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日本国債/財政赤字問題に国民が取るべき選択

 

2010-03-25

多額の外貨準備高?

| 06:57

日本政府は外貨準備高をどれ程保持しているのであろうか。平成22年2月現在、1兆510億7900万ドル(約100兆円)である。http://www.mof.go.jp/1c006.htm これは中国に次ぎ世界第2位の残高であり、主に日本政府が過去円売りドル買いの為替介入を繰り返してきたことにより積み上がったものである。(2004年3月16日を最後に、以降介入実績はありませんが、それまでは頻繁に為替介入をしていました。http://www.mof.go.jp/1c021.htm

この外貨準備をいざとなれば売れば良いと思っている方もいるかと思うが、基本的には正しくはない。なぜかというと、この外貨準備の原資は「政府短期証券」という日本政府の借金だからである。余っているお金を運用の一環として米国債等を購入し外貨準備とした訳ではなく、「政府短期証券」という債券を発行し調達した資金(借金)を元手に為替介入を行って外貨準備高を積み上げただけなのである。よって、この外貨準備高を売ったとしてもその分の借金が減るだけである。(以前、国と地方を合わせた債務残高は既に「1100兆円」と記載をしましたが、その1100兆円から100兆円債務残高が減るだけです。)

http://www.mof.go.jp/gbb/2103.htm は平成21年3月末時点の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」であるが、その一項目として「政府短期証券」というのが108兆円あるのがお分かり頂けると思う。そしてこの108兆円は「外国為替資金特別会計」の貸借対照表http://www.mof.go.jp/jouhou/kaikei/syokan/gaitame_zaimu20.pdf 内3/16)の負債の98%を占める「政府短期証券」108兆円と一致する。(外国為替資金特別会計とは、外国為替の安定(為替相場の急激な変動に対する為替介入等)のために設けられている特別会計です。)

そしてこの108兆円を元手に資産の部に計上されている有価証券90兆円等を購入・運用している。この有価証券は大半が米国債によって運用されているため、政治的に早々簡単に売却できると思えないし、仮に売却出来たとしてもその分の政府短期証券が減るだけでプラスでもマイナスでもない。しかも最近の円高により為替差損が大幅に膨らんでおり、同貸借対照表を再度見て頂くと為替差損が13.4兆円(13,428,210百万円)と前年と比較し10兆円以上も為替差損が増えているのがお分かり頂けるかと思う。

よって、この外貨準備高に過度な期待を抱くのもこれもまた誤りなのである。

備考:この外貨準備は、日本の財政赤字問題が大きくなり、日本国債・日本株・日本円のトリプル安が一斉に起き、「日本経済破綻」というような大混乱に陥った時にその衝撃を幾分和らげる可能性があるものであると感じている。日本は世界最大の純債権国であるため、多額の外貨建て債務を抱える純債務国のように自国通貨安に伴い対外債務が雪だるま式に膨らむような事態になることはない。

もちろん大幅な円安になった際に石油や食料価格など輸入物価が高騰するというマイナス面はあろうが、‘純債権国’であり、外貨建て資産を多数保有してことは大きなメリットである。そして日本国債は円建て債務である。大幅な円安になった場合には、外貨建て資産を円資産に変えることで円建て債務の返済に役立てる事が可能だ。

(例)‘ドル建て債務’が1兆ドルあった場合は、1ドル100円が300円になると円換算した際の債務は100兆円から300兆円へ3倍に膨らみます。日本国内で生み出すキャッシュフローを元に返済をしようとすると3倍の稼ぎが必要となり、債務返済が極めて困難になります。逆に‘ドル建て資産’が1兆ドルある場合は、1ドル100円が300円になると、100兆円から300兆円の資産に変わるので、日本国債のような‘円建て債務’の返済には効力を発揮します。円建て債務は円安になろうが円高になろうが金額は変わりません。