民間種牛殺処分に涙、所有者「無駄じゃなかったと…」…宮崎口蹄疫問題

１６日の記者会見で、所有する種牛「勝気高」の写真を手にする薦田長久さん

　宮崎県の口蹄（こうてい）疫問題で県は１７日、口蹄疫対策特別措置法に基づき、高鍋町の農場経営者・薦田（こもだ）長久さん（７２）の民間種牛６頭の殺処分を終えた。１８日午前０時に感染多発地帯で最後に残っていた同農場から半径１０キロの移動制限区域を解除した。

　感染多発地域の家畜制限区域は４月の発生確認から３か月ぶりにすべてなくなり、残りは宮崎市の発生農場とする地域だけとなった。新たな発生がなければ２７日午前０時に解除され、計２８万９０００頭が犠牲になった口蹄疫は終息を迎える。

　午前１０時半に、薦田さんの農場にいた種牛は２頭ずつ順番にトラックに乗せられ、農場から約５キロ先にある約１万頭の牛や豚が眠る埋却地に運ばれた。６頭の中で最も優秀な種牛「勝気高（かつけだか）」の名前の由来となった薦田さんの妻・勝子さんや家族らが見守った。家族によると、牛を一番かわいがっていたという勝子さんはトラックに手を差し伸べながら、泣き崩れた。薦田さんは「種牛の死が無駄じゃなかったと言えるようにしたい」と涙ながらに語った。

　薦田さんは政府と県が５月に実施したワクチン接種に同意せず、「公共性が高い」として県に保護を求めていた。東国原英夫知事（５２）も「感染の危険性はほとんどない」として種牛の特別救済を国に求めたが、農水省は拒否。最終的には、薦田さんが「県民に迷惑はかけられない」と殺処分を受け入れた。

（2010年7月18日06時02分  スポーツ報知）

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