(何回に1回は勝てるかも)」というレベル。対蘭戦は、前半飛ばして明らかにバテバテなのに、選手交代せず傷口を広げた(それによって岡田監督が何を確かめたかったのかは不明。過去の試合例を見ても、岡田は選手交代のタイミングが人数にして2〜3人、時間にして30分ほど、必ず遅れて後の祭りとなる。負け試合の後半40分に交代しても無意味)。今回は反省したらしく、疲れてヤル気ない相手でも早めに選手交代したから、ようやく4点を入れることができた。たとえば中村俊輔が90分間、最後まで満足に動き続けていた日本代表試合は、ここ数年ほとんど見ない。使い物にならなくなった俊輔のミスパス、またはプレッシャー不足からの失点は、何度も見た。海外リーグで俊輔が途中交代するのは「もたない」からで、守りで体力を奪われる日本代表戦では、なお疲れてもたない。それを前提にチーム作りするしかないでしょう
●放懇サッカー担当・久野明によれば「岡田は本気でW杯ベスト4を掲げ続けるつもりなのか。2002年日韓共催でしか勝ってないのに、まず、1勝でしょう。全勝で欧州予選を突破したスペイン、イングランドの目標もベスト4(もちろん以上)」と。同感です。オランダもベスト4が目標。あれだけレベルが違うのにベスト4という目標だけ一緒とは、何の冗談かと私も思います
●日本の過去のW杯成績は、1998年仏大会グループリーグ敗退(3戦全敗)、2002年日韓大会グループリーグ突破(2勝1分)・決勝トーナメント1回戦敗退(ベスト16)、06年独大会グループリーグ敗退(2敗1分)。まあ、よほど背伸びしたとしても「グループリーグ突破(ベスト16入り)・決勝トーナメント1勝(ベスト8入り)」くらいが妥当。これでも実現すれば歴史的快挙で、(組み合わせにもよるが)グループリーグを突破できれば上出来でしょう。目標は高ければ高いほどよいというが、あまりに実現見込みの薄い目標は虚勢、単なる強がりや見栄にしか見えない。選挙も同じで、麻生太郎や安倍晋三のように「必ず勝てる」と虚勢を張っても、実力違いで勝てないものは勝てません(久野さん、補足があればよろしく)

09-08
●終日、原稿書き。当サイト【役に立つ新型インフルエンザ情報】は09-04の項、地デジ関係記事は放送デジタル化ページへ。以下、「K教授・毎日休講」なるブログの9月4日付け記事より(原文は◆箇所で1行アキ)。金魚に餌をやっといて。なお、ヤツの選挙予測は全然アテにならん
学生諸君へ!
日本大学芸術学部、フェリス女学院大学
どちらでも新型インフルエンザの患者がいるようです。
◆ピークは授業開始前で、連休をはさみますので
もしかすると大きな混乱はないかもしれませんが、
健康管理には充分注意してください。
◆睡眠をよくとり、体力をつけてください。
食事もしっかり食べてください。
ダイエットとか言ってる場合ではありません。
高タンパク、低脂肪でいいから、しっかり食べてください。
◆手洗いを頻繁にしてください。
可能であれば人ごみを避けてください。
特に子供たちの群れに長いこと接触しないでください。
◆そして、もし日頃感じることのないだるさや、関節の痛み等があったら、
ましてや寒気がして熱が38度近くあるのなら、
◆大学へ来ない!
電車乗らない!
近所の病院に相談!
◆家族がインフルエンザの場合も同様です。
外に出ないでください。5日で充分です。
出席はなんとかしてあげますから、パンデミックを防止しましょう。

09-07
●終日、原稿書き。【役に立つ新型インフルエンザ情報】は09-04の項(ライセンス1級どうも)、地デジ関係記事は放送デジタル化ページからどうぞ
●当サイトのインフルエンザ情報を読めば、どこかの小学校がやっていた「始業式を取りやめ、校長が校内放送で挨拶」が、いかにくだらないパフォーマンスかわかるでしょう。各クラス内の接触は許すんだから、体育館で各クラスを2m以上間隔を開けて配置すればいいだけの話。問題は飛沫感染で、空気感染はまず大丈夫(というより、空気感染対策をやっていない以上、始業式だけ隔離しても無意味)。校長は、児童から新型インフルを移されるのがイヤなのかもしれないが、壇上に立ち先頭の児童から5mやそこら離れるから(狙ってツバでも吐きかけられない限り)飛沫感染はしない。新型インフルの空気感染を心配するより、顔と顔を合わせて児童たちに直接「夏休みはどうだった?」と語りかけるほうがはるかに大事だ、ということがわからない小学校の校長にも、ホント困ったものです。教育委員会が「何やってんだ、キミのところは」と注意したとは聞かないから、教育委員会も何もわかっていないわけでしょう。報道したとき「無意味ですね。児童たちを不安がらせるだけでしょう」と解説したメディアはないから、もちろんメディアもわかっていません
●私がちょこっとPTA会長をやった経験からいえば、子どもたちは校長や教員をちゃんと観察していて、いろんなことがわかっている。今度来た校長は手元のメモから顔を上げず話がものすごくヘタだ、前の校長は一切メモなしで全員を見わたして話をしていた、なんてことは高学年ならわかっている。始業式をヤメて校内放送で挨拶した校長が、その後、各クラスを回って個別に声かけしなければ、手抜いている、自分たちに顔を見せて自分たちの顔を見ようとしないのはおかしいと、必ず感じると思います
●【この項、午後追記】温室ガス25%減、鳩山代表が明言……読売web。こりゃすごい! マニフェスト、ちゃんと読んでなかったような。1990年の25%減は12億6100万トンの75%だから、9億4575万トン。2007年度の温室効果ガス総排出量は13億7400万トンだから、1〜2年前(2008年3月までの1年間分)から31%以上減らさなければならない。ぶっちゃけ、あと11年後には、石油・石炭はじめ日本で燃やすものを(工場ボイラー、火力発電、ゴミ焼却、クルマ、バイク、飛行機、船、台所のガス、風呂、石油・ガスストーブ、たき火、バーベQ、焼き肉、焼き鳥、タバコなどぜーんぶで)平均7割にするという目標です(カネを払って削減したことにするケースあり)。いまより生産は縮小し、夏は暑く、冬はさぞ寒いでしょうねえ。ずっと前から疑問に思っていて、当欄に何度か書き、依然として学者その他の説明を全然聞いたことがないのは、日本領土内の火山噴火分は日本の排出量に入れるのか?ということ(噴火そのものは温暖化を抑える方向に働くらしい。CO2を増やしたとしても)。あるいは米豪などの山火事の分は、入れるんですかね?(こちらは温暖化を加速させる)。イラク戦争なんかのときは、各国別排出量データがあるのか? 米軍機がイラク石油基地を爆撃して大火災が発生したら、イラクの排出とアメリカの排出、どっちなわけ? インド洋海上給油分は、当然日本の排出量だとして(ご参考の坂本執筆記事 排出権取引 京都議定書 地球温暖化

09-06
●終日、原稿書き。昨日、気づいたどうでもいい話。キッチンの換気扇の調子が悪いので丁寧に掃除した。うちのは平型か浅型というのか、50cm四方で厚さ25cmくらいのボックス内で、水車を横にした形のファンが回る。ボックス底面に開いた直径25cmくらいの穴から空気を吸う。直接手が入ると危険だから、穴の外側左右にネジ穴があり、ここに格子の枠(餅網みたいなもの)をくっつけてある。格子外枠の左右真ん中で、外枠をU字型に飛び出させてあって、これにネジを通して締める構造です。で、何に気づいたかというと、格子をはずすときいつも左右二箇所のネジをはずしていたんだけど、実は片方のネジをはずし、もう片方は緩めるだけで、格子をスライドさせればはずせると。格子外枠のネジを受ける部分がO字型だとダメだけど、U字型だからネジをつけたまま水平方向にズラすことができるわけね。ところが、うちに越してきて16年目に、初めてこれに気づき、結構驚いた!(笑) ま、ネジ1箇所をはずしてまた取り付ける作業が余計だったわけで、これまで100回作業したとしたら20秒×100回=33分がムダだったと(このくらいなら、どうでもいい)
●考えてみると、そんな段取り違いによる家庭内のムダは結構ありますね。「2枚同時に焼けるトースター(焼き上がりまで3分かかる)で、食パン3枚をもっとも短時間で焼くには、どうするか」ってクイズがある。食パンABを3分で焼き、その後に食パンCを3分で焼くと計6分かかる(熱くなっているから2枚目は短時間で済むという点は無視)。みんな普通はそうするでしょう。しかし、ABを焼き始めて1分半後に、Bを取り出してCを入れ、さらに1分半後(最初から3分後)に焼き上がったAを取り出してBを入れると、その1分半後にBCが焼き上がる(それぞれ3分焼いたわけだから)。つまり最初から計4分半で3枚焼けると。1枚焼くのも2枚焼くのも同じ電力を消費するタイプだと、早いだけでなく25%の省エネになる。ほこりが落ちてくる高いところは先に掃除機をかけるとか、隅・角など部分は違うブラシで先に掃除機をかけてから通常の先っぽに取り替えて床全体をかけるなんて段取りは、みんなわかっているが、それ以上深くは考えないでしょう
●企業は、段取り違いによって流れ作業にボトルネックができてしまい、たとえば在庫が積み上がる、手配した従業員がムダになる、納期が遅れて儲けがフイになるなんてことを避けるため、厳密なコスト計算をして最適な段取りを組む。家庭では、そこまで考えない。もっと考えないのは官僚ですね。自分で儲けたカネを使うわけではないから、何をやっても損が出ず、段取り違いなんてお構いなし。新政権がここにどう切り込むかが見所というお話でした(ちょっと強引だった?)

09-05
09-04の項に【役に立つ新型インフルエンザ情報】があります【その他の一般的な注意】以下は追加あり)。地デジ情報、あるいは嵐コンや相葉雅紀情報を求めてここにいらした方も、ぜひ目を通して、ご家族の命をご自分で守ってください(そこの若いおかあさん! 嵐にかまけて子どもたちの健康管理を怠《おこた》っちゃダメですよ。ここの情報をちゃんと読んでと、ブログに書いておいてね。私よりまさかの「年上」の、普通のおばさんも! お母さんたち、みんなわかっていると思うけど念のため)。★〜☆以外の箇所は医師の臼井律郎が書いたことで、当サイトを読んだ本人が「細かい用語を除けば、問題になりそうな記述はない。用語に関しては、最初に医学的用法でないと断っているので、これも問題ないと思う」と言っています。素人の戯言《たわごと》ではなく、アフリカやアジアで感染症と格闘してきた日本を代表する医者の一人(国境なき医師団JAPAN前会長)が言うことですから、信用して大丈夫
●午前中に届いた臼井メールの抜粋。「医者でなくても最低限の知識を持ちさえすれば、ちゃんと考えて対応することで、かなりのレベルで感染予防は可能だと思います。江戸の人たちは、世界有数の人口密集地に住んで生ものを食べ、長屋など水源と便所を共用しながら、過去何世紀にもわたってコレラなど急性伝染病の大流行を起こしていない、衛生観念が発達した”きれい好き”な人たちのようです(中略……だだし、二十世紀以降はスペイン風邪にやられた。その理由いくつか)。早くから便所のシステムが完成していたこと、水が豊富で頻繁に手洗いしていたことも大切だろうけど、食べ物に直接手を触れないで食べる、取り分ける時には別の箸を使う、人前では咳をしないように心がけ、どうしても出てしまうときは口を覆うなど、よく考えてみると日本のシステムは結構よくできているように思います。ただ、そうした古きよき伝統が、今も残っているかどうかはちょっと疑問」。昨年、琵琶湖塾に呼んだときは、アフリカの人びとが地べたに車座になって、真ん中に置いた食べ物を手づかみで食っているスライドを見せて「この中の一人がコレラだと、全員がコレラになります。一緒に食べようかと思ったが、この地域に医者は僕しかいないから、思いとどまった」と話していた
●もう一つ、臼井の言い分でなるほどと思ったのは、「ごく大雑把に言えば、日本では年に100万人が生まれ100万人が死ぬ。知り合いの葬式が何件あった、親戚や友人や近所で赤ん坊が生まれたという話と、知り合いの家族の誰が新型インフルエンザにかかったという話の頻度が同じくらいなら、患者数はたぶん全国100万人規模だ」と。私は、「患者数を報告するな」と指示した後に上がってくる患者数に基づく推定患者数(国立感染症研究所感染症情報センターやマスコミが伝える数)の15万より、100万のほうが実態に近いだろうと思います。非科学的? それで構わない。数十キロ四方に医者が自分一人しかおらず、保健所なんてものはどこにもなく、報告など誰からも上がってこず、しかもけが人や病人を含む難民が目の前をひっきりなしに通過すりゃあ、そう考えるしかないでしょうから
●こんな推定もできる。山Pと錦戸亮とオードリー春日の3人が感染した。日頃テレビに出ている人気者って何人いますか。1万人もいないね。この3人はいつもテレビに出ている人気者リストの上位500人に入るでしょう。そこで500人のうち3人が感染したと超乱暴に仮定する。ならば1億2500万人のうち75万人が感染している。当然500人を200人とするか1000人とするかで、この数字は大きく異なる。もちろん山Pと錦戸亮の感染源は同じ(またはどちらか一方の)可能性があるから、特殊な集団の数字を全体に適用する間違った推定かもしれない。でも、だいたい合っているかもしれない。少なくとも危機管理省庁は、いま100万、ならば来週何万、再来週何万という数字に基づいて対策を立てなければ、話にならない。現時点で簡易キットすら足りないのは、そのような対策を立てなかったからで、マヌケな厚生労働省による人災でしょう。大都市の開業医は、インフルエンザかどうか判定できないのにタミフルを処方できるのか、というところまで追い詰められてきました
●互いに全然関係ない新型インフルと地デジで、共通する問題があります。それは、どちらも官僚がデタラメの数字(自分たちに好都合な数字)を流し、それをメディアがそのまま(注釈なしに)伝えることです。その数字に基づいて官僚が解決策を立てると、まったく問題解決にならないという点が重要です。地デジ普及率60%も大嘘。9月3日付の『民間放送』(民放連が月3回発行するタブロイド新聞)に、民放連・営業委員会のアンケート調査結果が載っており、7月10〜13日にインターネットで10〜69歳の男女2400人に調査したら、1115人が「普段、地デジを見る」と回答したという。約48%が地デジを見ているわけだが、インターネット調査は特殊な集団に対する調査(高齢者などインターネットを使わない人が省かれる)だから、高めに出る。やはり地デジ普及率は40%前後(3割台後半もあり)と見て間違いありません
●なお、同調査では、地デジによってリビングでの視聴機会が増えたとする回答が18.1%、リビングで家族・友人と見る機会が増えたとする回答が12.6%。「地デジ化がリビング(お茶の間)に人を呼び戻し、家族間・友人間の会話(口コミ)を誘発している可能性がある」というのが営業委の見方です。その通りでしょう。多くの家で2〜3台あったテレビのうちリビングの1台だけが地デジ対応になったのだから、リビングに以前より人が集まるのは当然です。民放連の分析にはないが、もちろん家庭内全体の視聴機会はテレビの台数が減った分、減っています。家庭内全体でアクセスした番組数も当然、減っています。個人用のテレビが減っているから、対象年齢が限られた番組(家族全体で楽しみにくい番組)ほど切り捨てられているでしょう。家人の実家で地デジ化したとき、32型テレビ12万円、テレビ台1万円、2階戸建ての屋根にアンテナを設置し、1階と2階の1部屋ずつに室内配線して6万円の合計19万円かかった。テレビが半値になっても13万円かかる。テレビをもう1台買えば、やっぱり20万円近くかかる。5000円チューナーを何百万世帯に配ろうが、話にならないことは自明

09-04
●地デジ関係記事を読もうと当サイトに来られた方は、放送デジタル化ページからどうぞ。準備ができ次第、日刊ゲンダイの短期連載もupします
地デジ普及率に県民性? 新し物好き福井68・6% おおらか沖縄37・1%……産経web8月30日記事。呆れるノー天気な記事。沖縄をバカにした、不真面目で不快な記事です。 沖縄の年収1000万以上の世帯を調べてみよ。なんで同じ県民性なのに、低所得世帯より普及率が高い? 「カネがあるから」に決まっている。沖縄の地デジ普及率が都道府県中最低なのも、平均所得が低いからに決まっているではないか。歴史的に放送を含めてインフラ整備が弱い、独自の文化圏だから東京中心のテレビに関心が薄いなどの理由もあるが、いずれも「おおらか」を意味しない。記者は、沖縄県や北海道における産経新聞の普及率を調べてみたら? 世帯普及率は、どちらも事実上0.0%だ。かつて沖縄のポケベル普及率は非常に高かった。パソコンの普及率は全国最低。モノレール以外に鉄道はない。多くのものの普及率は、県民性とは関係ないんですよ。NHK受信料の支払い世帯率は30%前後と全国最低で、これは県民性と関係するが、別に「おおらか」じゃない(おおらかなら、文句を言わずに払う)。「中央(の権威や権力)を信用しない」県民性でしょう。薩摩に「侵略」され、先の大戦で(現領土中)唯一本格的な戦場となり、戦後も基地を押しつけられてきたからです。沖縄米海兵隊員による少女暴行事件でも基地問題でも、おおらかでノー天気ななのは本土の連中で、沖縄は突出して戦闘的。なお、問題の主な原因がわからない者(記者や新聞)に、問題の有効な解決策がわかるはずもない
●田原総一朗は昨日、民主党の幹事長人事で何日かモメそうと話していたが、昨夜、小沢一郎就任であっさり決着。西松問題がなければ首相は小沢一郎だったのだし、福田政権との大連立のとき小沢が代表でなければ民主党はもたないと(民主党議員は)みんな言っていたのだから、いまさら小沢の権力がどうこう(二重権力とか)いうのは妙だと、私は思いますけれども。民主党は小沢民主党ですよね、どう見ても
【役に立つ新型インフルエンザ情報】 うちでは夏休みの合宿に行っていた家族の一人に感染者が出ましたが、1週間で完治し、感染の拡大は防ぐことができた模様です(あるいは私も含めて、症状が出ても気づかないままに感染済みなのかもしれないが)。以下、感染症やその予防にも詳しい国境なき医師団JAPAN前会長の外科医・臼井律郎(参考:河北新報生命保険文化センターテレビ+ラジオの話ライブドア・ニュース臼井の医学博士論文)と5月以降メールをやりとりして得た情報を、かいつまんで紹介します。こちらが2〜3行「これでいいか?」とか聞くと、非常に丁寧な解説を返信してくれて、私一人が読むのでは、あまりにもったいないので。臼井医師は「医療従事者なら常識といえる範囲のものをなるべくかみ砕いて書いただけ。役に立つなら自由に使ってくれ。こうしたことがわかりやすく教育されているわけではなく、よくわかっていない医師などが大勢いるのも事実。わざと医学用語を避けたから用語の不統一や、ブッチャケやや乱暴に書きすぎと批判する専門家がいるかも。面倒だから、根拠となる論文を示せというのはご勘弁。基本的・実際的な点での間違いはない」と書いてよこした。そんな前提で、私が役に立ちそうだと思うことを整理・抜粋します。ぜひ参考にして、感染拡大を防いでください。なお、★〜☆は、坂本の補足・参考意見です
【基本的な考え方】 新型インフルエンザをムキになって心配する必要はない。今回の騒動から得られた教訓の一つは、(結核など感染力がある排菌者の大部分が有症状という病気ならば意味があろうが)感染力がある潜伏期間の患者をチェックできないのだから、インフルエンザに関しては水際対策はほぼ無意味だということ。新型ウイルスで誰にもまだ抗体がない分だけ感染が広まりやすく、重症化する例も多いだろうが、数年たつと普通のインフルエンザの一つと見なされるものになる可能性が高い。だから、基本的には普通のインフルエンザの対策をとればよい。ただし、普通のインフルエンザは決して軽い病気ではない。新型インフルエンザにかかって死ぬ可能性は、非常に小さいが誰にでもある。次と、次の次の冬くらいまでは、やや大変かもしれない。★臼井律郎は8月31日付メールで「現実に自分の周囲に複数の患者が出るという状況は、われわれが大都市という人口密集地にいることを差し引いても、おそらく日本中ですでに100万人かそれ以上の患者がいることを意味するだろうと思う」という。上昌広主宰MLの9月4日付「練馬区からの情報」でも、練馬における直近1週間の患者数推定3000(診療所300で週に平均10人。報告数は500例で推定の6分の1)、都内7万5000、全国75万と、大雑把な推定数字を紹介している。全国で100万前後と見て間違いないでしょう。すでに都内では簡易キット(十数分以内にインフルエンザA型かB型を判定)も枯渇しはじめた模様☆
【ワクチンがない現時点での予防について】 インフルエンザに感染しないための予防対策は、最初の感染部位となる鼻・口・目を保護すること。マスク着用と、帰宅後、口や鼻に手で触れる前に手を洗うことは、かなり有効。うがいも,しないよりはしたほうがよい。★学校や職場でも頻繁に手を洗う(厚労省推奨は、石けんを使って15秒以上)。洗っていない手で、目をこすったり鼻をほじったりツメを噛んだりしないこと。この点、子どもへの徹底は難しく、やっぱり子どもは感染しやすいだろうと思う☆
【新型インフルエンザらしき症状が出たら】 重い風邪様の症状(とくに発熱)が出たら、マスクをして医療機関を受診する。自分以外に移さないようにするのも大事。それには、(1)治療を受け早くウイルス排出を止める、(2)咳・唾液・鼻水などでまわりにウイルスを撒き散らさないこと、が必要。★家族内で感染予防を徹底し、感染が避けられないとしても各人の感染時期を遅らせる(ズラす)ことは、看病や生活上よいと思う。個人レベルの感染予防を徹底すればするほど、日本全体として感染の拡大を遅らせ、ワクチン普及までの時間かせぎができる。もっとも最初のピークは9月下旬とされており、もう間に合わないが☆
【家族に感染者が出たら】 患者の使ったタオル・食器・ふとんや枕、あるいは患者が触れるトイレのドアノブ・照明スイッチ・水洗ノブ・便座なんかは、どうすりゃいいか? 大変よい質問。この質問に対して、多くの病原体について、理由も含めて的確に答えることができる知識のある医者は、パスツール研究所あたりにはいるかもしれないが、日本には僕も含めてたぶんいないと思う──という前提で書くと、もっとも基本的な考え方は、予防法に「完全」はなく、危険をなるべく減らすことしかできないということ。まして,家庭レベルで完全を求めるのは無理。マスク・手洗いも同様で、やれば完璧なのではなく、あくまで病原体に接触する可能性を減らし、接触した場合でも侵入してくる病原体の数を減らすことによって、発病しないで済んだり、発病しても軽くて済むようにするのが目的。人間の体には防御機能があり、ごく少量の病原体なら大丈夫なのだと考えなければ、神経症になってしまう
●病原体のしぶとさはそれぞれ異なり、染色体が袋に入っただけのウィルスは弱く、乾燥した環境に放置したり、消毒や煮沸すれば早めに死に絶えるものが多い。細胞全部を持っている細菌(O-157など)は強く、しばらく生き延びるようにできている。ある種の菌の芽胞と呼ばれるものはきわめて強く、煮沸しても生き残ったりする。インフルエンザの飛沫(咳で飛ばされた小さな塊)は、空気中に漂っていてもせいぜい数時間で感染力がなくなる。結核菌だと1日たっても感染することがある。壁やセラミックの表面についた、飛沫になっていない裸に近い形の病原体は、より早く乾燥するので飛沫より寿命が短い。ウィルスの種類によってもしぶとさに差があり、たとえば使用後48時間たった注射針で針刺し事故が起きてもHIVは移らないが、B型肝炎は感染の危険があるといった具合。同様に、HIVはエタノール消毒で十分だが、肝炎ウィルスはエタノールでは完全には殺せない。インフルエンザウィルスは一般に弱いほうで、エタノール消毒すれば1〜2分くらいでほとんど死に絶える。壁の表面に放置されると数時間くらいの命だろう。★念のため8時間触らずに放置すれば、壁や床のウィルスは死んだと思っていい。たとえば子どもが学校で発熱し、新型インフルエンザと判定されて帰宅したら、ランドセルや教科書は紙袋にでも入れて一晩放置。この作業後は手を洗う☆
●接触感染(病原体が付いている手で触ったもの、鼻水で汚れた枕カバーやシーツなどに触ることによって起こる感染[★より丁寧に書くと、病原体の付いたものを触った手で自分の口・鼻・目を触ることによって起こる感染☆])については、医学的には”汚染区域”というものを想定する。コレラや結核などでは病棟単位で汚染の有無を決めるが、インフルエンザでは、患者が触ったところのみが汚染されたと考え,それ以外は大丈夫と見なしてよいと思う。だから、患者が触れたドアノブやスイッチを汚染されていると考え、定期的にエタノール消毒することは、理に適っている。ただし、飛沫による感染は別で、だからマスクが必要。★家庭で感染者が出たら、個室に寝かせて、部屋に入る者はマスクを着用する(看護の後は手洗い)。個室は換気をよくし、排気が廊下や他の部屋に出てこないようにする(別の部屋の換気扇を回すのではなく、その部屋から屋外に換気する)。個室を確保できない場合は、同室の者はマスクを着用する。同室で寝るときは、感染者から1m以上(できるだけ)離れる。感染者がトイレなどで部屋から出るときはマスクを着用する。そのとき感染者が触った場所は、エタノール消毒する(噴霧でなくて、拭く)。ある程度の年齢以上なら、部屋から出てくるとき消毒用アルコール・ティッシュの小袋を持たせて自分で拭かせるのが合理的かも。もっとも、39〜40度の熱でふらふらの人間にやらせるのは酷。小さな子を別室に隔離し、怖がらせ寂しがらせるのもよくない。そんな思いをさせるよりは、親子ともども感染したほうがマシだろう☆
トイレは部屋中を汚染区域と考え、患者が触ったところを消毒するというよりも、トイレに入った人は出るとき手をよく洗って清潔にするほうがよいと思う(厳密には、いちいちシャワーを浴びて着替える必要があるが、インフルエンザでそこまでやってられないし、そこまでやらなくても、まず移らない)。トイレ内のインフルエンザウイルスは、患者の最終使用から一晩たてば、タオル以外では死に絶えたと見なして大丈夫
●患者が使ったパジャマ、タオル、シーツ、枕カバー、歯ブラシなどは、全部汚染されていると考える(★当然、他の者との共用は不可☆)。エボラやコレラ病棟では厳重に密封し焼却処分にするが、インフルエンザではいちいち焼いてなどいられない。だから、消耗品は袋に入れて密封し廃棄する(★たとえば、鼻をかんだティッシュとか、旅館でくれた使い捨て歯ブラシとか☆)。汗を拭いたタオル、シーツ、枕カバーなどは、洗濯してよく乾燥すれば、汚染されていないと見なしてよいと思う。もし心配なら、他の人の洗濯物と分けて洗えばより安心だろう(★洗濯する人は、マスクを着用し、汚染されたものに触れた後、よく手を洗う。干した後も、よく手を洗う☆)。食器は洗って一晩乾かせばオーケー。食器を洗った人は、ほかのものに触れる前に、よく手洗いしたほうが安心だろう。コレラなどでは、食器を洗う前に消毒液に4時間くらい漬けるが、インフルエンザでは必要ない
●ようするに個別の病気の感染予防は、病原体のしぶとさ、感染力の強さ、結果の重大さ、施設の対応能力などを考慮し、どの程度まじめにやるか決めていく。エボラなどでは最大級の感染予防処置をするし、インフルエンザではそれなりにということ。やや取り留めのない言い方になったが、医学といいうのは結構いい加減なもので、理屈半分・経験半分でできている。外部に説明するときは、すべて完璧に科学的であるかのように言いたがるから、聞く側にとってはわかりにくい
【その他の一般的な注意】 ★受診するときは、まず電話。発熱(朝昼晩と計る)やその他の経過(下痢気味で何回トイレにいったとか、その他いつもと違うこと)をメモし、医者に伝える。もらった薬は指示通りの飲み方で、必ず飲みきる。受診したとき、いつまで寝ていればよいか、いつから外出してよいかを聞く。一般的には、発症から7〜8日(最終日までの分の薬が処方されるのが普通)、熱が下がってから2日は外出しないほうがよい(もちろん病院は除く)とされている。3日ほど39〜40度の熱が出て、その後は目に見えて下がってくるというのが一般的な経過。3〜4日以上熱が下がらない、息苦しい、嘔吐《おうと》や下痢が止まらない、回復期のはずなのにぐったりして顔色も悪いといった場合は、すぐ病院へ(救急車を呼んでもいい)。とくに小さな子どもの親御さんは、自分の勘や感覚からして明らかに異常事態だと思ったら、救急車を呼ぶことをためらわないように。なお、食事や飲み物(ポカリの類を推奨)、風呂をどうするかなどは、重い風邪の場合と同じと思ってよい。『家庭の医学』のような常備本やネットの情報を参照☆
【しつこいけど、念のため】 ★手洗いについて。発症した子どもを部屋に寝かせ、部屋でおかゆを食べさせ、汗を拭いてやったり薬を飲ませるなど看護し、おかゆの食器を台所に下げてきたとしますね。このとき、流しの水道(蛇口)の栓をひねって、食器をよく洗い、手も石けんでよく洗ってから、水道を止めて、「あー、疲れた」と目をこすってはダメなんですよ。以上の段取りだと、手を洗ったにもかかわらず、蛇口の栓についている(かもしれない)ウィルスが手について、自分の身体の粘膜にたどりつく恐れがあるからです。だから食器を洗うとき、蛇口の栓も洗わなければならない。そのような段取りは、自分でよく考えてください。感染した子どもが使った寝間着やタオルその他は、洗濯機に突っ込む瞬間まではレジ袋に入れて子ども部屋の隅に置くとかね☆
【さらに念のため、ワクチンについて】 ★ワクチンが流通しはじめれば100%安心、ということはありません。ワクチンを打ったのにかかった受験生の話をよく聞くでしょう。打っても何割かの人は感染します。感染時のリスクが高い(死亡率が高い)集団に打つと、何割かの発症を抑えることができたり、入院率や死亡率を抑えることができますが、たとえば5人死ぬところ1人で済むというように、0人にはできません。副作用も出ます。普通のインフルエンザ・ワクチンで重大な副作用が出るのは毎年数人以下とされ、ワクチンの副作用で死ぬ人より、ワクチンを打たずに死ぬ人のほうがはるかに多いから、ワクチンを使うわけです。ところが日本ではワクチンを接種する際の補償・免責制度が整っていません。さすがに舛添要一は8月26日、「感染症法と予防接種法の改正をやりたい。免責条項と補償も入れる」と発言しましたから、進展があるでしょう☆

09-03
●地デジ関係記事を読もうと当サイトに来られた方は、放送デジタル化ページからどうぞ。準備ができ次第、日刊ゲンダイの短期連載もupします
「対等な日米関係」明記を提案…民主が連立協議で……読売web。まだ素案の段階のようですが、あえて書いておきます
●まず、見出しに「対等な日米関係」とあり、本文に「緊密で対等な日米同盟関係を作る」とある。記事は、webと本紙で同じです(以前は本紙記事とweb記事が別だったが、二度手間なのでいまは同じ。これは他紙も同様)。しかし、見出しは本誌記事が整理部でつけるのに対して、web記事はweb班の担当者がつける。なので、web記事の見出しはちゃんとした校閲を通っておらず、このようなことが起こる。いいですか。「対等な日米関係」というものと、「対等な日米同盟関係」というものは違う。日米関係は、日米(軍事)同盟関係を含む日米の総合的な付き合いのことだから、違うのは当たり前。全体と部分は違うから、一緒くたにしてはダメで、この見出しは間違いです。ここまでは不適切な見出しという話
●以上は、どうでもいい話。それよりはるかに重要で、民主党の連立協議を報じるメディアが同時に伝えなければならないのは、アメリカとの「対等な同盟関係」など存在しないということです。落ち着いて考えてみてください。アメリカと対等な軍事同盟を結んでいる国は、現時点の世界には存在しない。それは地球上に存在しません。NATO加盟国(米欧諸国)は、どの加盟国への攻撃でも全加盟国への攻撃と見なして集団で防衛・反撃するから、この点だけを見れば、アメリカとその他の加盟国の関係は対等。しかし、ヨーロッパがアメリカの核の傘におおわれている(アメリカはヨーロッパの核の傘におおわれていない)こと、ヨーロッパのNATO軍(各国軍と米軍。フランスはやや独自路線)の主力は米軍で、とくに空軍力は米軍に全面的に依存し、米軍はヨーロッパに展開している(アメリカにヨーロッパ各国軍は展開していない)こと、NATO軍の歴代司令官は米軍人であることなどから、NATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟においては、アメリカとその他加盟国の関係が対等でない(イコール・パートナーではない)ことは明らかです。NATO以外でアメリカと軍事同盟を結んでいる国は、日本がその典型ですが、日本が攻撃されればアメリカは自国への攻撃と見なして防衛・反撃するが、その逆はない(アメリカが攻撃されても日本は防衛・反撃しない)のだから、もちろん対等ではない(それでもアメリカは別に文句は言わない。アメリカは自らの世界戦略上日本が極めて大事だから、日本と”片務的”な安保条約を結んでいる)。世界の残りの国は、アメリカと同盟関係を結んでいないか、アメリカの敵国ですから、アメリカと対等な同盟国というのはないのです
●なお、以上の対等ではない(非対称な)軍事同盟を結んでいるにもかかわらず、国と国の関係が総合的に見て対等であることは、もちろんあり得ます。2003年に「一緒にイラクのフセインをやっつけないか」とアメリカが誘ったのに、断ったフランスやドイツやカナダは、断ることができたのだから国としての関係は、まあアメリカと対等といえるでしょう。子ブッシュへの支持を小泉純一郎が世界最速で表明した日本は、もちろん世界中から、アメリカの子分であってアメリカと対等な国ではないと見なされています
●いずれにせよ、連立政権の政権合意に向けた動きを報じるメディアは、「民主党などがいう『対等な日米同盟関係』とは、具体的に何なのか?」を国民に伝えなければならない。それは現在の世界には存在しないのだから、「どういうもので、どのように作るのか?」と民主党や社民党や国民新党に聞き、記事にしなければならない。違いますか? 普通に考えれば、「日米安全保障条約が規定する日米同盟関係を、より日米が対等である方向にする」ことは、「安保を改定し、集団的自衛権を発動し、アメリカが攻撃されたとき日本はこれを自国への攻撃と見なして防衛・反撃できるようにする」(ぶっちゃけ、NATO条約みたいにする)ことを意味するでしょう。しかし、それは自民党右派の主張であって、民主党も社民党もそんなのはイヤなのでは? もちろん私もイヤですけどね。そうではないとすれば、「対等な日米同盟関係」って何なのか? 政治家やメディアは、わかって口にしているのか? 少なくともこの記事だけでは、私には何を意味しているのか、まったくわかりません。「野党担当」でなく、軍事同盟について知識のある記者が、ちゃんと取材・執筆してください
●以上、より詳しいことを知りたい方は、新潮文庫『日本の戦争力』(小川和久、聞き手・まとめは坂本)、ビジネス社『日本の戦争と平和』(石破茂・小川和久、まとめは坂本)をお読みください。丁寧に書いてあります
●以下は朝日新聞出版『日本政治の正体』(田原総一朗)に書いてあることですが、今回、民主党がかつての社会党その他野党と違って政権を取ることができたのは、日米安保破棄のような極端な主張をしていないからです。逆に戦後ほとんどの間、自民党の一党支配が続いた理由は、高度成長が続いたのと、日米安保堅持を主張した政党が自民党だけだったからです。日本国民は、戦後よいものはほとんどアメリカがくれた、成長もアメリカのお陰だ、アメリカと組んでやっていくしかないと思っていた。だから、自民党の腐敗にお灸をすえることはあっても、最終的には自民党を支持してきた。日本国民は、社会党や共産党に日本を託すことはできないと思ってきた。今回、民主党に託すと決めたわけですが、それは成長路線が行き詰まり、生活が苦しくなり、成長のおこぼれを腐敗した自民党・官僚にこれ以上渡すことを、国民が拒否したから
●ここから先は私の考え。だから政権交代を選択したが、その選択に、日米安保をどうするなんてことは、含まれていません。もちろん、郵政民営化がダメだから民主党に政権を渡したわけでもありません。民主党の主張通り官僚支配から脱するためには、30万人の国家公務員をクビにした郵政民営化は結構なこと。もちろん最初は電気通信省だったものを電電公社にしNTTにしたのも結構なこと。国鉄をJRにしたのも結構なこと。当たり前でしょ、そんなことは(問題は、民営化後の官僚支配をいかに排除するかと、民営で手が回らない部分をいかに補うかであって、民営化そのものではない)。ここを間違えると、民主党への支持は崩れてしまう。今回、かつて自民党に入れていた有権者があえて民主党に入れた。1割がそうだったとすれば、その1割が戻るだけで、自民党支持と民主党支持が拮抗《きっこう》してしまうのです(09-01の項をご参照)
●まあ、小沢一郎が考えているのは、年内の予算組み替えによる官僚コントロール(官僚の中に味方が必要。財務官僚を味方につけて、彼らに他省庁のムダな予算を切らせる)ともう一つ、2010年7月の参院選を乗り切るためにどうするか、でしょう。これについても、小沢一郎が1993〜94年に細川・羽田政権を作ったとき何をしたか、『日本政治の正体』に詳しく書いてあります。田原総一朗は「民主党にプロフェッショナルな政治家は小沢一郎しかいない」という。私は、連立は2010年の参院選まで、これに勝つという見込みがついた段階で、小沢一郎は社民党も国民新党も切り捨てる腹だろうと思います。場合によっては、民主党から不要なグループを追い出す。数が足りないと判断すれば当然、自民党内に手を突っ込んで、切り崩しを図る(これは、もう始めているでしょう)
アッと驚くウルトラCは、新型インフルエンザ対策の継続を理由に舛添要一を一本釣りすることですが、これができればなかなかです。細川政権のとき小沢は、「次は孜《つとむ》ちゃん」と言いつつ、渡辺美智雄を自民党から引っ張った(ミッチーが寝過ごしたら、小沢一郎は榊原郁恵『ピーターパン』観劇に出かけちゃった!)。福田政権のときは大連立をやろうとした。小沢一郎が、そのくらい考えても全然、不思議はない。私がインタビューしたときも、小沢一郎は「政権奪取を目指す一点だけで一緒にやっていける」と言った。「政権奪取の一点さえ実現すれば、一緒にやる必要なんかない」と言ったも同然ですからね
●【16時半追記】昼前、田原総一朗から電話あり。上記のようなことを話したら、「それより民主党内の権力闘争だよ。幹事長を誰にするか。あれだけ大勝したんだから当然、幹事長は留任だ。これに小沢が『うん』と言わない」「本人がやりたいんですか」「いや、言うことをきくのにやらせたい」「外務大臣・岡田克也なら岡田ハズシ成功ってことですね」「そうそう」。ここ数日がヤマだそう
●ところで、豊島方面のお方は(確実にここ見てない)っていうけど、見てるんだな、これが

09-02
●終日、原稿書き
●昨晩は21〜25時すぎ、小林英美と@西早稲田かわうち。選挙の話、誠橋の話、地デジの話、フォルクスワーゲンの話ほか。渡部雄一も絶好調で、バイトの龍太と政談に加わる。たとえばこんな話
●「民放が流した古賀誠の奥さんの選挙演説は凄みがあった。『古賀がこんなに地元のために尽くしたのに、今度投票しないならば、私はもう地元の頼みは一切聞かない! それでいいの? そうなれば大牟田は夕張になる!』と恫喝。ほとんど極道の妻状態だった。やるもんだねえ、あの奥さんは。ま、もう二度と誠橋も誠道路も造れないけどさ」
●「今日の新聞には、官僚が民主党に色目を使い出した、民主党の意向に沿って何々の計画を延期の方向へ、という記事が氾濫《はんらん》しているね。つまり官僚というのは、『このダムがいまの日本にとって絶対に必要だから建設する。そのためには誰が反対しようが命懸けで、自らの職を賭してやるんだ』という信念が皆無なわけだ。自民党支配のうちは、このダムがあれば政治家も喜ぶし、自分もゼネコンその他に恩を売れるから建設する。民主党支配になれば、こんなものは中止せよというから、その通り中止する。そんないい加減な発想で、何千億円のダムを建設したり中止したりするんだから、話にならん。俺の『地上デジタルに反対などしない。だが、期限までには無理だ』という主張は、自民党政権下でも民主党政権下でも変わらない。当たり前だ、そんなことは。いうことをクルクル変える官僚を信用するほうが、どうかしている」
●家族など、身近に新型インフルエンザ患者が出た方にご参考。さいたま市感染症情報センターによるインフルエンザウイルスの消毒について。マスクと手洗い・うがいを励行すれば、あとは薬局で1000円くらいで売っている消毒用エタノール液500ml入りが1本あれば十分。08-24当欄にアセスクリン(ポンプ式1L入り2300円)を薬局で買ったと書きましたが、同じものをネットで6300円で売っている業者がある。焦って高い買い物をしないようご注意!
●インフルエンザは、身の回りの物に感染者のウイルスが付着したとしても、8時間たてば「物からの感染」は心配しなくてよい(たとえば学校の教室は、一晩は誰も入らないから消毒不要)という安心情報は、メディアがもっと伝えたほうがよいと思います。E.T.じゃないんだから、無意味な水際作戦の超マヌケな完全防護服映像なんて流さんでいいから
●なお、知り合いのある医師の意見では、「現実に自分の周囲に複数の患者が出る状況は、われわれが大都市という人口密集地にいることを差し引いても、おそらく日本中ですでに100万かそれ以上の患者がいることを意味するだろうと思う。ただ、こうしたインフルエンザ患者数の”自然増”は悪い面ばかりではなく、国民全体としてあるレベルの免疫が形成されつつあるのだともいえる。子ども中心にジワジワとある程度いきわたれば、日本全体としてちょっと一安心という感じになるかも。厚生労働省で少しは理解している人たちは、この線を狙っている節がある。ワクチンが間に合わない間は患者数を把握せず、死亡者や重傷者があまり増えないうちに密かに免疫が行き渡ってくれれば……という神頼みだ」

09-01
●衆議院総選挙の結果は、民主308議席で自民119議席。私が見た限りの新聞・テレビではまだ誰も伝えておりませんので、アホトラダムスの予言通りの結果だったと指摘しておきましょう。秘密の鍵は投票日にあった。前回総選挙の投票日は2005年9月11日で、今回が2009年8月30日です。なんと! この日付けに、今回の結果が隠されていた! 9・11と8・30でしょ。月の数字と日の数字を入れ替えてみて。11・9と30・8、すなわち119議席と308議席になるではないか!(引用するときは「アホトラダムスの予言によれば」って書かなくちゃダメだよ)
●馬鹿話はさておき、今回の衆院選の得票数・率を見ると、自民党が全国小選挙区2730万票38.68%/比例代表1881万票26.73%、民主党が小3347万47.43%/比2984万42.41%、公明党が小78万1.11%/比805万11.45%、共産党が小297万4.22%/比494万7.03%、社民党が小137万1.95%/比300万4.27%、国民新党が小73万1.04%/比121万1.73%、「みんな」が小61万0.87%/比300万4.27%(いずれも千の位以下を切り捨て)。ここまでを与党(自民・公明)と主要野党(連立を組むと公言している民主・社民・国民)に分け、それぞれ小選挙区と比例代表の得票数を足し、投票数の合計1億4095万票の何%を占めるかを計算する。結果は、自民・公明党が5494万票で得票率38.97%、民主党など主要野党が6962万票で得票率49.39%。与党対主要野党の得票比は、約44.1%対55.9%(ほぼ44対56)。昨日田原に電話で話した通り、支持率が45対55でも、この結果になるのです。逆にいえば、当欄で繰り返し指摘しているように、与野党で主要政策がたいして変わらないのだから、支持率はつねに「40いくつ対50いくつ」に落ち着き、4対6とか3対7とか2対8にはならない。つまり、日本では革命も独裁も起こらない
●さらに言えば、当欄2005年09-12に書いた通り、郵政解散時の9・11総選挙得票数は小選挙区で自民47.77%・民主36.44%、比例代表で42.93%・民主34.46%だった。だから、小選挙区においては、今回の自民党は前回の民主党よりやや善戦したともいえる(公明党や創価学会のお陰というか、それを踏み台にしたといったほうが正確だが)。いずれにせよ、多くの有権者が、どちらもパッとしない自民・公明と民主党その他を比べて、ロクでもなさ加減がより小さいと思えるほうに投票したのが今回の選挙結果。有権者は、民主党の政策がすばらしいから民主党に入れたのではなく、自民党を一度退場させるために民主党に入れたのです。周囲の10人か20人に聞いてみればいい。マニフェストなんて、ほとんど誰も読んでいませんから
●投票日の午前中にあった葬式で私が従弟に話したのは、こんなこと。「東京で自家用車を持っているヤツは、1cmもクルマを動かさなくても駐車場代月3万円、自動車税、車検や整備代、保険代を払えるヤツだぜ。それを払ったうえでガソリンを買って走るのだから、クルマ関係で年間数十万〜100万円以上を払えるヤツだ。その連中が田舎に行くときは高速代がタダになり、クルマを持ってないヤツが新幹線その他で田舎に行くときは何の割引もない。明らかに低所得者のほうが損するんだから、高速道路の無料化なんてやめたほうがいいに決まっているよな。道路公団の借金はまだ30兆円以上残っていて、その建設費には、低所得者のなけなしの郵便貯金が使われたんだから。しかも、クロネコヤマトや佐川急便など、高速をさんざん使って大儲けしている連中まで、なんでタダにしなけりゃならんのだ?」「そうそう。うち(鶴ヶ島)あたりでは駐車場代が6000円とか8000円くらいだけど、どうしたって維持費は年に数十万円かかる。それを払える人間だけが得する政策はおかしいね」「高速代をタダにすれば、街灯代にも道路補修費にも税金を投入するしかない。それに従事している連中は、天下りの道路公団ファミリーだ。なんでそんな連中を税金で養わなければならないか」──まあ、ほとんどの日本国民が(もちろん民主党に投票した者も含めて)、このように考えているでしょう
●だから民主党は、くれぐれも勘違いしないように。ここに有権者が100人いるとすれば、民主・社民・国民に入れたのが49人、自民・公明に入れたのが39人、残り12人は共産党その他の党に入れたのであって、過半数(51人)の支持すら得ていないわけですから。民主その他に入れた有権者49人のうち1割、たった5人が意見を変えて自民・公明につくだけで、支持者が同数の44人になってしまう。このことは、断じて忘れるべきでない
前代未聞! 日本の陸上自衛隊ほぼ全員の「氏名、本籍、生年月日、住所、学歴、家族(親や子)氏名、親の住所、子の学校」などのデータが漏洩! こんなアホな陸軍は、世界に類を見ません。テロと戦う特殊部隊の兵士たちの名前や住所はおろか、親の家や子どもの学校まで漏れ出してしまう軍隊……。テロリストどもと、どうやって戦うつもりなのか? 自衛隊は、ヘリ空母なんてほしがっている場合ではない。データを売った1等陸尉は、昔でいえば大尉。2・26事件なんかのリーダークラスですが、たったの100万円で売っちまったと。周辺国のスパイなら「億」で買うだろうに。私がまとめた石破茂・小川和久対談『日本の戦争と平和』(ビジネス社)をお読みください。自衛隊の機密漏洩問題について、日本でいちばん詳しく、批判的に書いてある本です

08-31
11年7月の地上放送デジタル移行「絶望的状況」で延期しかない(連載「テレビ崩壊」第9回/ジャーナリスト・坂本衛さんに聞く) まっとうなコメントもあるが、相変わらずくだらないコメントも付いていますね。2011年7月にアナログ送出マスターのメンテナンスが打ち切られても、デジタルで出して途中の中継局以降をアナログ変換するのだから関係ない(だからこそNHK60億円、民放1局あたり20〜30億円で済む)と知らない。阪神・淡路大震災のとき、生きていたメディアはラジオとテレビだけだったことも知らない(電話もネットも不通だった。やや正確にいえば、震度6〜7といった地域では地震発生直後、停電・断線その他により、電力を供給しなければ動かない機器と有線系機器はほぼ全滅した。電話は有線・無線を問わず輻輳《ふくそう》によりほぼ全滅した。多くのラジオは電池駆動だから生きており、停電しなかった家では直接受信のテレビは生きていた。ただし場所によって地盤が数十cm〜1mほどズレたので、衛星を補足できなくなったパラボラ受信の衛星放送は死んだ。95年にネットはまだ一般的ではなかったが、現時点で同じことが起これば、ネットは無線[家庭内だけ無線接続ではダメ。有線は光ファイバもADSLもCATVも至るところで断線する]・電池[充電はできない]のノートPCと携帯[充電はできない。電話は輻輳でつながりにくくなる]以外は機能しないだろう)。爺さん婆さんにはネットや携帯電話が使えないだろうという想像力もない。平成18年7月豪雨のとき地元CATVのエルシーブイの誰がどんな緊急報道特別番組や報道活動をやり、そのときNHKや民放が何を流していたかも知らない。地デジ完全移行を急いで郵政・総務省天下りの巣である携帯電話事業者にビジネスチャンスをくれてやるより、高すぎる携帯電話の料金を値下げしろってほうがどう考えても先だが、そんなことにすら気づかない……。ホント哀れです
●それで思い出した。今回、和歌山1区で当選した岸本周平は、大蔵省主計や財務省国庫課長だった元官僚だが、当時「400万世帯のテレビを一軒一軒いじるなんでバカな政策があるか」と郵政・総務省をボロクソに言っていた。もちろん何度か取材したし、経済産業研究所コンサルティング・フェローだったときは放懇セミナーに呼んだこともある(私がコーディネータ)。大蔵官僚だった古川元久(いつか東海テレビで一緒だった)とか、民主党にはもののわかった官僚出身者が結構いるから、彼らには期待できそう。もちろん、2009年12月の「地デジの日」(?)に首相や総務大臣が昨年までの愚かな間違いを繰り返さないよう、民主党にはきちんと提言します。民主党にまともな判断力があれば、12月1日のイベントは昨年同様というわけにはいかないでしょう【31日記事に変換ミスあり。午前1時すぎにメールで知らせてくれた読売の校閲記者さん深謝。直すついでに一部加筆しました】
●13時、田原総一朗から電話あり、総選挙結果につきしばらく話す。私が言ったのは、「(1)お疲れさんでした。NHK中心にちらちら見ましたよ。(2)田原さんは民主勝ちすぎというが、私は全然予想通り。まだ得票数のパーセンテージが出ないが、45対55といった数字でも小選挙区制ではこの結果になる。総選挙はこういうものだということを前提に、やっていくしかないでしょう。(3)国民は、とてもまともな選択をしたと思う。郵政民営化の否定しか言わない綿貫民輔、財務大臣がアル中と全世界に恥をさらした中川昭一、存在意義のない小泉チルドレンらをちゃんと落とし、幸福実現党も完全に泡沫扱いして1人も当選させなかった。(4)森喜朗、福田康夫、古賀誠、塩崎恭久ら必死だった自民党議員がギリギリ受かったのは、自民党の底力と地方の義理人情でしょう。利益誘導ができない大都市では、あの結果にはならないけど。(5)いよいよ小さな政党はたいへんだ。田中康夫も頑張って、よかったけれども、一人一党みたいなものだから。(6)これから民主党はたいへんだ。成果を出すには半年、1年とかかる。ある程度、国民も我慢強く見守る必要があると思いますね」など。田原は、おおむね「なるほど」と聞いていたが、最後の国民の我慢強さについては、「いや、国民はそんなに我慢強くないよ。辛抱強かったら、こんなに民主党を勝たせない。すぐに、ここが変わったと見せなければ。それを2、3か月でやるのはたいへんだ」と。坂本「確かに。オバマ大統領の支持率も落ちてきたから、選挙民が辛抱強くないのは世界共通でしょう。それでも、ちょっと様子を見ないことにはどうしようもない。あと、民主党が首相を変えるときは、自民党の禅譲方式ではダメ。絶対に解散総選挙をやるべきだと思いますね。4年は解散せずにやると言っているけど、あんな前言は翻していい」。なお、テレ朝討論番組の視聴率は4.8%で、深夜ではいちばんよかったそうです
●原稿書き。夕方、ちょっと池袋まで

08-30
●10時半〜、25日に亡くなった叔父(亡父のすぐ下の弟)・坂本正夫の告別式@寶亀閣斎場。父の実家の菩提寺である臨済宗・龍興寺の坊さんが、昨日の通夜と二日連続出張してくださった由(昔、この寺の鐘をよく突いたもんです)。斎場付近は練馬のキャベツを最初に植えた場所だそうで、キャベツのオブジェがあった。落合斎場で火葬ののち戻って精進落とし。献杯の発声を頼まれ「昭和4年生まれで80歳近くまで生きたのは長寿の部類。立派に家を建て娘二人を育て晩年は菊三昧と、幸せな一生だったと思う」とご挨拶。16時半帰宅。19時、牛込一中で投票。20時前から選挙報道を見る。23時すぎ帰宅した家人と娘によると、嵐の中の嵐コンサートは最高の盛り上がりだったそう。ただし、風雨が強いためフライングは冒頭のみでバルーンもなし。みんなマイクに雨水が入るのでしきりに振って水を切っていたが、流星の絆ソロで二宮和也のマイクが不調に。いちはやくマイクを渡したのが松潤。この二人だけがいつもそんな段取りに気を配っているとは、GALAC2009年6月号に書いた通り
●以下、NHKを中心に選挙速報メモ。19:54NHK番宣、19:55特番『2009衆院選』スタート。「投票終了まであと5分」とアナウンスし、進行スタッフ紹介。19:56開票速報本部の様子。「出口調査の集計・判定はすでに終了」と言い、出口調査の概要(全国4200か所で49万人に調査し、回答を得たのは74%36万8000人)を伝え、「情勢取材や開票状況を総合的に分析し、開票前でも当確を伝える」と説明。画面表示の解説も。19:58インターネット開票速報の紹介。「午後6時現在の投票率は48.40%」
●20:00「政権交代が確実な情勢。政権交代へ」とアナウンス。民主・長妻昭が最初の当確。22:01、獲得議席は自公48、民主野党160。「民主は298〜327議席の可能性」とアナウンス。22:02、自民39、民主166。自民・小渕優子が当確。20:03頃、自公50、民主野党172。20:04〜注目選挙区の出口調査結果。北海道12区武部劣勢、群馬4区福田劣勢、神奈川11区小泉優勢、東京12区太田劣勢、石川2区森劣勢、京都1区伊吹劣勢、愛媛1区塩崎劣勢、福岡7区古賀伯仲、長崎2区久間劣勢(後からの注:福田、森、塩崎は出口調査の劣勢をはねのけ当選。残りは調査通り)。ここらで他局も見る。20:12NHK字幕速報で茨城知事選の現職当確。20:14頃テレ朝で田中康夫当選(この局は「当確」と言わず、「当選」とアナウンス。これはよくないと思う)。NHKでは20:23現在、兵庫8区は競り合い。20:37日テレは相変わらずイモトの走り。ゴールまで3.3km。切りよく100キロマラソンにしておけば間に合ったのに
●21:06〜NHKインタビュー始まる。小沢一郎・民主党代表代行は(どう受け止め?)「まだ発表になっていない段階なので、言えない」(NHK調査では300議席超え。手応えは?)「自公政治・官僚主導への国民の不安、不信が非常に強かった」(民主党に不安と期待があるのでは?)「不安はないと思う。マニフェストの約束を着実に実行していく」。21:08細田博之・自民党幹事長は「厳しい結果。真摯に反省し、次の選挙に走り出したい」。小沢に戻り、(小沢さんの影響力が増すのでは)「まだ発表されていない。そのレベルで政治をとらえることが、現在のマスコミの問題点だと思う」、細田に戻り、「執行部は辞任の意向を麻生総裁に伝えた」。NHKが暫定ながら投票率推定をアナウンス「69%前後。4年前を上回る。平成8年以降もっとも高い」
●21:41〜鳩山由紀夫の共同会見。(朝日記者が結果への感想と今後につき質問)「感謝したい。政権交代の手応え、思いものを感じた。民主が勝ったとしても、それを国民の勝利に結びつけるのが大事」。(日テレ記者が連立の方針・手順につき質問)「現時点で応えるのは不適切と小沢代表(注:代表代行とは言わなかったような)なら申し上げるところ。社民・国民新党とは連立を組みたい」。司会「ほかにございませんか?」に、ええーっ、手が上がっていないのかと驚く。北海道新聞が明日以降のスケジュールの決め方につき質問。その後、さらに司会が「前列おられませんか?」。毎日新聞が与野党協議について質問。司会「時間が参りましたのでこれで終了」(21:48)。1955年体制ができて初めて、本格的な政権交代によって総理になるのが確実な野党政治家に対して、実に驚き呆れる記者会見です。司会が「質問はないのか」と2度までも記者を促し、しかも冒頭の朝日記者(これは共同質問)以外の3人は、手続きやスケジュールについて質問した! 外国人記者が見ていたら「明らかに異常だ。先進国ではありえないジャーナリズムのあり方だ」と思うはず。鳩山が口ごもるような鋭いツッコミを入れて、全国的に名を売ってやろうと思う記者は、いないんですかねえ
●21:53テレ朝(だっけか、メモし忘れ)に田中均が登場。政官の役割の見直しが重要との発言。「大所高所からリーダーシップを発揮し構想や戦略を打ち出すのが政治家。プロフェッショナルとしての見識を持ち実務をこなすのが官僚。そのような本来の役割に戻れ。政治家100人を政府に送り込めばいいという話ではない」との趣旨。その通りです。自公政治家は政策を官僚に丸投げしてリーダーシップを発揮できず、大所高所の戦略や構想抜きに地元への利益誘導を図った。一方の官僚は、5000万の宙に浮いた年金、デタラメな新型インフルエンザ対策などが象徴するように、見識がなく、行政のプロとしての仕事がまるでなっていない。もちろん地デジもそう。5年10年とかけて、ここを直していく必要があります
●22:14〜NHKが麻生インタビュー。麻生「今回の結果はたいへん厳しいものになった。国民の声を真摯に受け止め反省。自分の至らないところを改めて感じている。経済改革道半ばで断腸の思いだが、国民の積年の思い(自民党への批判)を拭い去ることができず、(その巡り合わせとなった自らの政権の)宿命として甘受。今後は一党員として自民党再生。応援に感謝」と、自民党総裁辞任を示唆。22:21NHKの当確データで「民主党、241議席の単独過半数確保」とアナウンス。あとは各局をザッピング。民主党最高顧問・藤井裕久は歴史的な事実も踏まえて、たいへんしっかりした発言をしていたと思います。フジは、田中康夫が当確のあと、その選挙戦映像(しつこいおばちゃんが「あんたは何しにきた!」と嫌がらせのように食い下がる、店などになかなかポスターを貼らせてもらえない、選挙事務所を借りるのに20件やそこら断られ苦労話など)を流し、康夫は「バイアスのかかった映像をどうも」と皮肉る。まあ、あのおばちゃんは普通の選挙民や市民には見えないから、放送すべきではないですね。フィギアスケートやスキージャンプで審判がつけた最高点と最低点を切り捨てる(極端な見方として得点に反映させない)ように、テレビはあの種の極端な映像は切り捨てなければならない。「ああいうおばちゃんがいたのは『事実』(または『真実』)だから、伝えていいんだ」という考え方は不見識。あるアメリカのある新聞の特派員は「新宿のホームレスの姿を、私は米本国に決して伝えない。それが伝わると、日本の首都には浮浪者が溢れているという誤った印象をアメリカ国民に与えてしまうからだ」と言った。これがまっとうなジャーナリズムの見識というものです。24:10頃、日テレに桜井翔登場。嵐の中で国立競技場の大コンサート(3日連続は日本エンタメ史上初じゃなかったっけか)をやって、(日焼け以外は)何事もなかったようにこなしたのは立派。25:03テレ朝、田原総一朗の討論番組で、いきなり黒画面になり中断。何事かと思ったが、単なる技術的なミスだったよう

08-29
●娘によると、今日は嵐・桜井翔のフライングはフツーだったそうで、昨日truthのときに動かなかったのはトラブルっぽい。ニノはソロを間違えたらしい。誰彼なく口に指を突っ込んで吐かせる心優しく責任感の強い松本潤、イイ!
●サイト更新、原稿書き
●昨28日に総務省が発表した7月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.3ポイント悪化(6か月連続悪化)で5.7%と過去最悪。男だけだと6.1%と、これも史上最低。直近月は百貨店もコンビニも過去最低の売り上げです。こんな状況下で、麻生太郎は「経済対策が功を奏した」などと言うのだから、KYぶりは常軌を逸しています
●企業がリストラを進めたこと、機械・家電で在庫が捌《は》けてきたこと、自動車や家電などで補助金政策の効果が出たことなどによって一部業界は上向きだが、経済全体は相変わらず悪い。そんな状況は、ハイヤーを使わずタクシー運転手4、5人に聞けば、すぐわかる。また、日本の失業率は先進諸国中で低めに出る。普通ならば失業のところ中小企業、商業、農業などが吸収するからで、それで6%という状況はものすごく悪い。他国では二ケタ乗せといった状態に相当するかもしれません。しかも、一部の経済指標が上向きに転じても、ガクンと下がったものが「向き」を変えただけで、その「水準」は下がる前より低いまま。それがわからないか、わかって虚勢を張っている与党の政権担当能力は疑われて当たり前。与党はしきりに「責任」「責任力」と言うが、それを判断基準にすれば、退陣を迫られて当然です
●大敗北で麻生太郎の総裁辞任も避けられないが、どうにも後がない。政治家ではない舛添要一が有力な総裁候補らしいが、リーダーを政治家以外からしか選べなければ、政党の体《てい》をなすとはいえないでしょう
●朝、日テレを見ていたら、辛坊治郎が今回のテレビ選挙報道が控えめな理由として、(1)前回の郵政選挙の反省、(2)芸能人の覚醒剤報道の二つを挙げていた。もちろんもう一つの理由は、(3)放送局の現状維持(与党や政府支持)政策ですね。まともな批判精神をもったジャーナリズムならば、たとえば何十インチの大画面薄型テレビに税金を使ってエコポイントを最大3万何千円分つけるなどという政策は、補助する必要のない金持ちへの優遇、完全にエコに逆行(製造時エネルギーと消費電力を計算すれば、小さなアナログテレビを壊れるまで使い続けたほうがエコに決まっている)という点で、有効な地デジ補助策・エコ推進策よりは単なるバラマキに近いとわかる。ところが、テレビも新聞もそんな批判を一切伝えないのは、的ハズレでも地デジ対応テレビの普及には少しはプラスになりそうなのともう一つ、正面切って政府を批判したくないからでしょう
●16時半現在、共同サイトが出している記事の見出し〈選挙戦最終日、党首らが街頭演説 「民主で大丈夫か」「変えよう」〉はよくない。〈「民主で大丈夫か」「自公政治を変えよう」〉の「自公」(または自公政治、現在の政治など)だけを省略しているからです。つまり「民主で大丈夫か、(民主に入れるつもりなら投票先を)変えよう」と読めてしまう。「民主」だけを省略した〈「大丈夫か」「自公政治を変えよう」〉という見出しがおかしいのと一緒。共同通信社が今回、自民党を応援すると公言しているのでなければ(公言したとは聞いていない)、不適切な見出しです。新聞本紙ならば、こういうミスは校閲で訂正されるが、サイト記事ではそのまま出てしまう。インターネットがまだまだ発展途上である証拠の一つです

08-28
●原稿書き。J-CASTニュース記事(期限通りの地デジ完全移行・アナログ停止は無理。地方局の課題は?)の内容チェック。30日昼前に配信予定。片付け。16時15分に家を出て、ARASHI Anniversary Tour 5×10@国立霞ヶ丘競技場へ。家人ら3人。今回は青山門からの入場なので、神楽坂→飯田橋→信濃町ルート。30分くらい。開幕前一服しにいった帰り、17〜20ゲートあたりの通路で大混雑。グッズ売り場で狭くなっているところで、右に行きたい人と左に行きたい人が交錯し、身動きできない状態に。「キャー」「押さないで!」と叫び声が上がりはじめたので、ジャニーズ白波瀬傑に「すぐ拡声器を持った係員を増やして、交通整理しないと」と携帯電(後で改めて「あそこはロープを張って右側・左側通行を分離すべき」と伝えました)。ああいうときは、とにかく焦らず、指示があるまで動かない(一人ひとりがその場を死守し、声をかけ合って、押そうとするヤツを阻止。指示があればゆっくり指示通りに動く)こと。今回は平面の通路で、ゲートを規制していたからよいが、先に階段があると非常に危険なので。あと、余計なお世話だけど、グッズは早い時間から売っているようだから、そっちで買ったほうがよろしいのでは
●17時半にやや遅れて開幕。オープニングは『感謝カンゲキ雨嵐』のなか、メインスタンド側と聖火台の間に張られた5本のロープ(高さ30m、長さ200m)に5人が宙づりでスタジアムを横断、ゴンドラで降りてくるという趣向。松本潤「国立! 国立!」と絶叫。二宮和也「夏は終わんねーぞ!」、大野智「今日は祭りだぜ!」。メインスタンド側に巨大な電飾。中央部は16×9mやそこらありそうな(←目視なのでいい加減)ハイビジョンモニタの鮮明画像(あのデカさであの映りのよさは、私は初めて見た)。観客約7万人。席は19ゲートD列、聖火台から降りてくるゴンドラ脇で、ステージから数メートル。生声が聞こえる。9曲目『言葉より大切なもの』ソロ(ギターも)を歌い上げた二宮が、「全然間違えてねーからなっ!!」。流星の絆『Beautiful days』のあとのMCはこんな感じ(GALAC読者に大サービス! ネタバレご注意!! 録音[←もちろん禁止]したわけじゃないから、だいたいの話ですよ。微妙にニュアンスが違うなんてメールは寄こさないでください。直すヒマがない)
●桜井翔「イェーイ! こんばんは。改めて、嵐です」「昔の曲とか、みんな知ってんのかな。野菜もってやった曲とか」二宮「結構、嵐の中では暗黒歴史なんだけど。エアで野菜もってた人いましたね」(相葉雅紀はトウモロコシ、松潤ピーマンなど、何を持ったか言ったあと)「で、翔さんは?」桜井「エアで白菜です」「何で持ってないの?」「やべー、どうしようと思っているうちに……。持っているように踊ればいいかなと」「なんで?」「不慮の事故だよ」。ついでオープニングのフライングで、桜井がビビりまくった話。相葉「顔、必死ですね。あんだけビビる翔ちゃんて、なかなかない。リハんときも」桜井「いうな、いうな!」「しかも俺の歌い出し、そうそういいことない……」(『ハダシの未来』で一人ひとりタワーリフトに乗ってせり上がるが)相葉「この人リハーサル、上がりませんからね」。「全然恐くないから」と言い張る桜井に、じゃ、いま乗ってもらおうじゃないかという話になり、1人で上がっていく。上のほうでは目が開かず、手の振りも手すりを握る位置からほとんど離れない。「ナナナナナーナナ」の歌声もかすれがち。残り4人はお定まり、中央ステージのタワー上の桜井を見捨てて、メインスタンドに移動。口々に「手、上がってないよ」「何やってんの?」
●次は相葉雅紀のドラマ話。「最近なにやってんの?」相葉「最近ね、ドラマ撮ってますよ」二宮「それ放送されんですか?」相葉「ちゃんと10月9日から、テレビ朝日さんで。金曜ですよ」二宮「記念で撮ってるのかと思って」桜井「現場の相葉くんてどう? 2種類あるでしょ」と、コメディ調かマジかと迫る。相葉は現場入りの第一声を再現(当然、普段と極端に違うマジ挨拶)。ドラマ撮影で朝が早い。相葉「5時に起きて。家を」二宮「家を、起きる。はい、(聞いたみなさんが適切に)変換してください」相葉「朝飯に素麺とか茹でて」二宮「チョイスがちょいちょいおかしい。この前も牛丼を朝から作った」相葉「暑さに必ず負ける。コンサートくらいの汗」二宮「共演者、ドン引きですね」相葉「お前らバカにしてっけど、コントじゃねーぞ! 本気のドラマだ!」松潤「誰もコメディって言ってねーじゃん」相葉「白いセーター着るんですよ(以下略)」桜井「それは言わないほうがいいと思うよ」相葉「みんなネットに書き込まないでね」「とにかく、こんな世の中で……」とドラマの訴求点を力説すると、皆「どんな世の中?」相葉「えーとえーと、せちがらい世の中」
●二宮「そろそろ大野さん、しゃべりましょうか? どうですか?」大野「すごい風だなーと思って。思わない? ちょうどいいか。でも、嵐って幸せだなと思って。それを感じながら、ここに立っている。智です」。相葉かな、歌のお兄さんの帽子を被ったら入らなかったという話になって、松潤が大野の頭に両手のひらを回して計り、「すごいちっちゃい!」、二宮も手を回してヘン顔にして「ちっちゃい」
●『とまどいながら』で後半スタート。魔王の『truth』のとき、再びフライングで、今度はオープニングより上下の動きもスピードもアップ。ただし、ビビリの桜井だけは行ったり来たりせず、空中で停止(ビビリか演出かトラブルかは不明)。『明日の記憶』では、メンバーの赤ん坊時代から今日までの写真が出て、こりゃおもしろい。4、5歳くらいか、上目づかいのニノのすんごいショットに大笑い。その後に10年メドレー(一部、メディアが撮影・原稿掲載も不可のパフォーマンスあり。松潤「二度とやんねーからな!」)。最後にメインスタンド上空に花火。ラストの挨拶は、松潤「1999年にデビューして10年が立ちました。いろんなことがあって、一つずつ、みんなでのぼってきた。5人だけじゃなくスタッフ、会場にいるみんな、会場にいらっしゃれないファンのみなさんに支えられて10周年を迎えられた。今日はいい日です。本当にありがとうございました。でも、まだ10年です。これからも……」桜井「幸せだな。本当に幸せなグループだなと思いました」大野「なんか不思議な気持ちでいまここに立っています。アッという間で……。(ここで言葉に詰まってしまい、涙、涙)泣かないよっ! 10年間も本当に僕らは幸せです。これからもずっと見守ってください」相葉「僕、ライブが大好きです。8月28日のこのときも大好き。世界中に嵐を巻き起こします!」二宮「相葉くんよく言ったなと思って、大野くん泣いてるなと思って、すごい考えたんですけど、自分がいままで本気で10年やったこと、僕、ないんですよ。なんとなく15年間野球をやり、20年間ゲームをやってきたけど。本気でやり続けるとは気持ちが……。(ここらで神宮球場の花火がスタート。挨拶中断)神宮さんも俺のことを……。そろそろしゃべっていいですか。何しゃべってたか忘れちゃった」。5人それぞれしみじみした挨拶で、もらい泣きするファン多し。『5×10』でバルーン。あとアンコール。構成もメンバーが考えた由。10年目にふさわしい、すばらしいコンサートでした
●終演後、バスでANAホテルに移動し、地階プロミネンスで打ち上げ。局関係などコンサートに行かなかった関係者もいて、400人やそこらのパーティ。ジュリー藤島Kに「おめでとうございます。お招きありがとうございます」とご挨拶。アッカーマンや生田斗真の顔も。フジと日テレのバラエティ担当局長が祝辞と乾杯。やがてメンバーも到着し、会場内を回る。相葉雅紀に「表紙をお願いしているGALACです。よろしく」というと、俄然シャキっとして「よろしくお願いします!」。二宮和也には「おめでとう! 楽しかった」「ありがとぅござぃますっ」「相葉くんが表紙になるよ」「本当っすか」。松本潤に春のGALAC表紙のお礼をいうと、「ギャラクシー賞取れるよう、がんばります!」。大野智には「よかった。いい涙を見せてもらいました」「泣いちゃって……。ありがとうございました」と両手で握手。桜井翔とは話すチャンスなし。ラストで5人が舞台に上がり、一人ひとり挨拶。二宮「さっきいい話しようとしてたんですけど、花火で中断されちゃって」と、もう一度いい話。TBS『流星の絆』『スマイル』の広報でGALAC表紙のスケジュール調整でたいへんお世話になった安倍《あんべ》由美にもご挨拶。JNN50周年記念スペシャルドラマ二宮和也主演『天国で君に逢えたら』は9月24日21時〜23時4分放送だそう。相葉はメンバーのなかでいちばんオシャレで、何を着ても似合うという話も。この日もゴム草履が約2名いたところ、相葉がいちばんオシャレな革靴を履いていた。最後に白波瀬傑にお礼を言い、握手して撤収。いや、おもしろかった

08-27
●原稿書き
新型インフル エビデンスないからこそオープンに議論を。村重直子・厚生労働省大臣政策室政策官インタビューです。「多くの医系技官が、大卒後すぐ、または見学程度の研修後に厚生労働省に就職し終身雇用を前提に2年毎に部署をローテーションするという人事制度なので、どの分野に関しても素人で、そのうえ法律のことも分からない、憲法感覚すらないから平気で人権侵害の政策を立案する、そういう状態になってしまっています。誰でもこのような人事制度に組み込まれたらそうなってしまうので、彼らもかわいそうなのです」「こんな集団が、国の公衆衛生をリードしている、リードしているとも言えない状態ですが、これでは国民が非常に不幸だと思います」と厚生労働省の医系技官をボロクソに批判しています。厚労省の上層部には、舛添要一もあきれ果てているようです
●新型インフルがピークとなる9月下旬ころに、病院があふれたり、ICUや人工呼吸器が足りずに(注:足りないことは春からわかっている)死者が増えれば、そこで初めて彼らの責任が問われるでしょう
●下記の読売記事によれば、広島市原爆被害対策部の担当者は「事実誤認であり、コメントできない」と語ったそうですが、コメントすべきです。「こんな事実誤認を平然と口にするような者を、ついこの間まで私たちの税金を使って、航空自衛隊の責任者にしていたとは、まったく信じられない。自衛隊の人事はどうなっているのか。こんなバカに軍事組織の冷静な指揮ができるのか。広島市民も広島県民も怒り、あきれてはてている」くらいコメントしていいと思います

08-26
●読売サイトでこんな記事──前空幕長「広島平和記念式典は左翼運動」と発言。式典の参列者について「広島市民も広島県民もほとんどいない。原爆の被爆者も、被爆者の2世もほとんどいない」「並んでいるのは全国からバスで集まってきた左翼ばかり」と語った由。じゃ、麻生太郎も左翼なのか。もうおしまいですね、田母神軍曹は。こんな愚かな者は、もう誰も相手にしない。幸福の科学と対談するくらいが関の山でしょう
●東京では、中高生を中心にその上下(小学生・幼児や大学生)に新型インフルエンザが流行っているようです。大学はまだ1か月ほど休みだが、2学期が始まった小学校が心配。行政機関は、学校を舞台にした明らかな集団感染(一部小学校のみ)以外の患者数を把握しておらず、合宿や部活での患者発生も知らないらしい。アメリカでは、こういうときいちばん多めのヤバそうな数字をちゃんと出します。危機管理上は「最悪」を想定すべきだからで、オバマ米大統領の科学技術諮問委員会(PCAST)の予測によれば、秋から冬にかけて最悪の場合、米国民の半数が感染、180万人が入院、30万人が集中治療室ICUで治療、子どもや若者を中心に約9万人が死亡の恐れありという(以上はあくまで最悪の場合。予測数値には感染率30〜50%、死者3〜9万人など幅がある)。朝日記事をご参照。9・11のときも、ニューオリンズのハリケーンのときも、実際の死傷者数は予測数値よりかなり少なかった。日本は逆で、そもそも予測しないか、または控えめに予測します。もちろん地デジなどの数字も同様です。ようするに、自分たち官僚が現段階で困らない数字(官僚が間違っておらず、ちゃんと仕事をしているように見える数字)が、彼らの予測数字なのです。こんな政府が国民のためにならないことは明らかでしょう【以下、12時追記】新型インフルは養豚業者を介して豚に感染する可能性があると、どこかで読みました。鳥インフルエンザが鶏肉や卵から人に感染しないように、豚インフルエンザが豚肉から人に感染することはない(もともと豚肉は生で食べず、ウイルスは食品の中心温度70度の加熱で死滅するうえ、胃酸に弱く胃の中で不活性化するため)とされていますから、心配する必要はありません。行政やメディアは、そのような安心情報も先回りして流すべきでしょう
●なお、朝日サイトは幸福実現党のトップ広告をやめたようです。当欄08-18記事をご参照
●16時、実家へ顔出し以外は原稿書き

08-25
●9時半、ANAホテル。10〜12時、脳科学者・茂木健一郎と田原総一朗の対談。電通総研・佐々木厚、アスコム高橋克佳・小林英史も。アスコムで年内には単行本にします。昼すぎ、田原、小林とホテルで昼食。田原は、今月末は28日朝まで生テレビ、30日は古舘伊知郎と選挙特番、深夜から選挙討論番組だそう
●朝、出がけに東西線・神楽坂駅矢来口で演説準備中の海江田万里、久保合介らと遭遇。海江田とは20年以上も前、『週刊ポスト』なんかでよく会った。下り新幹線で名古屋あたりまで行き、上りグリーン車に乗ってくる海江田をつかまえて東京まで隣の席でインタビューしたことも(当然、静岡あたりで「もう寝るわ」となる)。海江田「誰のとき?」坂本「和田ちん、和田守弘がやっていた頃ですよ。頑張って!」と。久保合介は新宿区議で、PTAで世話に。理清蘭でも飲み仲間(いつも文庫本を読んでいる)。一方の与謝野馨陣営からは(細川政権の発足直後、自民党広報局長のとき取材したら、名刺を見て「僕の選挙区じゃないか」というから「そうです。麻布ですよ」と。それ以来か、PTA会長のとき青対名簿に名前が載ったからか)、なぜか「事務連絡」とハンコを押した封書で「いついつ事務所開き」や「区内演説会スケジュール」や「与謝野演説集・切り抜き帳」みたいな文書が来る
●ひどいもんだと思い、そのまま書くのを忘れていました。8月2日付け産経新聞が、18面22面(リンク先はpdf、2.4MBと3MB)の全2面で田母神俊雄軍曹(小川和久から、ある米軍人が「キャプテン田母神」=田母神大尉と呼んでいたと聞いたが、まあ軍曹相当でしょう)と幸福実現党宣伝局長・大川きょう子(大川隆法の妻)の対談(激論・日本の選択 上・下と題する意見広告)を載せていた。軍曹は対談で「あの拉致問題は、北朝鮮の日本に対する侵略だと思いますよ。」という。あの拉致事件が「侵略」ならば、日本が戦前に中国や朝鮮やその他アジア諸国にやったことは当然、すべて「侵略」でよいわけでしょうね。なにしろ日本軍は、各国に軍隊を送り込み、拉致被害者とはケタ違いの数の相手国国民を殺したのだから。しかし、軍曹は、戦前の日本は侵略国家ではないと懸賞論文に書いたのではなかったか。まったく、どういうアタマの構造なんだか
●「田母神氏 憲法改正には3分の2を必要とするから、学者の中には廃止すればいいじゃないかという人もいます。廃止なら過半数でできるわけですから。大川局長 なるほど。」なんて一節も。なーにが「なるほど」か。憲法を読んだことがないのか? 日本国憲法には「第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と書いてある。「廃止」が、国会議員の過半数による議決であれ宣言であれ法律であれ何であれ、それは現行憲法のすべての条規をナシにする取り決めであって、憲法に書かれた全条文に反するから、「効力を有しない」、つまり「無効」なのよ。だから、過半数で廃止などできない。当たり前だろうが、そんなことは。どこのバカ学者が、過半数で廃止できるなどという妄言を主張しているか。それが国公立大学の教員ならば即刻クビというほどのくだらぬ与太話。産経新聞は、「意見広告」ならば、どんなデタラメな意見を掲載してもよいのか? 全面広告2ページ分のカネさえもらえれば、中身はなんでもよいという危機的な経営状況に追い込まれてしまったのか? 「なんでこんなみっともない広告を出すんだ!」と営業に怒鳴り込む記者はいないのか? 恥とか外聞というものは、この新聞にはないのだろうか?
●21日に田原と飲んだ(もっとも田原は冷たいウーロン茶)とき、以上のことを言ったら、「江藤淳や石原慎太郎がそんなこと(憲法は過半数で廃止できる)を言っていたよ」と。そりゃ江藤淳や石原慎太郎が、冗談を言ったかアホなことを言ったか、どちらに決まっています
●夜、BS-hiで、クフ王の大ピラミッドに内部トンネルがあり、上3分の2はこれを使って石を運び上げたとする番組を見ました。おもしろい! 頼むから日本の古い墳墓についても番組化してもらいたい

08-24
●8時45分、ご近所のO医師に息子を行かせてよいかと電話。「マスクをしてこい」というので、一応家人を付き添わせ、すぐ行かせる。さすがに待合室では待たせず、すぐ診察室に入れたそう。鼻に綿棒などを突っ込んで粘膜をぬぐったものを調べる簡単な検査をし、結果(数〜十数分でわかる)の紙を見せながら「ここがこうだからA型だ。いまA型ならば新型だろうという判断。お年寄りや持病がある人ならともかく、君のような若者は大丈夫。おかあさんさよならとは、ならない」「それとも、さよならしたいか?」「い、いや……」と、Oセンセ絶好調だった由。おととい新潟で受診した診療所でも同じ検査をしたが、紙は見せてくれなかったというと「なんで見せないかなあ。診療にならんじゃないか」、そこでくれた解熱剤を見て「なんで解熱剤しか出さないか」とブツブツ
●タミフルカプセル75mg(朝晩各1、A型orB型インフル治療薬)、ジェニナック錠200mg(朝2、感染症治療薬)、カロナール錠200mg(朝昼晩各1、解熱剤)、フスタゾール糖衣錠(朝昼晩各1、咳止め)を4日分処方(それぞれ食後に飲む)。 ※これはふだん健康な大学生の場合。乳幼児、子ども、妊婦、高齢者、持病のある方などに出さない薬も含まれ、処方量も違う。あくまでも、ご参考まで。ウエルパスを1本ください」と家人に言わせたら、「うちは薬局じゃない。そんなのは薬局で買え」
●ようするにPCR検査なんてものは、どこの医院でもやらず、簡易キットで検査する。これでA型かB型かわかり、A型と出れば(香港型やソ連型の可能性もなくはないが、現在の流行状況から)新型インフルと推定する。ただし、とくに初期は、陰性に出る場合もある(5月、米カリフォルニアで要入院患者のほぼ5分の1が陰性だったという報道あり)。で、入院する必要のない者はタミフルその他と解熱剤を処方して家に帰す、ということらしい。寝ている部屋の換気をよくする(いまの時期はエアコンで冷やしつつ、換気扇を回す。換気扇がない部屋では、窓をちょっと明けトルネード扇を回す)、ポカリスェットやアクエリアスのような飲み物を飲ませる、スポーツ用によい製品があるのでこれを使って頭などを冷やす、というのも悪くなさそう。もちろんティッシュなどはレジ袋を専用ゴミ袋として使い密閉して処分、タオルや食器を共用しないなども必要
●パスポート申請に池袋へ。帰りに薬局で速乾性すり込み式手指消毒剤「アセスクリン」(0.2%クロルヘキシジングルコン酸塩・エタノール、日医工)を買う。病院の病室ドアのところに備えてあるヤツ。ポンプ式で1L入り2300円(ウエルパスは500mlしかなく割高だった)。17時〜J-CASTニュース@千代田区二番町。地上デジタル放送についてニュース編集部・工藤博司の取材を受ける。そのうちネットで流れるでしょう

08-23
●午前10時すぎ、新潟にて1週間ほどサークルの合宿中で、今日帰る予定だった大学生の息子から緊急電。「新型インフルエンザにかかった。21日発症、22日受診し『新型だろう。熱が下がれば治ったということだ』と言われ、解熱剤をもらった。22日夜は40度、今朝は39度。少なくとも数人が感染している。今日帰るが、非感染者のバスとは別行動となり、レンタカーで午後2〜3時に大学に到着予定。迎えに来てくれ(親が来ないと大学から出ることができない)」と。家人が「どうする?」というから、とりあえず「息子の部屋を掃除し、布団を干せ。部屋からなるべく出ないように、寝かせときゃいい」と。マスクは6月はじめに、一つずつ個別包装したものを大小2箱ずつ(計120枚)買ってあり、アルコール消毒液も完備済み。あとは手洗い、うがい励行、節煙、規則正しい生活くらいか
●昼、買い物。それ以外は原稿書き。9時〜NHKの政治討論番組をチラと見る。田中康夫が頑張っていて、イイ。「みんなの党」の渡辺喜美が、「官僚はなんでも隠す。埋蔵金なんてないと言い張っていたが、もう30兆円出た。もっと出る」と。その通りでしょう。行革大臣だった渡辺は、官僚や自民党族議員たちから、とんでもない妨害や隠匿工作を受けて本当に苦労した。民主党は、数の上で彼らを頼む必要がなくなったとしても、彼らから真剣に話を聞き、公務員改革のため知恵を借りるべきです。昨日、田原との電話で私が、渡辺喜美と塩崎恭久の名前を出して「民主党は彼らの手を借りるべきだ。なにしろ明治以来140年続く官僚制度の大弊害をなくすんだから、全政治家が国民を味方にして官僚と対峙して、なお5年10年とかかる。もっとかかる」と言ったら「そうだね。でもみんなは当選しない」「いや、もちろん落選した人もですよ」と。プロジェクトチームに顧問格で入ってもらうとか、講師として招き長時間話を聞くとか(で、それを広く情報公開)、真剣にやらなければダメだと思います
●共同通信は「民主圧倒、300議席超の勢い 政権交代強まる、自民激減

08-22
●原稿書きと片付けなど
●毎日の世論調査では「民主320議席超す勢い」。毎日の予測によると自民党の獲得議席は100に届かない。55年体制(1955年〜)以来、まったく起こったことのない自民党の歴史的な大敗北だが、紙面では「100議席を割り込む可能性もある」と控えめに書いています。週明けには産経の結果が出るはず
●昨日は18〜20時、三省堂神保町本店(駿河台下)で元木昌彦と田原総一朗のトークショー。政治の話と週刊誌の話で、政治の話は田原『日本政治の正体』に出てくる話、週刊誌の話は元木『週刊誌は死なず』に出てくる話。ともに朝日新聞出版刊。客は70名ほどで狭い会場が満員。デジ一で200枚ほど撮影。終了後、九段方面に6〜7分歩き、徳亭にて打ち上げ。田原、元木のほか、朝日新聞出版から新書編集長・岩田一平、新書編集部・山田智子(『週刊誌は死なず』担当編集)、週刊朝日副編集長・佐々木広人(田原連載担当)、高橋伸児(『日本政治の正体』担当編集)、朝日新聞から近藤雅人(『メディカル朝日』編集長)、坂本の8人。料理長が関西の料亭「つる家」で修行したらしく、京風懐石を基本にしたなかなかオシャレな店。その後、元木、山田、坂本にインターノーツ井内秀明、早稲田の女子大生3人で、神保町2丁目の居酒屋「多幸八」。終電前に解散。今日午前中には、田原から「きのうは楽しかった」と電話あり。民主党の政策などにつき意見交換のほか、紀伊国屋POSなどのデータがよく、『日本政治の正体』が増刷となる見込みと伝える
●新型インフルエンザ関連で、相撲でマスクを配ったというニュースをNHKで見ました。これが「マスクをどうぞ!」と声を上げながら(当然つばをまき散らしながら)、素手で、「むき出し」のマスクの内側と外側を指ではさむように持って、配っている! お年寄りなども平気でマスクの内側を手で触れている。あのマスクを配る人間が新型インフルエンザに感染していれば(もちろん誰が感染していても不思議ではない状況)、マスクを配ることによって感染が拡大する可能性があるわけだが、なんで、あんな愚かなことをやるのか。またNHKはなんで、その姿を何の注釈もなしに全国放映するんでしょうかねえ

08-21
●パスポートが切れたので午後、申請書、戸籍抄本、写真の手配。このページが笑える(とくに「フレームが非常に太い」と「頭髪のボリュームが極端に大きな場合」)。18時〜神保町の三省堂で、元木昌彦著『週刊誌は死なず』(朝日新書)の刊行記念イベント。トークショーのゲストは田原総一朗。2人のサイン会があるというから、昨日発売『日本政治の正体』(朝日新聞出版)の宣伝もやるのかな。私も、本を作った高橋伸児、近藤雅人も行き、打ち上げをやる予定
●朝日、読売が「民主300議席の勢い」との世論調査結果を報じています。当欄08-19の項で書いたことと同じ。もっとも私は、去年の秋にこの欄で、次の衆院選は郵政選挙の裏返しになる、300議席も不思議ではないと書いた。まともに観察し分析していれば、驚くような話ではありません。年収200万、300万、400万、500万という人は、負け組でもなんでもない。「普通の生活者」で、しかも日本国民の「多数派」です。4人家族で家賃がいくら、食費がいくらと考えれば、たとえば子ども二人を私学に通わせるのがどれほど大変か、わかるはず。だから、奥さんたちはみんなパートに出ている。彼らが、苦しい中で払った年金を5000万件も行方知れずにする政府・政権など支持しないと思えば、自民党は負けるに決まっています
●地上デジタル放送の延期(すでに延期は既定路線で、年内12月か来年か、いつギブアップ宣言を出すかタイミングを計っている段階です。メディアは寝とぼけた記事を書かないようご注意!)も同じです。20〜30万円のテレビをポンと買えるほど余裕がない世帯が過半数を占める。だから、地上デジタル受信機がなかなか普及しない。だから、延ばすしかない。当たり前の話です。ところが、当たり前の話をほとんどの新聞・テレビが報道せず、地上デジタル放送スタート直前の2003年11月に今日の事態を正確に予測していた雑誌が日本で『GALAC』だけということは、全然当たり前ではない。何が問題だったのか、メディアはしっかり自省すべきでしょう。戦争が始まるなんてときに、同じような大本営発表をやられると困りますのでね
●いよいよ新型インフルエンザが本格化してきたようです。5月頃から上昌広(東京大学医科学研究所)やMRIC(by医療ガバナンス学会)のメール(ML)を送ってもらっているのですが、これを読むと政府の無策ぶりが如実にわかる。もちろん気の利いたメディアは、このメールを逐一読んでいます。いちばん最近のは、厚生労働省の医系技官たちの班長会議(8月20日)の様子で、各人の実名入りの発言要旨が並んでいる
××「会見で、医療体制整備とワクチンをやる、と言っているが、医療体制の数字は言えない、ワクチンの数や日にちは言えない、となるので持たない。他にも感染防止対策や手洗いなど言えることがないと持たない」
△△「もうPCRが追いつかない。入院患者は全員PCRさせる方針をやめたほうがいいのでは」
□□「入院率1.5%なんだろ?」
△△「はい。1日3万人入院し、平均7日入院とすると、ピーク時21万人入院」
□□「ICUを期待するから足りないんだ」
○○「ワクチン確保については、官邸もかなり心配している。選挙どうなるかわからないがおそらく政権交代あり得る状況。厚労省でもっと詰めてから官邸に持っていくこと」
──てな調子。一人は局長、一人は官房長です。なお、PCRとは特定の遺伝子だけを増幅して検出する検査方法のこと。厚生労働省は5月7日、新型インフルエンザの遺伝子検査(PCR検査)が全都道府県でできる体制が整ったと発表しました。いまは、もうPCR検査が追いつかない、やめたほうがいいのでは、と言っています
●とりあえず、国内初の死者!新型インフルエンザはなぜ真夏に流行するのか――医師・木村盛世氏に聞くあたりを読んでおくとよろしいです。彼女は5月末に参議院予算委員会で参考人として意見を述べましたが、その出席に反対する厚労省のドタバタも、逐一メールで伝わっていました
●私は、そう遠くない時期に、とくに高齢者や慢性疾患をかかえているわけではない若い人でも死者が発生するだろうと思っていますが、これはあくまで素人考えです(もっとも厚生労働省も似たようなもの。彼らは、どうか若い人の死者が発生しないようにと祈っています。打つ手はないのだから、思うか祈るかという違いだけです)。素人が滅多なことは言えないので、友人の医師が5月中旬にくれたメールを抜粋して紹介しておきます
◆新型インフルエンザは、はっきり言って茶番劇に近いので、あまりムキになって心配する必要はないと思う。水際作戦での時間稼ぎなど、素人が見ても有効性が疑わしい対応に手間とカネをかけ、その間にじつは高校生たちがバレーボールをしながらウイルスを撒き散らしていたという、まったく間抜けな結末だ。新型ウイルスで誰にも抗体がないぶん、感染が広まりやすく、重症化する例も多少は多いかもしれないが、数年すると普通のインフルエンザの一つと見なされるものになる可能性が高いだろう。だから、基本的には普通のインフルエンザの対策をとればよい。ただ、今年の冬とその次の冬くらいまではすこし大変かもしれない(普通のインフルエンザでも、日本で毎年数千人以上が死んでおり、現在の対策で十分かどうかは、ちょっと疑わしいと思うが)
◆ここ数年、結核予防法が廃止になり感染症新法に統合されるなど、詳細は省くが、日本の感染症対策は明らかに後退している。よほどカネが惜しいらしい。しかも、患者の人権に配慮するというのが新法の謳い文句の一つだから、現在の法律では診断確定前の患者に隔離を強制することができず、患者が拒否すれば診断のための検査もできない。つまり状況によっては、感染源が野放しになる可能性がある。これは、インフルエンザより現実的でずっと大きな脅威である結核や、万が一日本に入ってくればエボラでも同様。恐いでしょ
◆ワクチンがない現段階で、インフルエンザに感染しないための予防対策は、最初の感染部位となる鼻・口(もしかしたら目も)を保護するしかなく、マスク着用、帰宅後に口や鼻に触れる前に手を洗うことは、かなり有効なようだ。うがいも、しないよりはしたほうがいいだろう。子どもはいろいろな病原体の抗体を持っていない場合が多く、症状がなくても何らかのウイルスを持っていたりすることがある。しかも、そこらじゅうを動き回るので、感染の拡大にはいつも何らかの役割を果たしていると考えられている。子どもを一か所に集めないとか、子どもが集まる場所をなるべく避けることも、多少は予防になるかも(もっとも、母親が子どもが持ち帰る感染症から自分の身を守ることは事実上不可能)
◆自分かかかったとき、人に移さないようにするのも大事だ。これには、治療を受けて早くウイルス排出を止める、咳・唾液・鼻水などで周りにウイルスを撒き散らさないことの両方が必要。当然、マスク着用が有効だ
◆新型インフルエンザも、たぶん近いうちに普通のインフルエンザ扱いとなり、隔離されたりすることもなくなる。そうなる前に感染して仕事に差し障る事態にならなければ、あとは普通のインフルエンザと思っていいのでは。ただし、普通のインフルエンザは決して軽い病気ではない。普通も新型もどちらも同じように気をつけてください、ということだ
●坂本から一言追加。新型インフルエンザの患者を非難したりいじめたりするのは、本当にバカで最低です。ある高校で疑わしい患者が発生し、実は新型ではなかったとわかったと報道されたとき、その校長が安堵の涙を流していたので、妙だと思った。後からわかったのは、バカどもがメールや電話などで学校に「お前のところは何をやっているのだ!」と猛烈な抗議を寄せていたことでした。まったくイヤな世の中です。バカどもはメールや電話の宛先を間違っている。メールや電話なら厚生労働省にすべきでしょう。感染した人には何の罪も責任もないし、そもそも自分がいつ感染するかもわからない。バカで最低なことは、やらないように
●【GALACについて、誤解されている方がいらっしゃるといけないので、念のため】【1】GALACの表紙はカラー印刷ですが、一見するとモノクロ(白黒)っぽく見えます。フォトグラファーがそのような処理をしており、テレビ情報誌の表紙のようなカラー写真とは違います。しかし、モノクロ写真ではなくてモノクロ風のカラー写真で、4色で刷っています。ちなみに、どの号の表紙でも黒い服なのは、こちらで用意した衣装を着てもらうので。これは顔と手以外の余計なものを写し込みたくないというフォトグラファー末武和人の主張により、10年以上そうしています。一方、GALACのグラビアはモノクロ印刷で、こちらは白黒写真(またはカラー撮影をモノクロ出力した写真。デジカメで撮れば、色はどうとでもなるわけです)。【2】GALACが予約販売をするときは、「(a)通常発行部数(ほとんどは放送局、広告会社、大学、メディア研究者などの定期講読+書店売り分)+(b)オンラインまたはFAX予約部数+(c)品切れにならないよう余裕を見た部数(1000部とか2000部とか)」を印刷しますので、ふだんより必ず増刷します。ですから、「予約受付の締め切り日までに予約したのに入手できない」ということは起こりません。書店注文分も、刷り部数の決定時点までに角川書店経由で放送批評懇談会に届いた冊数は、刷り部数に加えます。問題は、刷り部数を決めた後で届く注文ですが、(c)の多めに刷るのと、予約しても代金を支払わない方が、いつも予約数の1〜2割ほどいることから、これまで足りなくなったことはありません。たいてい1000部や2000部は余るので、もったいないが破棄(断裁処分)してしまいます。【3】そういうわけで、GALACがオークションにかかることがあるようですが、直近のものは在庫がある可能性が大きい。在庫は放懇サイトのバックナンバー紹介ページで確認できます(表紙写真の下に「在庫僅少」「在庫なし」などと明記してある。何も書いてなければ「在庫あり」)から、「定価+送料」で購入できるものを高値でつかまされないよう、くれぐれもご注意ください。【4】どこかで、「誌代780円と送料で1000円かかった」という書き込みを見ました。放懇オンラインからの注文ならば、送料は1冊84円、2冊116円、3冊140円、4冊以上は送料無料です。買うときは、なるべく安く買ってください
●↑引用・転載はルールを守ってご自由に。ルールさえ守れば、「引用・転載可」と書いてなくても、黙って勝手に引用・転載していいんだよ。ルールはこちら→当サイト 権利について

08-20
●今日20日、田原総一朗著『日本政治の正体』(1680円)が朝日新聞出版から刊行されます。私も全面的に協力し、なんとか衆議院総選挙に間に合わせました。ぜひ読んでください。ホント、一気に読めて、おもしろい本なので
●田原は、すでに自民党は「終わった」と見ている。その終わりの始まりは1985年前後で、90年代には役割を終えたが、対抗勢力が出現しなかったために自民党政治がだらだらと続いた。しかも、終わったと見た小泉純一郎が「(終わった)自民党が変わらなければ、俺が自民党をぶっ壊す」と絶叫して支持を得たため、なお自民党支配が続いた。そんな戦後から今日までの、自民党政治とは何だったのか。今回それに代わる民主党とは何か。新政権への期待と課題は何か。小沢一郎とは何者かなどについて、初めて明かす取材秘話や内輪話満載で論じた本です
●とくに焦点を当てている政治家は吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、中曾根康弘、小泉純一郎などですが、ところどころに小沢一郎も登場する。「田原総一朗によって殺された」ことになっている宮澤喜一、橋本龍太郎のエピソードも出てきます。新聞やテレビでは語られることがない次のような話を「へぇー、本当かよ」と思う方には、おススメ!
◆田中角栄が田原に100万円の封筒を渡し、受け取れないと返した。◆ある朝日の政治記者も新聞紙にくるんだカネを渡され、返した。当然、他の記者ももらっているが、返した話はほとんど聞かない。◆別の政治家から田原が「お茶と反物」と渡された紙袋には、1000万円が入っていた(もちろん返した)。◆2001年4月、赤坂・小料理屋で小泉純一郎と会った田原と田勢康弘(日経記者)が総裁選出馬を促した。中川秀直によれば、小泉はこのとき出馬を決断した。◆その小泉を推す中川秀直・安倍晋三が、亀井静香に何と言って総裁選不出馬を要請したか。そして、小泉は亀井をどう裏切ったか。◆安保騒動の最中、父・安倍晋太郎に連れられて祖父・岸信介(当時首相)宅に行った安倍晋三を、岸が戯れに馬になって背に乗せたら、晋三は意味もわからず「安保、はんたい! 岸を、たおせ!」と叫んだ。「冗談はよせ!」と血相を変える父に、岸は「いいじゃないか、いいじゃないか」と笑った。◆若き麻生太郎が軽井沢でバイクをぶっ飛ばしているとき、スピード違反で捕まり軽井沢署まで連れていかれ、「職業は?」「無職。本当は代議士ですけど」「バカ言ってんじゃない。親の名前は?」というやりとりの後、警察が親に意見しにいったら、麻生和子(吉田茂の娘)が出てきて、一同ひっくり返って土下座した
●念のため。以上は、ちりばめてあるエピソードの断片。一言でいえば「戦後自民党政治の終わり、民主党政治の始まり」を描く本です。著者の田原は、たとえばテレ朝『サンプロ』で民主党議員の発言を途中で遮《さえぎ》ったり、つまんないと思うとそっぽを向いて聞かなかったりすることが、確かにあります(目立つといったほうがいいか)。なにしろ75歳の後期高齢者だから、頑固になった、反応が鈍くなったこともあるでしょう。なので、自民党を応援し、民主党を蹴落とそうとしていると誤解されがちですが、そんなことはない。小泉純一郎、森喜朗、加藤紘一、山崎拓らと親しいのは事実だが、民主党の仙谷由人、前原誠司、枝野幸男、野田佳彦ら(つまり小沢一郎と一線を画すグループ)とも親しい。それだけではなく、社民党の福島瑞穂や辻元清美、共産党の穀田恵二らとも親しい。竹中平蔵や菅義偉や中川秀直とも親しい。親しいというのは、相手も田原のことを相当程度に信頼している。5月頃開かれた自民党の勉強会と民主党の勉強会は、ともに田原総一朗が仕掛け人だった。つい最近も「今日はこれから鳩山由起夫と飯を食う」と言っていました
ムチャクチャじゃないかと思うでしょうが、そう、ある意味ムチャクチャです。それが、田原総一朗という人物です。で、私は「ムチャクチャだから、ダメなおっさんだ」とは思わず、「ムチャクチャだから、おもしろいおっさんだ」と思っています。これは、高橋良典という田原の右腕だった人物(早大政経の学生だったとき、私は田原に会う前に高橋良典に会った)が言ったことですが、「田原総一朗はテレビである」と。テレビは報道もやればバラエティもやり、お笑いもやれば泣かせるドラマもやって、ムチャクチャでしょう。それと同じであると。私も同じ考えです。電波芸者といってもいい。田原に「あんたは電波芸者だ」といっても、田原は別に怒ったりしない。「そう、相手によって違う踊りを踊ってね」と笑うはずです
●肝心なことは、見かけは八方美人的だが、ただの八方美人ではなくて、ここに名前を挙げたような政治家たちと、彼らから信頼される付き合いをしていることです。小泉純一郎の在任中に、個人として(番記者のように集団で会う記者は除き)小泉にいちばん長時間会ったメディア関係者の一人は、田原総一朗でしょう。ところが、たとえば辻元清美が秘書給与問題で逮捕される直前、辻元にいちばん長時間会ったメディア関係者も、田原総一朗なのです(何時間かかけて、すべてを田原に話した)。そんな記者やジャーナリストはほかにいないので、私は田原総一朗と付き合っている(いくつかの本の仕事や琵琶湖塾については手伝っている)。もちろん、そのことと、田原の主張に私が全面的に賛同するかどうかは、まったく別の話です
●つい先日も、電話で本人に「田原さんが、今回は民主党だろうと思っていること。自民党の政治家とも付き合うが、民主党の政治家とも付き合い、どちらからも信頼されていることを、私たちは知っている。でも、視聴者は知らない。で、田原さんが番組でどちらも公平に扱っているつもりでも、そう見えないんですよ。そりゃ、たとえば自民党の与謝野馨のほうが、民主党の誰某《だれそれ》よりも政策や税務に明るいし、大臣経験が長く安定感があるし、語りも落ち着いてうまいでしょう。だから、田原さんが5分5分で突っ込みを入れると、民主党のほうがダメに見えるというか、民主党をよりキツく叩いているように見える。そこは6分4分か7:3くらいでやって、ちょうどいいんじゃないですか」と言った。「そうか。わかった」と言ってましたけどね
小泉純一郎が「よほどのことない限り政権交代」「たまには野党になるのも悪くない」と言った読売記事。そうでしょう。「『(日本郵政の保養宿泊施設の)かんぽの宿は重要で、民間にやらせないでいい』と言った人たちに無駄を省くなんてできるわけがない」も、まったく同感です。郵政民営化で国家公務員30万人のクビを切った、誠に結構なことだと私は思います。クビを切られた人には気の毒だが、郵便局の世襲(北朝鮮をまったく笑えない!)や、郵便局への渡し切り費1000万円の支給などというバカげた前近代的慣行のほうがおかしい。その国費ムダづかいによって、郵便局を自民党(田中派・経世会)の選挙マシンとして機能させていたことがおかしいのです。かんぽの宿ごときを売り飛ばすのが悪いなら、長銀も日債銀も売り飛ばしたのは全部悪いし、90年代の住専処理なんて全部悪い。それをやった自民党政権によって失われたカネ(国民の資産)は2ケタの兆にのぼる額であって、かんぽの宿の何百億円などどうでもいい話
●実は前回の総選挙、与党が320議席を取った郵政選挙の直前に、小泉純一郎がもっとも恐れていたのは、民主党が郵政民営化に賛成することでした。民主党が反対とわかって、小泉は「民主党はバカだ」と言った。今回、有権者は民主党に政権を渡すだろうし、私も渡したほうがよいと思うが、それは有権者が郵政民営化に反対だからではありません。少なくとも都市部では、郵政民営化にハッキリ反対という住民はほとんどいないでしょう(親方日の丸の郵便局は宅配便より仕事をしていないように見え、国営を続けなければならない理由が見つからないから。地方は別)。また、子育て支援2万6000円をすばらしい政策だと思うからでもありません。私は「給食費を無料にして、その分を2万6000円から削るべきだ。だって全額パチンコに使っちゃう親がいるからだ。そう小沢一郎を説得したほうがいいのでは」と、ずいぶん前に田中康夫に言い、田中も小沢に話してくれたことがある。小沢一郎は「でも、もうマニフェストに書いちゃったからなあ」と言ったそう。まあ、そのような問題は、政権を取ってから修正すればいい。年金、医療、派遣、賃下げなどにしぼって自民党の無策を突けば、年収400〜500万円以下の世帯のほうが、それ以上の世帯よりはるかに多いのだから、当然、民主党が勝つでしょう。私は300議席もありだと思います。日本人は勝ち馬に乗ろうとする傾向が強いのと、小選挙区制度という仕組みが作用する。だから、勝つほうは事前予測より大勝ちし、負けるほうは事前予測より大負けするでしょう。郵政選挙がそうだったが、その裏返しになるわけです
●【以下、午前11時45分追記】田原から電話あり、いままだ大津、名古屋で一仕事して帰ると。昨日が琵琶湖塾第2回で、ゲスト講師は中田宏・前横浜市長でした。坂本は行かない回です。田原「タイミングがよかった。横浜で何をやったかという話はおもしろかった」坂本「中田氏はこれからどうするんですか。三重県の北川さんみたいに学者になってはつまんない」田原「やっぱり国政。学者にだけは絶対になるなと言ったよ」坂本「『日本政治の正体』の宣伝は、ちゃんとやりました?」田原「ちょっとだけね。自分の本は宣伝しにくい」坂本「いやいや、琵琶湖塾の最良のテキストなんだから、塾生は全員お読みなさいと言わなきゃ、ダメですよ」と。今日の朝日に広告が載ったが、小さい! 琵琶湖塾探検隊は片岡隊長以下、みんな読んで宣伝するように! 琵琶湖塾第3回は9月16日、ゲスト講師は鎌田實医師。坂本も行きますので、よろしく

08-19
●東京は朝晩涼しいですね。仕事部屋はエアコン全開だが、寝る部屋で窓全開にしたところ、19日未明にはクーラーつけっぱなしのような風が吹いていました。テラスに置いたシソのプランター七つも、今年はもう終わりかけています。7月に忙しく放っておいたせいもあるが、例年より1〜2か月ほど早い感じ
●2009年8月18日、衆議院総選挙が公示となりました。「小泉郵政選挙で獲得した320議席のまま解散をやらない安倍・福田・麻生政権には正統性がない」「その議席のお陰で総理大臣や閣僚になった連中が、小泉構造改革批判や郵政民営化批判をいうのは筋違いで無責任」とは、これまで当欄で繰り返し指摘した通り。今回の解散は、党内の麻生降ろしを封じ込めるため都議選敗北の直後に麻生太郎が表明しただけの話で、事実上の任期満了選挙です。もちろん争点は政権交代であり、日本国民がまともな判断をすれば政権交代が実現するでしょう。もちろん私も、かねてから当欄に書いている通り、ここは民主党にやらせるべきだと思っています
●あと4〜5日もすれば大勢は判明すると思いますが、やり方次第で、民主党ほか野党は300議席に迫る(たとえば280とか290とか)でしょう。というのは、有権者のうち最大グループは無党派層(支持政党なし)、その次が民主党支持層、そのまた次が自民党支持層で、順に3割強〜3割、3割弱、2.5割〜2割強といった割合(その他の党の支持層が合わせて1.5割〜1割前後)。選挙結果は、この最大グループがどう動くかによって決まります。そして、最大グループは「風」で動く。郵政選挙が小泉純一郎に300議席を渡す結果になったのは、彼らが小泉を支持したからです。彼らは今回は民主党を支持し、鳩山由起夫に大量の議席を渡すと思います
●まあ冷静に考えてみれば、麻生自民党政権は2009年度に、実に歳出102兆円という超拡大予算を組んだ。歳入(税収)は46兆円見込みで、収支差額はマイナス56兆円という超大型赤字・バラマキ予算。うち44兆円は国債による借金、残りは”平成の埋蔵金”です。なぜ新聞がそう書かないのかしらないが、2009年度の日本国予算は戦時予算並みの非常時予算。麻生太郎は、成長戦略が当たって経済が上向きはじめたと自画自賛するが、1年分だけで歳入とほぼ同額の借金をしている! 年収460万円のヤツが、440万円借金したうえタンス預金その他をかき集め120万円作って、1020万円の豪勢な暮らしをしようというんだから、経済が上向かないほうがおかしい。もちろん借金は私たち、私たちの子ども、私たちの孫たち、そのまた子どもたちが返すことになる。自民党は「民主党のバラマキ17兆円(16兆8000億円)の財源はどこに?」というが、「今年度のバラマキ予算102兆円(最近の予算規模80兆円より20兆円多い)の財源があるなら、あるだろう」という話になって当然でしょう(民主党はそう説明したほうがよい)。政権を取れば補正予算を組み、麻生バラマキの20兆円を精査し組み替えるから、そこで5兆円やそこら浮いて当然
●ただし、日本の国は、とんでもないことになっています。竹中平蔵が、いま出ている『週刊朝日』の堀江貴文との対談で、こう語っている。「私は日本経済は、ひょっとしたら行きつくところまで行くかもしれないと思っています。それはなにかというと国債の暴落です」。いいですか。そこらの山師が言ったのではない。ただの慶應大学の経済学者が発言したのでもない。2001年経済財政政策担当大臣、2002年経済財政政策担当大臣・金融担当大臣、2003年内閣府特命担当大臣(金融担当)、2004年内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、2005年総務大臣として、21世紀最初の5年間に日本国の経済・金融政策を一人で担当していた元財政・金融大臣が、「日本国債の暴落の可能性」に言及したのですよ。私は新聞紙の1面トップで扱うべき大問題、日本国の大スキャンダルだと思います。まともな人間や企業や国家ならば、今後は日本国債を一切買わなくても、何の不思議もない。戦後3番目という長期政権で、ついこの間まで最重要の経済閣僚だった経済学者が「日本国債は暴落の可能性あり」と公言したのだから
●竹中平蔵は続けて「国債が暴落するということは、インフレが起きて、金利が高くなり、そして円が安くなって、経済が成長しない。国民の生活水準がドカーンと下がることになります」という。本当にそうなると、1800年代中頃(江戸末期)や1900年代中頃(太平洋戦争の敗戦直後)に起こったのと同様の国レベルの大清算が起こって、日本国の借金八百数十兆円がチャラとなる。そのときは民主党も自民党もヘッタクレもない。誰がやっても同じ。もっとも、日本発の世界大恐慌は起こらない。日本国債を大量に買っている国は存在せず(=すでに信用されていない証拠)、日本国債の引き受け先はほどんど国内、つまりタコが自らの足を食うように、日本国内で日銀や銀行や郵貯や企業や国民が買っているだけだからです。つまり、日本が世界から見放されるというだけの話です
●原理的には、日本人が日本政府を信じ続けていれば、国債は暴落しない。信じるのを止めると暴落して大損こくから、みんなで信じることにする。現在は、そういう状態です。それでも日々の経済は動いていくが、大規模な経済政策は打てない。失われた10年(1990年代)に、不良債権を抱えた銀行が何もできなかった(貸し渋り・貸しはがししかできなかった)のと同じです。日本国政府は不良債権を抱えており、このところずっと予算の4分の1を国債償還と利払い、4分の1を地方、4分の1を社会保障、4分の1をその他事業に当ててきた。年収500万円のヤツが300万円借金し、200万円をサラ金に、200万円を田舎の仕送りに、200万円を医療・介護費にあて、残り200万円で暮らすようなもの(しかも、借金総額は8000万円!)。これでは何もできないでしょう。やりたくたって戦争すらできない。そのような日本にしてしまった責任者は誰かといえば、自民党と官僚だから、ここは一度交代させろというのは当たり前の話。こういう話(国債暴落話は除く)が出てくるのが、明日発売の田原総一朗著『日本政治の正体』(朝日新聞出版、1600円)です(坂本も手伝った)。8月30日にどんな選択をすべきか、大いに参考になる本だろうと思います
●【この項、転載・引用はご自由】放送批評懇談会発行『GALAC』(ぎゃらく)の予定について。11月6日発売予定の12月号表紙は「嵐」の相葉雅紀。表紙撮影は末武和人(六本木ミッドタウン、富士フイルムフォトサロンの個展「風流海成」は明日8月20日14時まで)、記事執筆は坂本衛。10月13日頃から、放懇サイトで予約注文の受け付けを開始する予定。(サイトでの)オンライン注文のほか、ダウンロードした申し込み用紙によるFAX注文も受け付けます。同時に書店経由の注文についても期限を明示するので、それにしたがってください(1号前の注文とごっちゃになるのを避けるため)。なお、表紙写真はカラーですが、グラビアはモノクロ3pで、記事の文字数も約1600字と短い。定価780円ですが、総ページ数82pとペラペラの雑誌。なので、買ってから「記事がつまんない。写真もヘタくそだ」と文句を言うのはよいが、「B5版でペラペラすぎ。記事もたった3ページしかない!」と文句を言わないように。ここに正確な情報を書いておきましたからね。7年前、二宮和也がGALAC表紙になった直後、コンサートか何かの後のレセプションで話した相葉雅紀は「二宮の表紙見ました。いいなあ。僕も表紙にしてください!」と言っていた。もちろん、本人は覚えていないと思うけれども
●原稿書き、雑用いろいろ

08-18
朝日新聞は、いったい何を考えているのか? 朝日新聞サイト(asahi.com)のトップページの最上段(もちろん、いちばん目立つ場所)に、「新しい選択 幸福実現党」と、デカデカと広告を表示しています。「新しい選択」の活字の大きさは、「新」1文字だけで、ニューストップ項目の見出し文字(文字サイズ中)の9個分くらいある。なお、同じ幸福実現党の広告でも内容はいろいろと替わり、広告そのものも他社の広告と入れ替わるようです。ちょっといじったところ、トップページにアクセスするたびに、3分の1の確率で幸福実現党、ライオンズマンション、ファーストクレジットの広告が表示されるようですが、定かではありません。18日13時前、私がアクセスした瞬間は、幸福実現党の広告がドーンと出て、「オェッ!!」と思いました。【後記】19日朝アクセスしたときも最初に幸福実現党が出た。マンションやクレジットより高いカネを取って最初に表示する設定なのかも
まさか朝日新聞は、衆議院総選挙の公示日に、特定政党の広告を、新聞紙の1面に、1面トップ記事の見出し文字の大きさの9倍の大きさの文字を使って、掲載などしないはずでしょう。ならば同じことは、サイトでもやるべきではありません
●日本では、時代遅れの公職選挙法によってネットの政治利用がまだ解禁されていません。それなのに総選挙公示日に、日本最大の新聞サイトの一つである朝日新聞サイトのトップページに、幸福実現党のネット広告だけ(注:私が見た限りにおいて。他の新聞サイトを調べたわけではない)がデカデカと出て政治的な主張をしているという構図は、おかしい。なお、各政党はテレビCMを打っていますが、たとえばTBSにチャンネルを合わせた3人に1人が必ず目にするようなかたちにはなっていません。フジも日テレも同様です。ところが朝日新聞サイトにアクセスすると、3人に1人が必ず幸福実現党の広告を目にする(と思われます)。「言論・報道機関」を標榜する大マスコミの広告は、カネさえ積まれれば何をやってもよいわけではない。社会的責任というものがある。恥も外聞というものもある。この政治広告は、ただちにカネを払い戻して掲載中止にすべきだと思います
●それにしても不可解なのは、ネット営業の連中が、この広告は朝日の記者たちが一生懸命取材し執筆した記事を汚《けが》し、辱《はずかし》め、貶《おとし》める広告だと、思っていないらしいこと。そして記者たちが、それを放置していることです。私が記者だったら「ふざけんな!」と怒鳴り込むと思います。営業がガタガタ言ったら、社長に直接「みっともないから、すぐやめさせろ!」とねじ込むでしょう
●9月末〜10月上旬刊行予定のアスコム本原稿書き

08-17
●【みらくるさんへ】誰よっ!!──相葉雅紀っ!
●午前中、朝日新聞の近藤雅人と電話であれこれ30分。8月20日発売の田原総一朗著『日本政治の正体』(朝日新聞出版、1600円)の仕掛け人。この本、とんでもなくおもしろいです。自民党がいつ、なぜ「終わったか」を、一次情報(田原が直接見聞きした情報)に基づき、田原なりに詳細にドキュメンタリータッチで書いてある(詳しくは当欄08-03の項をご参照)。民主新政権への期待と課題も。ぜひ、お読みください
●13時半〜15時半、宋文洲・田原対談。引き続き打ち合わせを16時すぎまで。アスコム高橋克佳、小林英史と。思い立って田原と宋文洲の対談写真を撮影。通常のカメラマンより近い位置(すぐ隣の席)から狙うので、あまり見かけない迫力ある写真となる

08-16
●実家でだらだら。1週間ほど雨が降りそうにないというので夕方、庭に念入りに水まき。夜10時すぎ帰宅

08-15
●10時〜齋藤敬之告別式@杉並・堀ノ内斎場。麻布の連中は昨日の通夜への出席が多かったようで、今日は(連チャン組も含めて)10人ほど。谷口昌一、石井裕満、高野信久・勢子夫妻(たぶん以上が漫研)、臼井律郎、佐野秀一、高橋真一、手代木哲、トリ、野入英世といった面々。高野によると、漫研の谷口や石井が亡くなる2〜3日前、御成門の慈恵大病院に齋藤敬之を見舞った。彼らが「今日はお前の言うことをなんでも聞いてやるぞ」と言うと、齋藤は「じゃあ、私の足の裏をおなめ」と言った由。漫研連中が「ふざけんな、このヤロー」と言ったか「ご主人様、それだけはご勘弁ください」と言ったか知らんが、それは冗談ということになり、齋藤「じゃ、背中をさすれ」「もっと上だ」「尻のほうも、ちゃんともめ」とかなんとか、さんざん甘えたそう。そりゃよかったなあ、と。臼井「こういうのは悲しいから、みんな60歳までは死ぬの禁止にしないか。そこから先は死んでもいい。立て続けに2〜3人死んだら、一緒に合同葬でもやればいい」坂本「ああ、1回で済んで面倒くさくない。賑やかでいいや」「ただ今回の齋藤は、交通事故に遭ったようなもの。検査入院でいきなりあと3か月は、酒のせいでもタバコのせいでもメタボのせいでもないわけだ。そういうのを一切やらず節制していても、結果は同じなんだから」高野「そう。それ、全部やっていたわけだけどな」
●出棺後、漫研グループと別れ、臼井、トリ、野入、坂本の4人で中野駅までタクシー。北口商店街、ブロードウェイ手前で路地を右に入るさらしな総本店3階座敷で、枝豆、板わさ、お新香にビール。締めに田舎そばの大盛り。14時すぎ帰宅。一人は国境なき医師団JAPAN前会長の外科医、もう一人は東大病院の内科医なので、安楽死、死亡診断書の死亡理由、医療過誤などにつき、興味深い話をあれこれ聞く
●昼に母・兄一家・うちの一家で父の墓参をし、みんなで世田谷・奥沢の実家へ泊まる予定でしたが、ずっと前に死んだ仏より、これから仏になるほうが大事ってことで、私だけ欠席。夕方、実家へ

08-14
●18時すぎ、GALACの表紙を長く担当するフォトグラファー末武和人の個展「風流海成」@六本木ミッドタウン、富士フイルムフォトサロン・スペース2(通りに面しているのですぐわかる。2階)。会場にいた末武に、まず「おめでとう」と握手。なんでも、ある日思い立ってカメラ1本とフィルム数本を持って海に出かけた。で、海や砂浜の光景、朽ち果てた漁船や桟橋、突然カメラの前に座った野良犬(坂本「ソフトバンクの回し者か?」末武「違う!」)、空を舞うカモメなどを撮りまくった。人のいない風景を無性に撮りたかったと。ま、カラーのものはデジカメで撮っており、実は1枚だけ人間が写っている写真もある(入れないつもりだったが、超遠景にポツリと写り込んでしまった)が。どこの海かは内緒。なお「風流海成」は「風流れて海成る」と読むらしい(または「風流れ海を成す」「海と成る」、いずれにせよ「風流」の意味はない)。これまでの末武の写真とはかなり違うが、すばらしい
●末武和人は二十何年か前、私が「プレスサービス」というプロダクションに2年ほどいた頃、写真部に入ってきた男(私は編集部)。古い仲間で、さんざん飲んだ。「放送批評」から「GALAC」にリニューアルした3か月後くらいに、編集長だった私が「表紙を撮ってくれ。ただし、特殊な専門誌だから、ろくにカネは出ない。いいか」と頼んだ。「わかった。どんな雑誌か知らんが、お前(「とっつぁん」と言ったかも。私のほうが少し年上なので、末武はよく私のことをそう呼んだ)の頼みなら聞く。ただし、好きに撮らせろ」と応えた。で、今日のGALACの表紙があるわけです。ジャニーズ・ファンはじめ表紙写真に魅力を感じてGALACを手に購入されたみなさん、六本木方面にお出かけの節は、ぜひお立ち寄りください(11月上旬発売GALAC12月号の表紙は嵐の一人ですよ!)。短いゴマ塩アタマでヒゲ面の、いかにもアーティスト然としたデカい男が会場にいたら、それが末武です。見た目と違ってとても優しいヤツだから、話しかけても大丈夫(笑)。会場内に置いてあるフォトブックには、GALACの表紙写真が(表紙にならなかったものも含めて)いくつか入っています。【会期】2009年8月14日(金)〜8月20日(木)【開館時間】10:00〜19:00(最終日のみ14:00まで)【会場】富士フイルムフォトサロン スペース2【入場料】無料
●会場には、放送批評懇談会専務理事・隈部紀生、GALAC編集部・中島好登、久野明もいて、カモメの写真の前で記念撮影(末武が撮った)。その後4人で飲みに行く。まず中島推奨のイタ飯シシリアをのぞくも満員、ついで坂本推奨の「つるとんたん」をのぞくも1時間待ち。この際どこでもいいやと、六本木交差点そばのビルのくいもの屋わんへ。22時半まで。専務理事が「ここは俺が払う」といってきかない。隈部さん、ご馳走さまでした
●サイト更新作業。長くサボりすぎ、超たいへん

08-13
●日刊ゲンダイ第5回原稿書き(概要は後ほど)とサイト更新作業。長くサボりすぎ、たいへん
●夜、家人と神楽坂を買い物がてらブラブラ。神楽坂上交差点にあるもつ鍋・もつ焼き・串焼きかな井屋で夕食。昔「昔屋」があったところ(おしゃべりな昔屋のオヤジとは理清蘭でよく会った。体を悪くしたようだが、どうしているか)。もつ焼き(1人前に野菜を追加しちゃんぽん玉でしめる)を頼んだら、安くてうまく、当たりでした

08-12
●日刊ゲンダイ第4回原稿書き(概要は後ほど)。ゲッ、どういうわけだか知らないが、一太郎文書の保存時にブルーバックのエラー画面が出現(まだ古いPC)。繰り返し出るので、C:\WINDOWS\system32\drivers\fastcdmp.sysを削除。エラーは出なくなったが、CD革命が使えなくなった。新PCでどうするか思案中

08-11
●日刊ゲンダイ第3回原稿書き(概要は後ほど)
●麻布の友人、齋藤敬之が亡くなりました。昭和52年卒業の同期で、享年50歳。タコミツ銀行から外資系不動産に転じ、最近はアトラス・パートナーズ株式会社のファンドマネジメントグループリーダー。4月30日に藤森隆と一緒に見舞ったのが最後となった。お互いこれで会うのは最後だとわかっていて、話しました。「へちま」(麻布の悪ガキどもが出会って三十数年後になお、たまに集まってはぐだぐだと飲む会。たいていは神楽坂「もー吉」の2階隠し部屋=通称松井部屋で開催)に、世話役2人を除き、たぶんもっとも出席率が高かったのが齋藤でした。なんとも残念です
●通夜と葬儀・告別式の日時と場所は以下◆通夜:8月14日18:00〜19:00、告別式:15日10:00〜11:00◆場所:杉並区堀ノ内斎場(杉並区梅里1-2-27、電話03-3311-2324)◆葬儀社:公益社(03-3339-3936)◆Google地図

08-10
●パソコン調整と片付け

08-09
●片付けとパソコンいじり。夜、原田みどりが泊まりにくる

08-08
●パソコンいじり。HDDを増設し、新PCにソフトを入れ、あれこれテスト

08-07
●午前中、日刊ゲンダイの原稿。第2回は、普及率60%のデタラメ。地デジ世帯普及率を正しく推定するには、地デジテレビの累計出荷台数3300万から、まず次の合計を引き算する。【 】内は当サイト掲載時に注記
◆(1)在庫、店頭展示品、不良品の台数=数十万規模。(2)近隣諸国への流出数=不明【と原稿では書いたが、たぶん数十万〜100万台以上】。(3)企業・店・病院・役所・ホテル旅館などが買った台数=数百万規模【1割が家庭以外としても330万。当然もっと多い】。(4)家庭が買った台数のうち2台目以降の台数=数百万以上【地デジテレビの購入世帯に対する調査で、平均1.4〜1.5台ほど買っているというデータがある。1.5台とすれば、家庭がテレビを2000万台買ったときの2台目以降は667万台、普及世帯は1333万世帯という計算。年収830万円以上の金持ち1000万世帯の半分が2台買うとしても、2台目以降は500万台】。
◆引いた答えを5000万で割れば割合が出る。結果、地デジをデジタル高画質で見ている世帯数は2500万以下【たぶん2000万に近い】。世帯普及率は高く見積もって40%台前半だ。放送開始から5年半でそうなのだ。「あと2年で100%」は実現不可能な空想である。
●なお、当たり前の話だが、地デジ対応HDD・DVDレコーダーを買ってきてただ置いてある家庭には、地デジは普及していない。地デジ対応HDD・DVDレコーダーにはアナログチューナーが付いているのが普通だから、古いテレビにつないでアナログ放送を見ることができる。そのようにして、地デジを見ていない家庭には、地デジは普及していない。うちのマンションはCATV化されおり、CATVの同軸ケーブルでアナログ・デジタル両方の信号が送られてくる。つまりSTBなしに、アナログテレビをつなげばアナログ放送が、地デジテレビをつなげば地デジが映る。地デジテレビを持っていない家には当然、地デジは普及していない。4階建てに5戸が入居し私の家だけが直接受信をしているので、当マンションの地デジ普及率は20%だったが、最近、大家の息子が地デジテレビを買い普及率40%になった。だから、受信機だけ数えたってダメなのです
●7時〜安田天、家人とかわうちで飲む。ちょっと早く出て秋葉原で買い物。1TBで7280円のHDDを2台買う

08-06
●午前中、日刊ゲンダイの原稿。第1回は、地上デジタル放送受信機の出荷5300万台が何を意味するかという話。これを2003年11月段階(地デジ開始直前)のテレビの台数と比べる人がいる(新聞記者にすら、いる)が、笑止千万。比べるならば、2003年11月段階のアナログ放送受信機(テレビ1億2〜3000万台+ビデオ3500万台+アナログSTB数百万以上[視聴世帯は1000万以上]=1億数千万台)と比べなければダメ。で、現在はようやく3分の1が地デジ対応に置き換わった段階だ、というだけのこと(注:だから世帯普及率が33%だ、というのは間違い。普及率はまた別の計算で出す)

08-05
●午前中、実家の掃除。15時帰宅。速攻にてパソコン到着。PC情報をあれこれ収拾

08-04
●夕方、放懇事務所。ここ2か月の地デジ資料をあさる。19時、実家へ行き1泊

08-03
●田原総一朗著『日本政治の正体』を校了。発売は8月20日です。朝日新聞出版、1600円、初刷1万部。なぜ自民党は「終わった」のか、戦後から今日までの自民党とは何だったのか、それに代わる民主党とは何か、新政権の課題は何か、小沢一郎とは何者かなどについて、田原総一朗が徹底的に論じています。今回、初めて明かす取材秘話を満載!
●こんな話も出てくる。田中角栄が田原に100万円の封筒を渡し、受け取れないと返した話。ある朝日記者も新聞紙にくるんだカネを渡され、返した話。別の政治家から田原が「お茶と反物」と渡された紙袋に、1000万円が入っていた話。2001年4月、赤坂・小料理屋で小泉純一郎と会った田原が総裁選出馬を促し、小泉が決断した話。その小泉を推す中川秀直・安倍晋三が亀井静香にどう言って総裁選不出馬を要請し、その後、小泉が亀井をどう裏切ったかという話。安保騒動の最中、父・安倍晋太郎に連れられて祖父・岸信介(当時首相)宅に行った安倍晋三を、岸が戯れに馬になって背に乗せたら、晋三は意味もわからず周囲のデモ隊の声「安保はんたい、岸をたおせ!」と叫んだ。「冗談はよせ!」と血相を変えた父に、岸は「いいじゃないか、いいじゃないか」と笑った話。若き麻生太郎が軽井沢でバイクをぶっ飛ばしているとき、スピード違反で捕まり軽井沢署まで連れていかれ、「職業は?」「無職。本当は代議士ですけど」「バカ言ってんじゃない。親の名前は?」というやりとりの後、警察が親に意見しにいったら、麻生和子(吉田茂の娘)が出てきて、一同ひっくり返って土下座した話。おもしろい! ぜひお読みください!
●秋葉原で買い物後、日刊ゲンダイ芸能文化部長・峯田淳と西早稲田「かわうち」で打ち合わせ。来週の月〜金、地デジ問題を短期連載するので。ところが19時半の約束のところ、20時すぎにようやく出現。押尾学が逮捕される、薬《ヤク》らしい、一緒にいた女が死んだうんぬんで大騒ぎだと。飲んでいる最中も、麻布署でどうしているとか、ひっきりなしに電話が入る。店のオヤジ渡部雄一がテレビをつけたが、日刊ゲンダイ情報のほうが早い。24時すぎまで

08-02
●田原総一朗著『日本政治の正体』(朝日新聞出版、1600円、初刷1万部)の校正チェック。19時にバイク便が来てゲラ戻し
●24時すぎ、章タイトル案と、短い差し替え原稿を送信

08-01
●昼までにゲラの大部分、夜8時に残りのゲラが届く。明日に回し、ぐだぐだと1週間分寝る

07-31
●前日に同じ。夜、最後の原稿を送信。一息ついてDELLのサイトを眺めていたらアウトレット/エキスプレスでVostro420の出物8万6000円を発見。超速でキーボードを叩き注文

07-30
●前日に同じ。夕方、「バンキシャ!」問題のBPO報告をざっと読み、前日の東京新聞コメントをチェック。細かい言い回し以外は修正なし。掲載は31日

07-29
●東京新聞、近藤晶に日テレ「バンキシャ!」問題でコメント1時間。あとは前日に同じ

07-28
●前日に同じ

07-27
●一昨日に同じ。放懇のギャラクシー贈賞式反省会・理事会は欠席
●『日刊ゲンダイ』が28日以降に掲載する地上デジタル放送関連記事の一部は以下(あとはオマカセ、好きなように直していいと言ったので、この通りかどうかは未確認)
◆そもそも全5000万世帯のうち、購入したのは3000万世帯で普及率60%という数字が、噴飯ものだ。普及率を正しく出すには、まず出回ったテレビ台数から、家庭にある2台目以降の台数と、店・会社・役所など家庭以外にある台数を差し引く。その結果を5000万で割って100倍する。だから「実際の世帯普及率は40%前後だろう」(放送に詳しいジャーナリストの坂本衛氏)という。
◆また、独居老人が見ている小型テレビにアダプターをつけて地デジを見る場合、アダプターは5000円で済んでも、戸建ならアンテナ工事に約3万円、二階屋で室内配線をすればさらに3万円ほどかかる。1〜2万円で買った小型テレビで低画質の地デジを見るのに、数万円以上かかるのでは、誰も地デジになんかしない。
◆そのほか、全国紙も指摘しているマンションなど共同住宅や山間部の対応などは後手後手だ。
◆「米国は06年のアナログ停止計画を3年先延ばしにしてやっと6月に地デジに移行。80%を超える普及率の英国は12年に停止の予定です。それなのに、普及率60%の日本が11年というのは机上の空論」(坂本衛氏=前出)
●地デジを推進している総務省、放送局、Dpaその他は「2011年7月に必ずアナログ放送を止める」と言い張っているが、彼らは国民・視聴者に対して、これといって責任を負っていません。私が彼らと違うことを言うのは、読者に対して責任を負っているからです。タダで提供している当サイトの記事ですら、書いた私は全責任を負う。当たり前すぎて言うもアホらしいが、私の言う通りにならなかったら、今後テレビに関する発言は一切しないという覚悟で書いている。どちらを信じるかは、読者の自由。まともな理解力がある人間ならば、当サイトの記事と総務省その他の言い分を比べて、どちらが正しいか判定できるはず
●なんで私がそこまでやるかと言えば、たとえば400万人の独居老人は、何が問題かわからず、自分がどう困るかという意見をほとんど述べることができないからです。彼らの代わりに発言する必要があると、私は勝手に思っています。言論報道機関たるテレビの業界団体(民放連)が独居老人400万を無視する普及調査をやって平然としているのだから、誰かが彼らの味方をしなければならない。「400万の弱者を切り捨てる言論報道機関! 言論報道の自由だって? 笑わせんでくれ」という話でしょう。こんなことを言えば当然、民放連からは一切お呼びがかからず、たとえば民放連賞の審査員にもなれないが(なりたいヤツが多いから、多くの評論家や学者がデジタル化問題で沈黙する)、私はそんなのはどうでもよいのでね
●では、総務省、放送局、Dpaには、まともな理解力がある人間がいないのかと言えば、そんなことはありません。みんなわかっています。組織に属しているから言えないだけ。すでに、どのタイミングで延期の方向性を打ち出すか、検討しています。そんな話、新聞に1行も書いてないじゃないかって? 悪いが私はこの問題を、90年代から少なくとも十数年間以上、取材し執筆している。若い新聞記者が子どものときから書き、郵政官僚と「あなた方はアナログ・ハイビジョンの失敗を反省しないのか」「それは前の担当者がやったこと」「何だって? それ、あなたの名前と肩書きを明かして書いていいのか?」「いや、待ってくれ。いまのはナシにしてくれ」てなやりとりを、さんざん繰り返してきた。記者クラブ発表をタレ流すのが自分の仕事と思っているようなガキ記者が何を書こうが、私の知ったことではない。もちろん彼らの書く記事も、ほとんど信用していません

07-26
●前日に同じ

07-25
●前日に同じ

07-24
●前日に同じ

07-23
●昼夜の別なく日に2回、2〜3時間寝る以外はずっと原稿書き

07-22
●13〜15時、田原総一朗と単行本『日本政治の正体』打ち合わせと取材。朝日新聞出版から高橋伸児、朝日新聞から近藤雅人。16〜17時半、同じく田原とアスコム高橋克佳、小林英史の打ち合わせ。単行本2冊と『オフレコ!』につき。さらに田原と二人で、まったく別の本の構想につき話す
●深夜、某新聞むけ地デジ原稿。趣旨は以下の通り
2011年7月に地上アナログ放送の完全停止(地デジ完全移行)はできない。その時点で、地デジを見ることができるテレビ受像機が、6000万台以下しか普及しない情勢だからだ。
◆これは地デジ開始前に日本にあったテレビ台数の半分にも満たない。テレビ2台の家は1台に、1台の家はナシになる計算だ。ナシで困るなら、ケーブル工事をするかアンテナ+チューナーを買って、古いテレビで地デジを見よというのが現行計画である。
数万〜10万円以上払ってテレビが高画質1台に減るか、2〜3万円払って低画質1台のままでは、視聴者の利益はない。テレビ台数が半減し視聴機会が半分になれば、NHK受信料と民放広告費も減り、放送局は大打撃を受ける。視聴者・局ともに利益がない計画を強行する理由はない。
◆国は今後、第1に世帯・事業所の正確な普及率調査をすべきだ。最新の総務省調査は受信機の増加と普及世帯の増加が2倍ほど食い違っており、まるで信用できない。第2に米英の先進事例を学習すべきである。アメリカは計画を3年延期してなお、200万世帯以上が取り残された。イギリスは世帯普及率が80%に達してなお、3年以上の移行猶予期間を設けている。

07-21
●原稿書き

07-20
●原稿書き

07-19
●原稿書き

07-18
●原稿書き
●13〜16時、「見知らぬ乗客」ゲネプロ(公開舞台稽古)と囲み取材。一応写真を押さえておくかとデジカメ一眼を持っていく。連れが客席じゃなくてカメラマン席に移動しなきゃダメというので、前のほうの席へ。東京新聞さんの隣、端っこのほうで200枚ほど撮影(GALAC以外には出さないが、GALACへの掲載は未定)。隣の東京新聞写真部はNikonD3でビシバシ撮るが、こちらはクラシックカメラでぼちぼち撮る。「感度いくつでいく?」など、カメラマンたちの会話を聞いているとおもしろい。「こっちはD200だぜ。D3のヤツなんかに言われたくないね」とか
●二宮和也はほぼ完璧な出来と思えたが、共演者がかむのが気になった。まあ、おっつけ修正されるでしょう。とくに第二幕、テンポアップして、どんどんイカレていく二宮は見事。やはりただならぬ俳優で、並ぶ者はちょっと思いつかない。ただ、50年代の服やガウンがいまいち似合っていないような(衣装担当がアメリカ人だからか、二宮向きではないような)。また、ブルーノがものすごくヘンなヤツというだけでは、彼がガイにどんどんのめり込んでいく説得力に欠ける。若手建築家の旗手であるガイが、よほど魅力的でなければならないわけだが、そこが弱いように思えました。どうでもいいけど、ドアがスムーズに開かない場面あり。ガイの後妻だったかが、力任せにばっこんばっこん開けていた(芝居の演出をやっている娘によると「あんなのは、よくあること」)。あと、田舎警察の取調室で警官二人が出てくるシーンで、一人がおかしな歩き方をしているようだったが、意味不明。あれはやめたほうがいい
●白波瀬傑はじめ二宮のマネージャーたちにギャラクシー賞のお礼。終演後、高田馬場まで歩き、家人とイタ飯。その後、西早稲田「かわうち」をのぞき1時間ほどいたが、客が多く忙しそうなので早々に退散

07-17
●日大授業、前期の最終回
●夕方、毎日新聞学芸部・佐々本浩材記者から電話取材。地デジについて

07-16
●原稿書き

07-15
●原稿書き

07-14
●原稿書き

07-13
●原稿書き

07-12
●夕方から、水道橋「庭のホテル」2階の「粋」にて母を囲む会食(母、兄一家、うちの一家、嫁二人のおっ母さんの10人)。このホテルは旧グリーンホテル水道橋で、この5月に新装オープンとなった。もともとは旅館「森田館」。ここに静岡の中島屋グランドホテルからお嫁に来たのが近山好子さんで、昭和55年頃から社長をやっていた。この人が私の母・坂本幸子の静岡高女の仲良しで、その縁で母(皮革工芸家)の作品がグリーンホテル水道橋の宴会場にあった。改装を機にヒノキ工芸(知る人ぞ知る名職人・戸澤忠蔵が率いるすごい木工所。何を作っているか、差し障りがありすぎて書けない)で直し、庭のホテルの2階に飾ってもらっている(このページの上の写真)。そのお披露目と、9月から中国に赴任する兄の報告を兼ねた食事会
●私だけ先にカメラ機材を持っていき、三脚を立てて作品を撮影。その後に皆と合流。木下彩社長(故・近山さんの娘さん)や調理長も来て話す。お茶の水周辺ではおススメのホテルです。なお、東京グリーンホテル御茶ノ水(淡路町)、東京グリーンホテル後楽園(水道橋、黄色いビルのはす向かい)も同じ系列。さらにグリーンホテル後楽園の地階には彫刻家・吉本義人(麻布教員)の作品「オブジェ『風の舞』」もある。昔、林武と一緒に設置を手伝った

07-11
●原稿書き

07-10
●5時起き。いちばん早い京都発の新幹線で、9時すぎに帰宅。日大授業は休講(東京駅から直行すれば間に合ったけれども)
●PLAYZONE2009『太陽からの手紙』(作/演出:錦織一清)ゲネプロ@青山劇場。同公演は7月11日(土)から8月9日(日)まで。昨年まで少年隊がやっていたシリーズで、今年から若手にバトンタッチすると。若手のなかでは先輩の屋良朝幸が引っ張る舞台。屋良朝幸は、ダンスがピカイチでうまく(ジャニーズ全体で)、演技も確か。大河ドラマの武将役とか連ドラの仇役とか、主役ではなくとも、もっとテレビに登場し活躍してよい男だと、ずっと前から思っています。小学5年生くらいの子どもたちもずらりと出てきたが、いまから事務所推奨はこの子とこの子というのがわかるのがおもしろい。ジャニーズ白波瀬傑に年内にGALAC表紙はどうかと話し、先方が提示した約1名(10月ドラマに主演)に内定

07-09
●朝から大津プリンスで原稿書き。チェックアウト後もラウンジでPC。昼、だいず屋で昼食会。出席者は、神田輝代、駒井久子、津田貞次、三好孝夫、大橋圭、片岡大輔。出席者が坂本に、テレビに関する質問を一つずつして、それに応えつつランチという趣向。その後、駒井のおっ母さん(たまたま南草津に住んでいる)とJRで南草津へ。駅前の喫茶(マン喫に入ろうかと思ったが、会費が必要で高いからヤメ)でPC打ち。17時に立命館大学・冨永佳弘(産業社会学部4回生)と改札で待ち合わせ、大学へ移動。18時〜20時、立命館大学のジャーナリスト養成講座で授業。担当教員は柴山哲也(元朝日新聞)。南草津駅前の居酒屋で夕食・一杯のあと、京都駅へ。京都ホテルオークラ泊(柴山教授がタクシーで送ってくれた)

07-08
●2009年度琵琶湖塾第1回。ゲストは佐藤優。15時東京発の新幹線で京都へ。仕事が詰まっているため、車中でパソコン打ち。京都着の直前に佐藤優夫妻と合流。なんでも医者に行っていて時間がなくなったとかで、着替えるヒマがなかったとTシャツ姿(写真はこちら←遠すぎて顔がよくわからんけど、左から坂本、佐藤優、田原総一朗)。大津まで在来線、会場まではタクシー。佐藤優によると「京都(とくに同志社)の学生は、あまり京都から出ない。琵琶湖のあたりには、あまり来たことがないなあ」。18時45分から講演と質疑応答
●佐藤優は6月30日付けで、懲役2年6月、執行猶予4年の1、2審有罪判決が確定し、起訴休職中外交官だったのが自動失職、晴れて(?)作家に。拘置所内の話、勉強法の話など、あれこれ。しまいには、会場の塾生から1冊本を借りて、速読術を実演(5分くらいで目を通し、キモの部分をつかみ、じっくり読むべき本かどうかを決める。使った本は、源信『往生要集』岩波文庫だったかな)。車座集会も3人でやり、散会
●さらに通称「裏塾」@下田屋出席者は、坂本のほか、井内省吾、 入江賢治、大橋圭、岡田博史、片岡大輔、神田輝代、駒井久子、駒井千代、駒井美代、、小松大治、田村邦昭、三好孝夫、吉田遊介、渡邉澄代(以上、探究会メンバー)、堀江良樹(滋賀県庁)。一人ひとり簡単に挨拶
●以下、ご参考。サンケイWeb記事(2009.7.1 17:10)佐藤優被告の有罪確定へ 最高裁が上告棄却
 外務省関連の国際機関「支援委員会」に対する背任などの罪に問われた同省元主任分析官、佐藤優(まさる)被告(49)=起訴休職中=の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は、佐藤被告側の上告を棄却する決定をした。懲役2年6月、執行猶予4年の1、2審有罪判決が確定する。決定は6月30日付。有罪が確定すれば、国家公務員法に基づき自動失職する。
 佐藤被告の弁護側は「支援委の支出は外務省が組織として決裁しており適正。入札の不正にもかかわっていない」などと一貫して無罪を主張。佐藤被告も、「鈴木宗男衆院議員(61)=あっせん収賄罪などで1、2審で懲役2年、上告中=を立件するための国策捜査だった」などと発言してきた。
 1審東京地裁は「鈴木議員の影響力に乗じた巧妙な犯行」と判断。一方で、「私的な経済的利益を得ようとしていない」として、執行猶予付き判決を言い渡した。2審東京高裁では佐藤被告の上司だった元外務省欧亜局長、東郷和彦氏も弁護側証人として出廷。支援委からの支出について、「外務省が組織として実行しており、佐藤被告が罪に問われることはあり得ない」などと証言したが、高裁は「証言は考慮に値しない」と判断。1審同様、鈴木議員の圧力も認定し、控訴を棄却していた。
 1、2審判決によると、佐藤被告は平成12年、日本人の学者らを国際学会に参加させる費用など計約3300万円を支援委から不正に支出させ、同委に損害を与えた。また同年3月にあった、支援委発注の国後島のディーゼル発電施設工事の入札で、予定価格の元となった情報を三井物産側に漏らし、支援委の業務を妨害した。【サンケイ記事ここまで】
●高等裁判所は「(元外務省欧亜局長の)証言は考慮に値しない」と断じたが、直接の上司だった局長どころか、外務省事務次官までが決裁書にハンコをついた会議をやって有罪というトンデモ裁判。ことの次第は鈴木宗男・佐藤優対談『反省』(アスコム刊。まとめ・執筆は坂本)をお読みください。この本にも出てくる鈴木宗男に土下座した外務次官・竹内行夫が、別に司法試験に通ってもいないのに最高裁判事(日本に15人しかいない最高裁判所裁判官の一人)なんだから、日本の裁判所というのは本当にどうしようもない。裁判員制度なんて、どうでもいい目くらましにすぎません。裁判員の裁判に不服なら(普通の犯罪者なら、3〜4日のやっつけ裁判は不服に決まっている)控訴すればいいだけの話で、2審と3審に裁判員はつかないのだから、たいして意味はない

07-07
●原稿書き

07-06
●19〜22時半、曽根宏の著書『品格ある日本人の英語』(ビジネス社、税込み1575円、CD付き)の打ち上げ@西早稲田かわうち。担当編集の岩谷健一も来る

07-05
●休み

07-04
●原稿

07-03
●日大授業。マスコミIIは受講生が夏休みに取材するルポの企画会議。放送特殊研究Vは映画『東京オリンピック』(後編)

07-02
●13時半〜15時半、田原総一朗、アスコム高橋克佳・小林英史と打ち合わせ。『オフレコ!』その他につき

07-01
●原稿書き、サイト更新作業
--------------------------
2003-05-25
●リニューアル版運用開始。リニューアル終了まで2〜3か月かかる見込み。旧版は残しますサーバーから削除しました
2002-04-11
●ホームページ試験運用開始。キリがないので、未校正ありのまま見切り発車しました。あしからず
●以前のものは、≪総目次≫から日録メモ風の更新情報
●この欄、文中敬称略ってことでよろしく願います

↑読みにくい方は左の≪総目次≫日録メモ風の更新情報へ。青字はリンク。敬称略。

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