本来なら、ヨンハさんの優しい歌声に包まれるはずの会場に、女性ファンの号泣が響いた。
「ヨンハァ〜!」。献花を済ませ、ヨンハさんのポストカードを受け取ったファンは悲しみをあらわにした。ポストカードを抱きしめる人や、仲間同士で抱き合うグループ。“突然の別れ”に泣き崩れるしかなかった。
東京・中野区のOL(49)は04年の初シングル曲で、日本語で「行かないで」を意味する「カジマセヨ」を涙ながらに連呼。宇都宮市から喪服姿で駆けつけた主婦(57)は「父の介護をしていますが、あのせつない表情と歌声に何度も癒された。ヨンハは恋人でも息子でもない、私の天使でした…」と肩を落とした。
ステージ上には昨年、韓国で撮影された笑顔の遺影と、愛用のアコースティックギターやドラムなどが飾られた。最新アルバム「STARS」に収録される同名曲が静かに流れ、日本では最後となる6月の埼玉・川口公演の画像がスクリーンに映し出される中、約1万4200人が白のカーネーションを手向けた。
開場前には、16日に来日したヨンハさんの母親、姉のへヨンさんと義兄が献花。プライベートでも親交の深い音楽プロデューサー、つんく♂(41)も駆けつけた。遺族を代表してへヨンさんが「いまだに流れる涙をこらえることができません。身も心も健やかで明るいヨンハはもう、私たちのそばからいなくなってしまいました」とコメントした。
会場には午前5時からヨンハさんを悼むファンが集まり、開場の午前10時には約4000人が行列。献花まで最大で約3時間待ちの人も。式は午後6時に終了予定だったが、参列者はとぎれることなく同6時20分まで続いた。献花も1万本を用意していたが、急きょ5000本を追加。悲しみの行列は最後まで続いていた。