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[18084] 【ネタ】エクシアさん(機動戦士ガンダム00)
Name: 梵葉豪豪豪◆dd30381f ID:754e2ad7
Date: 2010/04/14 01:32
エクシアさん いち


 私はお姉様に殺された。


 体をくれを言われて問答無用で殺された。
 ふざけんなばーかー! お姉様の嘘吐きー! と泣いたところでどーしょーもない。

 とはいえ、私は『イノベイド』だ。男と女がどっかんどっかんヤり合って出来たのではなく、人工的に作られたヒトというヤツさ。
 そんな私の意識はコンピュータのメモリの中に存在する。『ヴェーダ』と呼ばれる超すげぇ人工知能の中だ。何が凄いって、私達の様な作られたヒトは記憶や意識がそこに記録される。肉体が死んでもヴェーダに書き戻され、新しい肉体で復活出来る。表の世界の宗教家とかビックリよね。

 でも私が表に出られる事はもう有り得ない。お姉様は新しい肉体を得られる様便宜を図る、などと言ってくれたけど、そのお姉様はそんな申請を出す前に死んでしまって、更に自意識を削られて『ハロ』に押し込められて、申請もテッタクレもなくなったからだ。
 つまり私は誰からも忘れられた。

 美味しい物を食べたかった。綺麗な服も着てみたかった。恋もしたかった。
 でもみんな駄目。
 ニートの如く情報の海を眺めるだけ。空しい。寂しい。


 ところがある日、私は『引っ張られた』。
 あるデータをちんたら覗いていたら、そのデータごとある何かにダウンロードされてしまった。そこは『モビルスーツ』のコンピュータだった。
 名を『エクシア』という。


 ところで私のいた組織は『ソレスタル・ビーイング』という。世界の揉め事に喧嘩売りまくって争い事をなくそうという、無茶な集団である。そのために何百年もかけて準備をしている真っ最中なのだ。というか既にヴェーダが世界を裏から牛耳ってまっせ。後は表でどうするかなのだ。

 で、その表の先兵となるのがモビルスーツ。通称『ガンダム』。そして私がいるエクシアなのだ。
 そして私は今のところヴェーダに戻れない。結論を言えば、エクシアが破壊されれば私は本当に死ぬ。更に死ぬまでの間、こあんなカーボンのカタマリに閉じ込められた私は、ヒトらしい事なんて何も出来ない。
 踏んだり蹴ったりだよチクショー!


 ただエクシアを建造して整備するヒト、イアンさんは私を大事にしてくれた。でもメカとして愛されているだけだ。イアンさんは何も悪くはないけど。

 死にたかった。こんなに寂しい思いをするなら、訓練でも実戦でもいい、さっさと壊れ、いや死んでしまいたい。


 ある日、いやその日か、ある少年が私を見上げていた。
 運命の相手に出会った、私にはそうとしか思えない目で彼は見上げていた。
 音声を拾ってみると、彼はどうやらエクシアの『ガンダムマイスター』らしい。つまり私に乗るヒト。
 ダウンロードされた個人データによると、彼の名は『刹那・F・セイエイ』。


 それから、私と刹那の訓練の日々が続いた。

 興味本位で人事記録を覗き、刹那のプロフィールを読んでみた。軽くヘコんだ。
 中東の小国クルジス生まれの彼は、レジスタンスに騙されて両親を殺しレジスタンス行き、騙されたと知り組織に反抗するも返り討ちに遭い、最前線で使い潰された日々、自分以外全員戦死した戦場から帰還したとこをソレスタル・ビーイングにスカウトされ今に至る。
 何だこれは? 何で彼はここまで死んだ方がまだマシなボロ雑巾にならなければならなかったのだ? 彼の体は生傷どころじゃない。弾痕は軽く4ダースはあり、性的な面でも酷い目に遭っていたのは検査で判明している。神とやらはサディストのクソヤローか? 綺麗に死んでニートになった私の不幸なんて甘チャンもいいところだ。

 しかも周りからの評価はあまり芳しいとは言えない。特にイノベイドのメガネ君が「何でこんな適正も低いヤツが選ばれたのだ?」と公然と言ってくる。正規・予備引っくるめたマイスター達の中では力量は低いのは、残念な事に事実だ。

 でも私は知っている。マイスターの中で彼が一番ガンダムを大事にしてくれる。イアンさんの「大事」とは違う、信仰とか憧れとか信頼とか、そういった何かがゴッチャになって私に伝わってくる。

 いつしか私は、刹那と共にいたいと思うようになった。

 あぁそうか。これが恋なんだ。


 運命の日はやってくる。ソレスタル・ビーイングが遂に宣戦布告するのだ。
 そのためにはまず、私含めた各ガンダムが表舞台に乱入してキルキルぶりを見せつける。そして創設者の声明を全世界に流す。

 大気圏からダイブるる私と刹那。彼は全く落ち着いていた。何度も訓練していたからだけではない。起こりえるべき事として心の準備が出来ていた、そしてガンダムといるという信頼がそうさせているのかもしれない。嬉しいじゃないですか。
 そんな私はステルバンボー! と無駄にはしゃいでダイブしてました。彼に知られると恥ずかしいわ。


 やって来ましたA.E.Uの新型モビルスーツお披露目会場。乱入してもぼるスーツフルボッコするのが私達の任務。
 それにしても表の世界のモビルスーツはこんなレベルなのね。表のモビルスーツは空くらい飛べるけど、それは航空機的な次元での話。こちとら、アニメの格闘家みたいな重力ガチ無視飛行だ。はっはっはざまーみろ。
 尤も、これの前の世代設計したのってイアンさんなのよね。飛べない物を飛ばして、ソレビに身を置いてからは更にすんげぇ飛ばし方を追求したヒトだ。曰く、「人形を無理矢理ぶん投げてるようなモノ」だってさ。だから空力特性の良い飛行機型に変型するガンダムも用意してあったり。

 それはそれとして、目の前に構えてるモビルスーツ、の中のヒトが恫喝しまくって斬りかかって…

 刹那はとっとと解体しました。いじょ。あぁあっけない。


 これが、私と刹那の初陣。

 私は彼といつまでも飛んでいく。


(おまけ)

 エクシアの整備中にデータログから謎のポエムを発見したイアンは、見なかった事にした。



 あとがき。

 ゼロ魔の方が遅々として進まなかったので、ムシャクシャして30分で書いた。後悔する気は全くない。

 あとステルバンボーは、昔、某號!なロボット漫画に登場した素敵なロボット名。というか誤植。さすがに双葉文庫版では直ってた。






[18084] エクシアさん に
Name: 梵葉豪豪豪◆dd30381f ID:754e2ad7
Date: 2010/07/17 22:01
エクシアさん に


「 俺 が ガ ン ダ ム だ 」

 そんな面白台詞を紡ぎ出したのは、私の刹那だ。私のようになって私と一つになりたいのねウェルカァム!……という意味ではあるまい。

 そんな私達は宇宙船プトレマイオス、略してトレミーに所属するチームの一員だ。後に色々間違ってると駄目出しされまくった偉人の名前を艦名に抱くなんて何かのイヤミですか。

 その現場部隊トレミーに属する仲間を紹介しよう。
 まずは整備メンのイアンさん。このオジサマがいないとトレミーもガンダムはにっちもさっちも行かないだろう。

 次にハロ。人工知能を持ったボールだ。整備のサポートをしてくれる。ガンダムのメンテナンスハッチは遠隔操作じゃないと開かないが、解放のためのパスコードをイアンさん以外に持っている存在、と言えば重要さが判るだろうか?

 そして先述予報士やってる酒飲みさん。部屋の盗聴…監視映像と物品管理リストでは酒とツマミと炭酸水がやたらと多い。履歴を見る限り、罪悪感をずっと抱えているおねいさんだ。酒に溺れたくなるのはそんな過去を背負ってるからなのだろうか? でも刹那はあれだけの目に遭っても酒に溺れない。その違いはどこから来るのだろう?

 でもってオペ4人衆。内1名は元マフィアと来た。慈しむ様な目線で刹那を見るのはやめて欲しいよ元マフィア。

 で、前線に立つガンダムマイスターたち。筆頭はマイエンジェェェル刹那だ。彼が私の中に入っている瞬間はとても至福のヒトトキだ。特に戦っている時はもっといい。ヒトが肉体で味わえるアレのナニってこういうものなのかもしれない。言語にすれば

 舞う舞う舞う舞う斬る斬る斬る舞う斬る斬る斬る斬る舞う舞う舞う舞う斬る斬る舞う斬ったー斬ったー!

 これが高速機動用のオプションを装備すると

 飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで舞って舞って舞って斬ったー斬ったー!

 まぁさてそれはそれとして他のマイスター。まずはみんなの兄貴・ロックオンさんだ。スナイパーなので狙い撃つのが得意な兄さんだ。寝起きに自分の写真を見ながら髪型を整える謎の人。あと刹那を何かと部屋に引き込もうとするのはやめて欲しい。刹那を見る目が元マフィアと同類なのがどうしても不安なのよ。トレミーの環境設定いじって停電起こして事なきを得たが、要注意人物に指定しておく。
 ちなみに彼のガンダムはスナイパー特化型なのだ。山猫ガンダム。

 マイスター3人目は多重人格の片眼さん。片眼を長髪で隠してるので片眼さん。ちょっと穏やかなヒト。別人格のネオ片眼が現れた時には眼と髪が反対になる。こっちはノリノリィ!だよ。本当はこっちが主人格じゃないか、と人事記録には注釈してあった。そのネオ片眼さんはこの前部屋で全裸になって激しく腰を振っていたほどノリノリィ!だったよ。

「ハハハハハァ! 前のマリィと! 今のマリィで! 7回ずつキメてやるぜぇぇ!」

 とまぁこんな感じで。その時観た映像は、忘れたい。そうだ、こいつのガンダムは2形態持つ欲張りさんなのでヤマモトヤマノボルガンダムと呼ぼう。

 まー後どーでもいいんだけど最後のマイスターはイノベイドのメガネ。気に入らない。何かある度に刹那を認めない態度だもん。でも刹那がまだ未熟なのは事実なの。悔しい。悔しいからソレビ内の掲示板に「あいつの眼鏡は赤外線暗視付き」と書き込んでやった。しかし事実だった。ちきしょうメガネめ。あと彼のガンダムはGNコンデンサを積みに積みまくってタッパの膨れた大火力野郎なので、コニシキガンダムと呼んでやる。


 そんなアレな集団で今日も世界を引っかき回す。そんな日常において、刹那のバイタルデータが大幅に乱れる事件が起きた。3件ばかり。

 一つは旧クルジス共和国に立ち寄った時の事だ。今は力尽くでアザディスタン王国に併合されてしまった土地だ。しかし平和になる筈もなく、目の前に拡がるのは戦場の真っ直中だった。
 そして刹那はクルジス出身だ。
 月並みな表現をすれば、刹那はキレたのだろう。モビルスーツ『アンフ』を片っ端からずんだばらりんしたのだし。彼が望遠で注目したのはゲリラの子供、の死体。自分を重ねているのだろうか。「俺はガンダムにはなれない」と呟く彼に、慰める言葉も、あっても伝える手段も持たない自分に無力さを覚えるしかなかった。

 二つ目はアザディスタンの反政府やってる指導者のジジィを助け出して王宮へ熨斗付けて返した時の事だ。裏には色々あるのだろうが、知らん。ただ私の中に刹那とイアンさん以外を入れるのは非常に嫌だ。コクピット内に毒ガスをチャージしていたが散布は自重した。だって刹那の判断だもの。
 引き渡した先で、刹那は女と話をしていた。検索結果はこの国の王女だった。私の知らない所で色々あったのだろう。
 エネミー設定:マリナ・イスマイール。

 最後は、刹那がある拠点を探し出した時の事だ。モビルスーツ『イナクト』を駆る傭兵がいた。刹那が一気に興奮状態に陥り、戦闘状態に入った。
 馬鹿にした調子で敵は語りかける。あれだ、コクピット内では全裸で踊って過ごすオヤジに違いない。そんな事はなかったが。
 しかして奴の検索結果は、アリー・アル・サーシェスという人物だった。傭兵としてクルジス共和国でゲリラを先導した事があるという。アジっていた放送の記録があった。
 つまり刹那と接点があったという事だ。サーシェスだと確認出来た瞬間にバイタルデータが「平静」を伝えた刹那だが、彼は何を思ったのだろう。
 結局私は刹那について何も知らないも同然だった。

 帰投後、刹那はメガネに責められた。私には何も出来ない。


 今私はデータを整理している。エクシアとヴェーダが直通で通信し合っているのだ。サーシェスについて「要注意人物」として進言したが、どう転ぶか判らない。

『君は誰だ?』

 イノベイドが通話を要求してきた。目の前にマッパなビジュアルが投影される。メガネだった。あぁこいつ男の子だったんか。
 ちなみに私はこの時、いつ刹那に見られてもいいようにいかにもガンダムっぽい意匠で肌色の露出の多い外見を維持していた。あぐらを掻いて複数のウィンドウをいじってるというのがアレだけども。こっち見んな。


『なんて事があってねぇ……』

 翌日私は、通話仲間の先輩イノベイドと愚痴大会をやりまくっていた。仲はいいがお互い素性は匿名のままである。刹那の事、刹那の事を愚痴ってきた先日のメガネの事、その他諸々。大体は刹那の話題まみれだ。

『ふふ。君はとっても刹那が大好きなんだね。まぁ僕もなんだけどね』

 先輩で緑髪なビジュアルのペガサスさんは昔から刹那のファンだと言う。ストレスの溜まるスパイやってるから刹那の話題に癒されるのだという。いいね、癒し。


(おまけ)

 イアンはエクシアに登録されたエネミー設定を一部削除した。一歩間違うとそのままヴェーダに送信されかねなかった事態である。



 あとがき。

 今月リリースされたコナミの某フィギュアがモロに874で実に素敵です。私は「エクシアさん」と名付けて飾っています。





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