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黒点が地球の気候に与える影響
黒点は太陽表面の他の部分よりも暗く、温度が低い領域ですが、その活動は太陽が放出するエネルギーの全体量がごくわずかに増えただけで活発になります。黒点は、周囲を彩層白斑という明るい領域で囲まれています。紫外線をはじめ、太陽光線に含まれる特定の波長の光線は、黒点の活動期には非常に強くなります。紫外線の放射は、太陽が放出するエネルギー全体のごく一部でしかありません。しかし、このタイプの放射線量の変化は、地球の大気に大きな影響を及ぼします。特に、大気圏の外側のエネルギーバランスや、化学的性質が影響を受けやすいのです。黒点の活動と地球上の気候との関係については、まだ解明されていません。しかし、マウンダー極小期と呼ばれる1645年から1715年までの異常な低減期は、西ヨーロッパ一帯を襲った長期的な極寒の時代「小氷河期」と同じ時期にあたります。

Drought Imageフィッシャーは次のように言います。「太陽の黒点周期が地球の気候に影響を与えているかどうかは、議論の分かれるところです。確実に分かっているのは、表面に磁場を持つ太陽の活動が、太陽の輝度を変化させることです。すなわち、太陽から放出されるエネルギー量が、0.1%のレベルで変化しているのです。太陽の黒点が、周期的に地球の気候を変えているとも考えられますが、これについては議論が分かれています。」議論が分かれる原因は、地球の気候の複雑さにあります。気候の変化には様々な要因があって、それぞれの関連性を説明するのは容易ではありません。例えば、地球温暖化の影響と、太陽活動の変化によると思われる影響とを、分けて考えるにはどうすればよいのでしょうか。

ディアボーンも、黒点の発生周期を、気候の変化の原因と考えることには慎重です。彼は言います。「様々な仮説はありますが、黒点と気候の関連性についてはまだ完全に解明されたわけではありません。黒点が気候変化の原因だとする意見もありますが、それはまだ憶測の域を出ない話です。黒点による気候への影響を断言するには、さらに詳しい研究が必要です。」

現在言えることは、化石燃料の燃焼や森林伐採といった人的行為と比べて、黒点の発生周期の変動による気候への影響は、はるかに少ないと思われるということです。とは言え、黒点については、さらに研究調査を進めていかなければなりません。次の章では、個人でもできる黒点の研究方法をいくつか紹介します。

 

 

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Observatory 1998 The Exploratorium.

このコンテンツは、米国エクスプロラトリアムにより制作されたものを翻訳しました。
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