豊真将、日本人唯一７連勝…名古屋場所７日目

霜鳳（左）を押し倒しで破り全勝を守った豊真将

　◆大相撲名古屋場所７日目　○豊真将（押し倒し）霜鳳●（１７日・愛知県体育館）　東前頭１３枚目・豊真将が同９枚目・霜鳳を押し倒しで下し、日本人力士で唯一、初日から７連勝を飾った。７連勝スタートは０８年春場所以来、自身２度目。一連の野球賭博問題で大量の謹慎者が出る異常事態。しかも全員が日本人と暗い話題に見舞われたが、国産力士が奮起し土俵を盛り上げる。全勝は豊真将、横綱・白鵬、大関・琴欧洲、東前頭６枚目・鶴竜の４人。

　圧倒的だった。豊真将が左おっつけで、そのまま一気に前に出ると、最後は右のど輪で霜鳳を土俵下へ吹き飛ばした。「会心の相撲でしたね」と自画自賛だ。０８年春場所以来、自身２度目の初日からの７連勝。「先手先手で相撲をとれている」と何度もうなずいた。

　一連の野球賭博問題で、琴光喜が解雇。謹慎者も幕内で６人、十両では４人、幕下以下も合わせれば計１８人の大量謹慎者が出た。しかも解雇、謹慎者は全員日本人力士。幕内では出場する３５人のうち、１７人が外国出身力士だ。この日は今場所初めての満員御礼となり、国技を守る国産力士として土俵上で結果を残すことで、見に来てくれたファンに恩返しがしたかった。「連勝を続けて日に日にお客さんの声が大きくなってきている。その声援に応えられたらいい」と自覚をうかがわせた。

　親友である鶴竜の存在も刺激になっている。師匠同士が兄弟とあって、日頃から交流が盛んで、場所前もよく一緒にけいこをする。海外巡業などでも、一緒に買い物に行き、互いを「洋介」「アナンダさん」と下の名で呼び合う仲だ。夏場所前に豊真将が首をけがした際、真っ先に心配してくれたのも鶴竜だった。その親友が連勝街道を突き進んでいる。「刺激になっていますよ。できることなら一緒に連勝を続けていきたい」と強く意識する。

　８日目の豪風に勝てば、自己記録の８連勝となる。「とりあえず、自己記録は更新したい。前回７連勝したときは９勝６敗だった。２ケタいきたい」と、１年ぶりの１０勝到達に意欲を見せた。日本人力士の勝ち頭が存在感を見せ、暗い雰囲気が漂う角界に明るい光を照らす。

　◆豊真将　紀行（ほうましょう・のりゆき）本名・山本洋介。１９８１年４月１６日、山口・豊浦町（現下関市）生まれ。２９歳。錣山部屋。川棚小２年で相撲を始め、埼玉栄高から日大へ進み、０４年春初土俵。０６年初新十両、同年夏に新入幕。敢闘賞３、技能賞２回。得意は右四つ、寄り。１８５センチ、１４７キロ。