カルガリー・オリンピックでの小さな革命
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バンクーバー・オリンピックまでいよいよあと１ヶ月。 オリンピックは特別な舞台という面からも記憶に残る名演技が生まれ、それぞれ思い出も深い。又、ひとつの区切りかの様に、「新世代」と言えるスケーターやフィギュア界の未来を輝かせるであろう「希望の光」ともいうべきニューフェイスの登場があった事を思い出す。
カルガリーでは旧東ドイツのカタリーナ・ヴィットが｢カルメン｣で圧倒的な存在感を見せつけオリンピック２連覇を果たした。確認するとこの時のヴィットは２３歳。
彼女の絶頂期だっただろう・・・２３歳のヴィットのは艶やかという言葉がぴったりで美しく、曲が始まると同時に見せる振り向きざまの力強い眼差し、赤と黒のコスチューム、曲に合わせたひとつひとつの演技力、表情、最後は命が尽きてリンクに横たわるまで全てがカルメンだった。 歌劇カルメンはＣＤで聴くのみで舞台などは見た事ないが私の中で「カルメン」はこのヴィットだ。とにかくヴィットの｢カルメン｣も伝説プログラムであり、以来誰のカルメンもカルメンには成り得ていない。
その「伝説のカルメン」の傍らでカルガリーのサドルドームを沸かせた「次世代」のスケーターが日本の伊藤みどりだったと思う。この時既に５種類の３回転ジャンプを完璧に決めていた伊藤みどりだったが、総合的な評価は抑えられたものだった。（総合５位）
今、振り返るとカルガリーの伊藤みどりは本当に素晴らしかった。ジャンプを全て決めた瞬間にガッツ・ポーズを繰り返す姿も今ならよくある光景で、一緒になって感動出来る。だが当時は伊藤みどりを応援しながらもあのガッツ・ポーズを｢恥ずかしい｣と感じてしまった・・・・・。ガッツ・ポーズは美しさを崩す以外の何ものでもない様に映ったのだ。あの感動を受け止められなかった自分・・・。
スポーツというジャンルに加えられながらもバレエの様な感性による評価が下されていた当時のフィギュアスケート界は、現採点システムから見れば到底「理屈では説明できない世界観」が繰り広げられていたと思う。
サルコウ＆トゥループの２種類の３回転を持つ女王ヴィットは
「観客はゴム毬が跳ねるのを見に来ているわけではない」
と５種類の３回転を完璧に跳んだ伊藤みどりを暗に批評したという（笑）。こうした発言があった事はず〜と後に知ったのだが、仮に当時それを聞いたとしてもヴィットに同感していたと思う。と言うよりジャンプの有無に関わらずヴィットの美しさは壮絶で、美しさと表現力がフィギュアスケートの世界だったあの時は判定がどうの？等と疑う余地など存在しなかったから。
しかし、翌年パリで開催された世界選手権で伊藤みどりは女子史上初となる３アクセルを決め、日本人初の世界チャンピオンとなる。山田コーチは
「容姿で劣る日本人が世界で認められるには“これは”というものが無ければならない」
とこの後もフィギュアスケートに新しい風を吹き込み、伊藤みどりは確実に「芸術のフィギュア」から「スポーツのフィギュア」へ変貌させた立役者となる。もしかしたら、カルガリーで伊藤みどりを目の前にしたヴィットの発言ははこうしたフィギュアスケート界の革命を予感していたのかもしれない。
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そして時代は移り変わり、今まさに伊藤とビットの世界の融合を果たそうとしている新時代のスケーターたちによって新たなフィギュアの時代の幕があけようとしている。
その瞬間を、今度は、生の臨場感あふれる大画面で見れる時代に重なったというのは、天の恵みとしか言いようがない。
ビットの演技のエッセンスを多く含むものが勝つのか、伊藤の演技のエッセンスを多く含むものが勝つのか、容姿で劣らなくなった今こそ、その判断が下されるのだろう。
（勝手に文章につけたしちまった〜い）
2010/1/19(火) 午後 10:54
コラー！先を越すんでないっ（笑）
まさに時代は進み、東洋人が容姿で劣るという事はなくなりました。はっきり言って浅田選手やキム・ヨナのスタイルはたくましい欧米系選手にはない可憐さもありますし（笑）
これからだらだらオリンピックの思い出話を続けちゃいます。
2010/1/19(火) 午後 11:05 [ fukufuku ]
おはようございます！
ビットは「観客はゴム毬が跳ねるのを見に来ているわけではない」と言いましたが、観客はビットの演技とともに、伊藤みどりのジャンプも見に来ていたと思うのですが・・・。それだけ、みどりさんのジャンプはインパクトがあったと思います。真央ちゃんが、、芸術がより重要視されていた時代に、ジャンプで勝負していったみどりさんを、一番尊敬する選手とあらためてコメントしていました。真央ちゃんは、両方兼ね備えた選手ですが、自分はジャンパーっていう意識が強いのでしょうか？（話がそれました（汗））話がそれたついでに、私は今期、ひそかに安藤美姫選手はカルメンをまたやるのでは？と思ってたのですよ。ゲン担ぎ好きなモロゾフコーチで、、同じカナダでのＯＰですし、安藤選手のカルメン、評判も良かったので。だけど、女王への道として、女王クレオパトラを選びましたね。。
2010/1/20(水) 午前 8:51 [ chobi ]
chobiさん、おはようございます〜
ヴィットも伊藤みどり個人を持ち出して言ったという事は、それだけ伊藤みどりの存在が大きかった表れだと思います（笑）記事のタイトルは｢カルガリー〜もう一人の主役｣でも良かったかも！私もガンガンジャンプを決める、そして観客が沸くってのを同じ日本人として誇らしく感じました。・・・ただ最後のガッツポースは（当時は）ありえない・・・と思ってしまったのですが・・・＾＾
しかし、思えばあれ依頼女子選手もガッツポースを普通にする様になっていった気がします。あ〜ガッツポースしてもいいんだぁみたいに（笑）
浅田選手は美しさとジャンプ、両方の素質を兼ね備えた選手ですね。山田コーチの元、伊藤みどりの存在と３Ａに対する想い入れは強いのかもしれません。伊藤みどりのＤＮＡを受け継ぐかの精神があるからこそ、恐れる事なく３Ａにも挑戦し続けるのでしょう！浅田選手が現ルールの中で挑戦する姿はカルガリーの伊藤みどりと重なります。ややマンネリ化しつつあるフィギュア界を変えてくれる希望の光と見ています。
2010/1/20(水) 午前 10:32 [ fukufuku ]