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金賢姫元死刑囚:「娘と同じ犠牲者」…横田夫妻が面会へ

めぐみさんの写真と、大事にしていたオルゴールを前に心境を語る横田滋さん(左)、早紀江さん夫妻=川崎市川崎区で、手塚耕一郎撮影
めぐみさんの写真と、大事にしていたオルゴールを前に心境を語る横田滋さん(左)、早紀江さん夫妻=川崎市川崎区で、手塚耕一郎撮影

 20日に来日する北朝鮮の元工作員で、87年の大韓航空機爆破事件の実行犯である金賢姫(キム・ヒョンヒ)元死刑囚(48)は、23日までの滞在中に、拉致被害者の横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(77)、母早紀江さん(74)と面会する。めぐみさんの帰宅を待ち続ける横田夫妻は「『大変な人生だったですね』と手を取って言葉をかけたい」と心境を語った。【合田月美】

 77年11月、中学からの下校途中、新潟市内でこつぜんと姿を消した娘が、北朝鮮に拉致されたと夫妻が知ったのは20年後の97年。「ああ、生きていた。外国といってもきっと2、3日で会える」とうれし泣きした日からさらに13年の歳月が流れた。病気を抱えながら、2人は今も月の半分は全国を回り、拉致被害者の早期救出を訴え続けている。

 今年1月、金元死刑囚が日本政府関係者に「めぐみさんに会ったことがある」と証言していたことが明らかになった。金元死刑囚は昨年3月、韓国・釜山で拉致被害者、田口八重子さん(行方不明時22歳)の家族と面会したが、その際の記者会見では、めぐみさんと会ったことには触れなかった。

 「北朝鮮が大韓航空機爆破事件さえ認めようとしない中、話したくても話せないことがたくさんあるのでしょう」。早紀江さんはそう気遣う。来日許可には慎重論もあるが、「金さんも娘と同じように苦難の道を歩んでこられた犠牲者。(北朝鮮にいる)家族とも会いたいことでしょう。家族との別離という同じ苦しみを抱えた方が、私たちに会いたいと言ってくださっている。そのすべてを受け止めたい」と語った。

 02年9月、日朝首脳会談で初めて拉致を認めた北朝鮮は、めぐみさんについて「死亡した」と伝えた。しかし、北朝鮮から提供された遺骨はDNA鑑定で別人のものだったことが判明している。

 帰国した拉致被害者らの証言から、めぐみさんは北朝鮮で金元死刑囚の同僚の工作員に日本語を教えていたとみられている。拉致事件に関する日朝交渉は08年に中断したままだ。滋さんは「めぐみの救出は、政府にやってもらうしかないが、それには世論の力が必要です。訴え続けないと、事件が風化してしまう」と話した。

毎日新聞 2010年7月17日 15時00分(最終更新 7月17日 15時09分)

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