日本統治時代のベストセラー「タクチ本」(上)

 古書の収集家や国文学の研究者らが主に集めている日本統治時代の「タクチ本(廉価本)」が、サイバーワールドに登場することになった。ソウル大中央図書館(館長:金鍾瑞〈キム・ジョンソ〉宗教学科教授)は、14日から同図書館ホームページで、「韓国タクチ本サイバー展示」を行っている。

 本の表紙が、子供たちの楽しんでいた「めんこ(タクチ)」のように色とりどりだったことからその名が付いた「タクチ本」は、1920-30年代に広く流行した出版物で、「旧活字本」「活字本」とも呼ばれた。西洋の印刷技術導入とともに取り入れられた鉛活字を用いて大量に印刷されたタクチ本は、『洪吉童伝』『沈清伝』といった古典小説だけでなく、『秋月色』『長恨夢』などの新小説も扱った。タクチ本は、大きさがおおよそ四六判のハングル縦書きで、当時、めん類1杯分程度の値段に相当する6銭で売られていたことから、「六銭小説」とも呼ばれた。

 同図書館が公開したタクチ本は、計212冊。ほとんどは小説(201冊)で、そのほかに一種のジョーク集といえる才談集4冊や、歌を集めた雑歌集7冊も含まれている。京城帝大時代から所蔵していたもので、『春香伝』『沈清伝』『九尾狐』といった古典小説が多いが、『緑豆将軍』『キム・ユシン実記』『金徳齢伝』『徐花潭伝』など、歴史上の人物を扱った小説も多数含まれている。1929年に初版が出た『怪傑張作霖』は同時代の人物、満州の軍閥・張作霖の一生を題材にした、一種の評伝だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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