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気体の圧力について理解するのは容易ですが(気体は熱すると膨張して圧力を高め、冷やすと収縮して圧力が低くなります)、磁場の圧力という概念はやや理解しにくいと言えます。磁場について、デビッド・ディアボーンは次のように説明しています。「磁場の集中しているところに別の磁場を近づけると、お互いに反発し合います。磁石を2つ手にして、同じ極どうしを近づけてみてください。2つの磁石は反発し合って、くっつけることができません。これが磁場の圧力なのです。」
George FischerDave Dearborn
ジョージ・フィッシャーとデビッド・ディアボーンが「黒点とは何か」という問いに答えます。 Real Media Clip/ Help map
「黒点は磁力の泡のようなもので、周囲をとりまく光球のガス圧によって押されている。」と考えてみてください。黒点の内側と外側との間で圧力のバランスが保たれていなければ、黒点は存在することができません。デビッド・ディアボーンは、磁場が黒点を低温に保つメカニズムについて、次のような理論を構築しました。「黒点の外部にかかっている圧力は気体の圧力だけです。気体の圧力の大きさは、周囲の温度によって変わります。一方、黒点の内部では、気体の圧力に加えて、磁場の圧力もかかっています。」黒点が存在するためには、内部と外部の圧力のバランスが取れていなければなりません。黒点の内部には、気体の圧力だけでなく、磁場の圧力も働いています。この地場の圧力の分だけ、気体の圧力と温度は、外よりも低く保たれているのです。

 

 

 太陽について
黒点が生まれるプロセスをもっとよく理解するには、何よりも太陽のことをよく知っておく必要があります。太陽は、太陽系の中で最大の物体で、太陽系の総質量の99.8%以上を占めています(残りの大半は木星です)。太陽の総質量のおよそ75%は水素、25%がヘリウムで占められています。ごく微量の金属やその他の化合物も含まれます。太陽は核融合反応によって燃焼していて、中心部では常に水素がヘリウムに変換されています。そのため、2つの物質の割合は常に変化しています。
X ray image of the sun

 

 

太陽の中心部で核融合によって生まれたエネルギーは、対流層で起こっている気体の対流によって、太陽の外側部分まで運ばれます。対流層とは、太陽の表面から中心に向かって、半径の20%から30%付近までの層です。対流によって、太陽の中心部からは高温の気体が上昇し、表面に到達して熱を放射します。熱を放出して温度が下がった気体は、再び太陽の中心部に戻っていくのです。

太陽の活動規模を数字で表すのは非常に困難です。太陽はあまりに巨大で高密度なため、中心部で生じたエネルギーが表面に届くのに、5,000万年もかかるのです。
太陽は40億年から50億年にもわたって、光と熱を放射し続けています。太陽の黒点は、太陽の表面上の小さな斑点のように見えますが、実は平均的なものでも地球と同じくらいの大きさがあるのです。

磁場と太陽ダイナモ
太陽は地場を形成していますが、地球と同様に、その地場は、太陽表面を透過して宇宙空間にまで及びます。太陽の磁場は、表面の様々な場所に生じます。強さも不安定で、常に移動し、変化しています。太陽の磁場は、対流層の中や直下で起きている流体の動きによって発生すると考えられています。ディアボーンはこれを「太陽ダイナモ」と呼んでいます。しかし、太陽磁場の発生源は何か、また絶え間なく変化するのはなぜかについては、十分に解明されていません。


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Observatory 1998 The Exploratorium.

このコンテンツは、米国エクスプロラトリアムにより制作されたものを翻訳しました。
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