泉「マジで」レスリングでロンドン五輪目指す

総合格闘家の泉（左）は、レスリングでロンドン五輪を狙うと宣言した

　０４年アテネ五輪柔道男子９０キロ級銀メダリストで総合格闘家の泉浩（２８）＝プレシオス＝が１７日、レスリングで２年後のロンドン五輪出場を目指す考えを明らかにした。異競技での夏季五輪出場が実現すれば、極めて異例となる。

　この日から都内にある味の素ナショナルトレセンで始まった３日間にわたるＳＲＣの強化合宿。レスリングのトレーニングを終えた泉は汗だくになりながら「狙ってますから。マジで狙う」と、総合格闘技も続けながらレスリングで五輪出場を目指すと宣言した。柔道トップ選手のレスリング転向はまれで、昨年、柔道から総合格闘技に転向して練習の一環でレスリングを取り入れたのがきっかけになり、本気で取り組むようになった。階級は柔道の現役時代に近いグレコローマン９６キロ級が有力。当面の目標は来年の全国社会人オープン選手権大会出場で、その先にロンドンを見据える。

　山本“ＫＩＤ”徳郁（３３）＝ＫＲＡＺＹ　ＢＥＥ＝が総合格闘技の試合に出ながら０８年北京五輪出場を目指したように、レスリングはプロとアマの行き来が自由とあって、五輪を目指すに当たっての支障はない。「スポーツ界も盛り上がると思う。柔道界の刺激にもなる」と力説するまなざしは真剣そのものだった。

　◆異種競技での五輪出場　夏冬五輪出場では橋本聖子（スピードスケート、自転車）ら数例あるが、夏季ではまれだ。近年ではバレーボールからビーチバレーに転向し、シドニー五輪４位の高橋有紀子、佐伯美香組の例があるが、これは同一競技異種目に該当。ちなみに、今年２月のバンクーバー冬季五輪では、ラトビアのハラルズ・シロフスがスピードスケート男子５０００メートルとショートトラック１５００メートルの２競技を同日に出場する“偉業”を成し遂げている。

　◆泉　浩（いずみ・ひろし）１９８２年６月２２日、青森・大間町生まれ。２８歳。柔道に打ち込むため中学から上京し柔道私塾の講道学舎に入門。世田谷学園高から明大に進み、０４年アテネ五輪は９０キロ級で銀メダルも０８年北京五輪は２回戦敗退。卒業後、旭化成に入社したが０９年に総合格闘家へ転向し、戦極（現ＳＲＣ）でデビュー。戦績は２勝１敗。現在の階級はライトヘビー級（９３キロ以下）。１７３センチ、９３キロ。