◎拳銃について

拳銃について、基本的なことだけど、マニアしか知らないことをちょっと・・・

拳銃を大きく分けると3つに分類できます。

1:リボルバー

2:オートマチック

3:その他

リボルバーとはレンコンのような回転弾創式の拳銃です。ダーティハリーが使っている44マグナムことSW(スミス・アンド・ウェッソン社)製M29が有名ですね。

オートマチックとは、引き金を引くだけで、発射→廃莢→給弾が自動で行われる拳銃で、ルパン3世が使っているワルサーP38が有名ですね。

そして、それらに当てはまらない特殊な拳銃がごく僅かですが存在します。

ルパン三世の峯不二子がストッキングに挟んで隠し持っているデリンジャーが有名ですね。隠し拳銃といったらこれ、ってくらいの定番。

で、これらの拳銃のどれが一番優秀かというと、じつはハッキリいえません。

なぜならば、それぞれに使用目的にあわせた作り方がされていて、長所と短所があり、それぞれの局面で最大限の効果を発揮するようにされてますから・・・

 

リボルバーの長所はなんと言っても動作の確実性です。作動不良で発射できないなんて事はほとんどないでしょう。もし引き金を引いても弾が発射されなかったら、次の弾を発射出来るように作られてますから、いざ、と言うときに困ることはありません。さらに、バレル(銃身)を交換する事が出来、バレルの長さを変える事が出来ます。長さが変わるとどういう変化があるかと言うと、簡単に言うと命中精度です。バレルが長いほど弾道が安定し、重さで発射時の反動を殺して標的に当たりやすくなります。

ただし、長くて重くなり取り扱いづらくなり、隠密性が失われるので対人用のものはあまり長くしないのが普通です。

そして短所は、1発毎に自分で回転弾倉を回転させ送弾しなければならず、しかも装弾数が最高6発までと限られている事です。

更に、構造上どうしてもガス漏れが発生し、弾丸の推進剤になる火薬の爆発力のかなりの部分がムダに垂れ流されています。要は効率が悪いんですね。

ダブルアクションとシングルアクションという2通りの引き金の動作方式がありますが、ダブルアクションは、引き金を引くだけで、ハンマーを起こす→送弾する→発射するという動作ができ、シングルアクションは、前もってハンマーを起こす→送弾するという作業を完了していて初めて、引き金を引いて発射できるものです。

リボルバーでもダブルアクションなら、引き金を引くだけで一連の動作をして発射できますが、一つ多大な問題があります。それは、引き金が重過ぎてなかなか引けないと言うことです。じゃ、軽くすればいいじゃないか、と思うかもしれませんがそうは行きません。なぜならば、この重さがハンマーの打撃力になり、その打撃力によって込められた弾が発火して発射されるからです。もし軽すぎると、引き金を引いてもみんな不発弾になって発射できないのです。更には、この引き金を引くのが大変すぎて、狙いが定まらなくなります。それではリボルバーの長所である動作の確実性が損なわれてしまいます。だから、通常はダブルアクションのリボルバーでも、ハンマーを起こしてから狙いを定めて発射します。

昔深夜アニメの「ガングレイブ」というのがあって、その中の1シーンで、ヒロインの女の子が主人公の男におんぶに抱っこで守ってもらうだけなのが嫌になり、自分も戦おうと銃の練習をするシーンがあったんですけど・・・多分、SW-M36という小型のリボルバー拳銃を使い、10メートルくらい離れた空き缶を的に射撃練習をしていました。全然当たんなくってヘコんでいましたが、お嬢さん、そりゃそうだ!2インチなんて極端に短いバレルの拳銃を、初めて拳銃を持つ女の子がダブルアクションで撃って当たるはずないだろう。子供の頃からエアガンとがいじり倒してるオレだって当たんないよ。そんなのが出来るのは、ゴルゴ13か冴羽亮くらいなもんだ。

仮免許も取れていないようなやつが、F1ドライバー並みのライディングが出来なくて落ち込んでいるようなものだ。出来なくて当たり前なんだってば・・・

 

オートマチック拳銃の長所は、比較的簡単に撃てるという事です。なんと言っても、引き金を引くだけでバンバン撃てるのですから。しかも、最近の大型拳銃は、標準で装弾数15発と大量の弾丸を装備でき、予備のマガジン(交換弾倉)を使えば更に倍、しかも簡単にリロード(再装填)できる。実行制圧力はリボルバーの比じゃありません。

それに、構造上、密閉率が高くガス圧力を効率よく利用できるので、リボルバーと同等の威力を得るのに、より少ない火薬量、小さい弾でよいと言う事になります。

そんな便利なオートマチックにも致命的な欠点があります。

それは、動作不良が起こり作動しなくなると言うことです。

オートマチックの動作の流れを簡単に言うと、送弾→発射→廃莢→送弾・・・という動作を繰り返すのですが、このどこかで弾や薬莢が引っかかると言う事が、結構あるんですよ。これは専門用語で“ジャム”と言うもので、マニアの間では当たり前に使われる用語です。最近の拳銃は工作精度が向上し、滅多にそんなことは起こりませんが、取り扱う人が整備を怠っているとその限りではありません。

映画「JSA」でも拳銃の動作不良で、実際に銃を撃ったのは誰かと言うのがバレてしまっていましたね。ちょっと特殊な状況だけど・・・

それに、快適な作動を維持するためにしょっちゅうメンテナンスしなければなりません。使い勝手がいい分その整備も大変のようですね。

 

つづいてその他に分類される拳銃ですが、数が少ないので説明しなくてもいいか・・・

一応一部を紹介しますと、峯不二子が使っているデリンジャーは垂直2連装バレルという極めて変わった構造になっています。これは装弾数2発で、護身用、又は暗殺に使われるもので、相手と腰をすえて戦うようなものではありません。2発撃ったらおしまい、再装填しなければなりません。

もっとマイナーな拳銃でトンプソン・センター社製コンテンダーと言うのがあります。

これはなんと単発!つまり1発撃ったらおしまい、再装填しなければなりません。しかもシングルアクション!そのかわり、1発の破壊力が凄まじく、私が知る限りで最強です。映画「男達の挽歌2」に登場する殺し屋が使ってました。あとジャンクロード・バンダム主演の映画「ハード・ターゲット」に登場する元傭兵の悪い人たちのボスが使ってました。もともとが狩に使うための銃で、大きな鹿とか熊とかに使う銃なので、実行制圧力よりも1発のストッピングパワーを重視したものなんですね。まあ、熊を殺すわけだから、殺傷力はそれはそれは凄いものが・・・

 

ここで、ストッピングパワーについてすこし・・・

銃の威力と言うものは、銃そのものだけではなく、ほとんどがその銃が使用する弾丸によって決定されます。

強力な銃弾の代名詞と言えば44マグナムですが、これは44口径マグナム弾という意味です。口径と言うのは弾丸の大きさ(太さ)の事で、インチ方式とメートル方式の2通りの表記があります。インチ方式がCAL44、メートル方式が9mmというような表記をされます。

CALとはキャリバーの略で、通常はキャリバー50とか言います。陸戦型ガンダムの固定兵装でありましたね、キャリバー50。これをメートル法で表記すると12.7mm・・・

アニメではとんでもなくでかい銃口でしたけど、1桁大きいじゃないかってくらい。

で、まあ、乱暴な言い方をすれば、この数値が大きいほどキネティックエナジーが強力な銃弾なんですね。キネティックエナジーとは、物理的な弾頭の推進力です。

それと、“マグナム”ですが、これはワインの大瓶のことを意味します。つまり、普通よりも推進剤となる火薬の量が多い、高威力の弾丸、と言う事になります。

この火薬の量によってまた幾つか弾丸の種類があります。もっとも一般的なのが“ファクトリーロード”と呼ばれるもので、その名のとおり工場で作られたものをいいます。つまり、メーカー製であり、“マグナム”等の特殊なものではない普通の弾丸の事です。

それに対して、同じメーカー純正だけど、通常弾よりもより多くの火薬を詰めたものが“マグナム”なわけですね。

それらよりも大量に推進剤の火薬を詰めたのが“ホットロード”と呼ばれるもので、“強装弾”とか呼ばれるものです。アニメ映画「ゴーストインザシェル」の中の1シーンで、テロリストがこの弾丸を使っていた、とバトーが説明している場面がありましたね。

拳銃弾の場合、推進剤の火薬が爆発して発生したそのエナジーを、どれほど標的の人体に放出して肉体を破壊するかが重要なんですけど、それがストッピングパワーと呼ばれるものなんです。

で、ストッピングパワーは、キネティックエナジーのみで決定されるものでは無く、弾頭の種類によって大きく変わります。

ポピュラーな弾頭では“ラウンドノーズ”とよばれる弾頭があります。これは弾丸の先端部分が丸みを浴びてややとがっているものです。

これを採用しているのが、たぶん世界で最も多く使用されている拳銃の弾丸の“9mmパラベナム”と呼ばれるものがあります。

有名なオートマチック拳銃のほとんどがこの弾丸を使用しています。

オーストリアのグロック社製のグロック17、イタリアのベレッタ社製のM92F、ドイツのワルサー社製のP38、みんなこの9×19mmパラベナムを使用します。

でこの、9mmですが、ストッピングパワーはというと、すごく弱いです。

なぜかと言うと、この弾は2次大戦中のドイツが開発した軍用弾だからです。ではなぜ軍用弾なのに威力が低いかと言うと、それは近代兵器思想に基づく兵器だからです。軍用と言う事は戦争に使われるものです。で戦争で効率よく敵の戦力を低下させるためには、敵兵士を殺すよりも怪我をさせるだけの方がよいのです。

もう少し簡単に言うと、1発撃って1人殺したら敵の戦力は1人減少です。でも、1発撃って1人瀕死の重傷を負わせたら、その兵士を助けるために最低でも健康な兵士2人が負傷した兵士を担いで病院へと運ばなければなりません。更に、戦闘に全く貢献しない負傷兵の看護をするため、人員、食料、医薬品などの物資が消費されていくわけです。

つまり、殺すよりも負傷させるほうが何倍も敵の戦力を減らせるんですね。

この思想に基づいて開発された9mmパラベナムは、ストッピングパワーが低い分、貫徹力が絶大で、人間の体をスパスパ貫いちゃうんですね。運がよければ、1発で数人の敵兵に怪我を負わせる事が出来るんです。

映画「インディージョーンズ」でハリソン・フォード演じるジョーンズ教授がドイツ兵に取り囲まれて乱闘するシーンで、ジョーンズがドイツ兵からワルサーP38を奪って撃ったら、次々と押し寄せるドイツ兵を1発で五人ぐらいまとめて殺して、撃った本人が唖然とするギャグっぽいシーンがありましたが、これはあながちウソじゃありません。映画とかで、他人を盾にして敵の弾をよけて助かると言うシーンを見かけますが、相手が9mmパラベナムを撃ってきたら、人間を盾にしてもたぶんムダです。しかも一番多く使用されてる弾だし・・・

でも、撃たれても即死する事はあまりないみたいですね。撃たれた後もちょっと生きてるみたいです。運がよければ命も助かります

9mmパラベナムと全く逆の思想で作られたのが“ダムダム弾”と呼ばれる弾丸です。これは弾丸の弾頭部分を、対人用にストッピングパワーを増大させる事のみを考えて作られた弾丸です。アニメ「ルパン3世」のテレビシリーズ2作目をご覧になった方には、なんとなく聞き覚えがあると思いますが、残念ながらあの中で言っていたことは真っ赤なウソです。

ダムダム弾とは、弾頭部分が人間に命中した際に大きく変形し、より多く肉体を破壊するように作られた弾丸の総称で、色々な種類があります。

材質をやわらかくしたシルバーチップ。先端部に大きな穴や切れ込みを入れたホローポイントなどが有名です。ここら辺はOVA「パトレイバー ミニパト」で後藤隊長が詳しく説明しています。

それでは後藤隊長も知らないだろうと思われる事を一つ・・・ダムダム弾の名前のいわれは地名です。1900年代初頭、パブリックブリタニカ(大英帝国による統治と繁栄)華やかなりし頃、インドのダムダム地方にイギリス軍の兵器工場があり、そこで作られていたのがこのダムダム弾なんですね。

ダムダム弾の中でもかなり特殊な物を紹介します。正式名称は忘れちゃったんですけど、たしか“グレイザー・セーフティ・スラグ”という名前だったと記憶してます。で、これは、ホローポイントの穴の中に、散弾銃用の細かい鉛弾の粒を入れて封をしてあるものです。人体に命中すると、弾頭がひしゃげて中の散弾が体中に飛び散り、本体の弾頭自体も思いっきり威力のあるホローポイントだから、ひしゃげながら体を破壊すると言う、聞いただけで痛い弾丸です。映画「ダーティハリー4」でハリー刑事が使っていたオートマグがこの弾を使用していると、ハリー刑事本人が言ってました。刑事がそんなオーバーキルな弾丸を使っていいのか?しかも、この映画は、シリーズ中唯一、ハリー刑事が使用する拳銃が、“44マグナム”の代名詞となったアメリカのSW(スミス・アンド・ウェッソン社)製M29ではなく“オートマグ”というマイナーメーカー製の銃を使っていました。

個人的に好きですけど、この銃。オートマチックなのに、リボルバー用のCAL44マグナムを使用するなんてキチガイじみた事をすあたりが・・・先にも述べましたが、オートマチックは効率がよいので、同じ推進力を得るにも、リボルバーよりも少量の火薬でいいんです。なので、オートマチックなのにマグナム弾を使用するのは、かなりオーバーキルな感じです。

そもそも、マグナム弾はリボルバー用の強化弾であり、オートマチックに使うものじゃありません。

ですが、世の中にはそういう常識を破りたいと思う人が結構いたりします。なぜならば、オートマチックにマグナム弾を使う拳銃が、最近増えてきているからです。

有名なのがイスラエル・ミリタリー・インダストリ社製のデザートイーグル。これは使用弾丸の種類によって3種類あります。

まずCAL357マグナム、それとCAL44マグナム、更にCAL50AE(アクション・エキスプレス)という、なんとも呆れた拳銃があります・・・

デザートイーグルCAL50AEは、PS用ゲーム「バイオハザード2」に登場して有名になりましたね。ゲーム中では大活躍でした。そりゃそうだろう、CAL50AEだよ、市販されているオートマチック拳銃じゃ間違いなく世界最強・・・でも、いったい何を撃つんだ?象か?ですが、このゲームの中の銃のカスタムの表現は間違っています。カスタムパーツを手に入れると、バレルを長くして強力な銃になる、という仕様なんですが、そこまではいい、しかし問題なのはその後だ、撃った後の反動も大きくなり次弾発射までの時間が長くなるんですね・・・ハッキリ言って違います。バレルが長くなるとトップヘビーと呼ばれる、銃の先端部分が重くなる現象が起こり、発射時の反動が逆に少なくなるんです。

銃が強力になる分のリスクとしてのゲーム仕様なんだろうけど、素人をダマしちゃイケナイ。やるんだったら、攻撃に移るまでの時間の延長でしょう。つまり、長く重くなった分扱い辛くなり狙いを定めるのに時間がかかる、って仕様にすべきです。目の前に迫り来るゾンビ、しかし主人公のレオンはモタモタしてなかなか銃を構えられない・・・しかし、いざ発砲したならばゾンビは一発で四散、それどころか真後ろにいたゾンビまでもが吹っ飛ぶ・・・面白いと思うけどなぁ・・・

で、主に見かけるのはCAL44マグナムのデザートイーグルです。これはアクションメインのハリウッド映画には間違いなく登場する拳銃です。映画「マトリックス」でも出てきたし「ラストアクションヒーロー」でシュワちゃんがバカみたいにバンバン撃ってた・・・

と、まあ、拳銃には様々な要素があるので一概にこれが一番、っていうのは難しいんですね。

じゃ、それぞれの種類ごとに選ぶとすると・・・やっぱ、難しい・・・

リボルバーでは、銃自体の名前は忘れたけど、使用弾丸がCAL45.4、通称、454カスールという超強力な銃があります。CAL44マグナムよりももっと強力な銃です。スタームルガーだったかなぁ・・・忘れたなぁ・・・

オートマチックならCAL50AEデザートイーグルが最強です。しかし、この銃は超大型拳銃のクセに装弾数7発と、実に心もとない銃なんですね。まあ、1発で相手を仕留めればいいんだけどね、少なくとも体のどこかに当たったら、それだけでひっくり返るよ・・・

その他の銃ならばトンプソン・センター社製コンテンダーですね。確かこの銃の使用弾丸は454カスールだったはずです。リボルバー用の弾を単発式の銃で使用すると、密閉率は完璧なのでガス漏れが全くなく、その爆発力が余すとこなく弾丸の推進力になるので、リボルバーで撃つときよりも遥かに強力になります。ただし、単発、1発勝負の銃です。

 

最近は色々と優秀な拳銃が登場しているので、総合的に1番と言うのが更に決め辛くなっていますね。

20年位前までは優秀な拳銃と言うのがあったんです。世界3大名拳銃と呼ばれてました。

その一つがすごく有名な拳銃で、ドイツのワルサー社製PPKS-9mmです。これは映画007シリーズのボンドが使っていた拳銃ですから、知らない人はいないと思います。ボンドはもともとは違う拳銃を使っていました。ブローニングM1910-9mmという拳銃でした。しかし、作動不良を起こして発砲できず敵に撃たれて入院したため、ボンドのボスがムリヤリPPKSに交換させたんですね。これはシリーズ1作目の冒頭のシーンで説明されてます。

この拳銃はもともと警察用に作られた拳銃です。名前のPPKSというのは警察用特殊小型拳銃と言う意味なんです。ドイツ語で、ポリッツァイ・ピストーレ・クルツ・スペシャルと言うんです。最後のスペシャルだけ後付なんで変な感じですけど・・・この拳銃の元になったのがワルサーPPという拳銃で、その銃身長を短くしたのがPPKで、更に改良したのがPPKSなんですね。オートマチックで小型拳銃の部類に入り、隠密性は抜群で普段携帯していても目立たず、スパイにはもってこい。更にはドイツのマイスター魂のおかげで動作は快調。しかし、装弾数が少なく、実行制圧力には乏しい。元が警察用だからね。

次に、名拳銃と言われたのが、スイスのSIG(シュバイシュツ・インダストリアル・ゲゼルシャフト)社製P210-9mmと言う拳銃。この拳銃は名拳銃と言われる割にマイナーで、あまり知られていません。別名をSP47と言うんですけど、知っている人は間違いなく拳銃マニアです。アニメ「パトレイバー」の隊員が携帯するように規定されているのがこの拳銃なんですけど、誰も知りませんよね・・・

で、この拳銃は3大拳銃の中で最も命中精度が高いと言われています。しかし、やはり装弾数が少なく実行制圧力に乏しい。さらに、シングルアクションなので動作的な不安が残ります。

カンのいい人はお気づきかと思いますが、MIGのペンネームはこのメーカーの名前から来てます。ロシア製の戦闘機ではないんですね、残念ながら。戦闘機のMigはミコヤングレビッチの略です。

で、このSIG社は意外と日本とかかわりが深く、自衛隊に採用されている装備品の拳銃がこのSIG社製なんですね。SIGザウエルP226-9mm、それが自衛隊に採用されている拳銃です。ザウエルというと、昔あったアニメ「ガリアン」に登場するロボットの名前ですが、もちろん拳銃のほうが先です。

もう一つの名拳銃と言うのが、チェコスロバキア製セスカ・ズブロフスカ1975-9mm、通称CZ75前期型。この拳銃は装弾数15発と実行制圧力が高く、精度、作動の全てでその当時の軍用拳銃の中で最高でした。前期型と後期型と2種類あって、後期型はスライドの先端部分の形状が違い簡単に見分けられます。しかし、前期型はパーツの肉厚が薄く耐久性に問題があったようです。それを解消した後期型は、なぜか性能が落ちたそうです。で、前期型はいまだに世界の拳銃マニアの間で高額で取引され、1,000$単位でやり取りされているそうです。程度のいいものは軽自動車くらいの値段がするようです。

しかし、世界最高の名拳銃なのに思いっきりマイナーなんですよね・・・

私の知る限りでは、菊池秀行の小説エイリアンシリーズに登場する主人公が使用してるのと、園田英樹の漫画「ガンスミスキャッツ」に登場する女の子の一人が使用している以外に世間に出てきたのを知りません。ガンスミスの中で、CZ75を持った女の子が、ナイフを持った相手に襲われて、仕方なく拳銃で受けたら傷が付いてすごくヘコむと言うシーンが印象的だった。

 

個人的に一番好きな拳銃はドイツのモーゼル社製M712-7.62mmオートマチック拳銃です。

これは作られてから100年経っているという非常に古い拳銃なんですね。

これとほとんど同じ形のM711と言う拳銃があるんですけど、こちらはすごく人気があって一部のマニアの間では大人気です。アニメ映画「人狼」でいっぱい登場しましたね。プロテクトギアの標準装備がこの拳銃ですから、ケルベロス隊の全員が携帯してると言う事ですね。アニメーターの押井守もこの銃が好きみたいで、彼の手がけたアニメによく登場しますねす。

映画「リーサルウェポン2」に登場した悪いやつらのボスで外交官のオッサンが、最後のシーンで、メル・ギブソン演じる主人公のヒッグス刑事を、これでもかってくらい撃ちまくったのがこの銃でした。

最近やたらとTVCMやっているPS2用ゲーム「ツキヨニサラバ」に登場するアリスという女キャラが使っている拳銃がモーゼルです。ただ、これはちょっと変わったモーゼルで、使用弾丸が9mmになっている発展型です。特殊な小口径高速弾ではなく、一般的な9mmパラベナム弾を使えるように改造したものです。特徴はグリップに9と大きく書いてあることです。私がこのゲームをやるとしたら、間違いなくアリスを使います。彼女には悪いですが、モーゼルを使っているからというだけの理由です。

ですが、私はM712の方が好きです。どう違うかというと、弾倉が違います。M711は固定弾倉で交換できず、弾の補充は専用のクリップに収めた弾をエジェクションポートに差込み、上から押し込んで弾倉内に収める、というなんとも前時代的でまどろっこしい事をするんですが、それが逆になんとも味わい深いわけで、マニアに人気なわけですね。

で、M712はここら辺を改良し、弾倉が着脱可能になり、マガジンチェンジが可能になったんです。更に、マガジン自体を延長する事により、今までの装弾数が10発だったのに対し、20発込められるマガジンが作られ一気に装弾数が倍増。革命的な発明ですね。

それと、セレクターの追加です。今までそんなものはありませんでしたが、M712になって、セーフティ(安全装置)、セミオート(単射)、フルオート(連射)の切り替えという驚異的な機能が備わりました。

さらに、この銃はストックホルスターと呼ばれる特殊なオプションパーツがあり、普段は銃を収めるためのホルスターとして使い、使用時には銃の後ろに装着し肩に押し当ててぶれを防ぐストックと呼ばれる銃のパーツになるんです。ハンティングライフル銃などの長い銃の後ろについている木製のアレです。

この連射機能とストックの装着機能で、M712は事実上、世界初のサブマシンガンとなったのです。

M711M712の間で拳銃界の革命的技術革新が行われたわけですね・・・しかも、100年も前に・・・ドイツの技術力は本当に凄かったんですね。

ですが、性能的には現代の拳銃とは比べ物になりません。当たり前ですけど・・・

その当時では革命的な最先端技術を盛り込まれた拳銃ですが、あくまで、その当時は凄かっただけです。

 

サブマシンガンについて触れておきます。

サブマシンガンは非常に小型のマシンガンのことです。使用弾丸は主に拳銃弾の9mmを使い、威力は拳銃と変わりありません。ですが、1度に30発も連射する事が出来、瞬間的な実行制圧力は絶大です。

サブマシンガンで有名なのはドイツのHK(ヘックラー・ウント・コック)社製MP5シリーズです。これは映画とかで特殊部隊として登場する黒尽くめの兵隊さんが必ず持ってるものです。それくらい、サブマシンガンの定番です。映画「ダイハード2」に登場するテロリストが使ってました。

そしてこのMP5は色々なバリエーションがあり、様々な状況に対応できる幅広い商品ラインナップをもっています。ちなみにMPとはドイツ語でマシーンネン・ピストーレの事で、直訳すると機関拳銃となりますが、通常は短機関銃と訳します。

定番のサブマシンガンは他にも幾つかあります。有名なのはイスラエルのUZI-9mmですね。これもよく映画に登場します。映画「ターミネーター」でシュワちゃんが銃砲店で武器を調達するときに登場しました。このシーンは凄く好きです。店主に銃を注文するときに1つ1つフルネームでわざわざいうとこがいいです。で、このUZIですが、携行時の利便性を向上させ小型化したMini-UZIという改良型があります。こっちは本当にちっちゃい、大型拳銃並の大きさまで縮小する事に成功し、テロリストの方々は大喜びです。

それと、個人的にものすごく好きなサブマシンガンがあります。チェコスロバキア製のスコルピオンです。このサブマシンガンは極めて小さく、大型拳銃よりも小さいと言う優れもの。ですから、持ち運びに便利で、テロリストの方々から絶大な人気を得ています。

ただし、銃本体が小さいので装弾数が少なく、実行制圧力に欠けます。しかも使用弾丸が極めて特殊です。うろ覚えですがたしか、7.5mmだったと思います、それでボトルネックカートリッジ式の小口径高速弾なんです。口径は小さいですが威力は高いんですね、高速弾は。どういうものかというと、弾は弾頭とケース(薬莢)で構成されます。拳銃弾は弾頭の大きさ(太さ)とケースの大きさ(太さ)が同じストレートカートリッジを通常使います。高速弾と言うのは、弾頭の大きさ(太さ)よりもケースが大きい(太い)、ビンのような形のボトルネックカートリッジの事をいいます。小学校の頃に理科の実験で習いましたよね、太い注射器と細い注射器をチューブでつなげて錘を乗っける圧力の実験。その論理で、大きいカートリッジに入っている大量の火薬が爆発すると、小さい弾にその圧力が集中してより大きな推進力を発生させるんです。通常、高速弾はアサルトライフル等の長い銃に使用するもので、拳銃やサブマシンガンには使用しません。米軍に正式採用されている有名な銃で、コルト社製M16A1-5.56mmアサルトライフルと言うのがありますけど、これの口径は拳銃弾の9mmの半分程度しかないにもかかわらず、拳銃弾なんかより遥かに高い威力を持っています。それは、この銃が使用する弾丸が5.56mmNATO弾という小口径高速弾を使用しているからです。

そしてスコルピオンは拳銃並みの小型サブマシンガンなのに小口径高速弾を使用しているんです。東側の技術者のやる事は挑戦的で面白いですね。

で、このスコルピオンですが、ハッキリ言ってマニアしか知りません。だから、あんまり世間に出てこないですね。浦沢直樹の漫画「パイナップルアーミー」の第1話で登場しましたね。

あと、アクション映画でたまに出てきますがその数は少ないです。テロリストがスコルピオンを使っていたら、その映画はちゃんとしたテロリストが出ている映画、と勝手に思っています。私の中ではテロ銃という事になっているので・・・