望 〜都の空から
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【国際】事故原潜解体 住民が反対運動2010年7月18日 朝刊 【ウラジオストク=A・ポルトフ】ロシア極東沿海地方で今秋予定される、旧ソ連時代に爆発事故を起こした退役原子力潜水艦の解体をめぐり、安全対策が不十分だとして、地元住民らが反対運動を繰り広げている。 問題となっているのは太平洋艦隊のK431原潜。一九八五年にウラジオ近くの原潜基地で、原子炉の核燃料交換中に爆発事故を起こし、十人が即死、九百人以上が被ばくしたとされる。事故は極秘扱いとなり、ソ連崩壊後も正確な死者数などは明らかになっていない。 K431原潜の解体作業は今秋、沿海地方ドゥナイ近郊のロシア国防省の艦船修理工場で始まることが決まっていた。しかし放射能漏れなどを恐れる地元住民や工場従業員らが猛反発。国防省などに修理場所の変更を求める要望書を送ったほか、十二日には約三百人がドゥナイで抗議集会を開催した。反対の署名集めも進んでいる。 要望書によると、同原潜の原子炉内には依然、核燃料が残っており、解体による放射能汚染の可能性が高いという。解体方法に関する国防省など関係機関による事前の説明が不十分で、環境影響評価も実施されていないなどと不信感をあらわにしている。 原潜解体に詳しい地元専門家は「K431は海のチェルノブイリ。原子炉の処理方法などで、もっと入念に安全措置を講じ、地元への説明責任を果たすべきだ」と話した。 当局側は表向き、計画通りに解体を行う構え。だが、極東の国防省筋は本紙に、解体場所の他工場への変更を検討中だと明かした。 ロシアでは旧ソ連時代からの退役原潜の放置が国際問題となっており、日本や米国などの支援で、解体作業を進めてきた。極東ではこうした原潜が七十五隻あり、年内の解体完了を目指している。 しかし、K431の解体作業は国際支援の対象外。作業に他国の目は届かず、ロシアの閉鎖体質を指摘する声もある。
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