10人で戦いながら勝ち点「3」をつかめたことは、グランパスが優勝争いするうえでプラスに働くのは間違いない。ただし、サッカーの質を考えると、とても満足できる内容とは思えない。
最初の10分までは、何点でも取れそうな勢いがあった。しかし、個々の力で攻めるグランパスに、大宮が対応に慣れてくると、慌ただしいだけの試合になった。プレッシャーが甘く、ミスも多い大宮に付き合うように、グランパスもペースダウンしてしまった。
選手の能力の差は歴然としているのに、それをゲーム運びにつなげられないところに、グランパスの問題がある。ボールを持てる時間が長くなると、判断が鈍る。ミスが出ても、相手もすぐにミスをするので、厳しさが出てこない。10人になって、守ってカウンターというスタイルが明確になるまでは、何となくボールをつないでいるだけの試合をやっているイメージだった。
格下相手でも、自分たちのやりたいサッカーをやり通す強さがほしい。大宮のペースに巻き込まれ、退場者を出して、判定にいらだつ展開は、自らまいた種とも言える。適切な判断と惜しみない運動量。どんな相手でも、意識を高く持ってプレーしていれば、こんな苦しい試合にはならなかった。
この記事を印刷する