米国にもこんな“文化”があったらしい。
今どき、高校野球でも見られない光景だ。先頭の四回、空振り三振で戻ってきた松井秀が、ハンターに一塁ベンチ横のトイレに連れ込まれた。
「2人でトイレにこもって怪しい話をしていた」と松井秀は詳細を明かさなかったが、狭く、臭い空間? で1メートル88、102キロの大男2人が30秒のヒソヒソ話…。そこにハンターらしい配慮があった。他の選手に聞かせないことでゴジラのプライドを守りつつ、奮起を促した。
「自分が見た印象を伝えた。もっとハッスルしていこう、ということだ」とハンター。6月に入って爆発した松井秀だが、オークランドでの2試合は8打数1安打4三振。二回の遊ゴロ併殺でも一塁への全力疾走を怠っており、チームリーダーからカツを入れられた格好になった。
この4、5番コンビが、5月9日(同10日)のレイズ戦で完全試合を達成した先発左腕のダラス・ブレーデン投手(26)をKOする口火を切った。
1点リードの六回、先頭のハンターが投手強襲安打で出塁して、続く松井秀は初球を右前打。一死後、リベラの中前打で、ハンターは三塁コーチの制止を振り切って2点目のホームを踏んだ。二死後、今度はクインランの中前打で松井秀が生還して“完全男”を降板させた。
ゴジラは九回も右前適時打。横浜と楽天に在籍した3番手左腕のセドリック・バウワーズ投手(32)からダメ押しの7点目をたたき出し、3試合ぶりの複数安打も記録した。
「話した後のマツイは変わった」と3安打1打点のハンター。“トイレ連れ込み事件”でゴジラはハッスル。メジャーリーガーも、ときに古典的な手? でチームを勝利に導く。